葦原天理は巫覡である 作:氷桜
「で」
「はい」
改めて。
事前の打ち合わせを行える機会は余り多くない。
特に、この五人……関係者と非関係者を分けていられる今であるなら。
そして、友奈の精神状態の問題もある。
今保留にしている
――――最初から断れるような人間で。
そういう関係性を周囲と結んでいたのなら、別だったのだろうけれど。
そういった意味で……そして、常に連れ歩くたかしーと神々と。
俺が扮する存在の在り方として、ただ単純に否定するわけにも行かない。
不義理で、無責任で。
クズだよな、と自嘲の言葉を胸奥に浮かべながら。
先輩の唇の動きに注視していく。
「一番最初の部分はいいわ。
正直、向こうの言い分とアンタ達の言い分が被ったら此方優先するってだけだし。
問題は……これからどうするつもり?」
「一応、俺の想定……叩き台だけはあります。
風先輩には……最初の最初、説明の部分で重荷を背負って貰う必要がありますが」
「それくらいはやるわよ。 集めた責任、ってものもあるし」
紙、物証として残すのもどうかと思う部分もあり。
何かに書く、と言った手法で進めたわけではないので幾分か抜けがあるのは覚悟している。
その部分は……背後の三人に意見を貰いながら整理すればいいと思っていて。
「大枠に関しては、この間の話を基本にするのよね?」
「この間……っていつ?」
「天理、お前また須美と勝手に」
「いや二人も聞いてるはずだろ!? って言うか言った覚えあるぞ!?」
ハッキリと明言したかはちょっと覚えが曖昧だが。
部活として集めている理由、美森ちゃんと話を進めた事については確実に。
「……じょーだんだよ、じょーだん」
目が笑ってねーぞ銀。
お前忘れたんじゃないだろうな?
頬を横に引っ張りながらにもう一度聞けば。
笑みを崩さず、同じように頬を引っ張り合う奇妙な光景が広がって。
仲介を挟んで、一度精神を整え話を戻す。
「じゃあ……改めて話をしますが。
まず大前提、集めた理由と『勇者』の役割に関しては二人に伝えてください」
「はいはい、それが今さっき言ってたアタシの役割ね?」
「はい。
確実にそうなるかどうか……は判別する方法が曖昧なので一旦横に置くとして。
かなりの高確率で選ばれることを前提にしてください」
恐らく、あの精神世界に行けば。
或いは、専用の勇者変身アプリの存在が確認できれば。
神樹サマとの繋がりが見出だせれば確実、と言えるだけの状態までは持っていけるが。
それより前……先ずは当人たちに理解して貰う方が前提。
「で……この時点で明かすってことはさ。
「流石に他の可能性のある全員を呼ぶ、なんてことはしないけどな」
改めての確認、という意図を込めての言葉。
小さく頷きながら、ぷるぷると震えている片手に片手を重ねて抑え込む。
銀が指しているのは、嘗ての名家を集めた修練のこと。
俺自身は話でしか聞いていないが、今回行いたいのもそれに近い事。
教える相手が初代勇者達か、教官か。
その差異はある……と言うのは今は横に置いておく。
「……ええっと。 ごめん、ちょっと聞いていい?」
「どうぞ」
「葦原達にそれが出来るだけの力があるとして、だけど。
以前に軽く教わった教官を呼ぶ……ってこと?」
相性があまり良くなかったからなのか。
或いは相手が見下す性質の相手だったからなのか。
出来れば断りたい、という顔色を浮かべているので……其処は軽くフォローを入れる。
「大赦の知り合い……職員の何人かには話を通します。
ですが、教える相手はまた別ですよ」
「誰?」
「後で話します。 多分、今言っても信じられないでしょうし」
んん、と口元を歪めているが……今直ぐに話せないのは変わらない。
助けを求めるように後ろを向けば、既に動き出している美森ちゃん。
そのちゃんは純粋に中立……でもないな、この場を成立させるために動いているように。
目を爛々と輝かせ、真剣に考えている時特有の
銀は顔を真っ赤に染めながら、手を離そうとはせずにその場に佇んでいる。
傍から見れば明らかに異様な状態。
念の為に誰も来ないように、覗かれないようにはしているが。
出来れば――――もう少し別の場所での話が理想だったかなぁ。
当初に戻ってループするので、其処で思考を停止させた。
「…………と、言う事になります」
「あー、分かった分かった。 しっかし、アンタ達いつもこんな事考えてんの?」
「天理くんの考えていることを理解できているなら、支えるのが役割ですから」
……美森ちゃんが何やら話を纏めたようだから。
ただ、その言葉は大分粘っこいし重い発言だと思うぞ?
次いでに言えば色んな意味でスレスレ、ある程度関係性が露呈している相手ではあるが。
目線を向け、同時に目を細めてみれば。
向こうは見惚れるほどの笑みを浮かべて『やることはやった』と意思表示。
うん、それは有り難いんだけどそうじゃなくて。
「……無言で漫才してるつもりだったりする?」
「美森ちゃんに言ってくんないかな?」
俺達を両方視界に捉えていたそのちゃんも呆れ顔。
ただ、それでも表情を変えようとしないのはもう何というか流石だよ。
「とりあえず話を戻すわよ?
……友奈と樹に話さなきゃいけないことは分かってる。
で、その時に葦原達の隠し事を教えてくれるってのも分かったし、部屋を貸してくれるのも分かった」
……そういう話してたのか。
この場合の部屋……ってうちだよなぁ。
障子外して部屋広げないと不味そうだし、後で手伝って貰うか……。
明らかに女子の割合が増えていく。
「その上で――――園子、銀、東郷。
アンタ達に確認しておきたいことがある……いや、確認しなきゃいけないことがある」
話の都合上。
そして、これからの都合上。
三人が
だからこそ。
「……バーテックスからの襲撃。
昨年に起きた大地震と、橋の倒壊を含めた大事故。
……
これを聞かれるのは必然的。
以前に、少しだけ覗かせていた暗い表情を覗かせながら。
それは……二人きりの時に、ポツリと漏らしていた言葉を思い出させた。
『アタシの両親もね、去年の橋の事故で死んじゃってるのよ』
つまり。
俺と同じように、戦いの中で生まれてしまった被害者。
俺とは違い、何の事情も知らされず。
けれど、大赦の都合でその立ち位置を利用された人。
三人が、三人共に。
ある程度想像はしていたのだろうけれど。
直接口にされた内容に、顔色を悪くしながら……生唾を飲み込んだのが分かった。
「――――教えて」
そして、これは風先輩にとって……必ず確認を必要とする事。
過去を過去とするために、知らねばならなかったことだろうと。
だから。
「……先輩、少しいいですか?」
同類故に。
以前と同じく、話をしよう。
・本編開始前なのになんでこんなじっとりしてるんですかね……?
活躍させたいキャラ上位二名
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たかしー