葦原天理は巫覡である 作:氷桜
基本的な部分は原作を見るのだポッター……
「……思ったより綺麗にしてるわね」
「思ったよりってなんですか風先輩」
放課後。
当初からの予定通り、『部活としての活動』の一環として集められた俺達。
ただ、その会場が部室ではなく俺の家。
それ自体が理解できずに、首を捻り続ける友奈と樹ちゃん。
ついでに彼方此方を見回している部長の姿があった。
「……ねえ、天理くん」
「とりあえず今は何も言えない。 部長の話を聞いてからにしてくれ」
無論、その場所を提供した俺が何かを知る……と考えるのは当然。
疑問符を頭の上に幾つも浮かべながら向けられた目線をバッサリと切り捨て。
同時、先代勇者の三人も苦笑いを浮かべながら俺の傍に佇んでいる。
綺麗に二分されたような状況の中。
中立を保つように、同じく全てを知るせんちゃんは深く深く溜息を漏らしていた。
茶番だ、とでも言いたそうに。
「……風先輩?」
「あー、うん。 分かってる……うん、よし」
此方の言葉に視線が風先輩の方に向き。
自分の頬をぱちん、といい音を立てながらに叩いて何かを決意するようにしていた。
今更……と言えるような場面でもない。
実際、彼女からすれば本当の理由を黙って引き込んだようなものだから。
責任感を背負いがちな性格であることも合わせれば、そうすることが必要だったのだろう。
(実際……そのちゃん達との時もそれなりに重苦しかったしなぁ)
思い返すのは少し……と言っても入学よりも前。
彼女達が正しく『お役目』の真実を知る前。
そして、俺も……俺の役割を彼女達に告げたことを思い出し。
その繋がりだったんだよな、とこうした関係性を結んだ切っ掛けを思い出して頭を振る。
「どうかした~?」
「いいや、何でも」
唐突な行動に、不安と言うか心配になったのだろう。
脇腹を突かれながらの問い掛けに、振り払いながらの返事。
視線の奥……友奈が少しだけむくれたような気もしたが。
「友奈、樹。 とりあえず色々聞きたいこともあるだろうけど最後まで聞いてからにして」
「えっと、お姉ちゃん……?」
風先輩の言葉に、そちらへ姿勢を正して意識を向ける。
俺達も形だけ(と言うと失礼だが)知っていることとの食い違いが無いかを確認する意味も有り。
話を聞きつつも、目線でのやり取りで違和感などの指摘を繰り返そうとする。
……こういう変な小技に慣れたのも、多分今までの経験からなのか。
ワカやヒメ、たかしーとの遣り取りをする脳内会話の応用とでも言うべきか。
『……便利に使われてるけど良いの?』
『まあ……実質我等とのものと変わらぬからなぁ……』
『それに、相手が天理にとっての勇者である以上否定もできないでしょう?
他の巫との繋がり以上に、細々としたモノを必要とする役割なのですから』
俺にだけ聞こえているのか。
目の前の少女と瓜二つの格好を思い出しながら、若干呆れている声色が響けば。
男女一つずつの助言と言うか、フォローと言うか。
実質上、俺の保護者のような二人の言葉が後追いで流れた。
(好き放題言ってくれるよな……こいつら……)
それらが全部的外れなら兎も角、9割近くは正しいから何も言えない。
残りの一割は意地とか勘違いとかそっちの差異。
深く突っ込めば寧ろ此方が揚げ足を取られてしまう。
「……えーっと、風先輩。 つまり……勇者部、っていうのは」
「そうね。 人助け、って意味合いでは間違ってない。
でもその本質は全く別物……もっと幅広い、この世界を護る人員を集める部活、かな」
一方その頃、同時進行で聞いていた話にも進展が見られた。
何故声を掛けたのか。
何故部活を始めようと思ったのか。
そんな最初の部分の、秘めたことから始まり。
今していることは間違いではないけれど、その本質は大きく違う。
大赦、と言う存在が影から後押しすることで成立した部活である――――。
そんな、汚い裏事情を明かした辺り。
「……東郷さん達は、これ……知ってたの?」
「知ってたと言うか……」
ちらり、と向けられたのは此方への目線。
目線だけを上下にすることで頷きとし、彼女の言葉へも追加して内容を告げる。
この後の展開……話の持って行き方としても、この辺りは意思疎通が取れていないと難しいのもあった。
「……私も裏で命じられていた一人よ」
「一応俺からも補足しておくが、風先輩も美森ちゃんも拒否できる立場じゃなかった。
そういう状態での命令だった、ってことだけは考えておいてくれよ」
初めから騙そうとしていたとか、そういうつもりは一切無い。
ただ――――それはそれとして。
結果的にそうなってしまったことに変わりがない側面は確かにあり。
謝罪と、二人に慌てながら頭を上げることを要求する友奈の姿がそこにはあった。
「葦原先輩」
「おう?」
人の心が分かるからこそ、余り責められないのも確か。
後で話す時に……色々と愚痴とかがあるなら聞こうと思っていれば。
樹ちゃんからの純粋な、だからこそ最も鋭い疑問の刃が飛ぶ。
「……葦原先輩は、事情を知っていたんですか?」
「知っていたのは確かだよ」
それは否定しない。
その事実を踏まえた上で、これからの話。
そして以前の話へと発展させることが出来るのだから。
「なら」
「ただ……
俺個人としては、樹ちゃんも選ばれるかは正直五分五分だと思ってる」
教えてくれても、と言い掛ける前に。
『選ばれること』を大前提とする風先輩の話を上書きするように。
どうなるか分からない、と言う話を匂わせて口を閉じさせる。
「え、私?」
「そうだな……先輩。 後は引き継いでも?」
「任せるわ。 多分、アンタや園子の方が詳しいでしょ」
自分を指差す友奈。
肩を竦めて、重荷を降ろしたようにせいせいとした顔をした風先輩。
そんな二人の顔を確認した上で。
どう説明するかな、と脳裏を巡らせつつ。
隣の部屋の四人をどう自然に誘導するか、ということも考え始めて。
ゆっくりと、口を開いた。
東郷さんに着せるならどれ?
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白無垢
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ウェディングドレス
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巫女服