葦原天理は巫覡である   作:氷桜

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急-10

 

バーテックス/蠍座(スコーピオン)、及び蟹座(キャンサー)

4,5体目と同時に姿を現した射手座(サジタリウス)

 

三体同時襲撃、それに対し此方は一人欠けた……攻撃手が不足した状態。

にも関わらず、それらを()()したのは。

開発が既のところで間に合わなかった新システム故ではなく。

ワカが俺を介して口にした、()()()()()()()()に寄るものだったという。

 

『出来れば教えたくはなかったのですが……緊急事態も事実ですからね。

 今回は許さないでもない、と言ったところでしょうか』

「とか言ってる」

 

その翌々日。

翌日は体調面から休み、俺も細々とした雑用が残っていたし未だに休みで。

銀に至っては傷が痛むとのことでどうしようもなく。

未だに席を置くホテルの一室を舞台に、四人+二人での話し合い。

 

やはり彼方此方に包帯を巻き。

けれど瞳だけは何処か爛々と輝いた状態でやってきた、奇妙な二人。

どことなく銀も怯えを見せていたが……。

 

「正直、俺個人には其処まで危険な技術に思えないんだが。

 そんなに不味かったのか、ヒメ」

 

言葉の暴力でボコボコにされたワカが隅で横たわる中。

既に日常的に行っていること。

そして、その発展系の危険度に関して問い掛けた。

 

『天理のような……或いは、受け入れる素養が出来上がっていれば別です。

 ですが、それ以前の――――”戦う者”としてしか選ばれていないのなら。

 ()()()()()()()()()、問題が起こる可能性があるのです』

 

それは其処の(ワカ)もご承知の筈ですが、と。

見詰める瞳は何処か冷たい。

 

『致し方なかろう!?

 実際、多少なりとも効果はあったのだから!』

()()()()()()を言っているのです』

「ひょっとして今のこと言ってる?」

 

こんな話をしながらも、右手にそのちゃん、左手に須美ちゃんが張り付いている。

隣の席で此方の様子を伺いながら、何処か羨ましそうな顔に見えるのだが。

 

冗談だよな?

半ば公然的にそう見られそうなの、張り付いている二人を考えても不味いんだが。

 

『……しかし、吾等を介すとこうなるのか?』

『もっと物質的……当人との相性や戦力のみで選んだ故なのでしょうか』

「二人だけで分かった風な話せずに答えろ」

 

同い年とはいえ、明らかに大人へと成長を遂げる少女二人。

 

それらに抱き着かれて嬉しくないとは言わないけれど。

少しでも距離を離そうとすると色々と甘え倒してこられるのは困る。

事実、最初は振り払おうとして涙を浮かべられた。

 

故に、何故こうなっているのかを強く聞き直しているのだが。

他の三人には声が届かないからか、俺の一人芝居みたいになっている落ちがある。

……気味悪がられたりしないだけ良かった、のだろうけれど。

或いは、神樹サマという前例があるからなのか。

 

『……以前にも言ったでしょう。

 私達が天理、貴方に宿っている状態は()()()()()()()()に近いと』

「……聞いたな」

 

耳目を共有し、脳内で会話を平然と続けられる。

それもまた巫女とは違う特有の個性なのだ、とも。

 

『吾が教えたのはその手段……()()()()()()使()()()()()()、『切り札』の存在よ』

「いや、だからそれが――――」

『それを使えば、精神が汚染されていくと言ってもですが?』

 

ぴたり、と思考が止まった。

そのまま錆びた機械が動くように首がワカへと向かう。

 

は?

 

瞬間、湧いたのは怒りとも違う感情。

思わず()を見るような脳裏の沸騰。

そして、それを伝えてしまった自分への殺意。

口を続けて開こうとして。

 

「……てんくん。 良いの」

「私達が、望んだことだったよね?」

「……でも」

 

確かに、話の発端はその通り。

 

新システムの開発が間に合わず、けれど須美ちゃんに届いた啓示。

このままでは――――そんな危機感を抱いた二人が。

大赦ではなく、もう一つの。

何かの可能性を持つ二人に縋ったのもまた事実。

それでも、俺は俺自身が許せなくなりそうで。

 

『正式名称は『切り札』。

 ()()()()が用いていた、神と八百万の精霊の力を借り受ける術式』

 

ヒメが呟く言葉に身を任すことで、衝動を抑えようとする。

 

『ですが、当時は攻撃面に偏重し過ぎていた嫌いがありました』

『その副作用……悪影響も後に判明したことでな。

 未だに眠るあ奴を起こせれば、もう少し対応策も進められたのだろうが』

『それは後に説明しましょう。

 ただ、今は勇者服と言う多少の精神防護を含めた装備が開発されていたでしょう?』

 

ワカが何かを言いかけ。

ヒメがそれを遮るように、言葉を続けた。

 

……未だに眠っている?

その言葉の通りに受け取れば、まるで。

 

『故に、私達の力を貸し与えた上でやり方を教えたのです。

 ただ単純に神の力を流し込むのでなく、その器を神降ろしのモノとして定めてから』

 

通常、携帯端末に表示される祝詞とは違うらしいもの。

既に数百年が経ち、風化――――或いは断絶してしまった、嘗ての言葉。

神樹を祀るものでなく、神へ捧げる誓言を以て。*1

 

「だから、お前等に料理を捧げてから下げ降ろす形を取ったのか?」*2

『そうだ。 ……細かい事情を伝えなかったのは悪かった。

 どんな影響が出るか分からない以上、一度でやめさせるつもりではいたのだが』

 

その結果が、今か。

やけに張り付き、甘え倒す感じ。

精神の悪影響……と言うよりは欲望に素直になっている、理性の低下か?

 

「期間は?」

『短時間ならば短期間。 無論、魂に宿った影響故に神域のほうが早く消える』

「分かった」

 

……なら、何処か籠もれる場所に結界を敷いて区切った方がいい。

彼女達のためにも、俺のためにも。

 

普段なら、先程までなら若干の喜びさえもあったこの状況。

今の俺には……針の筵にも近く感じていた。

*1
勇者史外典参照。大赦に於ける祝詞は神樹に捧げるものであり、一般的な神々へ捧げるモノと異なっている。

*2
神道の儀式の一つ。神饌(しんせん)直会(なおらい)。神と人を結び付ける加護を得るとされる。




※変更点:
・当代勇者(わすゆ時代勇者)が「切り札」を身に着ける。
・この影響は西暦時代のものと異なり、負の面へと落ちる代わりに理性が緩む傾向にある。
・また、当時の武器と違うものである影響もあり効果影響も然程大きくない。
・最も大きな点は『満開』と併用・同時使用可能である点。


・嘗ての時代、西暦。
・それは伝えられている内容と大きく異なりを見せ始めている。
・例えば、諏訪の勇者であり。
・例えば、戦死した勇者であり。

二人きりのデート回、全員分描写いる?

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