葦原天理は巫覡である   作:氷桜

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※ゆゆゆ本編に直接接続できない最も大きな理由。


急-16

 

勇者機能のアップデート。

 

『精霊』と『満開』の追加。

 

そう言われて、携帯端末を持ってきた二人の前で。

 

『…………やはり、人は淀むものか?』

『組織が淀む、と言い換えましょう若様』

 

明らかに暗黒面を見せている二柱。

下手に慣れておらず、感受性の高い存在だったら震えそうな状況下で。

()()()()()()()、といい加減信用度が絶無どころかマイナスに振り切っている大赦を思う。

 

「あの……この機能が何か?」

「てんくん、二人は何で怒ってるの?」

「あ~……」

 

二人の頭辺りに位置している、ペットのような生命体――――精霊。

 

須美ちゃんの上には卵のような奇妙な生物、青坊主。

そのちゃんの上には羽を生やした人形のような生物、烏天狗。

 

神域として定めた仮住宅の一室だからこそ平気で出せている……らしい。

まだまだ開発段階のものだからだろうか。

 

「二人共、俺にも分かるように説明してくれ。

 勝手に()()勝手に怒り狂ってたら置いてきぼりになるわ」

 

人の視界を共有しといてそれはやめろ。

 

『とはいえ天理。 お主も聞けば同じ様になると思うぞ』

「は?」

 

前にも聞いたぞそんな言葉。

銀が大怪我した時のことを思い出し、深呼吸して落ち着こうとして。

 

『その精霊……それ自体は問題ありません。

 というよりも、神樹……父上達の力を()()()()()()()感じもありますが』

「過剰ってことか?」

『そうとも言えませんね。

 先行試験用、として産み出すという考え方もありますので』

 

一体何処からそういう考え方が出てくるんだ。

と言うか拾ってきてるんだ。

ロボ物とかの考え方だろ、先行機とか試作機・量産機って。

 

『私達が問題視しているのは【満開】と呼ぶもう片方です』

「えー……ある程度数値を貯めた上で発動できる能力だっけ?」

「満開……でしたら、そう聞きました」

「それがあればバーテックスも安定して倒せるだろう、って言ってたけど~?」

 

俺の疑問に重ねるように二人の声。

不安そうな表情を浮かべる銀。

ある意味で、その想定が正しかったように。

二柱の答えは、酷く残酷だった。

 

『天理にはこう言えば通じるでしょうか……』

 

ヒメが言葉にしようとして。

ワカが横から言葉尻を奪い、発する言葉が脳に響いた。

 

『ヒメ、吾が伝えよう。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 自らを贄とする能力だ――――その、満開とやらは』*1

 

は?

 

ほんの少しの間、頭の中が空白で埋められ。

次に戻ってきた時には。

 

「…………大赦、滅ぼしても許されるんじゃないか?」

「天理!?」

「天理くん!?」

 

ぼそり、と言葉にして。

 

大きく反応したのは二人。

そして一人……その根幹に携わる乃木の娘は、うんうんと頷いている。

 

()()()()()()()()、とか何を考えてるんだ? 頭煮えてるのか?」

『確かに、立ち向かう為に存在することまでは否定せんがな』

『考え方自体は『切り札』と同じですから』

 

え、と後ろで声が一つ。

そんなことだろうと思った、というのが一つ。

何も言わず、押し黙り始めたのが一つ。

 

三者三様の声を聞きながら。

 

「精神が汚染される力と、確実に代償を必要とするのは……いや、一緒にしたら駄目だろ!?」

『本来は前者も相当危険なのですがね』

『運良く扱えているだけ、と考えろ』

 

そんな事言われても。

ええと、だったら。

言葉に詰まっていれば、また二柱の話が続く。

 

『しかし……神樹、義父殿の荒御魂化は深刻か』

『正常な考えをしていれば、父上好みの女子達をそのような状態にしませんからね』

 

だからどういう評価されているんだ。

巫女……というか子供好き、女好きか?

 

「結局……どうするのが正しいんだ? 扱わないのが基本、でいいんだよな?」

『普通ならば。 だが――――利用できるなら、利用してしまうべきか』

「は?」

 

今度は何を言い出す気だ?

先程まであんなに荒れていたのに。

 

『そのようなものを開発した子等……そして受け入れた神樹の荒御魂化は深刻だ』

『恐らくですが……ある程度予想していた通り。 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう結論づけた、と口にして。

繰り返すように言葉にした後に。

 

「……は? 四国が、落ちる?」

 

ぽつり、と漏らした言葉に。

立ち上がる音が後ろで聞こえる。

けれど、そちらに意識を向けることも出来ず。

 

『この地の守護、加護、そして維持。 どれを取っても元々長くは続かないモノよ』

『天理には一度言いましたね。 私達の目的に関して』

「ああ……うん、聞いたな」

 

言葉にすることを禁じられたまま。

だから、知るのは二柱と俺のみ。

思考が回らず、頷くのみで。

 

『その為に、まずしておくことがある』

『その前段階――――バーテックスの撃退は必須事項です』

「なら、生贄になれってか!?」

 

だからこそ聴き逃がせず、立ち上がり。

二体に近付こうとして。

そうとは言わぬよ、と窘められながら。

背後から背中を抱き留められ、その場に強制的に座らされる。

母親に抱かれるような錯覚に、嫌でも意識が落ち着かされて。

 

()()()()()()()()()()()()()()

『その為に、天理には変換器……多大な肉体的な苦痛を受けて貰う必要があります』

 

与える力も、精霊も。

本来のものより弱いものとなるだろうが。

そんな言動を、口にしながら。

 

『存在を捧げることのない、代わりに巫覡がその穢れを負う。 覚悟は、ありますね?』

 

じっ、と。

瞳のない瞳が、俺を射抜いていた。

*1
神に何かを捧げ、その対価に何かを得る行為は世界中に存在する。己の身を捧げさせる行為を無断で行わせる……それ自体を、神が好む筈もなく。




変更点:
・『満開』に於ける存在消失の副作用の置き換え。
・これは『巫女』に該当する存在が必須になる行為。
・『捧火祭』――――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
・また、この後に取る行動のために人員を減らしたくないという意志も存在する。


・二柱の目的は、最終的に神樹をも巻き込む行為。
・そうしなければ、勝ち目が存在しないから。

二人きりのデート回、全員分描写いる?

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