葦原天理は巫覡である   作:氷桜

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承-8

 

(そういやさ)

 

『うん?』

 

2月も中旬へ差し掛かろうとするとある日。

台所を占領され、居場所が無くなったので外に出つつ。

つい昨日も見た夢のことで、二人に問い掛けながら寒風を横切っていた。

 

(なんか最近、あの夢を見ると疲れるんだが何でだ?)

 

最初に見た時はそうでもなく。

二度目……も多分平気。

気になり始めたのは極最近の話。

 

眠っても寝たような感じがせず、妙に眠気が残っていたり。

身体の重みが取れず、どうにも動きが鈍かったり。

気付けば昼寝していて、その短時間の睡眠のほうが休めていたり。

そんな事が起きていたりする。

 

『ああ……それはそうか』

 

『気付いていなかったのでしょうが、夢に干渉しているからです。

 ……と言うよりも、二人の勇者の神具に力を与えているから、でしょうか?』

 

(は?)

 

起きてでもいなければ気付かないか、と奇妙な目線で見られた気がする。

 

ちょっと込み入った話になるからと、手近な喫茶店で珈琲とケーキを頼んで時間を潰す。

携帯端末を弄るふりをしながら会話を続行。

 

『一度体験しているでしょうが、千景にした事と同じです』

 

(と言うと?)

 

『神具に巫として接し、力を増大させる媒介として働いたのだろうな』

 

神具に直接触れたわけでもないのに出来るのか、と思いつつ。

ただまあ神に触れている以上、祈祷での影響はあるものだと考える。

つまり魂だけで仕事している以上、精神的な疲労は抜けない……?

 

(これ続けたら不味くない?)

 

『不味いですよ?』

 

『その辺りの限度も考え次の長期連休で終わらせるべき、と言っておるのだ』

 

成程ねえ。

 

(だけど、二人の生活とかも考えると……春先も悩んだんだけどなぁ)

 

『学校……ですか』

 

『問題は春先の事が終わった後……長期、となると夏か?』

 

(眠ってる初代乃木に関しては全然知らないんだよな……。

 せんちゃんに聞いても言葉濁すし、何やらかしたんだよほんと)

 

()()()()()()()()での話。

 

最終的には精神の中に巣食う悪影響を討滅する為、夢の中に潜るのは確定的。

その際には確実に勇者を一人……現状だと繋がりも含めてせんちゃんだろうか。

須美ちゃんも協力することは明言しているから、+そのちゃんも考えるとして。

 

(それに、正直銀だけを放置してるのも不味いと思ってるし)

 

『神具……に該当するものも外で探すのが手一杯でしょうか?』

 

()()の武具を借り受けられないか、話だけは通しているが。

 神樹の中での活動も難しいだろうからな』

 

大赦の中でこの二柱、隠れるということを取りやめた。

 

より正確に言えば『神』としての活動を始めた、と言うべきか。

向こうには当然気付かれ、偶にバタバタと走り回る神官の姿も見るが。

国土さん曰く『神託としては聞いていません』とのことだったからなぁ。

 

届けられたチーズケーキを食いながら珈琲を飲んで英気を養う。

俺だけが食うのも不味いし、四人分お土産で買うことも店員に伝える。

 

ただ、明日のイベントを考えると。

 

(今日食ったの不味かったかなぁ?)

 

『何がです?』

 

(いやほら、今日追い出された理由が理由じゃん?)

 

意識して気付かないふりはしてたが。

学校でも一部の先走った男女が無駄に緊張感を高めていた。

 

本番は明日だと言うのに……とも言い切れない。

何しろ明日は休みなので。

 

『ああ……何でしたか、元は西洋の文化とか?』

 

『西暦の時代には広まっていたのだし、深く考える必要もあるまい。

 しかし、女子から男にのみ渡すというのは良く分からんがな』

 

(男から女へは来月だから……)

 

当然学校では何も貰わないし、出来るだけ姿を隠していた。

隠す必要さえもなかった、と言ったほうが良いのかも知れない。

まあ何も貰えなかった奴等が()()()()()()()()()時には既に逃げ出してたし。

 

『深く考える必要もないでしょう、天理の今までの成果が出るというだけです』

 

(それ、暗に何が起きても自分のせいって言ってない?)

 

『堂々と言っていますが』

 

そうだった、ヒメは過激派寄りだった。

ワカが保守派というか年齢を守る側なの、普段の印象からして逆だからちょっと笑う。

 

『一度堂々と口にしたのですから、その責任を取るべきだと思うのです』

 

『ヒメよ、言霊の文化も踏まえた上で言うが身体さえ出来上がっていないのに何をだ』

 

()()()()()()()()()()()()

 

聞き流す聞き流す。

まともに今の発言聞いてたら多分頭がおかしくなる。

後ワカよ、その発言も俺にとっては重荷になるからやめてくれる?

 

(――――いつなら帰れるかなぁ)

 

日は沈み始め、赤く燃える……夏よりも早い時間帯。

 

けれどおそらく今は俺の現住所は色々と争いになっている気がする。

須美ちゃんだけは別枠で家で作れるとしても……。

恐らく、全員が同じ場所で作るから意味があるんだろうし。

 

(大赦の中での贈り合う文化は……どうなんだ?)

 

浮かぶのは先生と某男性。

たまに良い雰囲気になっているのを見かけるが、どうにもじれったいとも感じる。

まあ……人の恋愛に口を突っ込めるほど俺に余裕があるわけでもなし。

 

それに国土さんもそうだが。

最近、同年代の少女が出入りする姿を見かける機会も増えてきた。

何かしらの行動を起こそうとする機運は高まっているようにさえ感じるし。

 

(……友奈のこともある。 多分、次のバーテックスの襲撃はそう遠くないだろうな)

 

その際、初代勇者達はどうするのか。

どうなっているのか。

そんな考えに逃げ――――。

 

『天理、いい加減何かしら行動で示しなさい』

 

(また言い負かされたのかよ、ワカ)

 

誰の何視点で言っているのか。

ヒメからのいつもの言葉を、黒い液体で流し込んだ。




・バレンタインデー前日。

・加糖欲しい?????

次のメイン砂糖回誰にしようか案

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