葦原天理は巫覡である   作:氷桜

79 / 249
一瞬二次創作日刊に乗ってて焦りました。
感謝の投稿。


鋪-2

 

「まず最初に、誤解しないで欲しいのですが……。

 私にずっと神託を授けて下さっていたのは高嶋様です

 

「いきなり特大の情報投げてくるね!?」

 

ちらり、と視線を向けながら。

好きでいいよ、と笑顔で返すのを見ながら。

そんな唐突な告白に叫んでしまう。

 

そうした後で慌てて口を閉じ。

周囲……特に奥側にある扉を見るが特に変化もなく。

今は大丈夫です、という彼女の言葉に少しだけ落ち着きを取り戻す。

 

「……友奈さん、貴女は?」

 

「いやぁ……今だと何だろ。 神樹様の一部ではあるんだけど、少しだけ違う、みたいな?」

 

「どういう……?」

 

ぽつりと漏れた問い掛けに、自分自身でも良く分かっていないとの独白。

更に問い掛ける杏さんの言葉。

 

「まだ正しく『八百万の神々』に列席されていない、ということです。

 霊的……或いは精神的に人から一歩離れられましたが、幾つか足りないものがありますから」

 

「……たかしーに分からないことを良く分かるな」

 

「言語化出来ない物を()()()()()()()から」

 

……そういえば向こうの友奈もどっちかというと感覚的だったか。

自分独自の感覚優先で話をするから、他者に通じるように考えさせるのも苦労した。

結局完全に矯正は出来なかったんだけども。

 

「恐らく、その中で大きいのは二つ。

 高嶋様が所持していた神具と、信仰……敬われる部分です

 

勿論私は勇者様達を含めて強く信仰させて頂いていますが、と。

普段の彼女を知っていれば嫌でも理解させられる一言。

……言い方のせいで、その中に俺が混じってるのが分からん。

 

「神具……? 友奈さんのって、あの籠手……ですよ、ね?」

 

「名前だけは聞いたな。 天ノ逆手、だっけ?」

 

「はい。 問題……と言うよりも、高嶋様が()()()()()()()理由でもあるのですが」

 

ぴくり、と身体が反応した。

 

今の言い方。 微かに向けられた視線。

……つまり、国土さんは神樹の内部の事情を知り得ている?

その上で大赦の中で巫女として活動し、動いていて。

この良く分からない場所にも適応し、率先して動いている。

 

少なくとも、此処が元の世界でないことは俺にも把握できているが。

その適応の速さに驚いてしまう。

 

「……ひょっとして、ですけど。

 天ノ逆手の存在経緯のことですか?」

 

それまで、話を聞く立場で進んでいたが。

ここに来て「もしかして」と、杏さんが一歩踏み込む。

 

「ええっと……」

 

「アンちゃん。 伊予島杏ちゃんだよ」

 

「伊予島……! ……はい、伊予島様の仰るとおりです」

 

そして、何故彼女がいるのかも分かっていない様子の国土さんに。

名前を教えることで何かが結び付いたのか、納得の表情を浮かべる。

 

(そういや、ワカが言ってたか? 精霊の研究……の為に色々調べてた子がいたとか)

 

名前までは聞いていなかったが、それが杏さんであるなら。

……また時間を作る必要性が出てきそう。

 

そして置いていかれている俺を見、二人で合わせて口を開く。

 

杏さんは単純に知識を教えるのが楽しげな雰囲気を持ち。

国土さんは……()()()()()()()、のような楽しげな気配を漂わせながら。

以前と変わった、少しだけ人らしさを滲ませながらに。

 

「天ノ逆手……これに関しては少しだけ特殊で。 作り出した神や持ち主がいるわけではないんです」

 

「正確に言うなら……土地神全てが関わり、そして共有するもの。

 ――――嘗て敵対し、そして敗北した相手への負の感情が集まった結晶体です」

 

バーテックスに有効なのは()()()()()()()()、と更に付け加え。

分かっていますよね、と口にするということは。

やはり、俺と同じように知識を得ているということに他ならない。

 

「それを知ったのも……高嶋様と明確に結び付いたのも此処一年以内のことです。

 つまり、勇者様が選ばれお役目が始まってから」

 

「私もそういう自覚があるわけじゃないんだけどね。

 この中にいる限りは、バーテックスの襲来に合わせて目が覚めるようになってるみたい」

 

「そして、それも理由のひとつなのですが……。

 敵愾心が強く、和御魂としての側面が薄すぎるのです」

 

……側面が薄い?

 

生憎俺も資料などを徹底して当たったわけじゃないから、知識に歯抜けはあるが。

それでもその言葉に違和感を感じる程度には持っている。

 

「戦神……戦闘に携わる神ならそういうこともあると聞くけど」

 

「その場合でも、何かしらの側面で『人に利する』部分は残るものです。

 友奈さんの人としての側面……がそれを補うとしても」

 

「……そうか。 神の恨みのほうが強すぎて塗り潰されてるから逆に?」

 

「そういうことだと思います」

 

彼女単体であれば、そもそも神になれたかは曖昧で。

正しく『彼女』を祀らず、大赦への貢献を持つ人間として合わせて祀っている影響もあるのだろう。

神の一歩手前で落ち着いているからこそ、転ずる荒御魂が神の恨みに呑まれて見えず。

そして人としての側面が繋ぎ止めているからこそ、文字通り”半神”のような状態で安定している。

 

「そして、高嶋様に頼まれ。 そして私も可能と判断した信仰の部分ですが」

 

「ああ、うん」

 

「……勇者様。 高嶋様の降りられる御神体、或いは宿る人形を作れますか?」

 

御神体、人形(ひとがた)

そう言われれば、即座に浮かぶのは普段から持ち歩く編みぐるみ。

 

「へ? ワカやヒメみたいな編みぐるみなら材料があれば行けるが」

 

「でしたら、高嶋様の為に作って頂けますか」

 

「別にいいが……それが?」

 

はい、と。

沈痛そうに――――そして。

本来であれば決して言うはずもないようなことを口にする。

 

「大赦の中、ごく一部の派閥ですが。

 嘗ての勇者様達を利用しようとする動きがあります」

 

神樹様と一体化した勇者、巫女達を媒介し。

自らも眷属に成り、人から離れよう……代わろうとする動きの一部。

 

「恐らく、その中で崇められるのは神樹様と並び……同一化されたと判断されている高嶋様。

 私は、その為に捻じ曲げられるのを見過ごしたくはありません」

 

「流石に私もちょっとね……人助け、なら別だけどさ」

 

まるで他人事のように軽く口にする事。

 

ただ、それは。

十二分以上に重みを持つ、事情の暴露だった。




変更点:
・「くめゆ」アニメ版最終局面より更に『人』に固執する亜耶ちゃん。
・この段階(ゆゆゆ開始一年前)から既に動いてる五穀化したい派閥共。
・その為に利用されそうな西暦勇者(総員一名)と巫女・鏑矢達。


・ある意味止める代表として選出されているのがたかしーです。

ぶっちゃけ現状誰が好き?

  • わっしー
  • 銀ちゃん
  • そのっち
  • ぐんちゃん
  • 国土さん
  • あんずん
  • その他達
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。