葦原天理は巫覡である 作:氷桜
コミケ一日目だったようですが行けた人はお疲れ様です。
筆者は仕事でした。
月が地平線の彼方へと姿を隠し。
朝日が代わりに昇り始めるような時間帯。
「…………ふっ、ふっ」
既に目を覚まして、日課と化した早朝の運動中。
普段と違い、そもそも身体を動かして意味があるのかが疑問な所なのだが。
一日休むとそれが習慣付きそうで怖く、取り敢えず寮の周りを周回する。
普段よりは遅く眠った――或いは目を閉じていただけ――のだが。
起きる時間は、この短い期間で身体に染み付いてしまっていた。
……或いは、精神に焼き付いていると言い換えても良いのかも知れない。
(昨日の感じからして、本来なら身体を動かせるかの確認から始めてるんだがな)
勇者達の負担を引き受けた以上、身体の彼方此方が動かないのは覚悟している。
事実、左腕と両足に関しては二人の力を借りなければ立てないレベルに使えなかった筈。
にも関わらず、この世界(と呼べば良いのかは分からないが)に来てからその影響が全く無い。
(多分…………それは、二人が関係してるんだろうな)
「はーい、頑張ろー!」
「……頑張って」
少しだけ先を進み、運動すること自体が何処か楽しそうな少女。
薄着……水垢離用だと思われる衣装に一枚羽織り、座って声を掛け続ける少女。
少しだけ顔が赤いままなのは、昨晩のこともあるだろうが……また別の理由もある。
正直に言って、普段と違いすぎて色々とリズムが狂っているのも確か。
(一人……あーいや、三人で話しながら走るのに慣れてるからなぁ)
そんな、別の理由を思い浮かべながら最後の周回を走り続ける。
先程の出来事で、走る気力が消し飛んだのを無理矢理に走っているから疲労も増している。
だからこそ、忘れられるように走り続ける。
……つい先程。
目が覚め、部屋から出て走り始めて少々。
がたがたと扉から音がして、中から顔を覗かせたのがたかしー。
それに合わせるかのように国土さん……
走っていた俺を見て首を捻る二人に合わせ、一時的に足を止めることになった。
『何してるの?』
『日課?』
『……運動が、ですか?』
なにかおかしい事でも言ったのだろうか。
いやまあ、巫の修行として運動するっていうのは何かズレている気もするが。
『今習慣付けてる所だから休みたくないんだよ。 二人は?』
『亜耶ちゃんを無理に呼んだのもあるから、色々お手伝いしようかなーって』
『身を清めるだけなんですけど……ね』
普段から着慣れているからか、余り気にしている様子は無かったが。
肌が多少露出しているし、薄いから当然のようにその下が透けて見えそうになる。
『そ、そうか。 ……取り敢えず、上にもう一枚羽織ったほうが良いと思う』
巫女達の修行、という扱いならば当然に男子禁制。
つまり、当たり前のこと過ぎて気にするはずも無かったのだろうけど。
男としての目線で見ると色々際どい。
いや、見るなって話ではあるんだが。
頬を掻きながら、目線をそちらに向けないように努力していれば。
『亜耶ちゃん亜耶ちゃん。 刺激が強いってことだと思うよ……?』
『え………………~~~~!』
何で此方を見ないんだろう、と言う顔と。
自分の格好を一度見て。
何かおかしいのかな、と首を捻った後で。
嘗ての時代……というのも変な話だが。
恐らく男子とも付き合いがあったからこそ、目線を合わせない理由に勘付くたかしーの助言。
有り難いんだが、俺にまで聞こえるように言わないで欲しかった。
脳裏で
それを見て、その言葉が正しかったのだと知って。
大分遅かったけれど、普段よりもほんの少しだけ早く移動して部屋に戻る背中を追い。
その場に残されたのが俺達だけ。
『…………変わったねえ』
『は?』
『私、ずーっと亜耶ちゃんの事見てたんだよ』
ずっと神託授けてた、って言ってたでしょ、と。
どうにも走る機会を奪われたように、話に乗っていた。
『……言ってたな』
『最近じゃ珍しくないんだけど……何でか、気になったんだよね』
神樹様にずっと、それこそそれが第一になる程に祈る子。
良い子、とか悪い子、の基準でなく。
純真過ぎて、無垢にも加減があるような子。
『
『私と? 無い無い』
首から垂れ落ちる汗をタオルで拭いながら。
安心を保証されたからこそ飲める、清水を含んで水分を補給しながら。
余り走ってはいなかったのだが、妙に汗が零れ落ちていた。
『私は、私がしたいことをしてただけだもん。
……結局、皆に迷惑かけちゃったし』
『それを言ったら俺だってそうだろ』
あーあ、と言いながら上を向くのは。
多少でも、過去を思い出していたからなのか。
『天理君とは違うよ。 私は、誰にも何にも言えなかったし』
だから
そんなふうに茶化すような口調でも、目の奥は微かに揺れている気がした。
『なら、今は?』
『今?』
『今したいこと。 こうして、一応は会えたわけだろ?』
少しくらいなら乗っかるぞ、と口にする。
同類だと感じた少女へのお節介で。
せんちゃんの友人への手助けで。
さびしそうな神様への、声掛けで。
『え……ううん、急に言われても浮かばないけど……』
少しだけ呆けたような顔をした後。
割と真剣に悩み始めた彼女へ、溜息を吐いてから背を向けた。
『なら走り終わるくらいまでに考えててくれ』
そう言って、走り始めた筈なのに。
気付けば追い抜かれ、そして亜耶も応援するような状態になっているのは何故なのか。
『……取り敢えず走りたい! から走る!』
そんな事を言っていた気がするが……。
何というか、自分一人だけでは何も決められないような錯覚をも感じる言葉で。
「はーやーくー!」
「此方はもう限界だって言ってるだろぉ!?」
だからこそ、追い抜かれて先導するような格好の彼女を体力の限り追っている。
まあ、最終週だと宣言しているということもあるし。
背中が汗でびしょびしょになっているのを感じつつ、あと一歩を強く踏み出す。
(……絶対になりたくないよな、神様なんて)
少し前とは違い。
大きな、花のような笑みを浮かべている顔を見て思う。
だって、なんというか。
・ただ走ってるだけの話。
・たかしーも救おうと思ったら原作の仲間にさえ語られてない過去を知る必要があると思うの。
ぶっちゃけ現状誰が好き?
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わっしー
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銀ちゃん
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そのっち
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ぐんちゃん
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国土さん
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あんずん
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その他達