星の子たちにハッピーエンドを   作:天凪

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今ガチ編
MEMちょの苦悩


 

 

 

「(うぅぅぅ………恨むよ、アクたん~)」

 

 大人気ユーチューバー通称メムは、今日すでに通知していた生放送の画面を前にして固まっていた。

 配信画面の前の待機人数はいつもの数倍の人数。どうしてこうなった!? と頭を抱えそうになったが、理由など明白だ。

 

 『今からガチ恋始めます』という恋愛リアリティーショーに参加することを決めてからが始まりだった。

 週に一回更新される参加メンバーの紹介。メムとしての紹介は、『鷲見ゆき』『熊野ノブユキ』から数えて3番目だった。

 そもそも、メムがこの企画に参加したのは自分のチャンネルへの導線を増やすためだ。本気で番組に協力しようとは思っていない。賑やかし要員だ。いや、そもそも、別の理由でガチ恋すると非常にまずい事態になるのだが。

 

 番組側はメムのユーチューバーとしての影響力を期待している。メムは、番組から注目された新規開拓を期待している。WIN-WINの関係。そう思っていた。

 いや、そう書くと不満をもっていそうだが、番組自体に不満を持っているわけではない。予想外の人物がこの番組に乱入したことが問題なのだ。

 

 メムを含めて四人目『森本ケンゴ』、五人目『黒川あかね』と順番に発表される『今からガチ恋始めます』のメンバー。だが、最後の一人、六人目はなかなか発表されなかった。普通は週一で追加されるメンバーだが、六人目はスルーされて、黒陰のまま、メディア用の収録が開始されるようになった。

 

 それぞれ『今からガチ恋始めます』のホームページで紹介された名前と職業を告げて、今は使われていない撮影用の旧校舎の教室風のスタジオで自己紹介を行うメンバー。

 さすがにこれから恋愛をメインとした番組を行うためか、各々のプロフィールは頭に入っている。ただ一人、隠された六人目を除いては。今日は、そのお披露目と聞いているが―――

 

 緊張した面持ちで先に入ってきた五人がそれぞれの席に着席する。なお、メムとしては懐かしいな、と思ったりするのだが、それは内緒だ。ここにいるのは人気ユーチューバーメム、高校三年生18歳(?)である。

 

 全員が着席して思う、最後の一人は誰なのか? 公式ホームページには、シークレットゲストと書かれていた。期待をあおる意味もあるのだろうが、そこまで期待される人物が果たして、この茶番劇に現れるのだろうか? と誰もがいぶかしげに思っているところだ。

 

 そして、さんざん焦らしたあと、教室の扉がガラガラと鳴る。

 

 全員の注目がそこに集まる中、扉の向こうから現れたのは、その場にいる誰もが見たことがある顔。日本ではあまり見られない金髪と雑誌でよく見る顔つき、そんな彼がなぜここにいるのか? という疑問には自分たちと同じ制服を身にまとっていることで理解したくなくても理解できていた。

 

「今まで紹介がなかったから、知らなかったと思うが、星野アクアだ。俳優をやってる」

 

 少し低いテノール声で発せられる声。その声すら、うっとりと聞きほれてしまいそうな魅力がある。いやいや、彼――――星野アクアがこの場にいるのは反則だろう、とメムは思う。どう考えても、この茶番劇に出演するような人物ではないからだ。

 

 ただ、そうはいっても、彼はこの場にいる。そして、誰も彼もが突然登場した星野アクアに呆然としていた。番組の事を考えれば、誰かがアクアと掛け合いをする必要があるのだが、どうやら彼らには無理なようだ。ならば、自分が先陣を切るしかない、と覚悟を決めて切り込んだ。ある意味、生贄ともいえる。

 

「えぇ! アクアさん!? テレビ越しよりずっとカッコいい!!」

 

 それはお世辞でもなかった。対面して分かるオーラともいうべきものが何かが違う。一般的なイケメンと遭遇してもここまでドキドキしたりはしないだろう。だが、ただ、登場しただけなのにメムの心は持っていかれそうになる。

 

「そうか? ありがとう。MEMちょも、配信で見るよりずっと可愛いと思う」

 

 社交辞令、お世辞、―――ああ、わかっているのに、心臓が高鳴るのはなぜだろうか? いや、理由はわかっているのだが。イケメンから真正面で言われると破壊力が高い。ホストにはまる気持ちが少しわかった気がした。というか、ラスボスがいきなり最初から現れるのは間違ってないだろうか? そんなことを思いながらメムはまだフリーズしている周囲をフォローすべく会話を続けていた。

 

「それでぇ~、アクアさんは、どうしてここに?」

 

 誰もが知りたいことだろう。だから、メムが時間を稼いでいる間にようやく再起動した彼らもうんうん、と頷いていた。

 

「まあ、いろいろ理由はあるんだが………今は内緒だ」

 

 微笑みながら人差し指を口に当てて、パチン、とウインクする様はさすが、としか言いようがないが、ここまで飛ばさなくもいいんじゃないか? とメムは思う。ああ、これが公開されたら阿鼻叫喚なんだろうな、とユーチューバー的視点から思わず考えてしまう。

 

「まあ、みんな気になるだろうけど、続きは本編だな」

 

 芸能関係なら確かに本編への導線は必要だろうが、これ以上にない引きをして、ディレクターの「はい、OKです」という声と共にメディア告知用の『今からガチ恋始めます』の初回収録は終わった。

 カメラが止まったということもあるのだろう。ふぅ、というため息と共にその場にいた全員が気を抜いた。カメラが回っていると気が入るのは芸能人としての性か。

 

「はい、お疲れ様です。では、次は集合写真を撮りますので、校庭に集まってください………って、やっぱり無理ですよね」

 

 まるで星野アクアのことを無視したようにディレクターが進行を続けるが、やはりその場にいた参加者全員の視線が気になったのか、途中で止めて改めてアクアの隣に立った。

 

「え~、急遽出演してもらうことになりました星野アクアさんです。皆さんご存じかと思いますが、彼は君たちより有名です。番組的には彼を中心にしたほうが視聴率が上がるのは、当然ですが、基本的には彼を中心にはしません、というかできません。契約上、1話あたりの放送に使える時間が決まっていて、撮影の土日に全部入れないからです」

 

 なるほど、とメムは思った。どうしても番組の構成上尺はどうしても必要だ。ならば、アクアを客寄せパンダのように使い、視聴者の導線を引っ張るのはありうる話だ。なにより、星野アクアは芸人ではなく俳優だ。バラエティー番組にドラマ、映画の放送で出演することはあっても、旅番組のようなバラエティーにはめったに出ない。

 ならば、この恋愛リアリティーショーというのは星野アクアの素が見られるかもしれない貴重な番組ともいえる。ただし、そのアクアが本当か嘘かはわからないが。

 

「なので、君たちは君たちで同じように行動してください」

 

 ――――無理言うなよ! というのが総意だろうか。ここ数年、ドラマを見ればどこかに出演していた俳優で、本屋のモデル雑誌を平置きされているスペースに行けば、彼を表紙とする雑誌が一冊はある。しかも、毎月だ。そんなレベルの芸能人と普通に恋愛リアリティーショーをこなせ、というのはなかなか無理があるお仕事だと思う。

 

「その……混乱させてしまったかもしれないが、いきなり慣れろ、とは言わない。ただ、普通の友達のように接してくれるとありがたい」

 

 ディレクターが言うことが納得できていないのがわかったのだろう。それを見透かしてか、アクアが一歩前に出て、やや恥ずかしそうにいう言葉を真に受けていいかどうかわからなかった。なにより、メムは女で、先ほどは全員が混乱していたから先陣を切ったが、今度は―――

 

「えっと、それがアクアさんの望みなんだな?」

 

 そう考えていると座っていた椅子から立ち上がったのは熊野ノブユキだった。

 

「ああ、そうだ」

「じゃあ、まあ、この番組の間は星野アクアは忘れて仲良くやろうぜ! アッくん!」

「あ、あぁ、よろしく」

 

 横に立ち、肩に手を回す様は、確かに高校生の友人っぽい態度であり、彼の望み通りだったのだろう。ただ、ノブユキが呼ぶニックネームが意外過ぎたせいか、やや笑みをひきつらせているが。

 だが、その態度が受け入れられているのをみると、ノブユキの行動は間違いではないのだろう。あの馴れ馴れしさが受け入れられるのであれば、普通の態度で問題ないと判断したのか、わらわらとアクアに近づいていく。もちろん、メムもその中の一人だ。

 

「よろしくね、アクたん!」

「………ああ、よろしく」

 

 なぜかメムの呼び方に一瞬、感慨深げな表情をして、メムが差し出した手を握る。メムとしてはてっきり驚くか、なんだその呼び方は、というような反応を期待していたのだが、意外にもすんなり受け入れられてしまった。最初がノブユキの「アッくん」なのだから、さほど衝撃がなかったのだろう。やはり、一番槍は譲るべきではなかったか。

 

 そして、やや出遅れる形で最後の一人―――黒川あかねが近づいていた。

 

「えっと―――その………久しぶり、アクアくん」

「そうだな、三年ぶりぐらいか? 名前見たとき驚いたよ。見違えるほど奇麗になったな、あかね」

 

 懐かしそうに微笑むアクアとアクアの言葉を受けて僅かに顔を赤くし俯くあかね。

 はぁ? と、その場にいる全員の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。なんというか、恋愛リアリティーショーが始まる前に終わっていた。

 

「俺が中学生のころに演劇で共演したことがあるんだ」

「え? でも、アクアさんって、中学生ぐらいのとき、ドラマ休止してなかったっけ?」

 

 ああ、確かに、とメムも思い出した。子役をやっていたころ、一時期、ドラマの出演を休止すると公式SNSで言っていた時期があった。確かに今が高校一年生だとすると辻褄があう。

 

「共演したのは演劇のほうだからだな」

「演劇? あのテレビじゃなくて舞台でやる方?」

「そう、俺とあかねが共演したのはその舞台での仕事の時だな」

 

 懐かしそうな表情を浮かべるアクアとあかねを見ると、なるほど、確かに共演してそうだ。そう思って、すかさず、スマホで、黒川あかねと星野アクアで調べてみる。

 

「あ、もしかして、これ?」

 

 一番最初に出てきた演劇のパンフレットの写真。もちろん、演劇の公演期間は過ぎているが、演劇のDVDの販売などがあるためか、公式ホームページは残っていた。

 

「あっ! そうそう、懐かしいなぁ」

「お互いに主演じゃなかった頃の奴だな」

 

 メムのスマホを覗き込み、二人で納得していた。もっとも、スマホとはいえ、画面は小さいので覗き込もうとするとお互いに顔を近づけているのだが、共演した関係もあるのだろうか、あまり意識していない様子だった。

 

「(あぁ、ここを撮ってアップしたら、数字稼げるんだろうなぁ……)」

 

 残念ながらスマホはメムの手から、さらにノブユキとゆきの手に渡り、演劇の内容などを見ているようだった。

 

「あ、そうだ。メム……契約上、放映日の前の内容は話せないと思うが、俺が参加するきっかけは過去にあかねと共演したからだ、っていうのは言っていいぞ」

「へ? なんで私だけ?」

「いや、だって、このメディア告知用動画の解禁時間の後、『今ガチ』の話するつもりで生配信枠を取っていたんじゃないのか?」

 

 ほれ、とアクアのスマホに表示されたのは、MEMちょのSNSに告知された今日の生配信枠の告知。しかも、ご丁寧に『【雑談枠】今ガチメンバと初顔合わせ!? 最後の一人は誰!?』と枠名をつけて取っていた。

 

「あ、あは、え? マジで?」

「自分で取ったんだろう?」

「い、いや、そうだけど、そうだけど」

 

 この枠を予約した段階では、軽く参加者たちの第一印象について話題にする程度のつもりだったのだ。そして、最後まで内緒だった人物についても「まっさかねぇ~」とか軽く扱うつもりだったのだ。なのに、現れたのはとても大きな爆弾だった。

 

 なお、生配信枠をとっている以上、この話題からは避けられないだろう。今からキャンセルしても、最初の『今ガチ』の配信までアクアが理由を話さないとなると配信枠が取れなくなる。おまけに逃げたと思われてしまう。

 

 そして、ユーチューバー的に考えれば、これはチャンスでもある。ネットというツールが拡大するにしたがって、テレビの向こう側の芸能人とファンとの関係性は、相互で交流を持てるようになった。そして、それが一番リアルタイムなのが生配信。正直、この『今ガチ』に出演するメンバーで直接会話のようにファンと交流ができるのはユーチューバーのメムだけである。

 

 ほかの面々は今日のメディア告知用の動画解禁後にコメントは出すだろうが、それはSNSで一方的に出すだけだ。リアルタイムのメムにはかなわない。つまり、アクアが気になるファンのほとんどがメムに集まることになる。これがチャンスではなくなんだというのだろうか。

 

「……アクたん、この後、私の家来ない?」

「いや、露骨すぎるから。そもそも、女性一人の部屋に男を誘うな。それに、生配信に俺が出られるわけないだろう」

「ですよね~」

 

 事務所に所属しているアクアが簡単に動画などに出られないことは知っている。だが、それでももしかしたら、の可能性に賭けたのだ。

 だが、惨敗。当然ともいえるが、それでも、一人で集中砲火を浴びるよりは、少しの可能性にかけたかったのだ。

 

「よし、仕方ない! 私もユーチューバーだ! 腹をくくるぞ!」

 

 おおぉぉ、とその場にいた全員に拍手で送りだされたのだった。

 

 そして、今に至る。

 

 配信予約の開始時刻に近づくにつれて待機の人数が増えていく。アクアの人気度合いを示すものだが、それに比例して、メムの緊張も高まる。

 これを押したら、配信が始まる。そして、怒涛のようにコメントが来ることも予想できる。本当はキャンセルしたい。だが、ユーチューバーとしての矜持がメムに開始時刻に配信開始のボタンを押させるのだった。

 

「は~い、こんばんは、MEMちょだよ」

 

 いつも通りの開始のあいさつ。異なるのは開始直後のコメントの数だろうか。ダダダダと滝のように流れるコメント欄。はっきり言って認識できないほどにコメントが流れていた。

 ななめ読みすれば、アクア、『今ガチ』、どうして? 理由って知ってる? のような文字がかろうじて読み取ることができた。

 

「やっぱりみんな『今ガチ』のアクアさんのこと気になるよね。でも、ごめんね。MEMちょも今日の動画以上のことは知らないんだ」

 

 それだけを言うと、さらにコメントの勢いが増す。当たり前だ。どう考えても隠しているようにしか見えない。契約上話せないとわかっていても、ファンからすれば、そこをなんとか、と言いたくなる気持ちはメムも理解しているが、本当に知らないのだから仕方ない。だが、それを本気にするファンはいない。隠してるだろうと、暴きにかかるのが厄介なのだ。

 

 だからこそ、アクアが授けてくれた事実が助けとなることをメムも理解していた。

 

「あ~、でも一つだけ、アクアさんから暴露していい事実を教えてもらったよ」

 

 もはや、一言話すごとにコメントの欄がすごい勢いで過ぎていく。果たしてコメントの意味になっているのかメムにはわからなかった。

 

「『星野アクアがこの番組に出演したのは、黒川あかねがきっかけだ』だって。どういうこと? ってみんな思うよね?」

 

 もう何度目かわからない。メムも人気ユーチューバーとして活躍しているが、ここまでコメント欄の勢いがすごかったことはなかった。しかし、コメントが、どういうことだ? 説明しろ! という類のコメントで埋まっていることはすぐにわかる。

 

「まぁまぁ、落ち着きなよ。今日の配信枠の通り、『今ガチ』のメンバーについて語るから。あ、でも真打は最後だよ」

 

 それは配信者として当然のこと。最初にアクアとあかねについて話せば離脱者が出る。だから、彼らについては最後だ。当然、コメント欄には、早く話せ、というコメントも見て取れたが、そうだよな、と納得するコメントもある。こういう時は都合のいいコメントに従うのが都合がいい。

 

「それじゃ、最初は――――」

 

 『今ガチ』について話したこの生配信、および、アーカイブはSNSで唯一の『今ガチ』の情報として話題を呼び、当初の目的通りMEMちょのチャネルの登録者数増加に大きく寄与するのだった。

 

 

 

 ※  ※  ※

 

 

 

 黒川あかねは、『今ガチ』のメディア用の広告動画の撮影の翌日、上機嫌で学校へと登校していた。

 

 それは、昨日の久しぶりの再会のおかげだった。

 

「(アクアくん………久しぶりに会ったけど、格好よくなってたな)」

 

 あかねが出会ったのは中学1年の頃の舞台だった。ドラマの出演は休止しているアクアが突然、劇団ララライがメインとなる演劇に参加すると聞いて驚いたものだった。

 だが、演技の熱意は本物で、同年代ということもあり、あかねともずいぶん演じる役について議論したものである。その際に、やたらと褒められて恥ずかしかったのを覚えている。

 

「あかねは、このまま演劇を続ければ必ず成功する」「寄り道はせずに演劇に専念すべきだ」「あかねほど役について考察や洞察をできる人を知らない。それを演じ切る天性の才能もあかね以上の人を俺は知らない」

 

 すべてアクアの言葉だ。あかねとしては、よくわからない。確かに、役に拘るのは癖だと思う。プロファイリングの本を読んで勉強し、この役ならこう考えるだろうと考察して、演じる。それが黒川あかねだ。

 だが、それだけでは、あかねが憧れたあの人には届かないと思っている。だから、あかねは、演技を磨き続ける。今回の『今ガチ』は事務所が取ってきた仕事だ。理由はよくわからない。だが、あかねが拒否できるような仕事ではなかった。もっとも、あかねからすれば、この現場で何をすればよいのか全くつかめていないのだが。

 だから、アクアがいてくれたことで少し助かった気がした。演劇ではないが、知り合いがいる現場というのは安心するものだ。いつもは劇団ララライのメンバーがいるから安心できるのだが、『今ガチ』はあかね一人だったから。

 

 そんなことを考えながら、いつものように教室のドアを開ける。

 

「おはようございます」

 

 いつもなら、何気なしにそのまま席に向かう。だが、今日は違った。教室中の視線がなぜかあかねに向けられていた。いつもは演劇の練習などで放課後にはすぐに消えてしまうため、ろくに友人もできず、教室内では孤立しており、挨拶を交わすぐらいだったのだが、今日はなぜかあかねに注目が集まっていた。

 

「く、黒川さん! 『今ガチ』の動画見たよ! あと、MEMちょの配信も! アクア様と共演したって本当!?」

 

 それが一番槍だったのだろう、そして、誰もが聞きたかったことなのだろう。少しの割れ目がダムを決壊させるように、彼女をきっかけに多くの人間があかねを囲むように集まってきた。そして、次々と投げかけられる『今ガチ』に参加したアクアについてと、昨日のあかねと共演したことについての質問、それぞれが入り混じるのだが、ステレオサウンドのように音が重複しており、答えることができない。

 

「あ、あの………私―――」

「は~い、ちょっと落ち着きなさい!」

 

 それを止めたのはクラスの委員長と呼ばれる女子の中の仕切り屋タイプの人物だった。あかねの輪の中に割って入ると交通整理をするように解散させ、あかねを席へと案内した。

 

「ごめんね~、黒川さん、大体、分かってたんだけど、やっぱり止められなかったよ」

「い、いえ………止めてくれてありがとうございます」

「いいよ、このくらい。でも、このままじゃ、また同じような状態になっちゃうからいいかな?」

「えっと、何がです?」

「『今ガチ』――――知りたいこと答えてくれるよね?」

 

 そのにやぁ、と笑う彼女にほぼ初めて会話するはずなのに逆らえない何かを感じたあかねは朝のホームルームが始まるまで尋問のような質問に答えるしかなかった。

 

 

 

 





『今ガチ』始まりました! で、いきなり実はあかねちゃんとアクアが接触があった事実がありますが、詳細は次話で話題になります。
なんとか『今ガチ』に参加させないように手を打っていたのですが・・・・逆効果のようですね?

メムは、ユーチューバーとしてはMEMちょ、地の文ではメムとしております。
さて、次回は、苺プロ側。アクアが参加できた裏側をお楽しみに。


誤字脱字報告毎回ありがとうございます。大助かりです。

もしよろしければ、感想、評価よろしくお願いします。励みになりますので、感想を一言でも頂ければ幸いです。


MEMちょ
・今ガチで相互利益だ、と思っていたら、まさかのアクア登場
・メディア用の動画で可愛いと褒められて表情が緩んだところを切り抜かれた
・チャンネル登録が一気に増加した。
・『今ガチ』が続いている間にこの増えたファンを取り込めるか、が課題
・アクアに感謝しつつも、どういうスタンスで絡むのかお悩み中
・中間管理職のような不憫枠

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