アクアがその姿を見たとき、思わずポカンとしてしまった。
「……その髪型は一体どういうつもりだ? フリル」
「フリルチャレンジ、アクアVer.だよ。今回は成功したみたいだね」
そう満足げに言うフリルは、自分の髪を結っていた髪ゴムを外す。ふぁさ……と広がる髪はいつものフリルの髪型へ戻っていく。さすが、シャンプーなどのCMにも出演するフリルだ。髪ゴムを外し、髪が広がるその一瞬だけで周りを虜にしていた。恐らく、日々の入念な手入れを欠かさないその艶のある黒髪があるからこそ、成せる技なのだろう。
アクアも唐突なポニーテールのフリルに気が動転してしまい、無様な表情をさらした記憶はあるが、まさかそれでフリルチャレンジ成功といわれるとは思っていなかった。
「前回の『今ガチ』でアクアが、ぐっとくる格好って言ってたから、やってみたんだけど効果あったみたいだね」
「フリルちゃん、これでよかったかな?」
協力者はルビーだったらしい。少し離れたところからスマホで撮っていたのだろう。フリルに近づくと、預かっていたであろうスマホを渡していた。
「うん、よく撮れてるね―――ぽちぽちっと………これで、よしっ、と」
「ちょっと待て、どんな写真を送った!?」
「これだよ。今、マネージャーたちが確認してるけど、大丈夫じゃないかな?」
現在、アクアとフリルはドラマに共演しており、お互いの事務所が確認した写真であれば、SNSにアップすることができる協定が結ばれていた。
「フリルチャレンジも浸透してるし、私とアクアが共演しているドラマの番宣にもなる、『今ガチ』の番宣にもなる。いいことばかりじゃないか」
「俺の間抜けな顔が公開されることを除いてな………」
ガクリと肩を落とすアクア。フリルのスマホでルビーが撮った写真は、突然現れたポニーテールのフリルに驚いて呆然としているアクアがはっきりと映っていた。アクアが見せる表情の中でも珍しいものであることは間違いない。もっとも、いきなり国民的美少女が髪型を変えて現れたら、それは驚くに決まってる。
フリルが事務所に送ってしまった以上、アクアがこれ以上邪魔はできない。後は苺プロが却下してくれることを願うだけだが、前回のクラスメイトとしての写真も許可されたのだ。今回は距離感だけであれば、以前よりも離れており、先日の配信で話題になった髪型、幼馴染という間柄のドラマの番宣も兼ねている、といわれれば、却下はされないと考えざるを得ない。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
「なんだ?」
交通事故に巻き込まれたような心情で、俯くアクア。だが、急にルビーから肩を叩かれ、振り返ってみると、そこには意地の悪い笑みを浮かべたルビーがいた。それも、髪型をいつものハーフアップで片方だけ結んだ髪型からポニーテールへ変わっていた彼女がだ。しかも、ルビーと同じようにいつものゆるふわの髪型を手だけでアップにした寿みなみもいた。
「どうどう? ぐっとくる?」
「お兄さん、どうやろか?」
いろいろと感想を求められるが、今のアクアとしてはこう呟くしかなかった。
「勘弁してくれ………」
少しだけメムの気持ちが分かったアクアは少し優しくしようか、と思うのだった。
※ ※ ※
時刻は夜。そろそろ『今ガチ』も終盤に近付いてきたころ、イベントとしては珍しく日をまたぐイベントだったため、ロケバスの中で横になっている『今ガチ』のメンバーたち。ノブユキ、ケンゴ、ゆき、あかねの四人はもうすでに眠っているようで寝息を立てていた。その中で起きているのが二人。両者ともに暗闇の中、ロケバスの隣り合う席でスマホをいじっていた。
「アクたん、あかねとのこと最後どうするの?」
スマホから目を離さず、軽い感じでメムはアクアに問う。声音は周りに配慮して小さめだった。
「最後? まあ、今の感じだとゆきユキが鉄板だから、俺たちは茶化しておしまいだろう」
メムの軽い感じにアクアも、それが当然という感じで応える。実際、もう半分を過ぎて終盤に入ろうという『今ガチ』は熊野ノブユキと鷲見ゆき、この二人の恋愛模様を見るような番組になっていた。あくまでもアクアたちはその添え物として、毎回、ララライの先輩からの助言を基に小学生のような恋愛をしているアクアとあかねがいて、ついでに、アクアによるメムへのフリルチャレンジも行われていた。
なお、どちらを本編とみるかはそれぞれの視聴者によって異なり、掲示板などではバチバチな議論が行われているのだが、アクアとしてはそこまでは知らない。SNSなどである意味の公衆でオープンに燃えるとさすがに困るが、現状ではそこまでの話題ではない。
「え~、それでいいの? 『アクあか』人気なのに。最終回、楽しみにしている人多いと思うよ?」
「俺は、そこまで自分を犠牲にするエンターテイナーじゃない。それに影響が大きすぎる」
「じゃあ、なんでこの番組に出たのさ?」
メムからすれば不思議なことだろう。なにせアクアは最後に必ず断ってカップル未成立にすると断言しているのだ。その可能性を残さなければ、この番組に出る意味はないはずだ。
「最初に言っただろう。学校生活ができなかったからだって。ノブとケンゴのおかげである程度は経験できたつもりだ」
「え~、恋愛は?」
「不満げだが、あかねのおかげかな、経験にはなったんじゃないか?」
そのあたりはアクアにもよくわからない。そもそも、ピュアクアは、経験値が少なく照れる一面からそう呼ばれていた星野アクアは、あかね風に言うのであれば『今ガチの星野アクア』だ。そのうえで、ポンコツ恋愛といわれるようなことを行い、さらにメムにフォローしてもらって、恋愛経験を積むというのは、果たして正しいのかどうか。
「まあ、少なくとも楽しくはあったよ」
「へ~」
感心したようにメムが呟く。アクアとして、演じているからと何も感じないわけではない。だから、少なくとも、今ガチでやっている茶番劇が楽しくなかったわけではなかった。もっとも、メムからしてみれば、あかねが持ってくる特級呪物などについては扱いが苦労したものであるが。
「俺よりも、メムはどうするんだ?」
「私? 私は、このまま、おバカ系癒し枠キープできればいいかな」
「最近は、チョロインっていわれてるけどな」
「アクたんのせいだからね!?」
最初は、ユーチューバーという本人が言うおバカ系癒し枠として親しまれていたが、途中であかねとアクアの恋愛勉強を面倒見たり、フリルチャレンジなどが重なった結果、世話焼き系チョロインという新しい属性も、いつの間にか背負うことになっていた。
「まったく、アクたんはもう少し私に優しくてもいいんじゃない?」
「………『今ガチ』からの導線狙って、登録者数がもうすぐ80万超えそうなんだってな」
「うぐっ!?」
それを言われると弱い。確かに『今ガチ』からの視聴者の導線は狙っていた。だが、こんなに一気に増えるような想定ではなかったのだ。今ガチの最初期は増えた人数があまりに多く、玉石混交だったが、最近はようやくといっていいか秩序がもたらされるようになっていた。
「それで、優しくした方がいいのか?」
「今まで通りでお願いします」
まるで脅すようなアクアの言葉にメムはペコリと頭を下げるしかなかった。
ユーチューバーというのは旬ものなのだ。その時のネタがなくなれば一気に飽きられてしまう。つまり、今のメムの数値は『今ガチ』での恋愛講師として世話を焼くキャラクターとアクアにフリルチャレンジで簡単に乙女面になってしまうチョロインで稼いでいるといっていい。稼げるときに一気に稼ぐのが鉄則である今、このままの扱いのほうがメムにとっては都合がよいのだ。例えそれが……今後のユーチューバー活動で、『イジられチョロイン』というキャラが定着してしまう不本意な危険性があったとしてもだ。苦渋の決断ではあるが、そのままの扱いをアクアにお願いするのだった。
なお、二人の間にも一応『アクMEM』のタグはついているのだが、その可能性は自然と除外されていた。ユーチューバーと俳優、現時点では特にかかわりもなく、アクアにとってもメムという選択肢は番組上でカップルになるメリットは何もないからだ。
「あ~あ、それにしてももったいないね。『アクあか』のノリが続けば結構面白いと思うんだけどな」
「面白いだけで選べるような選択肢じゃない」
「だったら、続けるとしたらどうする?」
コンテンツとして惜しいのはわかる。例えば、月一でメムのチャネルに『今ガチ』のタグで引き続き動画でも投稿すれば、それだけで再生数は稼げるだろう。もっとも、二人とも事務所に所属する役者なのでそれなりの出演料は取られるかもしれないが、番組へのけじめ、として交渉すれば、それなりの数字でなんとかなるかもしれない。
「そうだな………正式に付き合うわけじゃなくて、この番組の延長線上になるような演出になればできるんじゃないか?」
「そっか~、難しいね」
それは適当な、本当に適当にアクアが答えた続く選択肢。アクアにとってそれはメムとの間で話した単なる会話の延長線上だと思っていた。ただ、近くの少女がこっそりと聞いていたことには最後まで気づかなかった。
※ ※ ※
「ア~クたん! 何見てるの?」
いつもの『今ガチ』の教室で、一人でスマホを見ていたアクアが珍しくて、メムが声をかけていた。
「動画」
「へ~、アクたんってどんな動画見るの?」
きっと演劇系の動画だろうな、と思っていたメムが背後から覗き込んでみると―――
「ぎにゃぁぁぁぁぁ!」
「うるさいな」
「アクたんがそんなもの見てるからでしょう!?」
「やましいものを見ているようなことを言うな!」
確かにメムの言動からはアダルトなコンテンツを見ているように聞こえるが、それは正しくない。アクアが見ていたのは『MEMちょロイン まとめ1』という『今ガチ』で配信された中でメムがフリルチャレンジなどで乙女面をさらした時のまとめ動画だった。
「なんでそんなのもの見てるの!?」
「フリルの奴が、絶対に見ろってURL送ってきたから?」
なお、彼女の感想は『これをおかずにご飯が無限に食べられる』であり、しかも動画にコメントを残していることをメムは知らなかった。
「見なくていいよ!」
「いや、これが意外と上手に演出されてて、なかなか参考になる。それにもう100万再生超えてるんだ。今更だろう?」
今ガチの中でも人気のコンテンツとなっているメム。それを上手にまとめれば、人気が出る代物になるのは当然だろう。なお、この人気の原因は、アクアがいろいろな役柄を演じる場面はもちろんのこと、その後のメムの乙女面をさらすまでの一連の流れが人気の原因だったりする。
「―――100万再生………!?」
動画だけでそれだけの数を稼ぐにはなかなか難しい。自分がそれだけのコンテンツになっているのを誇るべきか、あの無様な様が何度も再生されるのを恥ずかしがるべきか。ユーチューバーとしての自分と女としての自分の間で揺れていた。
「まあ、これを見る前はこっちを見てたんだが」
そう言いながらスマホの画面を切り替えると、スマホに表示されたのはティクトックで、表示されているアカウントはメムのものだった。
「あ、私のアカウントじゃん。なになに、アクたん、今更、私に興味あるの~?」
「興味があるというか………これ」
アクアがそう言って再生したのは、すでに解散したB小町の曲を使った『踊ってみた』の動画だった。
「『踊ってみた』じゃん。私の動画の中じゃ、なかなか人気なんだよ。でも、なんでB小町のを?」
メムは結構いろいろな動画をアップしており、踊ってみたも数多くアップロードされており、わざわざ少し古めのB小町の動画を見ていたことが気になった。
「なんでって、俺の事務所、苺プロなんだけど」
「え? 苺プロって――――B小町の事務所?」
「そう、それで、俺、戸籍上はアイの義弟」
「アクたんとアイが姉弟!?」
まさか知らなかったのか、とアクアが思うと同時に、確かに事務所の所属やその関係性まで業界人であれば常識だが、メムはユーチューバーだった。個人事業主であり、元B小町が苺プロの所属ということは知っていても、そこのアイの義弟関係までは知らなかったようだ。あと、アクアはモデルと俳優業で有名であり、事務所まで意識することは少なかった。
「だから、B小町の『歌ってみた』とか『踊ってみた』はよく見てる」
「そうなんだ………で? B小町の曲を見てるのはわかったけど、なんで、私のを見てるの?」
「今まで見た中じゃ、一番踊れてると思ったから。メムってダンスのコツが分かっている踊り方みたいだが、養成所でもいた?」
それはアクアがメムを本来の誘おうとした要因の一つだ。踊ってみただけでわかるほどにダンスの基礎ができていた。センスがいいのか、あるいは、ちゃんと習ったのか、それはさすがにわからなかったため、確認してみたかったのだ。
「アクたんぐらいになるとそんなのも分かるんだねぇ~」
「当たり前だ。B小町を生まれたときから見てるんだぞ」
感心したようにうなずくメムと当然のようにうなずくアクア。確かにいわれてみれば、この年齢差ならアクアが生まれたときにはB小町が全盛期の頃だ。そのころから見ているとなれば目も肥えるというものだ。
「はぁ、そうだよ。アクたんだから話すけど、私は元々、アイドル志望だったんだ」
過去を思い出してきたのか、寂しそうに口にするメム。
「でも、色々あって挫折しちゃった。今は元気にユーチューバーしてますけど!」
その寂しさを蹴っ飛ばす様に明るい口調で語るメム。
挫折というのは意外と引きずるものだ。それを全く後悔していないと宣言できるメムの強さをアクアは感心していた。一度の挫折とまだ続く憧れがあるのならば―――
だが、本来の目的をここでは話せない。いったんの目的は達成することができた。
「ふ~ん、もう、アイドルには興味ないのか?」
「興味がないっていうか………もう、私はユーチューバーだからね!」
そこに見せた一抹の未練。それが見られただけでも、確認した意味はあった。
「そうか。………少し残念だな」
メムがその未練を吹っ切るように言葉を口にしたのにも関わらず、それを聞いたアクアは再びスマホに目を落として、メムの『踊ってみた』の動画を見ていた。その時呟かれた言葉には残念そうな、寂しそうな色が宿っていた。
「え? なにが?」
「もしも、メムがアイドルやっていたら俺の推しにするのにな、って」
それは何気ない言葉。まるで当たり前のことを口にしたようなアクアの言葉にメムは絶句する。
「い、いやだなぁ、アクたん。またいつものフリルチャレンジなんでしょう?」
「え? なんで?」
突然出てきたフリルチャレンジの単語に驚いたのかアクアがスマホから目を外して顔を上げる。アクアが浮かべる表情はメムがなぜフリルチャレンジの単語を口にしたのか分かっていない様子だった。
メムはつい、いつものパターンだろうと思ってフリルチャレンジの名を口にしたのだ。アクアがいつものようにスマホで不知火フリルから渡されたであろうシチュエーションシートに済を入れるかと思っていたのだ。だが、そうではなかった。つまり、平然と口にされた言葉はいつものシチュエーションによるアクアの演技ではなく――――
それを理解した時、メムの顔が自然と紅潮するのが分かった。いつも見られているはずの顔。動画にだって残っている。だが、今この時だけは、アクアに自分の表情を見られたくなかったメムは、突然踵を返して、アクアから顔を見られないようにする。
「メム?」
「あ、あ~、そういえば、みんなが向こうで大きなラブラドールを見かけたって言ってたんだ! アクたんも興味があったら来てね!」
いつもよりもやや早口でそれだけ言うと、メムはそのまま早足で駆け出し、教室の扉を強めにガンッと開けると飛び出す様に廊下をかけていく。
「は?」
アクアはメムの突然の行動に呆然とそれを見送ることしかできなかった。
※ ※ ※
『―――変な、メム』
「一番変なのはあんたよ!!」
毎週恒例の『今ガチ』鑑賞会。あかねとのポンコツ恋愛講座には何とか耐えていたかなだったが、さすがにこの光景には耐えられなかったらしい。
「あの男の口は女と見たらオートで口説く機能でもついてるの!? 私の事、可愛いって言ってアイドルに誘ったくせに、また別の女を口説いて!」
今までの鬱憤もたまっていたのだろう。かなの口調はいつもよりも激しかった。
大きく叫んだおかげで少しは気持ちが楽になったのか、はぁはぁ、と呼吸を乱しながらも、少し落ち着く。
「(まったく、あんな男、こっちから嫌いに――)」
そう思った瞬間に思い出すのは、かながアイドルデビューのために練習している最中に様子を見に来て、飲み物が足りなかったら買ってきてくれたり、練習のダンスで上手くできたときは褒めてくれたり、平日の夜に練習でルビーと一緒に最後になると一人で食べるならと夕飯に誘ってくれて、また、それがアクアの手作りで栄養バランスがしっかりと考えられている夕飯で、アクアとルビーと一人じゃない食事も久しぶりで――――
「(むりぃ………)」
とりあえずは、しばらくは離れられそうになかった。
「まったく、お兄ちゃんはすぐ殺し文句を口にする。アイドル志望の女の子に『俺の推し』なんて………」
その言葉の破壊力はルビーが一番よく知っていた。その言葉だけで、前世からずっと好きだった吾郎とも未だに健在な恋を育んできたのだから。なお、今でも年に一回は東京に来る吾郎とは東京に来るたびに会い、その度に「私がアイドルやったら最推しにしてくれる?」と聞くのだが、決まって「僕にはもう一番の最推しがいるから無理かな」と困ったように微笑む吾郎にノックアウトされているルビーだった。
そして、一言も言葉を発せないのはアイだ。もう、これ以上、自分の息子の失態? を見たくない、とばかりに両手で顔を覆っていた。
「はぁ、最後の言葉は迂闊だったかもしれないけど、どうやら目的は達したみたいね」
「うん、MEMちょってアイドル志望だったんだ………」
「ユーチューブ登録100万人目前のユーチューバーがアイドル志望だった………争奪戦になるかもしれないわね」
今やテレビとネットの境目は少ない。ユーチューバーがテレビに出ることも珍しくない。それが今回の今ガチで登録者数が100万人を目前としたユーチューバーがアイドル志望だった、という情報は芸能界では注目の的となるだろう。ただし、この『今ガチ』が終わるまでは様子見だろう。番組に出ている最中に勧誘しても無駄なことは分かっているのだから。
「う~ん、でも、どうしてMEMちょはアイドル挫折しちゃったのかな?」
アクアから見てもアイドルとして十分、ルックス、ダンスは少なくとも保証できる。ユーチューバーで、登録者数も今ガチの前では37万人だった。ならば、どこかの事務所には所属できそうな気もする、というのがルビーの見解だった。
その言葉に反応したのはミヤコだ。困ったような、いや、それでもいけると判断するのか難しいところではある、と思っている。
「まあ、メムさんが挫折した理由も大体わかるわ」
「え? 本当? 何とかなるの? ミヤコさん」
「それは直接会ってみないとわからないわ―――それよりも」
PCの画面上では今ガチのメンバーが校舎内で見つけたラブラドールをみて可愛がっている状況が映っていた。その中で、アクアはあかねとラブラドールの可愛さについて話している。その少し離れたところから、先ほどのセリフが尾を引いているのか、ぼぅと見つめるメムの姿。
「(だ、大丈夫よね? アクア……)」
有馬かなだけなら、何とかなると思っていた。アイドルが恋をしない―――無理だろう。だが、それが秘めたるものであれば、それはアイドルを輝かせる要素にもなるだろう。だが、それが複数、しかも、相手が同じ男だとしたら―――。
「(………あれ? あと、黒川あかねさんも移籍するんだったかしら?)」
まだ本決まりではないものの、法務部では相手の瑕疵として信用条項に引っかかり、さほど事務所を移籍するのは難しくないという回答をもらっている。あとは彼女の意思次第だと。
「(………本当に大丈夫かしら?)」
ミヤコは、死屍累々となっている事務所の一室で将来のメンバー構成と関係を考えながら不安に怯えるのだった。
鏑木P「君、メムくんがアイドル志望なの知ってたろ? いつもはメム虐とか扱いをして、だが、最も深いところは優しいとか……手慣れてるというべきか、何と言うべきか……僕は君が恐ろしいよ」
今回は、メム編でした。ようやくそろそろ今ガチ編が終わりそうです。JIF編はようやく影の薄かったルビーと吾郎先生がメインで進められそうです!
誤字脱字報告毎回ありがとうございます。大助かりです。
もしよろしければ、感想、評価よろしくお願いします。励みになりますので、感想を一言でも頂ければ幸いです。
今日からガチ恋始めます
・イケメン、美女の恋愛リアリティーショーだったが、星野アクア参戦で混乱
・だが、アクアの理由が理由で積極的ではなかったため、ゆきとノブユキに注目があつまる。
・一石を投じたのはあかねで、一緒に恋愛を勉強という名目でアクアと絡み始める
・恋愛偏差値が低く、純情なアクアとファッションセンス0で、同じく恋愛偏差値が低いあかねのコンビが受けた。
・MEMちょは、フリルチャレンジで常に負け続けている。
・番組の構成としては、全員で青春が2、ゆきを中心とした恋愛が5、アクア+あかね+メムが3で構成されている。
・最終回でどのカップリングが成立するか、掲示板で議論が日夜行われている。