星の子たちにハッピーエンドを   作:天凪

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有馬かなの不安

 

 

 

「MEMちょ、レッスン順調みたいだね」

「え? いきなりなんだ?」

 

 ドラマの撮影の休憩時間に共演のフリルが話しかけてきたことに驚くアクア。しかも、内容が新生B小町のメムの事となれば、なぜ俺に? と感想を持つのは当然だろう。だが、次にフリルが見せたスマホの画面を見て、気まずくなった。

 

「ほら、こんな写真を載せるぐらいだからね」

 

 フリルのスマホに映されたのは、苺プロのレッスン室内で稽古着を来たメムが驚いた表情をしているアクアと肩を組んで自撮りをしている写真。どうやら今朝のものをSNSにアップしたようだ。『アクたんとJIFに向けて特訓中!』などと呟かれている。苺プロの芸能部門はこれを許したのか? とアクアは思うものの、反応としては「いいね」のボタンも相当押されているし、コメントもアクアが珍しい表情をしている写真のため好意的なものも多い。

 

「………いや、あくまで午前中にトレーナーがいないから手伝っただけだから」

「私は学校に行ったよ」

 

 まるで責められているかのような言いよう。いや、そもそも、これも苺プロから依頼された仕事であるため、フリルから責められる謂れはないはずだ。もしかしたら、私の推しといちゃいちゃしやがって、というアクアからすれば理不尽なものかもしれないが。

 

「まあ、いいか。えいっ」

「は?」

 

 突然、肩を引っ張られ、フリルと背中合わせになるような態勢になったかと思えば、突然、フリルが腕を伸ばすので、つられて見上げてしまい、カシャカシャカシャと連続で切られるシャッター音を聞いてしまった。

 

「突然にしてはよく撮れてるね。これでチャラでいいよ」

「いや、まったく意味が分からないんだが」

 

 フリルのスマホに映っていたのは、水のペットボトルを片手に持っているフリルと背中合わせで同じように水のペットボトルを持っているアクアの顔がカメラ目線で映っていた。しかも、指の動きからするにSNSに投稿しているようだ。もちろん、事務所の審査を経由しての事であるが。もはや、この手の写真は何枚も上がっているため、アクアとしても今更感が強く、特に止めるつもりはなかった。

 

「ところで、アクアは『B小町Tシャツ』買った?」

「話変わりすぎだろ。まあ、買ったが………」

 

 フリルが話しているTシャツは新生B小町の公式通販から購入できるTシャツの事であろう。あらかじめ用意しており、B小町の復活動画のリリースと同時に発売されたグッズの一つである。売り上げは好調で、追加で発注が必要だ、とミヤコが嬉しそうにぼやいているのを覚えている。さすがにグッズを買わないわけにはいかないと、本来であればもらえてもおかしくないのだがあえて直接購入した。

 

「アクアもJIF行くよね?」

「まあ、行かないわけにはいかないだろう」

 

 双子の妹とアクアがスカウトした女性二人で構成されたグループなのだ。行かないという選択肢はない。もちろん、関係者席にはアイも行く予定である。

 

「だったら、当日、会場で写真撮るからちゃんとB小町Tシャツ着てきてね」

「なんで!?」

「ペアルックだから。あと、サイリウムは黄色以外は認めないから」

「いや、グッズのTシャツでペアルックにならないからな。あと、なんでサイリウムの色固定!?」

「え? 私がMEMちょ推しだから」

「俺は単推しじゃない!」

「じゃあ、アクアは別の色のサイリウムを持って写る勇気ある? 黄色なら私に合わせたって言えるけど」

「………黄色でいい」

 

 この時、アクアは、なぜか当日会場でフリルと写真を撮ることについては反対していない事実に気づいていなかった。そもそも、反対させるつもりがないフリルに最初から負けていたのかもしれないが。

 なお、当然のことであるが、当日にアクアとフリルの二人で黄色いサイリウムを持った姿で撮られた写真は「MEMちょ推し~」というコメント共にSNSにアップされ、MEMちょというアイドルに注目が集まるのだが、それは未来の話である。

 

「ところで、少し界隈で噂になってたけど、アクアは誰狙いなの?」

「は?」

 

 JIFの件で結局フリルの良いようにやられてしまった、とガクリと落ち込んでいる中、さらに訳の分からない質問が飛んできた。

 

「一番、『今ガチ』の黒川あかね。二番、『今日あま』で現場をわざわざ整えてまで活躍させた有馬かな。三番、『新生B小町』にスカウトしアイドルに憧れて挫折した夢を叶えさせたMEMちょ。四番、ここ最近、映画とドラマと共演しながらSNSにツーショットを上げる不知火フリル。この四人が噂に上がってるね」

「フリルも含むのかよ……」

「ちなみに、一番人気は黒川あかねで、大穴は全員だよ」

「いや、その選択肢がおかしい」

 

 大穴、という一番確率が低いものに入っているとはいえ、その選択肢が噂になるのが芸能界の闇の深いところだろうか、と勝手に思ってしまった。

 

「年配のPなんかは懐かしそうに言ってたけどね。あ、鏑木さんだけは震えてたかな?」

「あの人が震えてるのはいつものことだ」

 

 鏑木のことはいいとしても、最近、こういった話が多いな、とアクアは思った。原因は分かっている。『今ガチ』の影響である、と。そういうのに興味が出てきた年頃か、とでも認識されたのだろう。だから、界隈にもそう言ったうわさが流れる。まさか、大穴とはいえ、全員という選択肢が出てくるとは思わなかったが。

 

「まあ、そんな噂も流れてるから気を付けてね。うち二人はアイドルなんだし」

「ああ、分かった」

 

 新生B小町のアイドルなのだ。スキャンダルなんかはご法度だろう。もっとも、候補に出てきたあかねとかなとメムは事務所も同じで、さらにかなとメムは妹と同じグループなのだから、ある程度は言い訳ができる立場なのが幸いか。

 

 これからの対策について考え込んでいると、下から見上げるようににやりと笑うフリルと目があって、揶揄うような口調で口を開いた。

 

「それで、誰が本命なの? 私?」

「違う!」

 

 

 ※  ※  ※

 

 

 

 有馬かなはたまに不安になる。本当にこれでよかったのか、と。

 

 アイドルになると決めたのは自分だ。もちろん、アクアの口説くような説得も、アイドルをやると決める要素の一つになったことは間違いない。しかし、事務所に加入した直後に、本当にアイドルを目指して稽古してきた星野ルビーを見て、直近に入ってきたアイドルに憧れ続けてきたメムを見て、本当にアイドルになるべき人間はあのような人間で、かなのように役者をやるために今の印象を上書きするためにやるような人間には、アイドルは向いていないのではないか、と。

 

「それで、私に相談に来たってわけね」

「はい……」

 

 情けない話だとは思う。自分で決めておいて、もうすぐ一年になろうというのに覚悟を決め切れていないというのは。ただ、ルビーとメムを見ているとアイドルというものに対する情熱の差が気になってしまうのだ。一人で考えても答えは出ず、先日マネージメント依頼したミヤコに相談に来たというわけだった。

 

「有馬さんは、少し仕事に真摯すぎるわね。まあ、あの二人が相手で、対象がアイドルだから仕方ないのかもしれないけど」

 

 はぁ、と溜息を吐いて、ミヤコは改めてかなに向き直る。

 

「あの二人は、アイドルへの憧れが主な原動力だから、気が合うし、強い情熱がある。ただ、それに対して有馬さんは役者に箔をつけるための手段でしかない。だから、そこにギャップが生まれている。違うかしら?」

「まあ、合ってます」

 

 結局、アイドルをやる理由が違うのだ。ルビーとメムは、アイドルへの憧れから。かなは役者をやるために過去のレッテルを剥がすためにやる。純粋にアイドルを目指す彼女らと比べると不純な気がして、ミヤコが指摘するように、そこにかなはギャップを感じていた。

 

「でもね、業界を見れば、有馬さんの理由のほうがまだ純粋よ。中には芸能界でキラキラした世界を見たいとか、イケメン俳優と仲良くなりたいとか、あの子ぐらいがアイドルやってるなら私でもとか、ちやほやされたいだけとか、もっと不純な動機でアイドルやりたいって子もいるのだから」

「そうなんですか?」

 

 驚いたような声を上げるかな。アイドルやってる人間はみんな純粋にアイドルへの憧れとかでやっているものだと思っていた。

 

「まあ、そんなことを考えている子たちに、アイドルへの憧れが全くない、というのは嘘になるでしょうけど、ルビーやメムさんたちほどその割合は多くはないでしょうね」

「そうなんだ……」

 

 別にかなだけが、アイドルをやる理由が、アイドルそのものへの憧れからくるものではない、ということを知って、少し納得する。だが、それだけで納得してルビーたちに合流して、アイドルをやるための稽古ができるかというと、まだな気がした。

 

「有馬さんは、アイドルをやることが手段であって、アイドルそのものをやる理由がないから戸惑っているのでしょう?」

「そう……ですかね?」

「有馬さんにとってアイドルは手段ですからね。アイドルをやること以外に、同じような期間で、同じような効果が得られるものがあったとすれば、そちらを選んだのかもしれない。極論、役者をやるためにアイドルをやる必要はない、ってところが気になっているのでしょう?」

 

 ああ、なるほど、とかなは思った。アイドルをやるのは自分で決めたこと。だけど、それはあくまで今のままでは役者を続けるのは難しくて、だから、アイドルを選んだ。もしも、アイドル以外にアクアから道を提示されていたら選んでいなかったであろうことは明白だ。それが、かなにとって純粋にアイドルだけをやろうとしている二人に後ろめたさを感じさせていた。

 

「なにか、有馬さんがアイドルをやる理由があればいいのでしょう? もうあるじゃない」

「へ?」

 

 何かそんなものがあっただろうか? とかなは考えてみるが自分では思いつかない。

 

「アイドルは女の子が一番輝ける地位よ。だから、本気でやれば、男を惚れさせるのも簡単なことよ」

 

 ミヤコからの視線が、かなのまだ名前も付けていない感情もすべて見透かしているような気がして、それが急に恥ずかしくなって、かなは顔を赤くして立ち上がりながら叫んだ。

 

「べ、別にあーくんのことなんて!」

「誰も、アクアだ、なんて言ってないわ」

「はぅ」

 

 頬が火照っているのは分かるが、思わず恥ずかしさに墓穴を掘ってしまったことに愕然として、そのまま座りなおしてしまう。なお、赤くなった頬を隠すために俯いていたかなは知らなかったが、この子は本気で隠そうとしていたのかしら、と呆れた視線を向けられたことに気づいていなかった。

 

「まあ、これ以上のことは、アクアに相談してみたら?」

「あーくんに?」

「あなたをアイドルに勧誘したのはアクアなのだから、責任は取ってもらわないとね」

 

 それもそうだ、とかなは思った。そもそも、アイドルに勧誘したのはアクアなのだ。ならば、この自分でもよくわからないもやもやはアクアにも責任があるはずだ。だから、アクアに相談しても問題ないはず。

 

 そう思うと少し心が軽くなった気がした。もっとも、アクアとは、稽古前に差し入れや、稽古後に晩御飯を一緒にすることはあっても、相談できるような機会は少ない。彼は今はドラマやモデルの撮影もあり、なかなか忙しいのだから。JIFの前に相談できるだろうか、と考えていたのだが、案外、そのときはすぐきた。

 

 

 

 

「はい、昨日までダンスのレッスンを見てくれた『ぴえヨン』でしたが、今日からバカンスで皆さんの稽古を見ることができません」

『ごめんね』

 

 アヒルのような被り物をし、やや甲高い声を出して謝るぴえヨン。ただし、その恰好はアロハシャツを着て、半ズボンにビーチサンダルとこれからバカンスに向かう人間そのものだった。なお、覆面筋トレユーチューバーを名乗るだけあって、筋肉はすごく鍛えられていた。

 

「え~、JIFまでもう少しなのに!」

 

 さすがにJIFの開催日が近づいてくる追い込み時期に元プロダンサーで振付師でもあったぴえヨンの協力がなくなるのは痛い。もう一人、特別講師としてアイもいるが、主演のドラマの撮影があり、いつでもいるとは限らない。追い込みの時期だというのに自分たちだけでやるのか、と気持ちが落ち込むが、それを払拭するようにぴえヨンが口を開く。

 

『でも、代わりに弟子を置いていくからこき使ってね』

「ぴえヨンに弟子なんていたんですか?」

 

 動画を見てもそんなことは一言も言っていなかったはず、とルビーが驚きの声を上げる。もっとも、この被り物をした同じように筋肉が鍛えられた人間が出てきたら驚くのだが、と思っていると、『入っていいよ』という声と共にガチャと入口の扉を開けて入ってきたのは―――

 

「お兄ちゃん!?」「アクたん!?」「あーくん!?」

「どうも、弟子です」

『じゃ、後は頼んだから』

 

 いつものように真顔で片手だけ上げるアクアに、それだけを言うとぴえヨンは、スーツケースをゴロゴロと転がしながら稽古室から出て行った。残されたのは呆然とする新生B小町のメンバーとミヤコ、そして、弟子と紹介された青いジャージに身を包んだアクアだけだった。

 

「え? お兄ちゃんってぴえヨンの弟子だったの?」

「いや、筋トレとかでいろいろ教えてもらっているだけで、特に弟子というわけではない。ただ、面白いからって」

 

 ルビーの質問に呆れたように言葉を口にするアクア。うんうん、と分かったように頷いているのはメムだけだ。同じエンターテイナーとして同感するところがあったのだろうか。

 

「でも、お兄ちゃんも撮影とかあるのに、大丈夫なの?」

「まあ、もう大事なところは撮り終えてるし、しばらく余裕があるからな。それに、妹と俺が勧誘した二人がいるグループなんだ。力になりたいって思うのは普通だろ?」

 

「お兄ちゃん……」「アクたん……」「あーくん……」

 

 ルビーは純粋に感動したようだが、かなと隣のメムは自分と同じ色が隣から聞こえた声に交じっているような気がして、それは相手も気づいたのか、アクアの名前を呼んだ後にお互いの顔を見合わせていた。

 

「それじゃ、追い込みの稽古始めるか」

 

 だが、どうやら状況は詳しいことを聞いている時間はないようだった。アクアが手に持っていた紙に書かれたメニューを始めなければならないのだから。

 

 

 

「う~ん、やっぱり私が少し遅れてるかな?」

「メムちょが遅れてるっていうか、私が早い?」

「どっちもだね、曲を聞いて、ちゃんと歩く幅とステップを合わせれば大丈夫だよ」

 

 部屋の中では、先ほど踊ったセットリストの通しの歌とダンスが撮影された映像をルビーとメム、そして撮影が終わって合流した特別講師のアイが見ていた。彼女たちはより高みを目指そうとまさしく秒単位、ミリ単位での見直しを行っている。そこまでの気力を、特別メニューとして坂道ダッシュ10本や、セットリストの通し3回などを終えたかなは持っていなかった。

 

 彼女たちの情熱から目を背けるようにかなはベランダに避難していた。

 

「どうしたんだ?」

 

 それを追ってきたのはぴえヨンの弟子として同じように走ったりしていたアクアだ。ご丁寧に水のペットボトルまで持ってきている。

 

「ありがとう。―――いや、ちょっと……」

 

 ペットボトルを受け取って、アクアの疑問を誤魔化すように答える。

 

 本当は相談したかった。果たして本当にこのまま自分がアイドルなんてものをやっていいのか。ルビーやメムのような情熱のない、ただの手段としか見ていない自分がアイドルとして同じステージに立っていいのか、ということを。

 

「アイドルをやるって決めたこと、後悔してるのか?」

「……違う。決めたのは自分だから後悔はしていない。でも、やっていいのか? は考えてる」

 

 アイドルを手段としてしか見ていない自分。アイドルにすべてをかけているようなルビーとメム。そんな二人と果たして本当に同じステージに立っていいのか。いや、立つことはできる。歌やダンスだってルビーやメムと遜色ない動きはできるだろう。だが、そこに彼女たちほどの情熱はない。お仕事だから、ただそれだけだ。だから、本当に同じ立場になっていいのか、は迷っている。

 

「アイドルをやる理由ってやつか……」

「ミヤコさんから聞いた?」

「少しな」

 

 それはかなが悩んでいる中枢。それを話したのはミヤコだけだが、アクアも知っていた。ならば、ミヤコからアクアに伝えたのだろう。

 

「別にそんなに深く考えなくていいんじゃないか。役者で活躍するためのリハビリ程度に思っておけば」

「リハビリって………私はアイドルやって取り戻せるような演技はしてないわ」

「いや、あるだろ。有馬かなの本来の演技を取り戻すって命題が」

「は?」

 

 かなにはアクアが何を言っているか分からなかった。有馬かなの本来の演技と言われても、かなは自分の演技をしているはずだ。それも高校生ではあの同じく天才の黒川あかねぐらいしか並び立つ者がないほどの演技を。だが、アクアはアイドルをやることで取り戻せという。

 

「ああ、そうか。理解していないのか、理解することが怖いのか……まあ、どっちかは分からないが、長年、有馬かなを見てきたファンから言わせれば、俺は、子役の頃の自分が一番だって輝くような演技をしている有馬かなが好きだ」

「―――すきっ!?」

 

 かなは好きという単語だけに反応しているが、それは原作を知るアクアがその知識を基にしたアドバイスではない。正しく、この世界の星野愛久愛海として、演技に携わるものとして、有馬かなの演技を子供のころから追ってきたファンとして、子役時代の自分を主張する演技のほうが好きだった。確かに、周りに合わせて抑えた演技は、出演するという目的の上では成功しただろう。だが、主演にはなりえない。目立たない主演には意味がないのだ。そう、『主演しかできない女優』アイのように。

 それに周りに合わせて抑えた演技はやはり有馬かならしくない。彼女が輝かない。おそらく演技としては上手い、と誰もが評するだろう。だが、それは都合のいい歯車としてだ。それで輝く役者もいるだろう。だが、有馬かなが一番輝くのは、自分が一番だ、と主張する太陽のような演技だとアクアは確信していた。

 

「アイドルっていうのは、自己主張してなんぼの世界だ。だから、有馬も今まで通りじゃなくて、昔みたいに自分が一番輝いてるんだって感覚を思い出すためにやったらどうだ?」

 

 アクアの言葉を聞いて、過去の自分の決意とミヤコの言葉を思い出す。

 

 

 ――――あーくんに恋愛を教えるのは、絶対私なんだから!

 ――――アイドルは女の子が一番輝ける地位よ。だから、本気でやれば、男を惚れさせるのも簡単なことよ

 ――――昔みたいに自分が一番輝いてるんだって感覚を思い出すためにやったらどうだ?

 

 

「あ、あははははは」

「あ、有馬?」

 

 突然笑い出したかなに困惑するアクア。だが、かなはそんなことを気にしていられなかった。自分がアイドルをやる理由はすぐ近くにあったのだから。それを彼が望んでくれたのだから。ならば、ルビーたちには悪いが、かなはアクアのためにアイドルをやろう。アクアが自分で宣言したのだ。責任は取ってもらわないといけない。

 

「ははははは、ふぅ、いえ、見つけただけよ。私がアイドルやる理由」

「そうか」

 

 かなの言葉に安堵するアクア。かながどのような決意を胸に秘めているかも知らずに。

 

「だから―――あーくん! あんたはしっかり私を見てなさいよ!」

「ああ、分かった」

 

 宣言するかなとそれをふわりとした笑みで受け止めるアクア。

 

 満月が輝くベランダの下。アクアとかなの盟約は交わされたのだった。

 

 

 





はい、ベランダのシーン好きなんですよね。あれはぴえヨンに扮したアクアですが・・・それを素でやりました。
というわけで、ルビーちゃんに負けない強化策、有馬かな編でした。
ここでは、演技が好き、は原作の先読みではなく、演技好きな俳優の星野愛久愛海としての言葉としてみなしていただけると助かります。
そっちの方がやべぇんじゃね? というツッコミはありです。

なお、ネタバレですが、話の意図は、ミヤコさんの言葉とアクアの最後の言葉で「俺を惚れさせるためにアイドルとして一番輝いてほしい」とかなが受け取った、です。

追記
黄色のサイリウムオンリーは写真を撮るときだけです。実際は後の話を参照ください・・・


誤字脱字報告毎回ありがとうございます。大助かりです。

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