「おはよう、アクア。最近、随分と遊んでいるみたいだね」
「開口一番なんだ?」
朝の学校。今日はルビーは、かなが舞台東京ブレイドの休演日であるため、少し離れた会場で新生B小町のライブを行うため欠席、みなみも午前の撮影のために午前休で、逆にアクアは登校という珍しいパターンだった。そこに偶然、登校日が合ったフリルが合流したのだが、あいさつの後の開口一番の言葉が実に不穏だった。だが、にやりとした笑みを浮かべてフリルは実に余裕そうだった。まるで、私は知ってるぞ、と言いたげだった。
「界隈で噂になっているよ。あの姫川大輝に気に入られて、いろんな場所に連れ出されてるって」
「それは……共演者なんだから、そういう付き合いもあるだろ」
大輝との関係性は、実は異母兄という事実には気づかれるわけにはいかない。だから、一瞬詰まったものの無難な答えを返すことができた。よくある話ではあるし、否定できるものではないはずだ。
「そうだね、飲酒とかの問題はあるけど、それだけなら噂にはならないだろうね。まさか共演者の女の子と一緒に行くなんて倒錯的なことをしなければ」
「……毎度思うんだが、フリルの知っている界隈と俺の知っている界隈は違うものだと思う」
「いや、むしろ、そんな面白いことが噂にならないと思っている方がおかしいと思うけど」
確かに、と頷きそうになった。アクアとしても他人のそんなことを聞いてしまえば、つい詳細が知りたくなる。週刊誌に記事になる心配がないのは、その程度の小さなことはどこにでも転がっているからだ。スクープと呼ぶにはあまりにも弱すぎるレベルだということはアクアも重々承知している。だから、噂になるだけですんでいる。
「しかも、お酌までさせるなんて……」
「何で知って―――っ!?」
連れて行ったのは外での出来事だから知っていてもおかしくはないと思っていたが、店の中のことまで知っているとなると話が異なる。あの店は会員制で中でのことは秘密ということになっているからだ。なのに、噂でもそれが流れているとすれば、ありえないこと、と思って思わず反応してしまうと、なぜか伝えたフリルのほうが驚いたような顔をしており、あ、やべ、と内心頭を抱えた。フリルがにんまりと揶揄うような笑みに変えたからだ。
「そうだったら、面白いな、と思ったんだけど、まさかね」
「……ノーコメント」
鎌をかけられたと気づいたときには遅かった。もうフリルの中では確信があるのだろう。アクアができる唯一の抵抗はイエス、ともノーとも答えないことが精一杯だった。
「そんなに面白い光景が見られるんなら私も行ってみたいな」
「まさか国民的美少女が接待してくれるのか?」
攻守逆転とでも言うべく揶揄うようにフリルに問いかけるアクア。アクアとしては会話の方向性を変えてくれたことに感謝していた。だが、それはそれとして、仕返しぐらいはしたいと思っていた。
「いや、接待するのはアクア。シャンパンタワーしてみたい」
「ホストクラブかよ」
いや、フリルがやろうと思ったらできるだろうが、さらに追加でドンペリ、とか言ってそうな女だしな、と内心思ってしまった。
「どう? アクアなら私がナンバーワンにしてあげるよ」
「生憎、ホストに興味はない」
「うん、それがいいと思う」
真面目な表情をして頷いていたフリルを見ながら、一体、何のための会話だったんだ? と疑問を覚えるものの、だいたい朝の時間つぶしのための会話だ。内容に意味などないだろう、と流すことにした。
「それはそうと、確かにお酒には興味がある」
「おい、外で口にするなよ」
興味がある、という言葉だけで未成年となれば、どこで利用されるか分かったものではない。それこそ、スキャンダルを狙っている連中に利用されるかもしれない。もっとも、そんなことは分かっているとは思うが。あくまでも芸能科という特殊な環境であるここだけの話だ。
「分かってる。でも、大人も好んで飲むし、酔うってどんな感覚かは知りたい」
「あぁ、なるほど」
フリルの言葉に同意するアクア。確かに、飲んだことがない未成年からしてみれば、よく飲み会などがある現場上がりの居酒屋で楽しそうに酒を飲む大人たちを見る機会が多く、楽しそうに飲む姿を見れば、興味を覚えるのも仕方ない。
「なんにしても、二十を超えてからだ。あと、飲めるようになったとしても、体質によっては全く飲めなかったり、性格変わったりするらしいから、最初のうちは親しい人と飲むことだな」
「まあ、よく聞く話だね。アクアは酔ったら性格変わったりするのかな?」
「こればかりは飲んでみないと分からないな」
体質というのは厄介なもので、アルコールに弱いかどうかはパッチテストで分かる。だが、全く表面に出なくても弱い人間もいれば、記憶は残っていないのに二日酔いになる人もいる。あるいは、ワインはダメだが、ビールは飲めるなど、本当に千差万別なのだから。
「そうだね。アクアがお酒に弱い体質だったら面白いのにね」
「なんでだ?」
「だって、アクアは何かあったら責任取るタイプだよね?」
「それは、まあ、そうだな」
なぜそんな話になるのだろうか? とは思ったが、少なくとも自分の行動に責任を取るつもりはあったアクアは頷くのだが、まったく分かっていない、という風にはぁ、とフリルからため息を吐かれる始末だった。
「お酒に気を付けるのは女だけじゃないって話だよ」
「そんなことあるのか?」
報道されるパターンとしては飲み会の席で一服盛られて被害にあったというのは女性が大半だ。だが、よくよく考えてみれば、男性に被害がないとはあり得ない話ではないか、と思う。おそらく表に出ないだけだろう。あるいは、あるのだが目立たないということだろう。そう考えれば、確かに男だから大丈夫、と油断していたのは確かだった。もしも、弱い体質だったら気をつけよう、と改めてアクアは思った。
「ところで、飲めるようになったら、二人だけで飲みに行かない?」
「今の話の流れでなぜ俺が頷くと思った?」
残念、と揶揄うように笑うとそう呟くのだった。
※ ※ ※
「それじゃ、新生B小町のミーティングを始めるわ」
その場にいたのは、アイドル部門の部長兼副社長の斎藤ミヤコと新生B小町の星野ルビー、有馬かな、メムのメンバー三人の四名だった。苺プロで行われる週一回の定例の場である。
「ユーチューブの登録者数は堅実に増えてるわね。都内以外の箱でも満員にできたし、歌番組への出演も決まってるし、物販の売り上げも好調。まあ、びっくりするぐらい順調ね」
「お~、私たちってすごい?」
ミヤコの口から語られる成果に満足げに驚くルビーだったが、ミヤコは逆にやや難しい顔をしていた。
「新生B小町は、メンバーが目立っているってこともあるでしょうけど、もともと元祖B小町の知名度に下駄履かせてもらっているところが大きいのよね」
そもそも、元祖B小町は、ドーム公演まで行えるほどの人気を誇ったグループだ。そして、その伝説的なアイドルであるアイは、今なお『主演しかできない女優』として芸能界で生き残っている。その後継者と名指しされれば、木端の地下アイドルなど比較にならないほどの注目は集まる。そこから固定ファンにするには力量も必要だが。
「そして、メムさんのインフルエンサーとしての知名度に相乗りしたこともあってでしょうね。しかも、あの不知火フリルがファンを公言してバズってるし」
次に要因として挙げられたのがメムだ。ユーチューブのチャンネル登録の導線の中で一番太いのはやはりメムだろう。『今ガチ』でフリル経由のコメントでバズったこともあり、急激に登録者数を増やしたメムだ。それからもコンスタントにフリルがライブに行った様子などをアップしているため、一度では宣伝と割り切っていた層も気になって、そのうち何名かが、登録するという好循環になっていた。
「有馬さんも東京ブレイドの舞台で人気になったみたいだし」
2.5次元の舞台とは言え、出演者は豪華だ。月9の主演を行った姫川大輝とそもそもイケメン実力派と一週間のドラマでどこかには出演している星野アクアと『今ガチ』でアクアと共に有名になった黒川あかねが出演している。2.5次元の舞台に興味がなかった層も、彼らが出演して、東京ブレイドならば、と見に行く。結果として、なぜかB小町というアイドルが本格的な演技をする『有馬かな』に興味を持ち、人気があがった。
そして、次は自分か、とワクワクしているルビーだったが、それ以上ミヤコの口が開かれることはなかった。
「あっれ~? 私は? 私は?」
「あなたは、アイドル以外やっていないでしょう? 純粋にライブやテレビで人気を獲得するパターンね」
どん、と物販の売り上げの数値を見てみれば、分かりやすかった。初期の頃はメムのブロマイドなどが売れており、かなは東京ブレイドの時期で一気に人気を増やしているように見える。ルビーはといえば、コンスタントに増えているという感じだ。バズる要素はないが、順調に増やすタイプと言えるだろう。
「有馬さんの舞台の公演が終わったら、まずは各地方へのライブ行脚ね」
「うっ……すみません」
かなが原因というわけではないのだが、自分の仕事でアイドルの仕事を制限させている事実は、実に心苦しかった。
「謝ることはないわ。もともと有馬さんの契約には役者としての仕事を優先することも記載されているし、今の時期は東京で足場を固める時期ですからね。東京の公演を減らして地方へ、というのは少し先だと思っていたわ」
人口比率で言えば大都市で行うほうが認知度があがるのは間違いない。そのため、三大都市をホームとしてアイドル活動を行うほうが効率的である。もっとも、逆にアイドルが少ないご当地アイドルとして生きる道もあるのだが、少なくともB小町にそれは当てはまらないだろう。
「そして、好調なユーチューブの再生数を狙った動画の作成ね。具体的にはPVとMVを作るわよ」
「ミヤコさん、PVは分かるんだけど、MVって、私たちの新曲まだって言っていたよね?」
PV―――プロモーションビデオは新生B小町用に作成するのは分かる。まだユーチューブの動画も一般的なアイドルがやるような自己紹介や企画もの、次回のライブの後の反省会などを公開しているのみで、PVはなかった。これは、最初からPVを作っても爆発しないという判断の元、ある程度の登録が終わってから作成するつもりだったからだ。
そして、MV―――ミュージックビデオは、元祖B小町の楽曲を使ってもよかった。だが、それでは新生B小町の最初のMVとしてはふさわしくない、と判断して新曲を待っていたのだが、肝心のその新曲がなかなか上がってこないということを前回のミーティングで聞いていた。しかも、依頼した相手はヒムラという有名作曲家だ。別のところにお願いしようにも義理があり、できない事情もあって、待つしかない、という判断だったのだが。
「ふふん、新曲―――届いたわよ」
自慢するように持っていたタブレットを見せると、そこには新曲を依頼していたヒムラから「お待たせしました」の文章と一緒に新曲が添付されていた。
「やった! やっぱりメッセージが効いたのかな?」
「びっくりよね。あーくんに言われたから三人で送ったけど」
「う~ん、よくわからないけど、急にできたならその可能性も高いだろうね」
前回のミーティングで新曲が遅れている、とルビーがアクアにぼやいたところ、「メッセージでも送ってみればいいんじゃね?」と軽く言われたものだから、試しに催促のメッセージを送ってみたのだ。もちろん、内容としては早くしてくれ、という内容ではなく、自分たちのために作曲してくれてありがとう、楽しみにしています、程度のものであるが。なお、アクアとしては原作知識を利用しただけである。
「そして、撮影はメムさんの知り合いの会社に頼むことにしたわ」
「あはは、地方のデザイン会社なんだけどね、こっちまで来てくれたら友達価格でやってくれるって」
「……ミヤコさん、私たち、そんなに予算ないんでしたっけ?」
肌感覚で大体売れている状況から使える予算を算出すれば、わざわざメムのところで友達価格でやってもらうほど切羽詰まっていないはず、と思ったかながミヤコに問いかける。
「いえ、都内でも作れるわよ。ただ、使える予算には限界があるから抑えられるところは抑えたいの。それに価格を聞いてみたけど、かなり安いし、クォリティーも十分と判断したわ」
よくよく話を聞いてみれば、同じセットで都内で撮影するのと比べれば、同じ内容で3本は撮影できるというのだから驚きだ。おそらく、メムの人脈とB小町のPV、MVを作成したという成果を見越してのディスカウントだろう、と予算が分かる人間は算出した。もちろん、ルビーはよくわかっていない。ただ、安く作れるならラッキーぐらいの感覚だ。
「それでそれで、場所はどこなの?」
場合によっては小旅行になることも察したのだろう。ワクワクとした様子でルビーがメムに尋ね、もったいぶるようにメムが少し溜めた後で答えた。
「宮崎だよ」
「また、辺鄙な「絶対行く! そこで決定!」
「「ルビー?」」
辺鄙なところだ、と少しケチをつけようとしたかなだったが、それを遮るように絶対譲らない! といった様子で力強く宣言する。その様子を見て、ミヤコは彼女の内心が手に取るように分かったのだろう。はぁ、と額に手を当ててこっそりとため息を吐くのだった。
なお、その後、この計画がアイにも伝えられると、「もちろん、私も行く!」と参加者が増え、最終的に東京ブレイドの慰安も兼ねて、ということで星野アクア、黒川あかねも同行者として名前を連ねることになった。俳優部門のスケジュール担当者は当然のように頭を抱えるのだった。
※ ※ ※
「アクアくん、どうしたの? 悩み事?」
いつものように『恋愛教室』とタグ打ったデートの途中だった。今日は、東京ブレイドの休演日。さすがに練習期間や公演中に『恋愛教室』の続きをするのは難しく、久しぶりの投稿のための時間だった。東京ブレイドの舞台が始まる前は、ララライのお姉さまたちの助言に従い、テーマパークなどにも行った写真も投稿して、それなりに高評価を得たものだ。ただし、そのデートには当然のように新生B小町の面々が付いてきたのだが。
「ん? ああ、いや……」
この時間にアクアのこの態度は珍しい。いつもは撮影現場の話題や、学校での話題、最近放映されたドラマの内容で会話するのだが、今日に限っては何かに悩んだように口が硬い。そこで、何かに悩んでいるのかと思って、思い切って聞いてみた。何より、明日からはまた公演だ。悩んでアクアがミスするのは防ぎたい、という思いもあった。
「そろそろ、こうやってあかねとデートする関係も半年ぐらい経つんだなって」
「そっか……そうだね」
『今ガチ』の現場が終わってから、確かにそのぐらいの時間が経っていた。だが、それを実感するには短い時間だ。苺プロに移籍して、そこから東京ブレイドの舞台の役に決まって、『恋愛教室』とか言って、定期的にアクアとデートするようになって、もう半年もたつのか、というのが実感だった。もっとも、本来の目的であるアクアとの距離が縮まったのか? と問われれば、首を傾げるしかない成果には困ったものだが。
「それで、それが悩み事なの?」
「いや、半年も経つんだから、番組の義理も果たしたころだし、そろそろ『恋愛教室』と銘打ったこのイベントもやめた方がいいのか? と考えてな」
「……そんなこと言ったの誰?」
自分でも低い声が出たと思った。余計な真似をしてくれたのは誰だ? と心底思ったからだ。もちろん、目星は付いているが。
「え? あ、有馬だが」
「……はぁ、かなちゃん」
額を押さえて俯くしかなかった。恋敵だということは分かっていたが、まさか、アイドルの自分が同じようなことができないからって、引き離しに出てくるとは思わなかったからだ。
「ちなみに、なんて言っていたの?」
「えっと―――」
『黒川あかねとは、そろそろ半年ぐらい? もう、番組の義理も果たしたでしょうし、解散してもいいんじゃない? ほら、黒川あかねも次の現場が決まってるんでしょ? だったら、そこでいい出会いがあるかもしれないし。でも、あーくんと番組の関係が続いてたら表立ってアプローチできないじゃない。だから、あーくんがその気がないなら、キープするのも悪いと思うのよ』
「―――って、感じだったな」
なるほど、うまい手だと思った。あくまでも心配しているのはあかねの恋愛事情。確かに、アクアにキープされている状態は外部から見れば、あかねにとってもバッドステータスということは理解できる。そこにつけこんだ善意の指摘だとアクアに思わせていた。なお、アクアが悩んでいる以上、『その気がないなら』という言葉は事実なのだが、そこは気にしないようにした。
「う~ん、気にしなくていいんじゃないかな。私はしばらくは演技に集中したいと思っているし……別にいい出会いとか気にしないよ。余計なことは不要だから、むしろ、アクアくんが良ければ、この関係を続けたいな」
アクアが望んでくれるなら話は別だが、ということを言外に匂わせながら、自分は気にしていないということを強調しながらアクアに伝える。それに、そもそもアクアはこの関係の主目的を忘れている、と思った。
「大体、私とのこのデートはアクアくんの『恋愛演技』に役立てるためでしょう? もしも、私との関係を終わらせたら、どうやって勉強するの?」
そう、この関係の目的はアクアの恋愛演技を稽古するためという目的もあったのだ。それなのに、全く勉強できていない状態で終わらせてどうするというのだろうか。
「……フリルやみなみにお願いするか?」
「待って、そっちの方が炎上間違いなしだから」
確かに! という表情をした後、あかねの指摘にやや思案したアクアが不穏なことを口にする。確かに不知火フリルのアカウントを見ていれば、学校の教室や撮影の現場で似たようなことをしていることは知っているが、あくまでも彼女たちの環境は番組内の関係を現実に反映させたお遊びだ。それが分かっているから許されているところがある。
そして、あかねとのこの関係が許されるのも同じく『今ガチ』という番組の延長上だからだ。もしも、本当にデートなどしてしまえば、あっという間にネット上に掲示板が作られ、拡散されるだろう。炎上に近いことも起こるかもしれない。
「そう、なのか?」
「はぁ、私とアクアくんの写真が炎上しないのは、『今ガチ』の関係性があるからだよ。それなのに、無関係の芸能界の女性と写ったら、そうなるよ」
「似たようなことをルビーともメムともやってたから気づかなかった」
「片方は双子の妹で、もう片方はフリルチャレンジのせいだろうね」
アクアが挙げた名前は同じく何かしらのフィルターによって炎上の可能性が低く抑えられる人間だった。なお、かなはその理由がないため、明らかに即座に炎上するだろう。同じ事務所とはいえ、アイドルにとって致命傷になる可能性もある。だからこそ、アクアに助言したのだろうが。有馬かなのプロ意識は高いのだ。そのような隙は見せないようにしている。
「アクアくんは、『恋愛演技』の練習ができる。私は男の人からの誘いを断れる。お互いにメリットがある関係なんだから、悩まなくていいんだよ」
「そうか、あかねにもメリットがある話ならよかった」
そこでようやく悩みは解消されたのか、ほっ、と安堵の息を吐くアクア。どうやらこの関係が解消される危機は去ったようだ、と悟ったあかねは、今度はこちらの番だ、と逆襲に出た。
「ところで、確かにこの関係も半年なんだよね」
「そうだな」
「だから、一歩進んだデートしようか?」
「え?」
あ、美味い、と雑誌で映えると紹介された頼んだジュースを飲みながらあかねの問いに答え、最後の提案に呆けたように顔を上げるアクアに対して若干苛立ちを覚えながら、喫茶店を出た後のデートを提案した。
その日、あかねのSNSから二枚の写真が投稿された。一枚目はいつものように恋人と行ってみたい喫茶店にノミネートされた喫茶店で頼んだ飲み物を持ったツーショット、そして、もう一枚はいわゆる恋人つなぎでウインドウショッピングを楽しむアクアとあかねのデート姿を写したもの。アクアの表情は照れ臭そうに赤らめており、タイトルは『今日は一歩前進』だった。
なお、後日、苺プロの事務所の廊下でかなとすれ違った際に、あかねが「かなちゃんのおかげでアクアくんと一歩進めたよ」と言うと、かなは悔しそうに地団駄を踏み、あかねは、余計な助言をしたかなに対して溜飲を下げるのだった。
本日の勝敗:あかねの勝利(アクアとの関係性続行)
プライベート編へのつなぎでした。あかねとの関係解消の一歩手前までいった原作の事象はあかねの勝利で終わりました。
次回からプライベート編で吾郎先生が久しぶりに登場します。疫病神さんは登場できるのか? もっとも、死体も何もないただの旅行になりそうですが・・・
誤字脱字報告毎回ありがとうございます。大助かりです。
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