星の子たちにハッピーエンドを   作:天凪

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星野アイの愛

 

 

 

「さすがに壮観だな」

 

 思わず星野アクアは羽田空港に集まったメンバーを見て唸った。それぞれがサングラス、帽子、マスクなどで顔を隠しているが、もともと顔を知っているアクアからしてみれば、あまり意味のないようなものだ。

 

 もうすぐ宮崎へと出発する飛行機のゲート前ロビーに集まっているのは、ミヤコ、アイ、ルビー、かな、メム、あかね、フリル、みなみといった女性陣と、今は彼女たちと関わりたくないアクアだった。

 

 なんで、俺はこんな簡単なことに気づかなかったのだろう? と女性8人に対して男性1人という状況に愕然としていた。旅行に行くと決定したタイミングがそれぞれ異なったため、どうやらこの人数比になることがすっかり抜け落ちていた。

 

 早く宮崎に行けないか? とアクアは思っていた。なぜなら、向こうには唯一の男性として吾郎医師がいるから。少なくとも観光に付き合ってもらえば、男性2人と撮影のB小町を除けば4人で、比率は2:1まで減らすことができるはずだ。

 

「アクア、そんなに離れて何をやってるのかな?」

 

 改めて宮崎の高千穂町の観光地を検索していたアクアに近づいてきたのはフリルだ。簡単にマスクとサングラス、帽子で隠しているが、近くで見れば、国民的美少女といわれる顔の造形は隠しようがなかった。

 

 ルビーとフリル、みなみの陽東高校組で話していたからすっかり油断していた。気が付けば、ルビーのほうはB小町プラスあかねの苺プロ組に合流しており、フリルとみなみがアクアに近づいてきたようだった。なお、みなみは帽子とマスクだけで目元は隠していなかったが、身体的特徴の一部はやはり隠すことができていなかった。

 

「向こうの観光地を検索してた。いくつかは予約が必須だったからな」

「アクアは、そういうところマメだよね」

 

 マメというか、主催はアクアなのだ。ならば観光ルートを含めて予約しておくべきだろう。なお、ルビーたちはMVとPV撮影のため、初日と二日目の半ばまではお仕事だったりする。なので、自由になるのは夜と二日目と三日目のお昼までなのだから、慰安旅行とは言いにくいところもある。その後、アクアとあかね、フリル、みなみは東京に戻るが、ミヤコとB小町の面々は福岡でライブの予定である。

 

 悪い言い方になるが、移動人数が4人(アクア、あかね、フリル、みなみ)というのはありがたい話だった。ハイヤーを1日貸切で予約しているが、5名となるといろいろと面倒になるからだ。アイ? 吾郎と大人の話があるため別行動である。

 

「マネージャーに聞いたら芸能の神様らしいからなぁ~、ウチも楽しみや」

 

 フリルにくっついてきたみなみもふにゃりと笑う。確かに芸能界という世界に住んでいる人間からしてみれば、特別に感じる神様かもしれない。『天鈿女命(アメノウズメノミコト)』とは芸能の神として有名なところだ。今回の観光ルートにも含まれている。

 

「(神様か……)」

 

 あの神の使いと名乗る幼女と出会ったのは遠い昔のように思える。あれ以来、アクアの前に出てくることはなかったが、その存在は認知している。というか、そうでなければ、アクアは吾郎とルビーの関係を認めることはなかっただろう。どう考えても吾郎の見た目は30代半ばからあまり変わらないという妖怪だったからだ。まあ、芸能界には美魔女という50代なのに30代にしか見えない大御所もいるが。

 

 宮崎県高千穂町―――神様の街となれば、あの幼女に出会うことはあるのだろうか? いや、それよりも、吾郎が管理している社の神のほうが気になる。あれが、すべての始まりなのだから。

 

「アクア? 搭乗の時間になったよ」

「あ、すまない」

 

 フリルに言われて、ようやく搭乗が始まっていることに気づいた。遅れないように付いていって、飛行機に乗った。飛行機の予約の段階でかなり揉めたのだが、結局、ミヤコの鶴の一言でアクアの隣はアイとなったのだった。

 

 

 

 ※  ※  ※

 

 

 

「せんせっ!」

「うわっ! 直接会うのは、久しぶりだね、ルビーちゃん」

 

 勢い良く抱きついたルビーを慈愛の表情で頭をなでながら吾郎は言う。

 

 宮崎空港を降りた先で荷物を受け取って出口で出迎えてくれたのは有馬かなも名前は聞いたことがある雨宮吾郎だった。直前のゲート前で受け取ったキャリーケースを他所に速攻で見つけた瞬間に吾郎に抱き着くルビーを呆れた様子で見つめるかな。いくら、田舎の空港とはいえ、多少は人の目がある。もっとも、今はまばらでサングラスなどで武装している以上は簡単に見つからないし、今の年齢差であれば、単純に父親代わりの男性に抱き着いたぐらいの記事にしかならないだろう。

 

 その光景を驚いた眼で見ているのは、メム、あかね、フリル、みなみであり、呆れたように見ているのはミヤコ、アクアで、複雑そうな表情をしながらお腹をさすっているのがアイだった。

 

 ああ、あの人か。とかなは以前見せてもらった写真と同じ人物だと気づいた。つまり、アイドルを卒業したら結婚したいと思っている男性だと。なんというか、衝撃というよりも父親に甘える娘のようにも見えるので、衝撃の度合いは少なかった。本気なの!? とは思うのだが。

 

「ちょっとルビー、雨宮先生も困惑してるでしょうし、なにより人前よ。やめなさい」

「はぁ~い」

 

 ミヤコが注意し、ルビーが名残惜し気に吾郎から離れた。その態度に吾郎は苦笑するだけだ。

 

「さあ、雨宮先生の車と私の車で分かれて移動するわよ」

 

 はい、という声が重なり、各々が持っているキャリーケースと一緒に移動が始まった。最初から移動の際に分かれるグループは決められており、吾郎の車に乗るのはB小町メンバーとアイの四名である。吾郎の先導にしたがって駐車場にあるレンタルしていたのであろうバンにキャリーケースを吾郎に手伝ってもらいながら乗せこみ、全員が乗り込む。

 

「私、せんせのとなり~」

「ダメだよ! ルビーは後ろ! 危ないんだから」

「え~」

 

 どちらが助手席に乗るかで喧嘩する二人。かなが傍から見ている分には、時折、姉と妹というよりも母と娘にも見えるのだから不思議だ。もっとも、外見上は姉妹でピッタリくるのだが。結局、ルビーが助手席に座ろうとしていたが、アイの強固な反対により、後部座席に座ることになった。

 

「ぶぅ~、お姉ちゃんの意地悪」

「ルビーちゃんは今を時めくアイドルだからね。何かあったら大変なんだから、大人しくして座っておきなよ」

 

 シートベルトを締めてもふくれっ面になっているルビーに対して、いつもの態度なのだろう受け流す様に吾郎が言う様をかなは何も言えずに見ていた。

 

「ぶぅ~、せんせ、私だったらいいの?」

「そんなわけないじゃないか、もちろん、アイに何かあったら大変だから安全運転を心がけてるよ」

 

 そして、ルビーと吾郎の関係よりも異様なのはアイと吾郎の関係だ。どちらかというとルビーと似たような親密さがあるような気がする。

 

「ねぇ、かなちゃん、あの人、ルビーちゃんとアイさんとどんな関係なんだろうね?」

「さあ、分からないわ」

 

 隣に座っていたメムがかなに聞いてくるが、ルビーと吾郎の関係を告げるわけにもいかず、かといってアイと吾郎の関係もかなが分からない以上、勝手な憶測を告げることもできない。だから、少し考えてメムに答えたのは短い一言だけになってしまうのだった。

 

 どのくらい走っただろうか、宮崎空港から高千穂町に入り、本日から泊まる予定の旅館に荷物を預け、さらに車を走らせ、メムの友人であるアネモネとの待ち合わせの場所へと到着した。

 

 長時間とは言えないが、座ったままの状態で固まった体をほぐしながら降りていくと、メムの友人であるアネモネを見つけたメムは近寄ってハイタッチしていた。どうやら親しい友人というのは間違いないらしい。

 

 かなたちが降りた後に少し経ってから同じ場所にバンが止まった。車から降りてきたのは、ミヤコ、あかね、フリル、みなみ、アクアの五人だ。あかね、フリル、みなみは仲良くなったのか笑顔でおしゃべりしており、アクアはげっそりと浮かない顔をしていた。よくよく考えれば、あのメンバーの共通項はアクアだ。察するに車の中でおもちゃにでもされたのだろう。あとで、少し労わってあげようと思うかなだった。

 

「いらっしゃい、高千穂へ。私は映像Dのアネモネって言います」

 

 そこからこの宮崎という片田舎についてアネモネが紹介しているが、かなが興味が湧いたのはやはり、芸能の神である天鈿女命(アメノウズメノミコト)の神社だ。有名であることは知っていたが、行ったことはなかった。

 

「え~、参拝行こ! 私行ったことないんだよね」

 

 おそらく、このメンバーの中で行ったことがあるのは、不知火フリルぐらいだろう。マルチタレントで全国レベルで認識される美少女だ。こういった有名どころは一通り行っているイメージがある。

 

 参拝を希望したのだが、残念ながら、スケジュールがそれを許してくれそうになかった。これから撮影。しかもMVとPVの動画を合わせて撮るというどこかのネットドラマを彷彿とさせるかつかつのスケジュールだった。そんな中、のんびりと観光に行けるグループはアクア、あかね、フリル、みなみ、アイ、吾郎だった。

 

「さぁ、センセは私とお話があるから行こうね」

「え? あ、アイ?」

 

 そう思っていたのだが、なぜかアイが吾郎の首根っこを引っ張って吾郎が運転していたバンに引っ張っていく。引きずりながら「二人で話せる場所がいい」と不穏なことを言っており、これにはルビーも反応していたが、残念ながらアイドルのお仕事は撮影が最優先なのだ。

 

 そして、残されたアクアたちのグループはアクアがはぁ、とため息を吐きながらもあらかじめ用意していたハイヤーを呼び出しているようだった。どうやら、アイと吾郎の離脱はもともとの予定通りの事だったようだ。

 

 だから、かなは撮影所へ向かう車に乗り込む直前に捨て台詞を残すしかなかった。

 

「神社にはみんなで行くんだから抜け駆けするんじゃないわよ!」

 

 アクアが片手をあげてかなの捨て台詞に反応するのを見て、かなは車に乗り込むのだった。

 

 

 

 ※  ※  ※

 

 

 

「うわ~、懐かしいな」

 

 そう言いながら、目の前のアイは後ろ手に組みながら、あの時のようにくるくると回る。あの時と異なるのは、時間とアイの体形だけだ。今はまだ午前中なのだから一番星も姿を見せていないし、ルビーとアクアはそのお腹にはおらず、片方は撮影所で撮影しているだろうし、片方は女の子を侍らせながら観光しているだろう。

 

「ここなら関係者以外立ち入り禁止だから誰もいないと思うよ」

 

 病院の屋上など、ほとんど誰も来ない。偶に吾郎は電話のために来たりするが、吾郎を探しに来た看護師以外は、ここに来ることはないといっていい。だから、吾郎はここに二人で話がしたい、というアイを連れてきたのだ。

 

「そう……なら、センセ、本気なの?」

 

 途中から表情を消したアイ。それはアイドルとしてのアイとしての表情ではなく、女優として接しているアイでもない。おそらくは、娘を心配する一人の母親としての表情なのだろう。だから、吾郎は、なんの話? と誤魔化すことも考えたが、それは悪手と感じ、自分でも曖昧だな、と思う笑みを浮かべながら答えた。

 

「そうだね、本気だよ。アイがルビーちゃんの事を言ってるならだけど」

 

 念のため確認する。ここですれ違いが生まれたなら、それはただの喜劇になってしまうから。だが、吾郎の懸念は不要だったようだ。吾郎の答えを聞いてアイが少し不機嫌になったような表情を浮かべたからだ。もっとも、16歳の娘がアラフィフの男と結婚するなどと世迷言を言っていれば理解できる表情ではある。

 

「センセは、ルビーを愛してるの?」

 

 これもまた分かる問いだ。結婚という事柄に関して、この点を無視することができないのは現代だからだろうか。一昔前なら愛のない結婚などもあったのかもしれないが。だが、愛を重要視するアイだからこそ、この問いは必要なのだろう。

 

「どうだろうね?」

「はぁ!? センセ、ふざけてるの?」

 

 怒りの表情を浮かべるアイ。まるで問い詰めるように吾郎に近づいてくる。その理由は分かる。愛しているわけでもない男にルビーとの結婚を許すわけにはいかないという親心からだろう。

 

「いや、ふざけてなんていないよ。ただ、僕がルビーちゃんを幸せにしてあげたいと思うのは本当だよ」

 

 そう、それがすべてだ。ルビーが天童寺さりなの生まれ変わりと知っているのは吾郎だけだ。それをアイに説明しても納得はできないだろう。だから、ルビーと相談して、生まれ変わりの件については伝えないことにした。だから、アイへの回答はこれが精一杯だ。少なくとも吾郎は、現世に生まれ変わったルビー(さりな)に幸せになってほしいと思っている。それが、吾郎との結婚というのであれば、全力で応えるだけだ。

 

「アイが、愛をどう定義しているのか、僕には分からない。だけど、特定の誰かに幸せになってほしいという気持ちを愛とするなら、僕はルビーちゃんを愛してるんだろうね」

 

 アイという大女優を前にして考えるのは不遜なのかもしれないが、ドラマのようなことを口にしているな、と吾郎は思った。だが、これが事実だ。あの生前、母親にも愛されなかった最後を知っている吾郎としては、せめて今世は幸せになってほしいと思っている。まさか、自分との結婚を言うとは思っていなかったが。

 

「はぁ、それを言われたら、違うって言えないかな? 私も、アクアとルビーには幸せになってほしいと思ってるから」

 

 おそらく、子供が生まれたことで愛を知った一番星(アイ)は、そう言ってはにかみながら少女のように笑った。もっとも、彼女がここに来たときはまさしく少女だったのだが。

 

 アイと吾郎の間に無言の時間が流れた。お互いに今までの問答を消化するような時間だ。そして、しばらく待った後にアイが口を開いた。

 

「ねぇ、センセ、ルビーを幸せにしたいだけなら、私と結婚しない?」

「――――はい?」

 

 しばらくアイの言葉を理解するのに時間が必要だった。夢にも思っていなかった提案だったからだ。思わず、アイの前だというのにアホ面をさらしてしまいそうだった。

 

「ほら、ルビーは娘にできるし、父親っていう一番近い位置でルビーを幸せにできると思うんだけど、どうかな?」

 

 ―――あ、推しを嫁にできるよ! と、どこか楽しそうな、それでいて揶揄うような表情で付け加えてくるくる回るアイ。

 

 その言葉に全く釣られなかった、といえば、ファンとしては嘘になるだろう。もしかしたら、そうなる未来もあったのかもしれないと夢想することは、ドルオタとしては冥利に尽きるというものだろう。だが、その段階はすでに超えていた。吾郎にとって今の最推しは、すでに星野ルビーに捧げられているのだから。

 

 だから、吾郎の答えはこれだった。

 

「はははっ! その言葉を10年前に聞いていたら、僕は飛びついたかもね」

 

 アイとの関係性は、出産後に東京に戻った後も続いていた。育児というのは赤子は言葉が通じないこともあり、ストレスのたまる行為だ。幸い、ルビーとアクアは、双子でありながら、あまり手のかからない子供ということもあって、アイが育児ノイローゼになるほどではなかったようだが。

 

 その中で、産婦人科の雨宮吾郎という医師は産後のカウンセリングとしては最適な人物だっただろう。

 

 仮に、その縁でアイが吾郎に惚れて、アイドル引退後に結婚を申し込んだなら、アイの望むような事態になったかもしれない、というのは現実味がある選択肢である。だが、現状では、吾郎の中で未だに傷になっている『さりなちゃん』がルビーであるならば、その選択肢は取れない。

 

 だから、吾郎は元推しの前でできるだけ真面目な表情を浮かべて口を開いた。

 

「ごめん、僕の今の最推しはルビーちゃんなんだ」

 

 その吾郎の答えを聞いて、アイは、悔しいような、嬉しいような複雑な表情を浮かべていた。そして、少し考えた後にいつもの嘘の仮面を被って笑いながら言った。

 

「そうなんだ。なら、最初のハードルは超えられたかな? ここで頷いていたらルビーとの結婚なんて許さなかったんだから!」

「……ははは、怖いな」

 

 アイの言葉に思わず苦笑する吾郎。もっとも、ルビーの場合、アイの許可が出なくても強行突破したような気がする。その後、少しだけ近況を共有した後、ほかの観光地に向かっているアクアと合流すべく病院を後にするのだが、車に乗った際のアイの言葉が吾郎の心をえぐった。

 

「はぁ、まさか、年上の義息子が出来るなんて……」

 

 胃の位置を押さえながら、その言葉を呟くアイに胸が痛くなるのを感じながら、吾郎は車を発進させるのだった。

 

 

 

 ※  ※  ※

 

 

 

 黒川あかねは、女三人寄れば姦しい、という言葉を身を以て感じていた。四人部屋の一室。そこに就寝前のルビー、かな、メム、あかね、フリル、みなみという今回の旅行の女性高校生組が集まる部屋で雑談していた。なお、アクアはさすがに二人部屋を一人で使うようで、ミヤコとアイの大人組は別室で酒を呷っていた。

 

 今の主な話題は、今日の観光地についてだった。ルビー、かな、メムのB小町組が撮影の最中、観光地巡りをしていたアクア、あかね、フリル、みなみの四名で、途中で合流したアイと吾郎が話題の中心である。

 

 ただし、その中で、観光地と一緒に写真を撮りながら、まるでマウントのようにB小町のメンバーに説明していた。

 

「神社はみんなで行くつもりだけど、景色がいいところが多いんだね」

「まあ、写真を撮るのは分かるわ。……でも、なんであーくんとのツーショットばかりなのよ!?」

「撮れる時に撮る。それが鉄則だよ」

 

 さすが、元天才子役だ。現在の全国的美少女である不知火フリルにも臆することなく突貫していた。だが、その突貫を受けても、フリルはきょとんとしており、まあ、撮れる時に撮るのが当然じゃない? という表情をしていた。それに憤るのは当然だが、アイドルであるかなにはこれ以上の追及はできなかった。

 

 あと、あかねとしてはむしろ、神社などの階段でアクアが寿みなみをエスコートしていたのが気になる。みなみも顔を赤くしながら受けていたし、何が理由なのか―――考えたくなかったが、考えた結果、胸部装甲の差だと理解した時には、さすがに落ち込んだ。

 

「それにしても、途中で合流したアイさんと雨宮先生も気になるわ~」

 

 確かに! という表情をその場にいる年頃の少女たちはした。当然だが、女子が集まれば、当然のように話題の中心は恋愛事になる。特に他人の恋愛事など酒の肴ではないが、話題の中心になるのは仕方ないだろう。

 

 そして、今回の旅行でアイが途中で別れて二人きりになり、合流した後も腕を組むような態度で、相手がアイだと言われなければ恋人と疑われてもおかしくない振る舞いで観光地を巡っていた二人が話題の中心になるのはおかしい話ではない。

 

「もしかして、アイさんの秘密の恋人やったりするんやろか?」

「親しげだったけど、そこまでとは断定できないかな?」

「う~ん、友達以上、恋人未満って感じだったかな?」

 

 みなみの感想にフリルとあかねがそれぞれの所感を重ねる。どちらにしても、恋人ではないことは確実。だが、このまま、関係を深めていけば―――という評価であった。その所感を聞いて、ルビーはふるふると震え、かなはあわあわと右往左往し、メムはそんな二人に困惑していた。

 

 その後もアイと吾郎のカップリング論争について話題が続いた。だが、その論争の中で唯一、話題の輪に入らず、ふるふると震えていたルビーの我慢がついに爆発した。

 

「違う! せんせは、アイドルを引退した私と結婚するんだから!」

 

 それを聞いた全員が、即座に硬直した。正直、アイと吾郎のカップリングでもギリギリだと思っていたところにいきなり突っ込まれた情報だ。憤るルビーは除外するとしてもその他の居合わせた人間が呆然とするのも無理はない。

 

 突然の情報に一番最初に立ち直ったのはやはり国民的美少女だった。

 

「え? ルビーは、雨宮先生と結婚するのかな?」

「うん! アイドル卒業した後だけどね!」

 

 元気に回答するルビーだが、果たしてそれは正しいのだろうか? と思っていたが、ルビーの回答を聞いてかなは頭を抱えていた。もっとも、無関係な女子はきゃぁぁ、と悲鳴を上げていたが。

 

「え? いつからの関係なん?」

「生まれたときかな?」

 

「年齢差がものすごいことになっていると思うんだけど……」

「大丈夫! 愛があれば、問題ないよ!」

 

「あの……この情報、ここで話して大丈夫?」

「あ、あはは……ここだけの話でお願いします!」

 

 結局、ルビーはあかね、フリル、みなみの部外者に頭を下げてこの情報を外に出さないことを依頼した。もちろん、彼女たちとしては問題ないことだったので快諾したのだが、後日、この事実を知った義姉(アイ)は、お腹を押さえながら、彼女たちが他にばらさないことを祈るのだった。

 

 

 

 




宮崎旅行ですね。アイと吾郎の関係に終止符とその他女性陣の関係性でした!

アクアは、この間、色々と気を使いながら観光地と撮影所を女性陣と見回っています(笑

誤字脱字報告毎回ありがとうございます。大助かりです。

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