「まったく、何考えてんのよ。あの小娘」
「小娘って、かなちゃん」
「あの不知火フリルに何言ってるのさ」
先ほどまで女性陣全員で騒いでいたことが嘘のように静寂な中、愚痴るかなを諫めるようにあかねとメムが声をかける。時間は深夜。先ほどまで賑やかだった部屋には苺プロ所属の有馬かな、黒川あかね、メムの三人が電気を消して、布団に横になっていた。この瞬間、誰もが寝落ちしてもおかしくない状況だが、興奮冷めやらぬ中、無理な話と言えた。
「小娘で十分よ。あんな同盟を提案するわ、スマホ片手に大騒ぎするわで、芸能界の大物には見えなかったわよ」
「でも、かなちゃんも楽しんでたよね」
ぐっ、メムの言葉に言い返せないかな。いや、あれはフリルが悪いのだ、と思い始める。アクアとの出会いが一番早かったのは幼少期の頃に出会っているかなであるが、付き合いがある年月が一番長いといわれれば、フリルであり、高校入学直後にも共演したこともあり、アクアとの仲を見せびらかすような写真を一番持っているのもフリルだった。一部、SNSにも載せられないような親密なものも含まれていた。
かなも、それに対抗しようとしたのだが、意外にもスマホに残っているアクアとの写真は少ない。むしろ、恋愛教室と銘打って定期的にデートしているあかねや、ユーチューバーとして活動しているための癖なのか、メムのほうが多いぐらいだった。
三人合わせて、ようやくフリルが持っている写真とほぼ同数だった。それでも、写真からアクアの話題で盛り上がる面々。さらにそこに悪乗りして、ルビーも家族写真を持ってくるものだから収拾がつかない。特にルビーの写真は家族として気を抜いている場面が多かったのか、いつもは見せない一面があり、酒も飲んでいないのに宴会のように大いに盛り上がっていた。
「私は、中学のころから修学旅行も仕事で行けなかったから、夜の女子会って感じで楽しかったな」
「そういう場所で恋バナは鉄板ネタとは聞くけど、一人の男で盛り上がってただけじゃない?」
「でも、ルビーの話だと、中学の時も似たような感じだったみたいだし、あってるんじゃないかな?」
一人は演劇に人生をささげた黒川あかね、一人は役者としてもがいていた時代に修学旅行を経験しなかった有馬かな、高校中退のメムがそれぞれ聞きかじった知識を披露するが、答えはなかった。ただ、分かるのは巷で有名な話をなぞっただけの女子会だったように見えて、それを楽しんだという事実だけである。
一番盛り上がったのはルビーが提供したアクアのお風呂上がりの半裸姿で、がっつり見る派とチラ見する派で分かれていたのが面白かった。なお、メムはがっつり見る派で、かな、あかねはチラ見する派だった。
「それで、かなちゃんは同盟どうするの?」
「受けるしかないでしょ、あんなの」
あんなの、と吐き捨てるように言うかな。だが、それはあかねも同じだった。フリルの同盟に加盟しない、ということは、つまり、フリルにその気がなくとも、アクアの対象から徹底的に除外する対象にあるということである。今の若手芸能人の中でフリルと敵対することの恐ろしさを知らないほど愚かではない。フリルから共演NGとされるだけで、どこまで影響が出るやら。
さらに、この同盟外から単独でアクアを狙えるほどに好感度が高い自覚もなし、さらには同盟外からアクアを狙ったとして、たどり着くことができる自信は微塵もなかった。ゆえに、この同盟に参加することが慈悲ともいえるだろう。
「そういうアンタはどうなのよ?」
「かなちゃんと一緒だよ」
そうだろう、とかなは思う。フリル一人でも戦力差がありすぎる。アクアを狙うのならば、同盟成立に助力するのが最適解だと導けないはずがなかった。
もはや、この時点でかなもあかねもアクアに恋心を抱いていることを隠そうとしていなかった。あの露天風呂で、その後の女子会でフリルにすべて暴かれてしまったのだから。今更、誤魔化せるようなレベルではないことは明白だった。
「それで、メムはどうするの?」
「う~ん、参加はするけど、積極的にはならないかな」
もう半分眠そうな口調でメムが答える。かなとあかねからしてみれば、メムの答えは意外なものだった。確かに、同盟を組むといわれた少女たちはアクアに好意は持っているだろう。だが、その濃淡はあり、メムはどちらかというと濃いほうだと思っていたからだ。
「だって、私、もうアラサーだよ? いくらなんでもアクたんをっていうのはまずいからねぇ~」
「「あっ」」
そういえば、と思い出した。無意識にメムの年齢についてルビーがいじるため、忘れていたわけではないのだが、フリルによって強制開催された女子会で一番騒いでいたのはメムであり、同じノリとテンションで付いていくため、当然過ぎて、同年代として認識してしまう。そのため、彼女の年齢について、すっぽ抜けることがある。そのタイミングが今だった。
「……あはは、私の擬態が上手いことを喜べばいいのかな?」
冗談を言う様に笑うメムだった。アラサーがJK名乗って、それが忘れられるほどになり切っているのだ。もちろん、その擬態のレベルが高いことを喜ぶべきだろう。むしろ、侮られて、同年代と見られているという可能性は考えないものとする。最年長としてその扱いはあまりにも悲しすぎるから。
「まあ、アクたんからアプローチされるなら話は別だけど」
「「おい、アラサー!?」」
結局、苺プロ組であるかなとあかね、メムはフリルの提言した同盟に加わることを決めて、眠りにつくのだった。
※ ※ ※
「ねえ、フリルはいつからお兄ちゃん同盟(仮)を考えていたの?」
別の部屋で大暴れしたフリルと兄に恋慕抱く少女たちの対抗を大外から見つつ、実はこっそり手持ちの秘蔵写真で参加していたルビーは気になっていたことを横に並んで寝ているフリルに聞いてみた。その話題は、フリルを挟んで寝ているみなみも気になったのか、顔をフリルに向けて先を促しているように見えた。
「みんなで食事した時からかな? 本当はもっとみんなと時間をかけて仲を深めてからと機をうかがっていたんだけど……そうもいかなくなったからね」
「へ? 何かあったの?」
意外そうにルビーがさらに問いを重ねていた。フリルの想定では、このタイミングでアクアに関する同盟を提言するつもりはなかったようだ。確かに、抜け駆け上等の同盟と銘打っていたとしても、同盟外からアプローチしてくる女性もいた場合に協力するためにはある程度の仲の深さが必要というフリルの言葉も分かるつもりだ。
「アクアが思った以上に売れ始めてる。多分、今年の若手俳優の中で賞だって取れるだろうね」
「へ~、アクア兄さん凄いな」
「さらに、最近、なぜか姫川さんが、自分ができない役の仕事をアクアに斡旋しようとしてるみたいだし……よっぽど舞台の時に気に入られたかな?」
なお、この噂が密かに広がっている間に、ブレ刀は本当にあったんだ、とキラキラした目をしている女性陣や、舞台の後に二人で場所を変えて飲みに行く姿を見て、黄色い悲鳴を上げる女性もいて、実に混乱していたような。ちなみに、フリルは、姫川が女好きということを知っているため、その噂は信じていないらしい。
フリルの疑問を聞いて、ルビーは冷や汗をかいていた。なぜなら、フリルが言う「なぜか」という言葉に理由が分かるからだ。もしも、目の前に姫川がいたとしたら「お義兄ちゃん、やりすぎだよ!」と抗議していたことだろう。
「あの姫川さんだからね。できない役柄だったとしても、主演級なんだよね。これで、またアクアに注目が集まる。アクアの演技力なら、たぶん、そこでまた注目を集めて―――って感じで、一気にブレイクしそうな予感がするんだよね。そうなると、さらにアクアとお近づきになりたい女性は増える。それこそ、蜜に集まる虫のように」
だから―――とフリルは続けた。
「このタイミングしかないと思った」
「「おぉぉぉぉ!」」
芸能界の流れを読んで、恋敵を同盟という形でまとめ上げるのは、さすが芸能界の若手の中で頂点の一角である国民的美少女といわれる不知火フリルである、と感心したものである。だが、そんな二人にフリルは呆れたように、はぁ、とため息を吐いていた。
「一番牽制が必要なところはみなみのところなんだから、しっかりしてほしいな」
「えっ!? ウチ!?」
みなみが驚いたような声を上げていた。みなみとしては、同盟に参加しなかった場合、お店に連れて行ってもらえなくなる可能性があるため、参加した可能性が高い。もっとも、アクアが嫌というわけではない。いいなぁ、とは思っていても、今は様子見という感じだったのだろう。だから、一番牽制が必要と言われて驚いていた。
「なんで驚いてるか分からないけど、アクアが一番狙われやすいのはみなみの合コンの時だからね」
「あっ!?」
言われてみれば、確かに! という顔をするみなみ。みなみからしてみれば、月に数度あるアクアのおすすめのお店で食べる食事会は、美味しいものを紹介してもらう場所でしかないのだろう。
もっとも、クレハやノノンから話を聞いた事務所の先輩、後輩が、アクアとの絡みのある男性陣を紹介してもらえる合コンとなれば、自分も行きたい! となるのは目に見えており、今やみなみは『キャノンファイア』の中で、一勢力となりつつあった。
一方、アクアはアクアで、期待に応えるためにメルトたちの伝をたどって男性陣を集めていた。下手な男性を連れていくわけにはいかないと、毎回、律儀に面談しているのは義理堅いというべきか、その程度は放っておけ、と不器用というべきか。
その合コンというなの食事会の際、アクアとみなみはホストとして、二人の世界を作っているのだが、アクアとみなみの仲がそれほどでもないとなれば、参加者の中にアクアを狙う女性が入ってこないとは限らない。
「だから、みなみにはちゃんとアクアは私のものと主張して欲しいのだけど……」
「ひ、ひぇぇぇ!? ど、どうすればええんやろか?」
みなみからすれば青天の霹靂だったのだろう。積極的とは言わず、今まで通りの関係を続けるために同盟に参加したはずだが、今の立ち位置では積極的に行かなければ、同盟の約束は守られそうにない、という事態になっていた。
「え? みなみちゃんの胸をお兄ちゃんに押し付けておけば何とかなるんじゃないかな?」
「そうだろうね。少なくとも牽制には十分だと思うよ」
「え? そんなことでええの?」
そんなこととは言うものの、みなみの最大の武器を押し付けているのだ。それだけで、自分が狙っているとアピールできる。そして、アクアを含めた合コンの場所はみなみとアクアの関係によって成り立っているものである。つまり、そこに茶々を入れるには今後の事も考えれば、相当の勇気が必要となるだろう。
「そのくらいなら、うちでも出来そうや」
無理難題を実現しなくて良くなって、安堵するみなみ。その程度にはアクアとの触れ合いはハードルが下がっていた。そんなみなみを見て、よかったと胸をなでおろすルビー。ルビーとしても双子の妹としてアクアの幸せを願わないわけではないのだ。なにより、吾郎との関係にも協力してもらったし。
果たして、ハイエナに狙われる立場になったのが幸せかどうかわからないが、複数の女性から狙われるアクアは羨ましいといわれる立場だろう。うんうん、とルビーは自分を納得させていた。
「アクアを中心とした恋愛戦か。ネットででも配信したら注目度は高いかな?」
「全員、炎上して燃え尽きるんちゃうかな?」
いくら今のところイケメン俳優として有名になっているアクアとしても複数人から狙われるような立場ではさすがに炎上するだろう。それは、狙われる立場からではなく、狙う側も同じである。
その的確な表現を聞いてフリルがくすっ、と笑う。
「まあ、私としては美人がイケメンを狙う番組で目の保養になりそうだけどね」
「フリルは、その当事者の一人としての自覚があるの?」
ルビーが呆れたように口にする。そもそも、フリルは盟主ともいえる立場である。自分が美女の一人としてカウントされても怯まない精神力。やはり、国民的美少女と呼ばれるためにはそのくらいの精神力は必要なのだろう。
「もちろん。露天風呂での宣言は伊達や酔狂ではないつもりだよ」
そのフリルの宣言を聞いて、きゃぁぁ! と盛り上がるルビーとみなみ。明日には移動日なのに、恋に生きる少女たちの夜は続きそうだった。
※ ※ ※
「朝早くから、ありがとうございます。吾郎医師」
「いやいや、これくらいなら別に大丈夫だよ」
けもの道を歩きながら、先を行く吾郎に礼を言うアクアに、何でもない表情をして答える吾郎。
時刻は早朝と言える時間。以前から約束していたように、吾郎が管理している社にアクアが案内してもらっているのだ。理由としては芸能の神に参る前に、将来家族になるであろう吾郎が管理する社を参りたいという理由で。
「でも、良く知っていたね? 僕が管理している社があるなんて」
「ルビーが言っていたのを小耳にはさんだだけですよ」
アクアの言い分に、そうなんだ、と吾郎は流した。ルビーと吾郎の関係は長い。話している間にそんな話が出てもおかしくはない。別に吾郎が社を管理していることを隠しているわけではないのだから。
そんな理由を告げて、最終日の早朝に吾郎から迎えに来てもらって、吾郎の家からけもの道を歩いて社へ向かっているところだった。もっとも、時間としては30分もたっていないだろう。やがて、吾郎が管理している社が姿を現した。本来であれば、吾郎の白骨死体が見つかる洞穴を背にして。
「ここだよ。ちょっと前に掃除したんだけど、やっぱり枯れ葉が多いかな?」
社の上に積もった枯れ葉を払いながら吾郎が口にしている。だが、その程度は問題ではないだろう。吾郎が掃除したのであれば、それでよいはずだ。だから、吾郎が軽く落ち葉を払った後、手を合わせているのに合わせて、アクアも手を合わせて目をつむった。
「(あなたのおかげで、アイは死なずにここにいて、俺はここにいます。ありがとうございます。あと、吾郎医師とルビーが結婚できそうなことも……)」
もしも、吾郎がここの社など関係ない原作通りだったとすれば、アイは死に、アクアもここにいなかっただろう。だから、自らの存在意義として礼を言う。ルビー(さりな)と吾郎が結婚できる可能性としては、その結果論であると思っている。それが、ここの神が願ったことなのか、アクアには分からなかった。
――――我―――汝―祝福――与う
一瞬、森の中の風が葉を揺らす音に合わせて何かが聞こえたような気がした。それに合わせて目を開いて周りを見渡すが何も変わらなかった。もしかしたら、幻聴かもしれないと思えるほどに微かな声だった。
「吾郎医師、ありがとうございました。少し、周囲を散策してもいいですか? 東京だと森の中っていうのも珍しいので」
「あ、うん。この周辺は崖とかもないと思うけど、気を付けてね。僕は、少しこの辺りを掃除しておくよ」
吾郎の忠告に頭を下げながら、吾郎から見られない位置に歩みを進める。やがて、少なくとも声が聞こえないだろう、と思えるほどに離れた頃に木々の間から、現れると思っていた幼女が姿を現した。
「来ると思った」
「そうだろうね。律儀に参拝してくれた君には祝福の内容を伝える必要があるからね」
「やっぱりあれは……」
加護の内容という話題についてアクアには思い当たる節があった。あの壊れたラジオのように片言しか聞こえなかった言葉だ。聞き間違いとも思ったが、やはりオカルトだったようだ。その内容を教えてくれるならありがたいと思っていた。勝手に加護を与えられて内容が分からないのは不安だったからだ。
「そうだね。まあ、心配しなくても、君に不利になるような祝福じゃないよ」
「そうだといいんだけどな」
日本の神の祝福と言われてもろくなものが思いつかない。祝福という名の呪いではないか? と思ってしまうほどである。
「くすっ、少なくともあの社の神の感謝は本物だよ。だから、君には、魅力上昇とカリスマ性上昇の祝福が与えられた」
「ゲームのバフかよ!?」
まさか祝福の方向性がその方向性とは思っていなかった。だが、アクアの反応は予定通りのだったか、原作で疫病神と呼ばれた幼女は呆れたように首を横に振る。
「分かりやすく説明しただけだよ。その祝福はだんだん体に馴染んで、少なくとも最終的には三割増しぐらいにはなるはずだよ。君には必要な要素じゃないのかな?」
「それは……まぁ……」
芸能界で生きていくうえで、魅力とカリスマ性が不要とは言えないだろう。それが神の祝福で増えるのは、複雑な気持ちがしたが、そもそも、魅力やカリスマ性といわれても曖昧なものである。それが神から与えられたものか、天性のものかを測る物差しはない。
「あとは、生命力上昇だね」
「生命力?」
「そう、病気になりにくくなったり、怪我をしても治りが早くなったり、精力が向上したりする祝福だね」
「――――はぁ? 何だって?」
思わず問い返してしまう。最初の二つは分かるし、ありがたい。だが、最後の一つは幼女の口から語られるには不穏であり、何の関連性があるんだ? と首をかしげたくなるほどである。
「もう、お兄ちゃんは、幼女に変態チックな言葉を言わせるの趣味なの?」
「いや、そんなことはないからな!?」
変なレッテルを張られそうになる中、必死に反論していた。もっとも、揶揄いに近い言葉だったのだろう。慌てるアクアを面白そうにクスクス、と笑いながら、肩に留まる烏を相手にしながら幼女は口を開いた。
「冗談だよ。ただ、かの神は山神の下級神で、ここには生と死が重なる病院が近くにある場所だ。祝福が生に偏るのはしかたないよね?」
幼女の言葉に何も言えなかった。山神―――つまり、山の生命力と枯れる時の死をつかさどる神。それでいて、近くにはアクアが生まれた病院があり、そこでは日常的に生と死が発生している。つまり、土地神としてもその属性が生と死に振れても仕方ないのであろう。祝福で死に属する祝福を与えられても困るのはアクアである。
「よかったね、腹上死はないみたいだよ」
「おまえは何を言ってるんだ?」
そもそも、彼女もいない身だ。それを心配されるようなことはないと思っていたのだが、その様子がおかしいのか、疫病神と呼ばれた幼女はくすくすと笑っていた。まるで、何も知らない愚か者をみるような表情だった。
「ともかく、頑張ってね。あ、そうだ。君の嫁が参拝するなら、同じ加護を与えるのは問題ないようだよ」
「ちょっ!? 待てよ!」
もう話すことはない、と踵返す幼女を追いかけようとしたのだが、手を伸ばした瞬間に風が吹き、枯れ葉を巻き上げる。思わず目を庇うのだが、風が収まった後に目を開いてみるとそこには先ほどまで立っていた幼女の姿は、なくなっていた。
「いったい何が言いたかったんだ?」
疫病神の言葉の意味が解らず、呆然としながらアクアは、一人森の中に立ち尽くすのだった。
※ ※ ※
苺プロ組とアクアの友人(仮)と来た宮崎出張の最終目的である荒立神社でミヤコは必死に手を合わせていた。
新生B小町のメンバーの躍進と苺プロの所属メンバーの活躍を祈っての事である。
新生B小町のメンバーには神頼みをしなければならないほどに困っていない。
ルビーは、アイドルとしての素養としては抜群である。ダンス、歌に関しては幼いころからアイが仕込んでいたこともあり、アイの後継者の二つ名も立派にこなしている。ただ、味であるおバカキャラはどうかと思うが、完璧なアイドルはつまらないので、そのままにしている。少なくとも、アイとみたドームの夢を再び叶えてくれそうなポテンシャルは十分である。
かなも同じだ。役者志望のところをアイドルに誘ったが、強い承認欲求があったこともあって、アイドルになっても光輝き、それを足掛かりとして、役者としても仕事を獲得しつつある。少なくともこのままいけば、アイドルと役者の仕事が両立できるであろう。
メムは、ユーチューバーとして実は収入面としては一番である。少なくともゴールドの盾をもらえたことで、ほぼメムの目的は達成しているといっていい。あとは、アイドルとしてどこまで活躍するかであろう。
そして、最後に一番の問題は、ミヤコの隣で同じく手を合わせている星野アクアである。
早朝にお世話になっている雨宮吾郎医師と一緒に出掛けて、帰ってきたと思えば、なぜかアクアから目が離せないほどにキラキラしている。以前から王子様キャラでも行けるのではないか? と思っていたが、なぜかこの数時間で、その輝きが増している。神の加護でもあったのか? さすが神のいる地である高千穂だ、と半ば現実逃避していた。
そんなわけない、気のせいだ、と思っていたが、旅行での同行者である女性陣が全員見惚れているのだから、ミヤコの感じた感覚は間違いではないのだろうと思った。
このままではまずい、というのがミヤコの感想だ。
最近は、贖罪のつもりなのか姫川大輝からアクアに仕事が流れてくる。しかも、次に捨てるには惜しいと思える役ばかりだ。そのあたりのコントロールは社長の壱護に一任しているが、これでアクアの世間の注目度は一段上がるだろう。それに加えて、さらにアクアの羽化である。まさか、芸能の神が祭られる神社に参拝するだけでこれとは、と神というのも洒落にならないのだな、と戦慄していた。
さらに、今朝方、ルビーから聞いたアクア淑女同盟のことを思えば、アクアの覚醒と共に大型地雷が埋め込まれたようなものである。
アイドルながら16歳で妊娠したアイといい、複数の女性から狙われて同盟が成立するアクアといい、親子は似るというが、ここまで似るとは思っていなかった。なお、すでに地雷ではなく、時限爆弾となっているルビーはもはや明確に見えているだけに無視するものとする。
だから、もはやミヤコは神頼みするしかない。
「(ウチのタレントが問題を起こしませんように)」
それが儚く、細い糸だとしても、最後には神に願うしかないのだった。
最近、一日が早いと思います。遅くなりました。すみません。
さて、プライベート編が終わりました。少なくとも同盟成立とアクアの加護が明らかになりましたね。
山神の加護の種類は完全に独自設定です。整合性は無視してください。
後は、スキャンダル編ですが・・・う~ん、最近の例の件を見ていると書いていいのか、少し悩み気味?
この際、アイの熱愛疑惑で誤魔化すか? 親子丼まで嗅ぎつかれているかも!? で膨らませるか?
次は、中堅編を少しダイジェスト形式で進めたいと思います。
誤字脱字報告毎回ありがとうございます。大助かりです。
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