ミカとナギサの幼馴染   作:あるふぁせんとーり

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記録96:たのしいバカンス(往路編)

「……ぅぷ……」

「やばぁ……」

 

 現在、時速180km。

 それでいてお構い無しにドリフトじみた運転をし続けるセイアに青白い顔をするリエとナギサ。

 ナギサに至ってはセイアよりも遥かに運転経験豊富な、それこそF1とは言わずともGTレースでも通用するほどのトリニティの誇る名ドライバーであるのだが、それでもなお振り回されっぱなしというのは比較的素人が故の純真無垢なハンドル捌きゆえだろうか。

 そして「もう無理……」と頭に乗せていたサングラスを外し、リエがナギサの膝にうずくまろうとした時、セイアからエヴァンゲリオン、つまりは福音、超つまりは良い知らせがもたらされた。

 

「おや、次のサービスエリアは水着でも入れるみたいだ」

「急いで入って下さい絶対!!」

「今すぐ入って!!」

 

 必死な形相で訴えるナギサとリエに、セイアは穏やかに微笑みながら「了解した」とハンドルを切る。

 ぐおんと、二人の身体が思いっ切り引っ張られた。

 


 

 近くのリゾートや直行できる海水浴場目当てか、サービスエリアは彼女達と同じような水着姿の客で賑わっている。

 セイアは混雑した駐車場でも迷うことなく、入口真ん前の特等席に駐車した。

 

「ほら、お待ちかねのサービスエリアだ」

「……確かに、急いでとは言いましたが……」

「……思ったより、飛ばしたね……」

 

 そうため息を吐きながら後部座席を降りる二人。

 一旦エンジンを切った後、セイアとシマエナガくんも車を降りる。

 シマエナガくんはがま口にセイアからのお小遣いを入れると、パタパタと羽根を動かした。

 

「チーピー!チーチー!(じゃあぼくさーびすえりあすいーつみてくる!みんなのぶんもかってくるね!)」

「ああ、ありがとうシマエナガくん。それじゃ、私は少しお手洗いの方に行ってこよう」

「了解です。リエさん、私達はどうしましょうか?」

「ん〜……あ、アイスとか見に行かない?クーラーボックスあるし、ミカ達のお土産にさ」

「……そうだ、売店の方に行くならナンパには気を付けたまえ。今のうちに断り文句を考えておくのをおすすめするよ」

 

 「それじゃ、楽しんでくるといい」と言い残し、トイレの方へ向かっていくセイア。

 二人は「ナンパ……?」と首を傾げながらも、財布やらなんやらの入ったカバンだけ持って売店の方へと向かった。

 

「……あ、リエさん、こちらなんていかがですか?」

「あ、メロンアイス……!懐かしいね、久々に見た」

「はい。ええっと……そうそう、ピアノ教室の帰り道、ミカさんと三人でコンビニに寄った時に食べたんでしたっけ」

「そうそう、確かミカがメヌエット弾けるようになったからって」

 

 遠い日の思い出に会話を弾ませる二人。

 ついでに他のも買ってしまおうとあれやこれやをかごに入れまくっていると、ナギサの肩が唐突に叩かれた。

 

「ねーねーお姉さん達!」

「……?なんですか?」

「いやさ、もし暇だったらウチらと遊ばない?元々4人で遊ぶ予定だったんだけど、二人キャンセルなっちゃってさ」

「そうそう!二人共めちゃくちゃスタイルいいし──」

 

 そんな感じで話しかけてくる、いかにも陽キャといった感じの女子高生二人組。

 持ち物を見る感じだと、ミレニアムからの旅行客だろうか。

 リエとナギサは「あ、これナンパだ」と言わんばかりに互いに目配せした。

 

「申し訳ありません、私達、既に先約がいますから、期待に応えるのは難しいと思います」

「そっかぁ、残念」

「……っていうか待って、お姉さん達の顔どっかで見たことあるんだよね……」

 

 「どこだったかなぁ……」と顎に手を当てて考えるナンパミレニアム生A。

 数秒の間が空いた後、「あ、そうだ!」と彼女はぱしっと手を叩いた。

 

「お姉さん達、ティーパー──」

「っ……!」

 

 「ティーパーティーの人だよね?!」と言いかけたナンパミレニアム生Aだったが、周囲が気付かない程度に、リエは身体を押し当て、手でその口を塞いで黙らせた。

 それと息を合わせたように、同じくそれがバレて騒ぎになっては困るナギサもミレニアム生Bの口に人差し指を当てる。

 そしてリエは胸の間からモーター音の鳴る四角い箱のようなものを取り出し、ラッシュガード越しのAの腹へと押し当てて耳元で囁いた。

 

「私達、悪いことしようとしてるんだ。これ、サーモバリック。……死にたくなかったら、静かに離れて。もちろん、全部内緒にね」

 

 リエがそれだけ伝えると、Aは腰を抜かしてその場に尻餅をつく。

 ナギサが「ごめんなさい」とだけ言い残し、彼女達は会計へと向かった。

 

「──以上27点、6580円になります」

「学生証でお願いします。……それにしても、リエさん、さっきは何を使ったんですか?」

「ああ、これ?冷却装置。蒸れて暑いから、最近買ったんだ」

「それは……ふふっ、随分と演技派でしたね?」

「まあね」

 

 そして会計を終わらせた彼女達がサービスエリアの建物を出ると、そこにはクレープを3つ抱えたセイアが立っていた。

 肩には超スモールサイズのクレープを手……いや、羽根に持ち、美味しそうに頬張るシマエナガくんの姿もある。

 彼女は大量のアイスを買い込んできた二人の姿を見ると「どうやら、上手くいなせたみたいだね」と微笑んだ。

 

「そうだね、当ててみせようか。そうだな……おおかたティーパーティーとバレかけて、リエがテロリストのふりでもしたのだろう?」

「……正解」

「セイアさん、そこまで分かっているのならもう少しアドバイスをくれても……」

「おや、そうだったかい?私としては、君達を信じたつもりだったんだけどね」

 

 からかうように笑ってから、セイアは「じゃあ、これはちょっとしたお詫びだ」とリエとナギサにクレープを渡す。

 「ぼくがかってきました!」なんて言わんばかりに羽根を掲げるシマエナガくんにお礼を言い、二人はそれを頬張った。

 

「……あ、これ、マンゴーかな?」

「私は……パイナップルです。とても、夏の味がしますね」

「二人共、食べ終わったらで良いからトイレなんかも済ませておいてくれ。後はプライベートビーチまでノンストップだからね」

 

 「私は飲み物だけ買ってくるよ」と入れ替わりになるように売店へと向かうセイアとシマエナガくん。

 ナギサはリエの肩を叩き、「一口頂いてもいいですか?」と声を掛けた。

 

「良いよ。でも交換ね?」

「はい、もちろんですよ」

 

 クレープを交換し、互いの食べかけで食べ比べする二人。

 その頃先生やミカ達の先遣隊がゲヘナの温泉開発部と激戦を繰り広げていることは、彼女達には知る由もなかった。




かなり近い内にえっちなのを書くことが確定したので、リクエストでもあれば感想とかマイページのところのマシュマロとかに送っておいてもらえると反映されるかもしれません

あともうマシュマロ送ってくれた人、旧垢の方に紐づいてたせいで返信出来なくてごめんなさい、バリ嬉しかったです
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