ミカとナギサの幼馴染   作:あるふぁせんとーり

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記録100:Tea party by Tea Party in the Tea Party's beach

「……まさかナギサ様がそのような「下策」をお選びになるとは思いませんでした」

「その言葉、そっくりそのままお返ししましょう。固い頭では風味も満足に感じられないのでは?」

 

 ミルクティーの在り方を巡って争うハスミとナギサ。

 バチバチと張り詰める両者の空気。

 少し戸惑ったような先生、如何にも気不味そうなミカ、苦笑いするしかないイチカ、そもそも昼の直後にお茶はキツいと顔を青くするセイア、我関せずといった様子で練切と抹茶を嗜むリエ。

 どうやら2人とも紅茶通を自負する者として譲れないものがあるようだった。

 

「やはりこうなってしまうか……」

「やはり、ってどういうこと?」

「……そうか、先生には話したことがなかったね。トリニティ総合学園の成立……いや、「トリニティ」という名が生まれる以前より存在し、未だたった一度の決着さえ辿り着かない大論争。きのこたけのこ、つぶあんこしあん、シチューのご飯パン、今川焼き回転焼き大判焼きベイクドモチョチョ……それらと堂々と肩を並べるほど、不用意に口にしてはならない禁断の話題。それこそ……「ミルクティーはミルクが先か紅茶が先か」──!!」

「リエちゃんどっち派?」

「んー、緑茶ー」

「駄目っすね。リエ先輩の脳みそほぼスリープモードっす」

 

 少しとろっとした、柔らかい目で波の方を眺めながら抹茶を啜るリエ。

 これは想像以上に疲れてるなとミカもセイアも少し申し訳なさそうにその背中を撫でた。

 

「……仕方ありません。私達が合意に至るのは困難なようですね」

「ええ。しかし一度火蓋を切ってしまった以上、一旦の解決を見なければなりません」

「……おや、恐ろしく悪い予感がするな」

 

 そしてこっそりとその場を去ろうとした彼女を「セイア様!!」「セイアさん!!」と2人が同時に呼び止める。

 

「……ミカ」

「……あ、ごめーん☆私急用出来ちゃった☆」

「ちょっ、待ってミカ!」

「あ、私も行くっす!」

「そうやって君は都合が悪くなるとすぐありもしない予定を作って逃げる……!」

「セイアさん、セイアさんは私に賛同してくださいますよね?何せ私達は常日頃から気苦労を共有する、いわば「戦友」なのですから」

「なっ……それはティーパーティーの横暴ではありませんか!?食の話題ならば公明正大に味で勝負すべきです!セイア様の味覚ならば信用に値しますから!」

 

 勝負から逃げ出したミカとそれを追う先生とイチカ、非日常的なまでにゆるゆるとしていてとても巻き込める状態ではないリエ、じわりじわりと詰め寄ってくるナギサとハスミ……。

 

「……嗚呼、どうして私が……」

 

 セイアは情けないうめき声を上げた。

 


 

 それからしばらくして、ナギサとハスミのレスバは気がつけばティーパーティーそのものの気品が争点に。

 「私は好きだけれどね」というセイアのフォローもありつつ、最終的にはリエの「ここにはティーパーティーが3人いて、正義実現委員会は1人。いつの時代も数が多い方が強い」という意見表明によって惜しくもハスミの判定負け。

 決着が付いた頃にはすでに夕焼けで海はオレンジ色に染まっていた。

 

「……失礼、イチカから連絡が来ました。少し先生達の方へ行ってきます」

「了解。お疲れ様だね、ハスミ」

 

 もっちゃもっちゃと焼き団子を頬張るナギサと、その背中にもたれかかっておなじく焼団子をもっちゃもっちゃと頬張るリエ、そんな2人を尻目にハスミを送り出すセイア。

 というかこの2人、普段とは打って変わって有り得ないくらい役に立たない。

 気がガッツリ緩んで幼き頃の好奇心旺盛意地っ張りわんぱく娘に戻りかけているナギサもいれば、リエはもはやみんなの憧れの先輩、ティーパーティーオブザーバーとしての姿は微塵もなく、これが本来の姿なのかもしれない幼馴染溺愛マイペースお姉さんと化している。

 

「リエさんリエさん」

「はーい」

「さっきセイアさんの車からこんなものを拝借してきたんですが」

「悪いな手癖が」

「あ、いかつい水鉄砲だ」

「はい、いかつい水鉄砲です。ミカさんから連絡が来るまでこれやりたいんですけど」

「んー、良いんじゃない?私このミニガンみたいなやつにするー」

「じゃあ私はこのスナイパーライフル的なもので」

「君達持ち主はガン無視かい?……まあ、元からこのバズーカみたいなのが本命ではあったが」

 

 こうして先生達が地盤沈下によって倒壊した宿泊棟の建て直しに奔走する中、彼女達は夕暮れの海で水鉄砲を撃ち、水風船を投げていた。

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