ミカとナギサの幼馴染   作:あるふぁせんとーり

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朝日奈リエ(Cv.上坂すみれ)


エデン条約・調印式編
記録18:ポストモーテム


「……先生?」

「……!……ごめん、少しウトウトしてた……」

 

 あの事件からしばらく経ったある日のこと。大聖堂の会議室で、先生はサクラコと話していた。先日の聖園ミカによるクーデター、ティーパーティーホスト桐藤ナギサの暴走、もう迫ってきているエデン条約調印式……トリニティには現在問題が山積みであった。

 

「……最近お忙しいのは存じ上げておりますが……分かりました。そろそろ本題に。……実際何が起きていたのか、現在の情報から整理してみます」

「整理……?」

「はい。『ポストモーテム』……即ち事件そのものの『司法解剖』です」

 

 そう言って、サクラコは分厚いファイルを何冊か持ってきて、机の上に置いた。先生は溜まっていた唾を飲んで、バシッと頬を叩いた。

 

「まず、事件当日から。セイアさんが襲撃されたのは夜中の3時頃。部屋が爆破されていたとのことです。その現場に最も早く訪れた……即ち、第一発見者の救護騎士団の蒼森ミネ団長は事態の緊急性を悟り、まず誰に報告するよりも先に、セイアさんを連れてトリニティ外部へ逃げ、セイアさんがヘイローを破壊されたように見える工作を施しました。「死人を殺そうとするものはいない」……セイアさんを守るには最適な方法だったと言えます」

「……まずミネが動いたんだ」

「はい。やり方はやや強引ではありますが、彼女は非常に聡明な方です。実際セイアさんが生きているという結論を出し、彼女の居場所まで辿り着いたのはリエさんただ一人です。ですから……」

「……あら?随分と面白くないお話をされてるんですね?」

 

 サクラコの話を遮って、聞き覚えのある声が響いた。

 

「……ハナコさん?」

「何でここに?」

「先生がまたトリニティにいらっしゃると聞いて、ならシスターフッドの方かなと思いまして。……まあ、退屈な先生への助け舟というやつです♡」

「……確かに退屈かもしれませんが、これは必要な……」

「ふふっ、相変わらずですね、サクラコさん。一旦真面目なことは置いておいて、私と甘い快楽にでも浸りませんか?サクラコさんなら良い反応が見れそうですし♡」

「……忘れているわけではありませんよね、あの約束」

「……もちろんです」

 

 どの約束だ、と先生は考えた。サクラコとハナコが交わすような約束に一つだけ、彼女には心当たりがあった。

 

「……あ、この前の……」

「はい、アリウスとの戦闘の際にハナコさんから要請されたシスターフッドの援軍、その交換条件です」

「それって……」

「……はい。私が、シスターフッドの言うことを何でも一つ聞く……「生徒の登校時の服装は裸のみ」……そんな校則を作り、トリニティに原初の楽園を蘇らせるという計画に手を貸す……そのような契約を交わしたんですよね♡」

「はい、その通……え?」

 

 サクラコは困惑を形にしたような声を出した。ハナコは明らかに可笑しいことを言っているはずだが、その顔はニコニコと微笑んでいて、言葉は淀みなく続く。

 

「まさかシスターフッドがそのようなことを企んでいるとは思いませんでしたが……この浦和ハナコ、これほど崇高な志をお持ちとあらば協力するしかありません。それにあの例外条項「シスターフッドのみはベールを被ることを認める」……あれほどまでに芸術に溢れた文章を私はまだ知りません。私も実現のために全力を尽くしましょう!」

「……え?いや、はい?」

「ですが、私から一つ提案が。シスターフッドのみベールを許可するのではなく、他にもティーパーティーならマントのみ、正義実現委員会なら靴下、一般生徒はリボンといったようにそれぞれ許可するアイテムを変えて様々な形を楽しめるようにするというのはいかがでしょう?これを認めてくだされば私より一層力を尽くせます!」

「……サクラコ、そんなこと考えてたの……?」

「そんな訳ないじゃないですか?!」

 

 サクラコは少し口調を荒らげた。先生は冗談っぽくサクラコにドン引きするような仕草をする。そして彼女はその気の立ったような口調で訂正した。

 

「ご自分で仰ったでしょう?!「私達がハナコさんの頼みを聞く代わりにハナコさんも私達からの頼みを聞く」!そういうお話だったはずでは?!」

「そういえば、そんなお話もありましたね」

 

 サクラコは大きくため息を付いた。

 

「本当はハナコさんにシスターフッドに加わっていただきたいのですが……それは彼女を追い詰めてしまうだけになるでしょうから……」

「……」

「……ですが、私達も呑気に「無干渉主義」とは言っていられません。これからのシスターフッドは政治的に大きな役割を果たすことになるでしょう。……その時、ハナコさんのような優れた才覚を持つ方の力を借りられる、というのは万が一があっても事態を好転させうるかもしれない、そういうお話です」

「はあ、別にその程度なら私は構わないのですが……はあ……」

「何故そのような顔を……私はあなたの趣味に付き合うつもりは……」

 

 真面目な話に引き戻されてしまい、少し残念そうな顔を浮かべるハナコ。先生はどっちのテンションに合わせれば良いのか分からず、とりあえず二人の話を聞いていた。

 

「……とりあえず、ハナコはどうしたいの?」

「先生……」

「……無理矢理、という訳ではありません。こちらもハナコさんの力を頼る訳ですので。……そろそろ、本題に戻りましょうか」

「はい、全裸登校のお話ですね♡」

「その通……いえ違います!」

 

 サクラコにそう言われて、ハナコはやれやれといった様子で目を瞑る。そしてしばらく考えた後に、口を開いた。

 

「……セイアちゃん襲撃事件について、でしたね」




長い説明回は分割にします
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