ミカとナギサの幼馴染   作:あるふぁせんとーり

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オリジナルがそこそこ多い回です!


記録41:再会

「……それで、さっきの話、もう少し詳しく良いかな?」

 

 時刻は23時手前。星光の差す古跡群を駆けながら、先生はミサキに問いかけた。

 

「アリウス自治区へは、トリニティの地下に広がるカタコンベを通らないと行けない。その入口は全部で300、だけど、その殆どが偽物。間違えたら、一生カタコンベで彷徨う羽目になる」

「ああ、だからアリウスではその入口とカタコンベのルートを暗号で連絡している。カタコンベは、一定周期で中身が変わるからな」

「中身が……?」

「そう。この前は通れたはずの道が行き止まりになったり、方向を見失ったり……まあ、前の道を当てにすると迷子になるってこと。どんな仕組みかは分からないけど……要は、入るたびに中身の変わる大迷宮とでも思って」

「はい……ですが、今の私達にはどれが正しい入り口なのか分からないので……」

「ああ。逃げた猟犬に帰り道を伝える必要などないからな」

「で、ですがまだ一つだけ……使えるはずの入り口が……」

「……でも、それも今日中。だから、あと一時間くらいしかない。もし間に合わなかったら……」

「……もう、アリウスへは戻れない。アツコを助けるなど不可能に──」

 

 そう言いかけたサオリのコートを弾丸が掠める。

 

「いたぞ!『スクワッド』だ!」

「やはりここに来た!総員、戦闘準備!」

「……やっぱりね」

「ああ、こちらも戦闘準備だ」

「は、はい!」

「みんな、やろう!」

「……手負いの猟犬の意地、その目に焼き付けてやる」

 


 

「あ、あれ……?ずいぶんあっさりと……?」

「……なるほど、これが大人の……先生の力?……これなら、もしかするかも……」

「喋ってる暇はない、先を急ぐぞ」

 

 先生の指揮の下、アリウスの軍勢を下した彼女達。時間切れまではもう一時間を切っていて、彼女達はカタコンベの入り口へ繋がる地下道を急いでいた。

 

「……ええっと、さっきの様子を見る限りここにも……」

「ああ、おそらく待ち構えているだろうな。アリウスならば当然知っている道だ」

「で、ではどうしましょう……?」

「迂回も、他の道を探すのも無理。なら……」

「了解、強行突破だね!」

 

 そう言って、先生はファイティングポーズをとった。サオリもミサキもヒヨリもその意見に同意して彼女の前に立つ。

 

「……ここから先は相手のレベルも上がる……いわば精鋭かな」

「ああ、だから先生は少し後ろにいてくれ」

「も、もちろん力はお借りしてしまうんですが……」

「うん、任せて!」

「……行くぞ!」

 


 

「馬鹿な……何故これほどの……?!」

「だ、ダメだ……ここは……もう……」

 

 アリウスの精鋭までも強行突破し、先へ進もうとしたアリウススクワッド。だが、その背後を一人の生徒が強襲した。

 

「……?!」

 

 そして爆煙に満たされて何も見えなくなる中、スクワッドにとっても聞き慣れた笑い声が響く。

 

「あ!やっぱりここにいた!あっはは!結構探したんだから!」

「……聖園……ミカ……」

「ほらほら!悪役登場だよ?もっとはしゃぎなって!三人ともさ!」

「……」

「ねえねえ笑顔笑顔!久々の再会なんだから!……そんな『魔女』でも見たような顔しないでさぁっ!!」

 


 

「……今戻った!状況は?!」

「……!リエ様……!現在セイア様が搬送されナギサ様はそちらに!ミカ様は脱獄から行方が掴めません!」

「脱獄時の状況は?!」

「セイア様が倒れてから数十分後……そうです、また部屋の外ではデモが……で、ですがそちらの情報はまとめてありますので……」

 

 行政官を質問攻めにしながらリエは必死に思考を回した。ミカの失踪も、セイアが倒れたのも、アリウスに無関係なはずがない、そう信じて今ある情報に片っ端から辻褄を合わせる。そして思考の波に飲み込まれそうになった時、駆け寄ってきた後輩が彼女に声を掛けた。

 

「あ、あの……お客様が……」

「……ちょっと待って、今は……」

「い、いえその……」

 

 後輩の後ろから、猫背の彼女が姿を現した。

 

「もう来ちゃってます……」

「……ウイ?何でここに?」

「あ、あの……その……この子……」

 

 そう言って、ウイは一つの封筒をリエに差し出した。

 

「……これ……何かの、資料?」

「いえ、多分……」

 

 リエは封を閉じていた紐を解くと中から数枚の便箋を取り出した。

 

「……いや、違う……?まさか、これ……」

「はい、手紙です。おそらく、リエさん宛の……」

 

 おそらく?と少し疑問を抱いて中身を覗く。その差出人を見て、リエは息を飲んだ。

 

「初代オブザーバー……『白菊アイカ』……?」

 


 

 初代として、このような重荷を残してしまうこと、本当に申し訳なく思っています。ですが、これを読んでいるあなたがそれを為せる傑物であることを信じて、この手紙を記します。

 

 今のあなたにとって既知の事実であることを望みますが、トリニティ総合学園はアリウス分派の犠牲の上で成り立っています。パテル、フィリウス、サンクトゥス……多くの派閥が集まって形作られたこのトリニティ総合学園の力の最初の矛先として選ばれたのは、唯一その答えに反対したアリウス分派でした。トリニティの武力たるユスティナ聖徒会による苛烈な迫害が行われ、私はその中でオブザーバーの役目を果たそうとしましたが、力及ばず、彼女らをカタコンベの果てへ逃がすことしか出来ませんでした。

 

 ですから、この先をあなたに託します。もし、私達のトリニティが、数十年、数百年の内に彼女達と相対することがあったのなら、どうか、彼女達を助けて欲しい。例え互いに恨み辛みが積もっていたとしても、どうかその手を握ってあげてほしい。

 

 無責任なのは自分でも分かっています。だけど、再びアリウスがトリニティとなる日を、彼女達と共に笑える日を私は思わずにはいられない。ですから、どうかこの祈りがあなたに届くことを願っています。

 

初代ティーパーティーオブザーバー、白菊アイカ

 


 

「……めて」

「は、はい?」

「片っ端からアリウスに関する情報集めて……!」

 

 リエは手紙を持って俯いたまま、後輩に言った。その場から去ろうとしたウイにも、協力してと声を掛ける。

 

「うう……私はそれを届けに来ただけで……」

「いいから手伝って!図書委員会だけじゃない、ティーパーティーもシスターフッドも正義実現委員会も全部動かして!」

「わ、分かりました!ですがどうして……」

「全部どうにかする方法思い付いたから!」

「そ、それって……?」

 

 手紙を封筒に仕舞い直した彼女に、後輩は訪ねた。強烈な意志を宿したような瞳を向けて、リエは強く答えた。

 

「『アリウス』の併合を!!全ては、ティーパーティーオブザーバー、朝日奈リエが引き受ける!!」

 

 トリニティ総合学園の歴史上、最も凄絶な一夜が幕を開けた。




初代さん達の話いつか書きたい
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