ミカとナギサの幼馴染   作:あるふぁせんとーり

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ティーパーティーが下らないことをするミニゲーム集です!


記録59:祭

「……何ここ?」

「銭湯……?」

 

 七階に上がった一行は困惑した。

 そこに広がっていた景色は、今までのような意地の悪いトラップや障害ではなく、木目調の脱衣所……まさしく、先生が口にしたような『銭湯』の脱衣所だった。

 

「お待ちしていました。ここまでお疲れ様です」

 

 再び姿を現した『クロノスエンタメ部』、興ユナ。

 しかし、先程までとは装いを変えている。

 なんだっけな、とミカは少し頭を捻った後に彼女を指差した。

 

「……そうだ!『浴衣』だよね?!百鬼夜行の!」

「そうだね。昔見たような覚えがある」

「はい、皆様の分もご用意致しましたので、こちらでお着替えお願いします」

「……あ、配信大丈夫……?」

「問題ないです。今は歴代の総集編的なのを流してます」

 

 そう言って、彼女は先生達一人ずつに脱衣所の鍵を手渡した。

 そしてその鍵でロッカーを開けると、そこには鮮やかな色浴衣。

 ミカは大急ぎで水着を脱ぎ捨てると、移されていた下着と共にその浴衣に袖を通した。

 くるりと一回転しながら鏡を見ると、その柄は撫子。

 彼女だけではなく全員分、それぞれ違った浴衣がオーダーメイドで用意されていた。

 

「……これは……藤、でしょうか?」

「なるほど、百合か」

「……ひまわり、悪くない」

「お、柳だ!」

 

 彼女達も装いを変えると、意気揚々と新たな舞台に繰り出した。

 


 

「んで、今までのやつざっと見てもらったんだけど、二人はどれが気になった?」

「私は……やはり効きスイーツの企画が……」

「私もハスミさんと同じです。にしても皆さんとても楽しそうに頑張っていて……シスターフッドで参加してみるのも悪くないかもしれません」

「お、乗り気?!良いじゃん良いじゃん!マジヤバな企画用意して待ってるかんね!……っと、そろそろご登場っぽい!」

 

 映し出された中継を見て、ランコはマイクを握り直す。

 

「7階から14階は纏めて『夏祭り』!!全力で楽しんでね!!」

「『お祭り運営委員会』の協力、誠に感謝します」

 


 

「おや」

「ふふっ。この雰囲気、悪くないかも」

 

 賑やかな人の声と、軽やかな祭拍子が辺りに響いている。

 遥か高い天井には限りなく本物に近い月夜が広がっていて、またその雰囲気を一層味わい深くする。

 巾着片手にはしゃぐ先生とミカの後を追って、リエ達も人混みの中に飛び込んだ。

 

「リンゴあめ一つちょうだい!」

「あいよ、300円!」

「えっと、それは……」

「ベビーカステラ。お嬢ちゃんもどうだい?」

「あ、はい、一袋お願いします」

「かき氷、メロン味で頼むよ」

「どうぞ、頭痛くなんないようにね」

「鶏皮の塩、二本お願いします」

「ほいよ!かわい子ちゃんには一本おまけだ!」

「イカ焼き、マヨと七味多めね!」

「お、姉ちゃん分かってるねぇ!ビールもどうだい?!」

「ムリムリ私仕事中だし!」

 

 これが試練の課される『クロノス・1D・チャレンジ』であることをすっかり忘れて、祭に興じる五人。

 そしてさっきのニジマスと合わせてお腹いっぱいになった頃、彼女達は思い出した。

 

「……そういえば、今回の課題は何でしょうか?」

「確かに、まだ知らされていなかったね」

「なんだろうね?まさか自分で探すところから、とか?」

「あっはっは!それだったら鬼畜だね!」

「『あ、正解!』」

 

 また楽しげな、或いは人を手のひらで転がして笑う悪魔のような笑い声が響いた。

 そして思わぬ命中にリエはお好み焼きが肺に詰まって咽た。

 

「……心当たりあるかい?ミカ」

「ぜーんぜん」

「……ということは……」

「うん、多分……」

「……総当たりしかないよね!!」

 


 

「……無理、疲れた」

「……射的は……?」

「ミカさんが……屋台ごと全取りを……」

「……じゃあ、金魚すくいは……?」

「リエさんが……百匹以上……黒いのも……金色のも……」

 

 出発地点に戻り、息を整える一同。

 手元には射的やくじ引きの景品やら金魚やらスーパーボールやらが山盛りになっている。

 時刻は1時過ぎ、残りの階を考えると流石に出発したい、そう考えていたところで先生が閃いた。

 

「かたぬき!!!」

 

 走り出した彼女の後に続いて彼女達も出発する。

 かたぬき、それは謎のお菓子っぽいやつを爪楊枝でくり抜く遊びにして、おおよそ全ての祭の最高難度に君臨するラスボス。

 

「余裕」

 

 朝日奈リエ、一撃突破。

 使用金額200円。

 

「少し難しいね」

 

 百合園セイア、挑戦回数3回。

 使用金額600円。

 

「いやあ、中々思い出せなかった!」

 

 先生、挑戦回数7回。

 使用金額1400円。

 

「ううぅ……脆すぎだって……」

 

 聖園ミカ、挑戦回数15回。

 使用金額3000円。

 そして……。

 

「……はぁ……これで……これで……」

 

 桐藤ナギサ、挑戦回数76回。

 使用金額15200円。

 

ティーパーティー、『祭』クリア。




楽しそうなティーパーティーは健康に良い
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