「……?!部長ヤバいこと起きてます、腰抜け不可避です」
「マジ?!ここに来てトラブルはガチ萎えだが?!」
「いや、同接……50万越えてます。イカれ発狂不可避ですよこれ」
「50万?!マジでマジで?!マジじゃん!!」
マナミのモニターを覗き込み、ランコは轟くような大歓声を上げた。
「え、ウソウソやばくね?!」
「はい、ヤバいです。このままならポイチャ*1も1000万不可避です」
「ウッソウソウソ?!ポイチャだけで企画元取れちゃうじゃん?!まだまだ見せ場残ってんのに!ああもう!」
彼女は酷く興奮した様子でスタッフ用インカムのスイッチを入れた。
「お前ら後半もブチ上げんかんな!!」
「『さあ来た後半16階!!まだまだ先は長いよティーパーティー!』」
エレベーターが上がる中、相変わらずの調子で彼女の実況は響く。
そして視界が開けると、今度は振り出しに戻ったかのような広い砂浜。
「『まあでもレースお疲れ様というわけで後半一発目は箸休め!『サイレント・ビーチフラッグス』!!』」
そしてそのテンションで軽くルールが解説される。
チームから一人参加すること、号砲は使われず合図は対戦相手のロボの発進、フラッグは100m先……要は、一人だけ強制出遅れのビーチフラッグだった。
「……じゃあ、私か」
リエは荷物を置くとスタスタとスタートラインに寝転がり、顔を伏せた。
他の四人もそれが当然と言った様子でビーチパラソルの下、彼女を見守っている。
「『んじゃ『サイレント・ビーチフラッグス』!!スタート!!』」
高らかに開幕が告げられた。
数秒、十数秒のひたすらの沈黙が流れた後に、その命令を受け取ったロボットのモーターが動き始める。
そして彼らが地面を蹴った、その瞬間だった。
「よっと」
「『……え?』」
ほんの僅かに先を行ったロボット達を軽く置き去りにし、リエはゴールで旗を振っていた。
困惑するランコに、解説席のサクラコが捕捉する。
「『リエさんは本当に何でも出来てしまいます。それは『走る』という行為も例外ではありません。100m7.3秒、私が記憶する限り、現在のトリニティでは最速の筈です』」
「『マジで?!もはやなんかズルくない?出来ないこととかないん?』」
「『……あ、確かリエは絵が描けません。致命的に』」
「バラさないでよハスミ」
唐突にコンプレックスをバラされたリエが不満そうに解説席のハスミにつぶやく。
けれどもこれで16階は大楽勝。
彼女はまだビーチパラソルの角度を調整している最中の先生達に声を掛け、エレベーターに乗り込んだ。
「『次17階!『流しそうめんinガチ激流』!!」
「右だね、取ってくれミカ」
「『突破!!』」
「『夏だ!火薬だ!18階『花火シューティング』!!』」
「優雅なティータイムに音楽は欠かせませんね」
「『突破!!』」
「夏は夜、あと蛍!誰かもそう言ってたらしい!19階『ウォッチング蛍ナイトウォーク』!!』」
「うわこっち来た!なんでまた虫?!なんでまた虫?!」
「来ないで先生!違うそうじゃなくて!助けて!助けてナギちゃん!!」
「……あ、アレですかね?」
「多分そうだと思う」
「『突破!!』」
「『さ、次次!と言ってもそろそろ休憩欲しいよね!』」
「まあ、欲しくないと言えば嘘になりますが……」
もうすっかり慣れて実況と会話し始める彼女達。
そしてそのハイテンションのまま、20階の課題はエレベーター内で示された。
「「夏はスポーツ!スポーツといえばど根性!という訳で20階『サウナチキチキ耐久レース』!!』」
エレベーターが開いた瞬間、リエは呟いた。
「あっつ」
ちょっとゆるいナギミカもあるのでそっちもお願いします!