ミカとナギサの幼馴染   作:あるふぁせんとーり

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役には立たないらしい


記録66:逃げるは恥だがなんとやら

「要はあと5……違うな、4階でアレを削り切れば良いってこと?」

「おそらくそういうことだろうね」

「『そうそう今のうちに作戦会議しときなね!!次はそんな暇なさそうだし!!』」

 

丁度彼女が言い終えたと同時にエレベーターが開いて、彼女達は次の階へ足を踏み入れた。

目の前は砂浜と広い海、そして浮かぶ海上都市。

リエ達の傍らにはバナナボートと一台のウォーターバイクが置いてある。

 

「……まだ姿は現さない……か」

「それで……この階はどうすれば良いんでしょうか?」

「……ミカ、私をバナナボートに縛り付けてくれ」

「……え?」

 

ミカが首を傾げて聞き返すが、セイアは何も言わず何処からか取り出したロープをミカに渡す。

しょうがなく、彼女はセイアをバナナボートに頑丈に括り付けた。

 

「えっと……これで大丈夫?」

「ああ。……それと先生、シマエナガくんを頼んだよ」

「任せて!」

 

先生が胸をドンと叩くと、シマエナガくんはスッとラッシュガードのポケットに入り込んだ。

居心地良さそうに、彼は麦わら帽子を被り直した。

 

「……では運転は……」

「分かった、私がやるよ」

 

リエは軽く答えると、バナナボートと繋がれたウォーターバイクにまたがった。

そしてナギサ達も次々とバナナボートにまたがり、その持ち手を握る。

 

「『お、間に合ったね!それじゃあ行くぞ27階『逃げるは恥だがなんとやら』!!』」

「……逃げる?」

 

先生が首を傾げた瞬間、背後で轟くような咆哮が響く。

それと同時に、リエは一気にウォーターバイクのエンジンを吹かした。

 

「っ、来た!!」

 

ギュンッと一気に加速して、ティーパーティーは一気に沖に出た。

そしてその後をウミヘビのようにビナーは追いかける。

 

「リエちゃん免許あるの?!大丈夫?!」

「ここ私有地だから大丈夫……だと思う。……初めてだけど」

 

こうしてティーパーティーvsビナー二回戦、水上鬼ごっこが幕を開けた。

 


 

「リエ、右だ」

「了解」

 

運転する内に順応してきたリエは、バナナボートを引っ張りながら海上都市の水路を逃げまくる。

しかしビナーも負けじと建物を破壊しながら距離を詰めてくる。

バナナボートの面々が必死にしがみつく中、「ああ、縛り付けてもらって正解だった」とセイアは青い人工の空を眺めて思った。

 

「でも逃げ回るだけじゃキリなくない?この状況じゃ反撃しようもないけどさ!」

「……うぷ……確かに、ミカさんの言う通りです。……ふぅ、クリア条件も明かされていませんし……」

「……そうだ、どこかに出口あるんじゃない?!さっきみたいにさ!」

「了解、探してみ……いや、待って」

 

リエは少しだけ考えた。

壊せるように作られた海上都市、少なすぎる手がかり、そして彼女の言葉。

 

「逃げるは恥だが……。っ!分かった!!

 

そう叫んで、リエは思いっ切りハンドルを切った。

バイクが向いた方向は、スタート地点の砂浜。

「そういうことか」とセイアは手を叩こうとした。

 


 

「どういうことですか?リエさん」

 

ウォーターバイクを降り、セイアの拘束を解くリエに、ナギサは問いかけた。

 

「あの人言ってたでしょ?「逃げるは恥だがなんとやら」って。最初はビナーから逃げろってことだと思ってたけど……そうすると『恥』っていうのが引っかかる。で、戦場で『恥』といえば敵前逃亡。そしてあの状況で敵前逃亡出来る場所は……」

「……このエレベーターだけ、というわけだね」

 

そう答えたセイアに対し、リエはコクリと頷いてエレベーターのボタンを押す。

その瞬間、彼女の大きな声が響いた。

 

「『コングラッチュレーション!!よく気づいたねリエちゃん!!ティーパーティー、27階クリアー!!』」

 

そして開いたエレベーターに彼女達は乗り込んだ。

さっきよりもかなり短い時間で止まり、扉は開いた。

 

「……ここは……?」

 

「『ここが正真正銘最後の休憩ポイント!!装備も調子も整えて最終決戦に挑んでね!!28階、『勇者のオアシス』!!』」

 

広がっていたのは、大型ホームセンターの景色だった。

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