「『さあここまで来たティーパーティー、待ち構えてる最終決戦、最上階の30階で私達は待ってるよ!』」
彼女の高らかな声がインカムから鳴る中、ティーパーティーは今までで一番長いエレベーターの時間を過ごしていた。
「そんなにいるかなぁ」と先生は大量の対戦車ミサイルを抱えるミカに問いかけるが、彼女は「備えあれば憂いなしってやつだよ!」と言って笑う。
まもなく最後の戦いに突入する中で、彼女達にとって幸運だったのは、29階でステージは最後ということ。
想定よりはマシになったとナギサは胸を撫で下ろした。
「それで……例のものは用意していただけましたか?」
「『もちもち!!最後だし大サービス!!ってかあんな方法で頼まれちゃったら断れないよね!!』」
そしてエレベーターの扉が開き、彼女達の目の前に姿を現したのは桟橋に着けられた一隻の艦艇。
「な、ナギちゃん、これ……」
「……なるほど、そういうことか」
「やっぱり悪くないね、これ」
「これは……何?」
「そういえば、先生はご存知ありませんでしたね」
ナギサはそれに近寄ると、その外壁に触れて言った。
「こちらが正義実現委員会の海上警備隊が採用している戦闘艇の一つ、ミサイル艇『サール』です」
話は少し前に遡る。
ホームセンターを彼女達が見て回る中で、ナギサはリエに声を掛けた。
「リエさん、少し来てくださいませんか?」
「了解」
「やっぱり徹甲弾、じゃ少し厳しそうだし……HEATが良いかな?」
「そうだね、あの装甲を貫くなら……ん?」
「だよね〜、あと対戦車ミサイルとかも用意しておこ……セイアちゃんどうかした?」
「いや、リエとナギサの姿が見当たらなくてね」
ホームセンターの弾薬、装備売り場から離れ、彼女達はサービスカウンターやバックヤードの方向へ向かっていた。
「で、どうするのさ?」
「まず電話を探します。ホームセンターを再現した空間ならそれくらいあるはずですので」
「なら人手必要じゃない?何で私だけ?」
「あんまり目立ってもいけませんから。だって……」
「だって?」
「……ふふっ、隠し玉は隠してこそ、エンターテイメント……でしょう?」
「あははっ、そうかも」
そして二人はしばらく固定電話を探していた後、サービスカウンターの影に隠れていたのをリエは発見した。
「……あ、あった」
「……!本当ですか?!でしたら私に──」
「ううん、分かってるから」
そう言うと、彼女は慣れた手付きで固定電話のボタンを押す。
丁度、ナギサが掛けようとしていた連絡先だった。
「『はいこちらクロノスエンタメ部です。配信中ですけど何のご用です?』」
「あ、ティーパーティーの朝日奈リエだけど」
「『……!今は28階で……』」
「うん、装備整えてるんだけどさ。ここのルールって『外に出ない』って一つだけだよね?」
「『……はい、そうです。あってます』」
ナギサが言おうとしていたこととそのままそっくり同じようなことを口にするリエ。
淀みなく出てくる言葉に、「これだからリエさんは」と彼女は少し微笑んだ。
「……じゃあ、あとはうちの
「『……はい、ご注文はなんですか?』」
「『サール』と、ありったけの弾薬を」
「……よしっ!これで全部だよ!」
ナギサとセイアが操艦システムを確認し、先生が操縦に関するレクチャーを受ける中、対戦車ミサイルやHEATを積んでいたミカとリエ。
そして積み終わった瞬間に、またもハイテンションな彼女の実況が響く。
「『お、今回もきっちり間に合ってんね!!』」
「『これが最後の戦いだそうです。……皆様、健闘を祈ります』」
「『はい。……どうか屋台のスイーツを共に食べられることを楽しみにしています!もう一杯お代わりいいですか?』」
「『んじゃ行くぞ最終決戦!!『常夏大海戦!!vs『サマエルくん3号』!!!』」
「……あ、あれビナーって奴じゃないんだ……」
リエがそう呟いた瞬間、大海原のド真ん中にビナー……いや、『サマエルくん3号』は姿を現し、大きく吠えた。
「……行こう、みんな!!」
ティーパーティーの夏は最高潮だった。
(この辺で戦闘パート)