ミカとナギサの幼馴染   作:あるふぁせんとーり

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こういう回書くの苦手


記録83:ウトナピシュティムの本船

「……驚いた」

 

あれからしばらく。

一部の生徒がシャーレの手によって、アビドス砂漠に呼び出された。

トリニティからはリエとハナコ。

流石に砂漠は準備しないとな、とリエはこの前古聖堂防衛戦で活躍したばかりの装甲車のハンドルを握った。

そして正規ルートを無視してショートカットにしばらく道無き道を行った先、『カイザーPMC』と書かれた壁を越えた向こうにそれはあった。

 

「……凄いね、ハナコ」

「はい。聞いた通り……まさしく『宇宙戦艦』ですね」

「あ、来た来た!!」

 

連絡にあった『ウトナピシュティムの本船』の搭乗口と思わしき場所の前で先生が手を振っている。

そこには既に連邦生徒会とミレニアムからヒマリと生徒会『セミナー』の会計、早瀬ユウカ。

そして後からゲヘナから風紀委員会行政官、天雨アコと便利屋68課長、鬼方カヨコが合流する。

全員が揃ったところで、彼女達はその『宇宙戦艦』に足を踏み入れた。

 

「意外と広い……?」

「……ひとまずオペレーションルームを探しましょうか」

 

天井の高い通路を歩きながらユウカが呟いた。

確かに少し広めかも、と電子回路が張り巡らされた壁を眺めるリエは考えていた。

先頭を行く先生はハナコの提案に頷き、取り敢えずの目標はオペレーションルーム探し。

リエもユウカに代わってヒマリの車椅子を押しながら艦内を回った。

 

「……気づいていますか?」

「……まあ。これ、『宇宙戦艦』って言うよりも──」

「……あ、あった!」

 

少し遠くで聞こえた先生の声。

リエは再びヒマリの車椅子を押してその声の方へ向かった。

 


 

「……なるほど」

「UIは分かりやすいね」

 

操縦席の一席に腰掛けてリエとヒマリは画面を覗いた。

操縦室はかなりの規模で、少なくともオペレーターだけで10人は必要だろう。

それだけじゃない、地上で管制する人間も必要と考えると相当だ。

リエは苦笑いした。

 

「……どうしましょうか……リン先輩……」

「説明や解説!そして『宇宙戦艦』とあれば私達の出番です!!」

「おお〜これが……」

「宇宙戦艦……実に興味深いね」

 

オペレーションルームの入り口に立って大きな声で告げた彼女の名は豊見コトリ。

そして彼女とともに楽しそうに笑みを浮かべる猫塚ヒビキと白石ウタハ。

そう、彼女達こそはミレニアムの誇るキヴォトス最強の技術者集団『エンジニア部』である。

 

「宇宙戦艦……最終決戦装備ですね!アリス知ってます!!」

 

さらに彼女達に付いてきた小さな女の子。

巨大なレールガンを背負った彼女は天童アリス。

『努力、友情、光のロマン』を掲げる『ゲーム開発部』の期待の新星だ。

 

「『超古代兵器』……ふふっ……ふふふっ……やはり私達の研究は間違っていなかった!そう、そのレールガンはこのために……!」

 

そう言って部長であるウタハはアリスの背負ったレールガンを指さした。

何を隠そう、そのレールガン、『光の剣:スーパーノヴァ』こそかつて同じような宇宙戦艦を作ることを目論んだエンジニア部がその主砲として四半期分の予算を注ぎ込んで開発したものである。

予算切れで宇宙戦艦開発は断念された。

 

「……っていうかアリスちゃん?!何でこんなところに来てるのよ?!ミレニアムの安全なところで大人しくしててって言ったじゃない!」

 

彼女の属するゲーム開発部の面倒をよく見てるユウカは少し焦った様子で口にした。

そして彼女がアリスを帰そうとしたその時、少し遅れてやってきたゲーム開発部の面々が合流し、彼女達は楽しそうに宇宙戦艦探索に乗り出した。

 

「ああもう待ちなさいって!」

「その必要はありませんよ」

「……え?どういうことですかヒマリ先輩?」

「ここにはシャーレの『先生』がいらっしゃるんです、見方によってはここは今キヴォトスで最も安全な場所では?」

「……それは……そうだけど……」

 

ため息を吐いたユウカ。

操縦室のOSの解析がヒマリ達の手によって進む中、リエは一人離れて物理的な解析に乗り出していた。

 


 

「……あ」

「君は……」

 

偶然、同じように内部を調べていたエンジニア部と遭遇した彼女。

何処かで見た気がすると言った顔でウタハは悩んでいた。

 

「部長、あれじゃない?『リモコン*1』のグレネードの……」

「……それだ。すまない、少しグレネードランチャーを見せてもらっても良いかい?」

「……まあ、良いですけど……」

 

そういえば、一回だけ出して金賞もらったような気がする。

少し懐かしいことを思い出しながら、リエはハンドバッグから『Seraph's punishment』を取り出して彼女達に渡した。

 

「……これは……」

「凄い、外面はほとんど変えずに……これだけの火力強化……」

「こ、これ時間差爆破まで……?!」

「あ、それはここ弄って……」

「……!そうか、その手があったか……」

 

宇宙戦艦そっちのけで銃火器談義に入った彼女達。

元の目的を思い出すにはもう少し時間が必要だった。

*1
『キヴォトス・リモデル・コンテスト』、生徒達が自らの手で改造した武器のお披露目をする舞台。その手のマニアにとっては最大級の権威らしい




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