ミカとナギサの幼馴染   作:あるふぁせんとーり

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記録88:第8サンクトゥム攻略戦

「ミカ、中央のオルガンだ!」

「オッケー☆」

 

彼女の声に答え、ミカは鋭くその照準を舞台中央の表裏がそれぞれ白黒になったオルガンに合わせる。

放たれた強烈な一撃が着弾すると同時に、それは裏返って白い面を『グレゴリオ』に向けた。

そして一瞬の間を置いてタクトが振り抜かれると、『聖歌隊』諸共『グレゴリオ』の装甲が僅かに剥がれる。

 

「ナギサ、こっち!」

「承知しました……!」

 

その隙を見逃さず、囮となって『聖歌隊』を誘導していたリエが素早く手を挙げる。

ナギサはすぐさま狙いを定め、クルセイダー巡航戦車の主砲を『聖歌隊』の塊に叩き込んだ。

鳴り響く旋律を掻き消すほどの爆音に『グレゴリオ』の動きが一瞬鈍るも、それは再び高らかにタクトを振り、オルガンを奏でる。

 

「……まだやる気かぁ……」

「……まあ、歯応えはありそうかな?」

 

グレネードランチャーをリロードするリエと、制服の埃を払うミカ。

二人は肩を並べ、目の前の『色彩』に向き直った。

 


 

トリニティ中央区、トリニティ学立音楽堂に出現した第8サンクトゥム。

その守護者こそが『色彩』に飲み込まれた『聖徒の交わり(Communio sanctorum)』、『グレゴリオ』。

『指揮者』と『奏者』、二つの首無しが背中合わせに繋がった『マエストロ』の異形の作品。

同じく顔無しの『聖歌隊』を従えて、それは魔境と化した舞台の中心で高らかに何かに捧ぐ聖歌を奏でていた。

 

そして出現から7分34秒後。

劇場の壁を打ち破り、一台のクルセイダー巡航戦車が『虚妄のサンクトゥム』に突入した。

そしてそれが舞台に上がると同時に二人の少女が戦車から飛び降り、全ての準備を整えた『ティーパーティー』が『グレゴリオ』に対峙する。

 

時刻は現在17時。

夕焼けの朱が崩れた壁の隙間から差し込む中、彼女達は言葉を交わす。

「いつまでに終わらせれば良いんだっけ?」と問いかけるミカに「アレが死ぬまで」と冷静に答えるリエ。

トリニティ最高戦力たる二人、聖園ミカと朝日奈リエが前線を維持し、桐藤ナギサと百合園セイアが戦車から支援を行う、恐らく現在のトリニティにおける最強の『少数精鋭』。

その戦いは、『グレゴリオ』のオルガンの音と共に幕を開けた。

 


 

「っ……!」

「……」

 

『グレゴリオ』率いる『聖歌隊』、それらの武器は『旋律』。

奏でられる激しく、厳か、それでいて美しい旋律は耳を傾けた者の心身を共に掻き乱す。

特に至近距離でその音色に晒されているミカとリエへの影響は大きい。

しかし、彼女達もそれに甘んじるつもりはサラサラ無かった。

 

「あっは☆命中〜☆」

 

ミカの放った弾丸は躊躇なくターゲットに致命傷を与え……。

 

「『静粛に』」

 

リエの言い放った一声はその旋律を掻き消して音楽堂に木霊する。

 

そして、百合園セイアが探った一つの明確な対抗策。

それこそが『妨害(デバフ)』。

 

「リエ、燃やせ!」

「了解!」

 

『聖歌隊』の放った旋律を空中で受け流し、リエはその翼で身を翻す。

そして合わせた照準の先には『聖歌隊』。

叩き込んだ榴弾が炸裂すると同時に、何も受けていないはずの『グレゴリオ』にも火が付き、少し演奏が鈍る。

 

「ナギサ」

「ええ」

 

そして燃え盛る『聖歌隊』ごとナギサは『グレゴリオ』に狙いを定めて主砲の引き金を引く。

『聖歌隊』が吹き飛ばされ、そして『グレゴリオ』の身体に少しヒビが入りまた演奏が鈍る。

 

そう、それこそがセイアの解決策。

最高の音楽、最高の儀式とは、あらゆる要素が完全であって初めて成り立つもの。

だとすれば逆説的に『妨害(デバフ)』でその完全性を削ぎ落としてしまえばその意味は薄くなり、その旋律は心を揺さぶるものではなくなる。

そして、『グレゴリオ』は『聖歌隊』であり、『聖歌隊』は『グレゴリオ』そのものである。

即ち、そこに発生するのは『状態の共有』。

『聖歌隊』の装甲を削ぎ落とし、その音色を乱せば『グレゴリオ』の装甲も削がれ、音色が乱れる。

 

「セイアさん……!」

「ああ、()()()()()()()()『聖歌隊』を殴り続ける……!」

 

彼女達の最終決戦が幕を開けた。




(ここから戦闘パート)

リエは味方全体にデバフ無効を撒けるぞ!
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