誰が為に私は魔女になる   作:オオル

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お久しぶりです。単純にリアルが忙しくて執筆する余裕がありませんでした!本日、急いで執筆しましたが故に誤字脱字はあるかと思います!後日修正するのでお許しを!

それとあとがきにクシナちゃんのイメージイラストを挿絵として載せてます!是非ご覧ください!

実はブルアカ用のX(旧Twitter)の垢がございますので載せておきます。フォローしてもいいよと心が広い方はフォローしていただけると嬉しいです!

URL:https://x.com/oo_ru03

ではどうぞ!


因果応報という言葉を知っていますか?

 サオリ姉さんがクシナを連れてきた時、私はサオリ姉さんの無責任さに呆れた。

 

 またサオリ姉さんの無意味なエゴを押し付けられ、クシナと呼ばれた少女は私のように苦痛に虐げられながら存命しなければならない。なんて哀れな少女なのだと同情していた。

 

 それにヒヨリや姫を守りクシナも守りながら生き続けることは強くもなければ、体が弱い私には無理な話だった。

 

 正直いっその事、クシナには自害して楽になってほしいとも思っていた。

 生きていてもいいことなんて何も無い。私達は肉体という魂の檻に囚われ、囚われている限り苦痛や空腹を感じてしまう。

 だから私はクシナが自害する、もしくはここから離れて野垂れ死にすることを望み、肉体の檻から解放されるよう私はクシナを避けるような行動を取った。

 

 私が家族に加わることを拒めば居心地が悪くなるに違いない。だけど…クシナはそんなことを気にもせず、しまいには私とも家族として仲良くなりたいと言い出した。

 

 先程、クシナがうちに来た理由を問うた。するとどうだろうか。実の姉が亡くなり、姉と一緒に生きたいという生きる意味が無くなったにも関わず、サオリ姉に生きるようエゴを押し付けられても、私達と出会えたから生きててよかったと語った。

 

 到底理解できなかった。尽かさず私はこの世界が残酷である限り、今の生活が続くと語っても大丈夫だと、私がみんなを幸せにすると笑顔で答えた。

 夢の戯言だと伝えてもクシナは1歩も引かずに自身の考えを語った。

 

 やはり理解できなかった。考えが浅い。あまりにも浅はかすぎる……なのに、何故そんな真剣な眼差しで夢物語を語る事ができるのか。何を根拠にその夢を、クシナが望む世界を創造できるのかわからない。

 

「(なのに…なんであんなに…!)」

 

 何故、この状況で希望もない未来に対してあれ程、目を輝かせながら語る事ができるのか。復讐するだとか、幸せな世界を創造するだとか、簡単な所業ではない。寧ろ辛い、苦しい、修羅の道だ。

 

 復讐となれば争いが起き、外の世界に住む場所を作るとなれば他の自治区から土地を奪うことになるのだから抗争する必要がある。

 

「(なんの実力もない。サオリ姉さんよりも何もかも劣っているクシナにそんなこと…できるはずがない)」

 

 下を向き、クシナの今までの発言の内容を振り返っていたところで周囲に銃声がいくつも鳴り響く。

 どうやらクシナとアリウス生達との戦闘が始まったようだ。

 

「!」

 

 岩に登っていたクシナが文字通り落ちてきた。

 

 一斉射撃された弾丸をその身に受け、倒れて落ちてきた…と思った。

 瞬間、クシナは後方宙返りを行い見事に地面へ着地する。尽かさず足に力を込めて岩場から飛び出した。

 

「…………………………………………………………」

 

 岩場から飛び出したクシナの様子を暫し眺める。それはクシナが自分の戦う様を見ててほしいと語っていたからだ。

 戦うんだ。抗うんだ。と、あんなに大口を叩いたんだ。さぞ素晴らしい身体能力をお持ちのはず。

 

 案の定クシナは目の前に現れたアリウス生をいとも簡単に倒した。

 

「(……クシナは諦めるだとか、そもそもそんなに状況に陥らない人種なんだ)」

 

 今までそのような状況に陥ったことがないからこそ、先程のような夢物語を語る事ができるんだ。

 

「(この戦いで分かるでしょ…)」

 

 この戦力差、1人で叶うはずがない。クシナの自信はこの瞬間にズタズタとなり、私と同じようこの世界で生きていても意味がないと悟るだろう。

 

「あぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」

「!」

 

 クシナの苦痛の叫びが響く。

 容姿を確認するとクシナの首元にナイフが刺さっていた。

 

「ほら……やっぱり無理なんだ…!」

 

 これでクシナもわかるはず。自分がどれだけ愚かな、浅はかな無謀な夢を抱いていたのかを。これで嫌でも諦めがつく……はず、なのに。

 

「諦めて…たまるかぁぁああ!!!!」

 

 クシナは立ち上がり隊長らしき人物を押し倒す。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!」

 

 力を振り絞ったクシナは握っていたナイフを隊長の喉元へと突き刺す。尽かさず矛の向きを変え喉を切り裂くかのように手を振り下ろす。

 隊長を倒し、今にも倒れそうになりながらクシナは立ち上がった。

 

 そう、立ち上がった。あれ程の深手を負ったにも関わらずクシナは立ち上がり、戦う意思を見せた。

 

「私の戦いを見てて!さっき私がミサキに送った言葉達が嘘じゃないって証明してみせるから!」

 

 クシナはそう発言していた。

 

 クシナは確かに抗うことを諦めずに、立ち上がったことで敵を見事に倒すことに成功した。

 それだけじゃない。クシナは口先だけでなく、実力もしっかりと備わっていた。恐らくサオリ姉さんに続く実力を許しているに違いない。

 

 クシナが自信の実力を見越して発言していた戯言なのかは分かりかねるが…クシナであれば夢物語も現実できるのではないかと…先程の戦いを見て少し、そう思えた。

 

「(何を今更思ってるんだか…)」

 

 正直、クシナの強さがわかっただけでクシナの考え方には納得していない。

 だけど…なんでだろうか。立ち上がったクシナの背中は私よりも歳下だと言うのに、身長も引くというのに、大きく見えた。まるで私に着いてこい、とでも言わんばかりに…。

 

 諦めないために立ち上がり最後まで抗う。先程述べていた内容を貫いている。言動に一貫性があるその様、俗に言うカリスマ性を嫌でも感じてしまう。

 

「(何それ…私が惨めじゃんか…)」

 

 それに比べて私はどうだ。悲観的な考えで常に死ぬことばかりを考えていた。今のクシナを見ているとそんな自分が惨めだと感じてしまう。

 

「(…………………………………………………………)」

 

 私は世界に希望なんて持てない。多分、この先、未来永劫それは絶対だと自負している。

 私はクシナと違う。私は私だ。私はクシナのようなカリスマ性もなければ楽観的な考えも夢を持ち合わせていない。

悲観的な考えと一緒でこの先、私は夢も楽観的な考えを持つことはないのだろう。

 

「(…………でもそれが私なんだ)」

 

 私はクシナではないのだから悲観的な考えを持ってたっていいんだ。

 

 私はクシナではないのだから抗うだとか、諦めないだとか、そんな大層なことは考えなくていいんだ。

 

 そういった夢なんかはクシナみたいな人物が実現させればいい。未来のことだとか、幸せな世界だとかそんなの私には想像できないのだからそういうのは全てクシナに任せればいい。

 

「…………!」

 

 クシナの倒れている様子が視界に入ったミサキは手に握るアサルトライフルのグリップに力を込め、岩場から姿を現すのであった。

 

◆◆◆◆

 

「…………………………………………………………」

 

 戦場だと言うのに銃撃音などは一切なく沈黙が続いていた。

 

「……や、やったのか?」

 

 部隊の先頭に立つ副隊長が呟く。

 

「そう思うなら確認してきてくださいよ」

「わ、私がか!?」

「当たり前だろ。隊長無き今、序列的にあんたがトップだ。そーゆう確認は上の仕事だろうが」

「……確認しに行くのが嫌なら何かしら別の方法で確認すれば良いかと」

「例えば?」

「……狙撃部隊に狙撃をさせるなど、言葉で脅すなど、考えれば方法は幾つもあるかと思うのですが」

「……そうだな」

 

 副隊長は部下の提案した案に準じて行動に出た。

 

「狙撃部隊、倒れているガキが意識を失っているのか確認したい。頭目掛けて狙撃を頼めるか」

 

 意識を失っているのであれば微動にしないだろう。例え意識があったとて頭部にライフルの弾が直撃すれば気を失うはず。

 

「了解」

 

 狙撃部隊の1人が答えた刹那、クシナの頭部目掛けて狙撃した。

 

「ちっ!」

 

 倒れていたクシナは気を失った隊長の胸倉を掴み、自身を守るよう盾として前に突き出した。

 

「!あいつ意識があるぞ!」

「……1人ぐらいは釣れると思ったんだけどな」

 

 クシナはあえて気を失った振りを行い、確認しに来たアリウス生を倒そうと計画していた。なお本音を言うと来るわけが無いと分かりきっていたが少し休めれるのはそれはそれでいいかと判断したため実行した。故に狙撃された際には瞬時に行動してこうして身を守ることに成功した。

 

「クシナ!」

「!?み、ミサキ!?なんでここに!?」

 

 これは流石に予想外。まさかミサキが戦場に身を投じるとは…。何か考えが変わったのだろうか。

 

「とりあえず隠れるよ。走れる?」

「お、おう!」

「ぐっ!」

 

 私は隊長を連れたまま先程まで隠れていた岩場へと再び向かう。

 

「!逃がすな!狙撃部隊!」

「言われなくてもやってるっての…!」

 

 狙撃部隊が続けて私達を狙撃するもお粗末なのか、何度か射撃されたが私達に弾が着弾することはなかった。

 無事に岩場へとたどり着いた私はミサキより先に口を開く。

 

「ミサキ、なんで来たんだ?もしかして私が倒れたから気を使ったのか?あれは、その敵を誘うための罠であって別に痛くないし、本当に意識を失っていたわけでなくてうんぬんかんぬん…」

「別に強がる必要なくない?まあ痛くないならこれ抜いても平気だよね」

「痛ッ!」

 

 ミサキはそう答え私の首元に刺さっていたナイフを引っこ抜いた。

 

「ば、バカかお前!?なにいきなり抜いてんだよ!?」

「痛くないんでしょ」

「抜く時は痛いかもしれないとか思わないのか!?」

「それだけ大声出せるなら大丈夫そうだね」

「……ま、まあ大丈夫っちゃ大丈夫だけどさ」

 

 さっきからミサキの様子がおかしいんだが。目を虚ろじゃない、なんだか何時ものミサキじゃないみたいだ。

 

「……クシナ、私はあたんの考え方に納得はしてない。さっき伝えた通り浅はかすぎるし、夢物語にすぎない」

「……ミサキ…。」

「だけど、クシナは述べた言葉を全てを貫いて行動した。そして勝利をもぎ取り証明して見せた。だから…その」

 

 ミサキは語り出した。私の目を常に見つめながら語るのでなく、言葉と言葉の合間で私の目をチラリと何度も見ながら語ってくれた。

 

「一度だけクシナの言う夢物語に付き合ってあげる」

「ッ!本当か!?」

「い、一度だけだから。少しでもクシナが夢を実現できそうにないと察したら見限る。だから…クシナの創造する世界が見れるまで生きてあげる」

「ッ〜!ミサキー!!!!」

 

 私は嬉しくなり、感極まってミサキに抱きついた。

 

「うわっ!ちょ、そんな血だらけな姿で抱きつかないでって!」

「無理!ミサキが生きてくれるって言ってくれて嬉しすぎて!」

「……はあ、一応言っとくけど私、本当に寒がりだから。ちゃんと寒い時は温めてよね」

「おう!任せてくれ!」

「それと体調もよく崩すからその時は面倒見て」

「サオリ姉と2人で看病する!」

「……それと、私が寂しいと思った時は傍にいること、約束守れる?」

「約束!絶対!守る!」

「……なにそのカタコトみたいな言い方…。」

 

 私の行動を見てくれたミサキが私のことを信用してくれた。だからミサキは一度だけという条件付きで私の願いを聞いてくれた。

 

「(ミサキ、ありがとう。私、絶対みんなを幸せにしてみせるから)」

 

 ミサキに抱きつきながら改めて決意する。

 

「ごホッ、な、何をしているんだ…。ここ、は戦場だぞ」

「あ、そういえば連れてきてたんだった」

 

 ミサキに抱きつくために放り投げた隊長が血を吐きながら話しかけた。

 

「……一応聞くけどなんのために連れてきたの?」

「え、盾になるかなって」

 

 私は語った。昨日、サオリ姉との訓練の際、倒れた敵を盾として前進するのも一つの手だと聞いた事を。

 

「現にさっき盾として使ったし」

「盾にしては絶対適してないと思うんだけど」

「まあまあ、ないよりマシでしょ」

 

 横たわる隊長の首を掴み岩に背を預けるように座らせる。平然を装っているが息が荒い。どうやら私の負わせた傷が相当堪えているようだ。

 

「はあ、貴様ら……我々に手を出して……ただで済むと思うなよ…!」

「いや、手を出さなくてもあんた達から勝手にアツコ目当てで手出すでしょ。てか先に手を出してきたのはあんたらだろ。因果応報って言葉知ってるか?」

「ぐっ…!」

 

 何も言い返せなかった隊長は苦痛の声を上げながら私達を睨む。否、ガスマスクを付けているものだから睨んでいるかは定かではないんだがな。

 

「話は戻るんだけどさ、私はてっきりその隊長を囮にして離脱するのかと思ってたんだけど」

「それも一つの手段だと思うんだけど…。ねえミサキ、私達の物資って豊富なの?その辺の話はまだサオリ姉から聞いてなくてさ」

「……豊かでは無いことは確かだね」

「わかった。じゃあこいつら蹴散らして物資を強奪しようか」

「…………はあ、質問された時点で察してた」

 

 ミサキはため息をつきながら答えた。

 

「あーやっぱり乗る気じゃない?」

「言ったでしょ。クシナに付き合うって、それがクシナの考えなら見限るまで従う」

「お、おー、わかった」

 

 なんかさっきと態度が全然違うもんだから戸惑うな…。私の発言に対して全て否定的だったというのに。

 我ながらわがままなミサキをよく宥めさせたものだ。もしかすると私には言葉を使って人を操る能力か何かでも備わっているのだろうか。

 

「じゃあこの盾はミサキが使おう」

「え、これ使うの?嫌なんだけど…。」

「盾になりそうなのはこれだけなんだから仕方がないだろ」

「おい、先程から、がはっ!だ、黙って聞いとけば、盾だの、これだの、私を物、扱いしやがって…!」

『…………………………………………………………』

 

 クシナとミサキは会話に血反吐を吐きながら割って入ってきた盾、ことこれ、こと隊長に対して上から冷やかな視線を送る。

 

「さっきからこれうるさいな」

「だね。黙らせようか」

「おっけいシスター。私にいい案がある」

「クシナ、やって見せて」

「じゃあこれ抑えてて」

「ッ!な、何をする…!」

 

 ミサキが隊長を抑えている中、私は隊長の顔を隠すガスマスクを剥がす。そして隊長の腰に備わっている手榴弾を取り出し、コックを抑えピンを抜く。

 そしてコックを抑えながら無防備になった隊長の口内へと奥歯でコックを抑えるようぶち込む。

 

「んん!んん!!!」

「……クシナ、あんた酷いね。いや、それが最善だとクシナが判断したなら別にいいけど」

「これで静かになったし盾として使えるな!」

「手榴弾に被弾したらどうすんの?爆発するんだけど」

「それを逆手にとるんだよ。被弾すれば隊長の頭が吹き飛ぶんだ。下手に攻撃できなくなるはずだよ」

「…………確かに」

 

 そう答えたミサキは隊長へ視線を向ける。隊長は救いを求めるかのようにミサキへ視線を送るもプイと視線を逸らされた。

 

「拷問の訓練受けてるって割には泣き虫だな。やっぱりお前、弱いだろ」

 

 この間、長いようで僅か数秒程しか時は経過していない。

 岩場から外の様子を見れば副隊長らしき人物がアリウス生を従えこちらへ向かってくる。

 

「お遊びはここまでだね。とりあえず私が暴れてくるから。ミサキは盾を使って支援して」

「左腕は動くの?」

「動かすと痛いから動かしたくない」

「……そう、なら動かさない方がいいね」

 

 先酷のおちゃらけた雰囲気から一瞬にして臨戦態勢へ入ったクシナとミサキは同じタイミングで岩場から姿を現す。

 

「出てきたぞ!撃てぇ!」

「!待て副隊長!奴ら隊長を盾にしている!しかも…口内に手榴弾を入れてやがる!」

「なっ!?総員、撃ち方止め!」

 

 機関銃を構えたかと思えば副隊長らしき人物の指示に従い構えていた武器を下ろすアリウス生達。

 

 その僅かな隙さえあればクシナは一瞬にして前線へと立つ、敵生徒達の元へと辿り着くことが適う。

 

「ふっ!」

 

 左手をぶら下げ右手に握るナイフを逆手へと持ち替え副隊長の首元目掛けてナイフを振るう。

 

「首を狙ってんのは知ってんだよ…!」

「!」

 

 クシナの振ったナイフは空を切る。首を切り裂く勢いでの振りであったため動きに余韻が残る。

 が、クシナはその余韻を利用して空中でコークスクリューを決め、着地と同時に蹴りを副隊長へと決める。

 

「くっ!器用なやつだな…!何処でそんな動きを覚えるんだ!」

「知らないねえ!身体が勝手に動くんだよ」

 

 左手でクシナの蹴りを防いだ副隊長であったが、軸足が地に着いたことで改めて力を込めたクシナの蹴りは耐えることができず左翼側へと吹き飛ぶ。

 

 クシナの言う身体が勝手に動く。これは他人が聞けば理解出来ない発言だろう。しかしクシナでさえも自身が先程決めたコークスクリューという技名も知らなければどのようにして行うのかなども知りえない。

 

 何故なら全て感で動いているからだ。なおその感は人知を超えた他の追随を許さない至高の離れ業。それが自身の神秘が秘めた能力であることを当の本人は知らず無意識の状態で使用している。それ故に身体が勝手に動く、のである。

 

「(ここで副隊長を潰す。隊長と副隊長がやられれば指揮者を失った部隊を潰すことなど他愛ないはず…!)」

 

 吹き飛ぶ副隊長へと着いていくようにクシナは走る。それを許さないと副隊長の後方に配置していたアリウス生達がクシナへと銃口を向ける。

 

「させない」

『!!!???』

 

 クシナに気を引かれていたが故にミサキという存在を失念していた生徒達はミサキの放つアサルトライフルの弾丸が全弾命中する。

 

「(…………………………………………………………)」

 

 クシナはミサキの方へと視線を向けることなくそのまま副隊長の元へと向かう。

 何故ならクシナはミサキが助けてくれると感じ取っていたからだ。

 

「あいつ!よくも隊長を盾に!」

 

 攻撃を受けた生徒がミサキへ銃口を向ける。

 

「……………………………………………………」スッ

 

 ミサキは隊長が着衣する衣類の襟元を掴み顔と口元を見せつけるよかのように盾として構える。

 

「この外道が!」

「寄って集って姫を襲うあなた達の方が外道でしょ」

「それはお前達が我々から強奪しただからだろうが!あれは我々アリウスの物だ」

「物…?姫は物なんかじゃないんだけど」

「その言葉そっくり返してやるよ。隊長はお前の盾でなければ物でもない!」

「……何言ってんのかわからないんだけど」

「こいつ…!」

「……………………………………………………」スッ

 

 挑発するミサキ。それにつられるアリウス生だが隊長を盾にされ攻撃ができない。

 

 そんな中、副隊長を追ったクシナはというと。

 

「ぐっ、なんつう蹴り技だ。相手は10歳にも満たないガキのはずだろ…。いや、ガキでも隊長を倒した相手だ。油断してたら…」

 

 副隊長は蹴り飛ばされ受身を取り、ダメージは最小に抑えて一連の流れを振り返る。

 刹那、クシナが遠くからナイフを投擲する。

 

「!」

 

 油断をしたつもりは無い。だがクシナの実力が副隊長が思う能力を上回っていたが故に、隙を与えてしまった。

クシナの投擲したナイフは副隊長の太ももへと突き刺さり、立ち上がる動作が膠着する。

 

 肉弾戦の間合いへと入ったクシナが右手を強く握り拳を鳩尾目掛けて打つ。

 だがそれを読み取った副隊長は自身のアサルトライフルを盾にして攻撃を防ぐ。

 

 アサルトライフルに力を込めクシナの拳を突き返したところで機関銃をすぐさま構える。

 つかさず額目掛けて引き金を引くもクシナが銃身を握り射線を無理やりにずらす。

 銃声が鳴り響くも的を失った弾は地に何度も着弾する。

 

 副隊長は弾倉を握っていた左手を離しクシナの顔目掛けて精一杯の拳を繰り出した。

 しかし、クシナは顔面に拳を繰り出されると感じていたため、予め隊長から奪ったナイフを逆手持ちで構えていた。

 

「ぐあぁぁぁぁああああ!」

 

 副隊長は完全に見誤っていた。クシナは右手でライフルの銃身を握っているため右手で攻撃を防ぐことは出来ない。左腕は先程の戦闘で使い物にならない…と思っていた。

 が、クシナはその左手でナイフを構え、副隊長は自らナイフに対して拳を振るい中指と薬指を切り裂くような深手を負う。

 

「ふっ、ふぅー…!ゆ、指が、私の指がぁぁあ!」

 

 副隊長は自らアサルトライフルのグリップを手放し指が取れないよう抑える。

 

 クシナは地面に落ちたアサルトライフルを拾い上げスリングを掴み肩へとかける。

 敵が目の前にいるのにそのような行動を取ったのも敵の戦意が失せたと感じたからだ。

 

「…………………………………………………………」

 

 戦意を無くしたとて、傷が治ればまたもアツコを狙い私達を襲撃するに違いない。

 それにこいつは副隊長だ。こいつを倒して見せつければ敵部隊の戦意を失い、降伏する輩が現れるかもしれない。

 

「(ミサキは大丈夫だな。盾をいいように利用して戦えている。やはり口に手榴弾を入れたのがよかったな)」

 

 指が、指がと泣け喚く副隊長に嫌気が差したクシナは拳を作り副隊長のガスマスクのど真ん中目掛けて繰り出した。

 

「私はさ、アツコと絡み出したのはつい最近からだからさ、全てを知ってるわけじゃない」

「が、がは、は、鼻、が…!」

 

 右手を上げ先程と同じ箇所へ追撃を決める。

 

「だけど…たかが指がちぎれかけたとか、鼻が折れたとかで痛いだ?」

「……あ、あぁ、」

 

 クシナは三度、追撃を決める。

 

「お前達の苦痛なんて知るか。アツコは、家族のみんなはお前達よりもよっぽど辛い思いをしながら生きてるんだぞ…!」

「…………………………………………………………」

 

 アツコや家族のみんなの方が苦しい思いをしている。苦しむ存在であるお前達が苦しむなと無茶な要望を押し付け、クシナは怒りを顕にしながら何度も、何度も拳を振るった。

 

 ガスマスクの破片が顔に突き刺さっているがそんなの気にもせずクシナは顔を殴る。

 何度か目の攻撃で意識が失っていることに気付いたクシナは拳を振ることを辞めた。

 

「……お前達はこうなって当然の存在なんだ」

 

 以前、姉さんから聞いたことがある。

 

 生きてる人に害を与える存在は生きている価値がないと。だから害を当てるのではなく、人を救える人になりなさいと教えられた。

 

 それと…………。

 

 まあ私の場合は家族に害を与える存在となるんだけどね。

 

「さてと、伸びてるみたいだしミサキの所へ戻ろうか」

 

 副隊長の首元を掴み、ミサキの元へと全速力で戻る。ミサキは私の読み通り盾を利用して敵の攻撃を凌ぎ、1人で複数人を同時に捌いていた。

 

「ミサキ、盾はどう?」

「クシナ…そう、副隊長は倒したんだ。盾に関しては使えるけどあまりいい気分ではないかな」

「はは、そうですかー」

 

 ミサキは結構情に深い人なのだろうか。こんなヤツらいくら傷つこうがどうだっていいのに。

 

「おい!お前達の隊長と副隊長の命は我らの手にある。2人の命が惜しくば武器を全て捨ててここから立ち去れ!」

 

 クシナはそう発言後、副隊長を見せつけるように上へあげる。ミサキは?マークを頭上に浮かべながらクシナと同じ体制をとる。

 

「……蹴散らすんじゃなかったの?」

「…………ごめん。もう本当に左手が動かないんですよ…。あと、散々動き回って体力が底を着きました」

「……わかった。ならここは撤退することを願おうか」

 

 アリウス生達に聞こえないように小声でミサキと会話をする。

 確かにアリウス生達には聞こえないと思うが、私達が手に持つ、隊長…は聞こえていても口内に手榴弾があるから喋れない。

 副隊長はあれほど殴ったのだから意識なんてあるはずがない。なに、私の感は当たるんだ。さっきの戦闘だってそのおかげで何度助かったことか───

 

「がは!おい!こいつらもう体力がないみたいだぞ!殺るなら今だ!私達ごとやれ!なあ!それでいいだろ!隊長ぉ!!」

 

 副隊長の意識があったのか声を荒らげた。

 

「…………………………………………………………」コク

 

 手榴弾を咥えたまま隊長は頷く。

 

「なっ!この野郎!何盗み聞きしてんだよ!」

 

 クシナは怒り副隊長を地面に投げつけ鳩尾を踏みつけ完全に意識を失わせる。

 まああの距離で盗み聞きするなと言うのが無理な話なんだが…。

 

「隊長が許可したんだ!お前達!行くぞ!」

『!』

 

 部隊の残党が私達へと銃口を向ける。恐らく奴らは隊長が加えている手榴弾に着弾しても構わないと、覚悟を持って射撃するに違いない。

 何故なら隊長の許可が出たと言ったんだ。こいつらの事だ、馬鹿正直に受け取って攻撃するに違いない。

 

「ッ!」

 

 私はミサキから隊長を奪い取る。残党が私達に一斉射撃をする瞬間に隊長の加える手榴弾に弾が着弾するよう祈りながらを前方へと蹴り飛ばした。

 だが蹴り飛ばしタイミングが早かったようだ。どうやら奴らは隊長ごと打つことに躊躇していたようだ…。

 

 クソ、ここに来て感が外れるとは…先程までの的確な感はなんだっんだ。

 

「撃てぇ!!」

 

 指揮官代理らしき人物が声を上げた。

 

 私はミサキを守るように残りの体力を振り絞ってミサキの元へ駆けつけ守るように抱きしめる。

 

 周囲に銃声音が響く。それも1発限り。音的にライフルだろうか…。だけど私達の誰にも着弾していない。

 

「チームI!後方から増援だ!」

「なんだと!?」

『???』

 

 私達が何が起きたのかわからず目を合わせてキョトンとしていた。

 

「増援って一体どうゆ…!」

 

 再びライフルの銃声音が聞こえたかと思えば通信機で会話をしていたアリウス生が後方へと吹き飛ぶ。

 

 倒れたアリウス生の額を見たところライフルの銃弾らしきものが突き刺さっていた。

 

「狙撃部隊!何をしている!早く敵側の狙撃手を!」

「わかってる!探しているが見つ、ぐあ!」

「!狙撃部隊!応答しろ!狙撃部隊!はっ!」

 

 三度、ライフルの銃声が周囲に響きアリウス生が吹き飛ぶ。

 

「……そうか!」

 

 ようやく気付いた。いや気付くのが遅すぎた。

 

『サオリ姉(さん)達が来てくれたんだ!』

 

 私達は無駄に声を合わせて喜びを顕にしたのであった。




クシナちゃんの挿絵は下記になります!ピクルーのYSDメーカーで作成しました!
あくまでイメージ画像ですのでヘイローもなければ細かい部分が設定と相違している箇所がありますがご了承を!
本来なら頭髪はもっと深い藍色ですしインナーカラーは黒になります。

【挿絵表示】

【イメージ画像のポーズについて】
アツコが宣材写真を撮るから適当にポーズを取ってとクシナに指示を出した設定です(笑)

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最近感想いただけてないので欲しいです!

ではまた次回の話でお会いしましょう!
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