シンプルにリアルが忙しくて執筆する余裕がありませんでした。
今回はクシナちゃんが登場しない回となってます。
それではどうぞ!
※久しぶりの執筆ですので誤字脱字はご了承ください
『……………………………………………………』
サオリとベータは静かに互いを見つめ合う。一方アツコはサオリに抱かれ目を閉じ気分を落ち着かせようと努めていた。
「(相手は所持している武器的に遠距離戦闘を好むはず…。)」
現に先程、アツコを解放すべく近寄った際には口数が減ったように感じた。それは好まない近接戦闘となったため気が荒れたからに違いない。
「(…………姫…。)」
抱えるアツコは呼吸こそ整ったものの体調が優れないように見受けられる。幾らサオリとて今のアツコを庇いながらアリウス最強のスクワッドを相手にすることは至難の業…。
「(ならばここは…。)」
サオリは息を整えアツコを強く抱き抱え、その場から離脱する。
「ふーん?逃げるんだー腰抜けお姉ちゃんだね〜♪」
「勝手に言ってろ」
ベータはサオリとアツコの相手をすると発言していた。サオリがアツコを抱えその場から離脱したところで、戦闘対象をミサキ達へとむけることはないと踏んでサオリは距離を取った。
「(まずは姫を安全な場所へ…。)」
先程も思考したがアツコを庇いながらベータと戦闘することは至難の業。であればアツコを安全な場所へ隠し心置きなく戦闘できる環境を設けなければならない。そのためにサオリはその場から離脱することを選んだ。
「私がそう簡単に逃がすと思わないでよねー」
ベータはグレネードランチャーを構え榴弾を発砲する。綺麗な放物線を描きながらサオリ達の元へと正確に着弾するもサオリはアツコを抱えながら器用に避けてみせる。
「待て待てー」
サオリを追うよう再び榴弾を発砲しながら逃げるサオリに対して攻撃を仕掛けるベータであった。
「あなた達のお仲間逃げたみたいだけど?」
「君の目は節穴か。どう見ても逃げたのは君達の仲間だろ」
離脱したベータとサオリを尻目に口を開くミサキ。それに対して否定するためにガンマも口を開いた。
「さ、サオリ姉さんは逃げてなんかありません!な、何か、か、考えがあっての行動です!」
「それはそうあって欲しいって君の願望だろ」
「うぅ!」
ヒヨリはサオリが逃亡したことを否定するがガンマに図星をつかれ酷く動揺する。
「ど、どどどどうしましょうミサキさん!この人明らかに強そうですよ!わ、私達でなんとかなる相手じゃないですよ!」
「ヒヨリ、ちょっと黙って」
そんなことはヒヨリに言われなくともミサキは理解している。クシナ達は戦闘となれば前衛にサオリとクシナを設け、主に前衛の2人が暴れて後方に控えるミサキとアツコと狙撃手のヒヨリが支援を行う戦闘スタイル。
要となる前衛を張れるメンバーが不在の中であればヒヨリの言う通りミサキ達にこの戦闘で勝利を勝ち取ることは困難である。
また狙撃手であるヒヨリも今はガンマの目の前にいる。実力を発揮するにはどうも適した距離では無いのは傍から見ても同然だ。
「ヒヨリ、
「!は、はい!」
それは先程、ミサキがサオリに攻撃を仕掛け終えたベータに話しかける直前にヒヨリへ耳打ちした内容だ。
「で、ですがこの状態では「いいから早く逃げて!」……ッ!はい!」
ヒヨリの発言を遮りミサキは声を荒らげた。ヒヨリはビクリと身体を震わせミサキが発した逃げろという指示に従いその場から離れる。
「君達の仲間は腰抜けばかりだな。何奴も此奴も戦闘を避けて逃げてばかりだ。恥ずかしくないのか?」
「逆に聞くけど私達みたいな幼子に寄って集って襲撃して逃げる素振りを見せた途端、腰抜けと罵るあなた達の方こそ恥ずかしいと思わないの?」
「……君は本当に癇に障る子供だな」
ため息混じりにガンマはそう発言する。発言した後、下ろしていたアサルトライフルをヒヨリに向け射撃体制へと入る。
「……させないよ」
ミサキはポケットに手を入れ遠隔式爆弾の起爆スイッチを押し込む。
「うわぁっ!」
ヒヨリが通り過ぎた背後で爆弾が爆ぜ、その場に漂う雪煙がガンマの射線を断ち切る。
「君達は爆弾が好きなのか?」
「心外だね。ゲリラ戦術を好んでるって言ってもらいたい」
「……足りない戦力を補うためにゲリラ戦を選んだと言う訳か」
幼いながら知恵を出し合いスクワッドに対抗すべく考えたのだろうと背景を想像するガンマであった。
「でもこれからどうする?手の内明かしたうえで僕に勝てるとでも?」
「……どうだろう。勝てないかもしれないね」
瞬間、ミサキは数ヶ月前の出来事を振り返る。それはクシナが語った夢物語の内容、諸悪の根源に復讐を誓い、復讐を終えた暁には外の世界でみんなが幸せに暮らせる世界を創造すると…。
「(以前の私なら潔く諦めてたんだろうね)」
このような絶対絶命の状態であれば、全てを諦め苦痛しか感じない肉体から解放されることを望み、降参を選んでいただろう。
だがクシナの語った夢物語に一度だけ、見限るまで付き合うと言った以上こんなところでくたばるわけにはいかない。
「……でも負ける気はないよ」
「言ってることが矛盾してるんだが」
「それは私が一番わかってる」
互いに銃火器を構え、同じタイミングで引き金を引き、銃口から火を吹くのであった。
◆◆◆◆
時を同じくして別の場所でサオリは息を殺してベータから追跡を撒くべく潜伏していた。
「……さ、サッちゃん…」
「!ひっ!……姫」
アツコが目を覚ましたことで安堵したサオリは一瞬声を大にして姫と叫ぶ。だが瞬時に大きな声を出してはならないと言い聞かせ小声で姫と呼ぶ。
「けほっ!ご、ごめんね。私のせいで……もう、大丈夫、息も落ち着いたから」
「それはよかった。だがしばらく正常に呼吸ができてなかったんだ。落ち着いたからって油断はできないからな」
「うん、わかってる。それで今は…?」
アツコが今の状況をサオリに伺う。
「私と姫、ミサキとヒヨリ、二手に別れて各々戦闘中だ。クシナに関しては1人で戦闘中だ…これはアツコも知ってるよな?」
「……うん。クシナがあんなに怒ってるところ初めて見たから印象に残ってる」
「……そうだな」
自身の姉を手に掛けた宿敵と対峙したクシナは怒りを顕にしながら殺意を向けアルファに向かって攻撃を仕掛けていた。
援護に入る隙すらなくベータとガンマが攻撃を仕掛けてきたため、クシナは1人で戦闘する羽目に…。
「(……クシナ…。)」
「…………………………………………………………」
サオリはクシナの安否を気になり黙り込む。その様子を黙って見つめていたアツコが口を開く。
「クシナが心配?」
「ッ!……いや、あいつは強いからな。困難な状況だが乗り越えるはずだ…。」
アツコから目を逸らし何処かを見つめながら答えたサオリ。クシナを気にかけていたが、素直にそのことを打ち明けれないのには何か理由があるのだろうか。
「……私は心配だよ。クシナは1人だと何するかわからないから…。相手はクシナのお姉さんを手に掛けた宿敵で強敵だから」
「……強敵だってのは相手側も同じだ。何度も言うがクシナは強い。……それも私よりもな」
「……………………………………………………」
先程から視線を下げ、決してアツコの顔を見ながら発言しないサオリ。
アツコは先のサオリのセリフからアルファと呼ばれる隊長から告げられた劣等品という言葉が効いていると察した。
「人の心配している場合じゃないよー」
『ッ!』
ベータの声が聞こえたかと思えばグレネードランチャーから榴弾が謝発した音が聞こえる。
瞬時にその場から離れるサオリとクシナ、離れた瞬間、その場で榴弾が爆ぜる。
「あはは!追いついたよー!」
「くっ!姫!少しは動けるよな?後方に移動して待機!」
「う、うん!」
指示に次第、後方の遮蔽物まで後退したアツコは姿を隠す。
「話聞こえてたよーさっきは世界一の妹思いのお姉ちゃんっていいながらロイヤルブラッドとは違って妹ちゃんのこと心配してないんだねー」
「……黙れ」
黙れと一蹴してサオリはベータへと射撃する。
「痒い痒いーそんな弾じゃ私にダメージなんて入らないよ」
終始トリガーに指をかけ幾つもの弾丸をベータへ浴びさせるも痛がる素振りなど微塵も見せない。
「チッ!」
弾倉を取り替えリロードを素早く行うもその隙をつかれベータが一気に距離を詰める。
「なに!?」
遠距離戦を好むと思っていた矢先、ベータ本人が自ら距離を詰めてきたためサオリは焦る。
「私が遠距離戦で戦うと思ったー?でも残念♪君は近距離戦が好きみたいだから嫌いだけど付き合ってあげる…!」
「ッ!」
ベータはグレネードランチャーを野球バットの如く大きくスイング。サオリの頬に銃身が当たり大きく揺れる。
その隙にベータはサオリがレッグホルスターに収めていたハンドガンを抜き取り即座にアンロードしてサオリの額目掛けて射撃する。
「ぐっ!」
致命傷には至らなかったものの苦痛の表情を浮かべながらサオリは額に手を当てる。
手を離し指先に血が付着していたことからダメージを負ったことには間違いないようだ。
「近接戦は嫌いじゃなかったのか?」
「嫌いってだけだよー苦手ではない。それにアルファちゃんの相手にするわけじゃないしー?君ぐらいの子供なら全然余裕に決まってるじゃん♪」
先程から妙にテンションが高いベータに引きつつサオリは暫し考える。
「(ハンドガンは取られた。アサルトライフルの銃弾はダメージが入らない…。ナイフはあるがあちらにハンドガンがある以上、こちらが劣勢であることに変わりない)」
サオリはクシナほどナイフの扱いには慣れてない。否、クシナが変にナイフの扱いに慣れてるにすぎないだけだが…。
今のサオリにとって1つでもクシナより劣っているものがあると先程のアルファから送られたとある言葉が脳に過ぎる。
「お前は劣等品だ」
『劣等品』という言葉が考えたくもないが過ぎってしまう。
「クソっ!」
サオリはサバイバルナイフを取り出しベータへと攻撃を仕掛ける。
それはナイフの扱いがクシナより劣ってまいと自身に言い聞かせようと無意識に行動してしまった。
サオリがナイフを振るもベータは綺麗に避けてみせる。それどころからサオリにストレスを与えるかのように何度も攻撃を避け続ける。
「射撃性能は良かったけどナイフの扱いはお粗末だねー流石劣等品お姉ちゃん♪」
「!貴様ぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
煽られ怒りの頂点へと達したサオリのナイフ捌きさ雑になりその隙を突かれる。
「あはは!怒りすぎだよ劣等品お姉ちゃん!」
サオリがナイフを振り終え伸びた腕をベータが掴む。
「確か…こうだったかなー!」
サオリの腕を綺麗に線が貼られたように伸ばした後、肘へ向かって関節が曲がる方向とは真逆の方向へベータが膝蹴りを打ち込む。
「あぁぁぁぁぁぁあぁああああ!!!!」
サオリは肘関節が外れたことで腕が在らぬ方向へ曲がり苦痛の声をその場で上げ膝を着く。膝を着くもベータは掴んだ手を離さない。
「昔、アルファちゃんにしてやられてさーいつかし返そうと思ってたんだよねーどうどう?痛い?痛いよね〜♪」
「く、くっ…!」
サオリは苦痛の表情を浮かべる。しかしあまりの激痛で顔を上げることが出来ず、そのまま地に視線を向けることしかできなかった。
「もう片方の腕も行っちゃおうかなー!」
「やめろ!離せ…!」
空いてるもう片方の手でサオリの手を取るベータ。拒むようにサオリは離せと告げる。
「やめて欲しいなら降伏しなよー」
「それは……姫を差し出せってことか?」
息を荒らげながらサオリは問うた。ベータは勿論といいながら頷く。
「悪い話じゃないと思うんだけどなー、ロイヤルブラッドを庇ったところでいいことなんてないじゃん。現に君は苦痛を虐げられている」
「…………………………………………………………」
「無意味なんだよ。ロイヤルブラッドを匿うことも、君達がやってる家族ごっこも」
「くっ…!」
苦痛に耐えることしかできないサオリは終始下を向く。そんな彼女を見下ろしながらベータは続けて語った。
「|全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいもの…《vanitas vanitatum omnia vanitas》それがこの世の真理で事実、だから君達がやってることはなんも意味がないってこと。わかるかなー?」
「…………知らんな。所詮、
「あっはは!言うね君、さては
「ああ、この世で最も嫌いな存在だな」
アツコに危害を加える存在である以上、サオリはベアトリーチェを嫌うに違いない。
天地がひっくり返るようなことが起きない限り、ベアトリーチェがアツコを諦めることは決してない。それを熟知しているからこそ嫌う。
「まあ良いよ。降伏しないみたいだし、こっちの手も使い物にならないようにしてあげる♪」
「ッ!」
先程のようにサオリの手を伸ばし肘へ膝蹴りを決め込まんと体制を整えるベータ。
「待って」
それを阻止しようとアツコがベータに待てとかける。
「あれれー?自分から姿を現すなんてどうしたのー?もしかして降伏するのかなー?」
「……うん、そうするよ」
「はっ…?ひ、姫!?何を言ってるんだ!?」
サオリは下げていた顔を上げ、アツコが突然告げた降伏宣言に驚きを隠せず目を見張る。
これは姫をアリウスに渡さないための戦いだ。だが守るべきアツコが降伏することを告げたのだ、サオリが驚く以外の反応などない。
「もういいよサッちゃん。私のせいでみんなが酷い目に会うのはこれ以上耐えられないから…」
アツコとて何も考えずにただ守られているわけじゃない。自身の為に家族が血を流し、怪我を負うのは耐えられないのだ。
それは今に始まった話ではない。クシナが大怪我を負ったあの日から、守られることに罪悪感を抱いていた。
そして今、目の前でサオリが酷い目にあっている…これ以上は耐えれないと自覚したアツコは降伏を宣言した。
「それに私のせいでサッちゃんとクシナの仲が悪くなるのは嫌だから…」
「その件に姫は関係ない!これは私とクシナの2人だけの問題だ!」
「ううん、私がいるからだよ。どうしても私を守るためにはアリウスに対抗するための力が必要になる。だから2人して力を求めるから力の格差が際立つんだよ…。」
「…!そ、それは…」
返す言葉がなかった。アツコという守るべき存在がなければサオリもクシナも力を求めない。
力を求めないのであれば競う必要もなく、力の格差が浮き彫りになることなどもない。
「流石、ロイヤルブラッドだーそういったことに関しては冴えてるんだねー、これが高貴な血筋ってやつかなー?」
「そうゆうのはいらない。それより約束して、私がそっちに行くことを条件に今後みんなに手を出さないって」
「そのみんなってのはあの子も含むの?」
「勿論、クシナも対象にして」
「えーあれはアルファちゃんの個人的なあれだしーんー……あっ!いいこと思いついた♪」
『???』
何か閃いたベータは声音を変えて独り言のように言葉を吐いた。握っていたサオリの手を離しアツコの元へとベータは向かう。そしてサオリに対して手を差し出し述べた。
「サオリちゃん、君がアリウスに来るって言うならクシナちゃんも見逃してあげるよ♪」
「…………何を言ってるんだ…?」
サオリは勧誘される理由が微塵も浮かばず何を言ってるんだと問い出す。
「君には見込みがあるからねー私の部下になる気はない?そしてさ……あの生意気なアルファちゃんを一緒に殺そうよ♪」
「あいつを殺す、だと?お前達は仲間じゃないのか…?」
「一応仲間だよー?でも私アルファちゃんのこと嫌いなんだよねーまあ理由は君と一緒だよー」
「私と一緒…?」
ますます意味がわからずサオリは再度問う。
「私には君の気持ちがわかるよ。歳下のガキが自分よりも優れてるとさ無性にイラつくよねー?」
「…………………………………………………………」
「だから私はアルファちゃんが大っ嫌い。可愛げ無いし?生意気だし?見てて不愉快だから殺したい、でもあの子は強いから協力者が必要なの、だから一緒に殺ろうよ♪」
「…………………………………………………………」
「あっ、大丈夫大丈夫、アルファちゃんを殺したあとは君に協力するから安心してー」
「……協力?」
「うん、だって君も私と同じで妹のクシナちゃんの方が強くて目障りでしょ?だからアルファちゃんを殺したあとは殺すのを手伝ってあげる」
「…………はぁ…?」
「待って!それは話が違う!それじゃあどの道クシナは助からない!」
「条件には従うよ。だから私は手を出す気はない。でもサオリちゃんが殺るって言うならあくまで手伝うってだけだよ♪」
自分の意思はなくただの手伝い。サオリがこちらに協力してくれたお礼として手伝うとベータはサオリの心情を利用してクシナを殺ると言っているのだ。
ただしこれはサオリの返答次第で状況は左右される。サオリが殺ると言えばクシナは殺られてしまうことになる…。
「…………るな」
「んー?」
「ふざけるなぁ!」
「うわ、声でかー」
サオリは腹に力を込めて最大の声量でベータにふざけるなと言葉をぶちまける。
「可愛げ無い?…ふざける!クシナは可愛いだろうが!それに生意気だから?違うなぁ!クシナは生意気だからこそいいんだろうが!末っ子だぞ?少しのわがまま程度聞き入れて姉だろうが!」
「えっとー?君は何を言ってるのかなー?」
「……サッちゃん?」
先程の流れから急に妹を可愛いと言い出すサオリに対してベータとアツコは困惑する。
とてもじゃないが今は妹への愛を叫ぶには適してない状態だと思うのだが。
「確かに私はクシナの強さに嫉妬した。姉である自分が情けないと思った。戦闘中に余計なことを考える愚行まで行った。ああ、そうだよ。私はクシナより弱いさ、劣ってるさ、劣等品さ…!」
「はぁーだからそんな自分を苛まれる存在は排除しようって言ってるんだよー」
「それは違う!」
「!?」
サオリはベータの主張を否定する。
「苛まれる存在を排除した後はどうするんだ?排除した後、どうやって自分が劣等品でないと証明するんだ!?」
例えクシナをベータと2人で手にかけたところでそれはサオリがクシナより優れている証明にはならない。何故ならタイマンで勝利を掴んでいないのだから。
死人に口なし。それと同義で故人と優劣を付けることなど戦績や功績でしか叶わない。だがクシナにそんなものは無い、となれば故人になった段階で一生サオリはクシナと自身の力を比較することなど叶わない。
「目障り、生意気、自身の苛まれる存在だから殺す?どう足掻いても辿り着けない考えだ!そんな戯言に反吐が出る!」
「…………なんだって?」
サオリは外れた肘の関節を戻し苦痛に耐えながら立ち上がり、続けて発した。
「それに私は嫉妬しててもクシナを愛してる!そんな愛すべき存在より劣っているのであれば、姉として見本となるべく私はあいつを超える存在になって見せる!」
「……弱いくせによく言うなぁー!」
「弱いのはお前だ!他者を陥れ自身を有利にする…!そんな考えが浮かぶお前の貧相な思考と脳みそに哀れみを感じるな!」
畳み掛けるようにサオリは鼓舞するべくベータを煽る。ベータはガスマスクを着用しているため表情こそは読めないが提案を拒否され、挙句の果てには自身の考えを否定されプライドはズタズタ、静かに怒りを顕にしながらガスマスクの内側からサオリを睨みつける。
「姫!私はもう苛まれない!これからはクシナと一緒に競い成長していく!そして私が愛しているのはクシナだけじゃない!姫もだ!」
「!」
「だからそっちに行くな!私達と一緒に生きろ!」
サオリの愛の叫びを聞いたアツコはその場からサオリ目掛けて駆け出す。だがそれを許すベータではない。
「逃がさないよー」
逃がさないと述べ手をアツコの首元へと伸ばす。イントネーション自体は先程と変わらないが声音は低く、ベータが怒りを顕にしているのがよくわかる。
「姫!」
アツコの背後にベータがいる旨を伝えるべくサオリは声を荒らげた。
自分の背後にベータが近づいていることを察したアツコはその場で止まり後ろを振り向く。
「やぁぁぁぁあああぁぁ!!」
アツコはベータの伸びた手を掴みサオリ直伝の一本背負いを決め込む。
「私だって守られてばかりじゃない。サッちゃんから体術の指導を受けてたからこれぐらいできるんだから!」
アツコの成長を目の当たりにして感極まり涙を流すサオリ。泣くほどのことでは無いが、ここで泣くとなればサオリは重度のシスコンだと言わざるを得ない。
「ひ、姫、成長したなぁ。私は嬉しいぞ」
「サッちゃん泣かないでよ…。それよりさっきはごめんなさい。勝手に降伏を宣言しちゃって…。」
「そんなことはいいんだ。それに謝るのはこっちの方だ。不安にさせた私に落ち度がある」
「ふふっ、じゃあお互い様ってことでごめんなさいは相殺だね」
「……なんだそれは。クシナの真似事か?」
「流石サッちゃん、クシナのことが大好きだからすぐ気付いたね」
「い、いいだろ別に…」
サオリは照れながら頬をかく。その様子を見ながらアツコは微笑む。
「……つまんない」
『!?』
アツコの一本背負いを受け、仰向けで倒れていたベータがポツリと告げた。
肩甲骨と手に体重を乗せるよう足を上げ、次の瞬間足を下げるの同時に上半身を上げ跳ね起きる。
「これ以上話しても面白くなさそうだしー?ここいらでお喋りは終わりにして任務に専念させてもらうから」
『……………………………………………………』
ベータの雰囲気が先程と変貌する。これからの戦闘は今までの戦闘よりも過酷なものになるとサオリは瞬時に判断する。
「姫、隠れろって言ったらどうする?」
「隠れないよ。私も一緒にサッちゃんと戦う」
「そう言うと思ってたさ。なら…一緒に2人であいつを倒そう」
「!うん!」
サオリと一緒に戦えることに喜びを感じたアツコは元気よくうんと返事をする。
それを一瞥したベータはつまらなさそうにため息をつく。
「2人しても私には勝てないって教えてあげる」
三者が各々武器を構え、ベータのグレネードランチャーより榴弾が砲弾され再び戦闘が再開されるのであった。
なんかルビが綺麗に振れないんですけど。謎。
今回は短めです。とゆうのも次回の内容を今回の話で載せたかったのですが本日の投稿に間に合いそうになかったので次回に回します。
次の投稿が何時になるかはわかりませんが気長に待っていただけると幸いです。
少しでも面白いと思ったら感想と評価をお願いします!僕のモチベが上がるので
ではまた次回の話でお会いしましょう!