誰が為に私は魔女になる   作:オオル

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どうも!初めて感想をいただいてモチベが爆上がりしたオオルです!本当に感想をくださった方々には感謝の言葉しかありません!ありがとうございます!

それと新たに評価してくださった米寿さん、アリウス幸せにし隊さん、E5さん、ありがとうございます!お気に入り登録者も一気に増えて驚きました!皆さんありがとうございます!!

さて、今回は前回の後書きに記した通りクシナとミサキが言い合います。結構上手く書けた気がします。是非、感想をください!

では本編へどうぞ!



妹とは姉の真似をしたがることを知っていますか?

 ミサキと2人で釣りをするために近くの川辺へと向かった。

近くと行っても数十分は時間がかかる距離。目的地に着くまでに話しかけようと試みたが、今はミサキの後ろを歩いている状態だ。どうせなら顔を見てちゃんと話したいからここは我慢だ。

 

 自分に言い聞かせ早数分後。

 

「着いたよ」

 

 昨日も訪れたがやはりここの川はアリウス自治区とは思えないほど水が綺麗で透き通っている。何故ここだけこんなに綺麗なのかは謎だけど。

 

「釣りはしたことある…ってあるわけないか」

「……ないっすね」

「餌の付け方の説明するから一回で覚えて。クシナは要領がいいってサオリ姉さんから聞いてるからできるよね?」

「う、うん!」

 

 ミサキは私の目を見ながら語った。結構な距離で顔を合わせていたものだから緊張していつも通りの返事ができなかった。

 

「まずこの針に餌の頭にこう刺して…。」

「こ、こうか?」

 

 力加減が難しいな。餌を握りつぶしてしまいそうだ。見た感じミミズだし気持ち悪いから潰したくないんだけど。

 

「そして頭から針を刺しておしりに通す感じ」

「すげー!綺麗に餌が付けれた」

「……うん、上手。じゃあ次は竿の投げ方の説明。そのまま適当に投げる。それだけ」

「そ、そうかー」

 

 まあなんとなく竿の投げ方は予想できたけどさ。餌の付け方の説明が上手だった分、なんか説明が雑くなったなーと思いました。

 

「それじゃあ始めようか」

「よーし!ミサキより早く釣るぞー!」

「……………………………………………………」

 

 ミサキからの返事はなく無言のまま竿を投げ釣りを開始した。

 

「ねえミサキって好きな食べ物とかあるの?」

 

 私は無視されたことを気にしてないかのようにいきなりミサキへ質問を投げた。

 

「……急に何?」

「私は肉が好き。肉ならなんでも好き!」

「肉なんて滅多に食べらないでしょ」

「そう?多分私が持ってきた缶詰の中に肉の煮物の缶詰めがあったはず…。今度ミサキに食べさせてあげる!」

「……別にいい。好物なら自分で食べなよ」

「ミサキにも肉の美味しさを知って欲しいからさ。あっ!ねえ知ってる?外にはラーメンって呼ばれる食べ物があってね、それにはチャーシューって呼ばれる肉料理がトッピングされてるんだって!凄く美味しそうなんだよ」

「…………………………………………………………」

 

 ミサキからの返事がない。1人で突っ走って話しすぎただろうか…。でもこうでもしないと無口のミサキとは会話が続かないんだけどなぁ。

 

「……ねえ、なんでそうやって話しかけるの?」

「え、えぇー?なんのこと?」

「私、クシナに好かれるような行動は取ってないと思うんだけど。ううん、寧ろ嫌われるようなことしかしてないと思う」

 

 言うほどだろうか。確かに最初はめっちゃ睨んでくる私が家族に加わることに反対してる人だと思ってた。

 

 でも違った。ミサキは私を守れる余裕がないから…私と上手く接することができないだけなんだとあの時、屋上でサオリ姉と話している内容を聞いてミサキに対して思いが変わった。

 

「……私はただミサキと仲良くなりたいだけだよ」

「……意味がわからない。なんで距離を置くような行動を取ってる私と仲良くなりたいの?」

「なんでって家族だし…ってそれは私が一方的に思ってるだけか、あはは」

 

 竿を上げて餌を垂らすポイントを変える。

 

 その間、ミサキは私の横顔をずっと眺めていた…ような気がする。今の発言が不快だと感じたのだろうか。

 

「……そう言えば聞いてなかった。クシナはなんでうちに来たの?」

「私とサオリ姉の出会いは語ると長いよ?」

「……じゃあ簡潔に」

 

 簡潔に、か。

 

「……姉さんが亡くなったから、だよ」

「ッ!?」

 

 それから姉さんが亡くなった経緯と簡潔にサオリ姉と出会った経緯を説明した。ミサキはその説明を聞きながら何処か申し訳なさそうに川の底を見つめながら話を聞いていた。

 

「それで姉さんの埋葬が終わって…。生きる意味が亡くなって自害しようとした時にサオリ姉が私の姉になるって、生きる意味になるって家族に誘ってくれたんだ」

「………………そう、だったんだ」

 

 ミサキは答えた後口を開いた。

 

「……サオリ姉さんから生きるように言われてさ。苦痛しかない世界なのに、生きてても意味ないのに…そんな中生きてても何も思わないの?」

「……ミサキが生きることに対して何を思ってるのかは私にはわからない。でも少なからず私は生きてて良かったなって思えることがあるよ」

「…………それはなに?」

「サオリ姉達と家族になれたこと、かな」

「ッ!?」

 

 ミサキは私の発言に驚いたのか取っていた竿が大きく揺れた。

 

「……この先、生きてても世界が残酷である限り、今の生活が続くことになるんだよ、それでもいいの?」

「それでも大丈夫」

「…………何を根拠にそんなことを」

「だって私がみんなを幸せにするから」

「………………はぁ?」

 

 私は笑顔でミサキの方へ振り向きそう答えた。ミサキは顔をしかめながら声にならない声を出して聞き返した。

 

「ミサキの言う通りこの世界は残酷だよ。苦痛しかないこの世界に救いもなければ希望もない。慈悲を求めたところで手を差し伸べる人はいない」

 

 私は語りながら竿をその場に置いて立ち上がる。ミサキは立ち上がった私に続きの言葉を求めるかのように視線を顔ごと上にあげ私の目を見る。

 

「いないから私がみんなを幸せにする善人になるの」

「……何を言い出すかと思えば…。そんなの夢の戯言でしょ。あんたみたいなガキがなにをどうやって私達を幸せにできるの?考えがあるなら言ってみてよ」

「諸悪の根源に復讐するんだ」

「……はぁ?」

 

 私は自身の考えをミサキに語った。

 

 外の世界にはみんなを不幸にした諸悪の根源がいるはずだと。どんな手を使ってでも奴らを見つけ出し、復讐を終えた後は立場を逆転させると。

 

 その暁にはアリウス自治区ではなく、豊かな外の世界にみんなが幸せに暮らせる世界を作ってみせると。

 

「全然答えになってない。いい、クシナのそれはただの戯言。クシナの言う諸悪の根源は外の世界そのもの…具体的な考えもない状態で到底叶うはずがない夢物語だよ」

「果たしてそうかな」

「まだ何か言いたいの?」

「対抗できる組織はアリウスにもあるだろ」

「…………何が言いたいの?」

 

 私だって馬鹿じゃない。確かに私のこの発言は叶うはずもない夢物語だと思われるだろうしこの夢物語を実現させるためには組織が必要だ。私だけで復讐などなし得ない。

 

 だから考えたんだ。

 

「アリウス分校を乗っ取ればいいんだよ」

 

 思えばアリウス分校に所属する生徒達も外の世界の連中を相当恨んでいるはず。ならばこちらと結託して共に戦うのも一つの手…だけど大きな問題がある。

 

 それはアツコという存在。奴らはアツコを欲して何かを企んでいる…。恐らく生徒会長(大人)が主体となって企んでいるに違いない、ならばその大人を除外すれば全員の方針は自ずと諸悪の根源への復讐と定まるはずだ。

 

 先のセリフに続けて考えていた内容をミサキへ語った。

 

「ッ!だからそうゆう考えが戯言だって言ってんの…!第一、逃げるのに手一杯なのに乗っ取るなんて夢のまた夢」

「確かに私一人だと夢のまた夢で戯言に過ぎないよ。だからミサキに協力して欲しい」

 

 ミサキと2人っきりになれて良かった。こんな話、みんながいる前で到底できる内容ではない。特にアツコの前でなんてね。

 

「そんな戯言付き合ってられない…。付き合う道理もなければあまりにも無謀すぎる。浅はかすぎる」

「……じゃあミサキはこの先何もせずに黙って野良猫のような生活を一生続けるのか?」

「ッ!」

「だってそうだろう。世界は残酷だとか苦痛だと、悲観的なことを言いながら抗おうとしない。そんなの人間なんかじゃない。それ以下、野良猫ような存在だ…!」

「な、なんだって…!」

 

 流石のミサキも人間以下と言われ頭にきたようだ。立ち上がり私の胸元を掴み怒りを顕にしていた。

 

「どうして初めから無謀だと決めつけるんだ?何もしなければ進めない。初めから諦めた逃げ腰では何処にもいけない…。何も変えれない…。だから私は戦うんだ。抗うんだ…!抵抗することを諦めたらそこで人は終わってしまう…!」

 

 私達は野良猫じゃない。人間だ。

 

 ああ、そうだよ。最初はミサキの言う救いも希望もない未来に縋って生きることと苦痛に虐げられながら生きることに違いないと思ってたよ。

 

 でもそうじゃなかったんだ。

 

 私はこの数日間で考え方が色々と変わった。みんなを幸せにする善人になるだとか、諸悪の根源に復習を誓うだとか…。

 

 それを実現させるためには世界に抗わなくてはならない。進み続けないといけない…。私達は人間なんだ。このまま野良猫のような惨めな生活から脱却するために世界と戦うんだ。

 

「……わからない。なんでクシナはそこまでして生きようと思うの…?だってその選択の先は地獄だよ。苦痛しかない」

「そうかもしれない。だけど私ってさ、誰かのために…家族のために何かをしようと思うと士気が異常じゃないほど上がるんだよ」

「……は、はぁ?な、なにそれ…。意味がわからない…」

 

 ミサキは私の話を聞き終え、胸ぐらを掴んでいた手をゆっくりと離しながら意味がわからないと発言した。

 

「……私には無理…。そんな生き方できない。私は大層な人間じゃない…。人生に対してそんなに前向きにとらえて生きていけるわけがない…。」

「…………………………………………………………」

「もう疲れたの。生きていたっていいことなんてない。また冬が来れば寒さに耐えながら一夜を過ごさないといけない。アリウス生と遭遇すれば撃たれて弾痕ができる…。私は身体が弱いからみんなより治癒力がない…。もう何年も、何年も耐え続けたんだから許してよ。楽にさせてよ…!」

 

 私が先程長く語ったようにミサキは自身の思いを語った。そして語りながら次第に身体を窄めその場にしゃがみ込んでしまった。

 

 実に悲観的な意見だ。ミサキはここまで追い詰められた状態でサオリ姉のエゴによって延命されていた。いつ限界を迎えてもおかしくないこの状況、首や手首に残る切り傷こそがそれを頷ける証拠。もし楽に死ねる…なんて甘い話があればすぐに乗ってしまうだろう…。

 

「だけど…」

「…………もういい!何も聞きたくない!黙って肯定してよ…!」

 

 年端もいかない少女であるミサキは普段から大人のような言葉や考えを持って行動していた。だけど今はどうだろうか。自分の悲観的な考えを私に理解して欲しいがために本来あるべき少女の姿へと変貌していた。

 

「…………………………………………………………」

 

 耳を抑え、私の発言をこれ以上聞かないように体を強ばらせるミサキに対して私はミサキを覆い隠すように抱き着く。

 

「!?」

「これは私の独り言だから。聞きたくないなら聞かなくていいよ」

「…………………………………………………………」

 

 そのままミサキを抱き抱えながら私は独り言を呟いた。

 

「私もサオリ姉と同じでミサキには生きてて欲しい」

 

 きっとミサキからしてはサオリ姉や私から生きて欲しいと懇願されることは善意剥き出しの嫌がらせだと思うだろう。

 

「私はみんなが幸せに暮らせる世界を創造する。そのみんなにはねミサキも含まれてるんだ」

「…………………………………………………………」

「……家族であるミサキがいない世界なんて私は望んでないからさ」

「ッ!?……じゃあなに…?」

 

 私の独り言だと言うのにミサキは聞いていたのか口を開いた。

 

「私はクシナの作る世界のために生きろって言うの?」

「……そうなるね」

「!ふざけないで…!なんでクシナの利己的な私的で私が生きなきゃならないの!?クシナ、あんたもサオリ姉さんと一緒。そうやって私を延命させようとする…!善意剥き出しの嫌がらせだ…!」

 

 声を荒らげ私に抱いている思いをミサキは述べた。善意剥き出しの嫌がらせ…。ミサキからしてみては私の発言はまさにそうなのだろう。

 

「……ううん。違う。嫌がらせじゃないよ。これは私の願いなの」

「願いだとしても私が迷惑してるんだからやめて…。」

「……何もミサキ1人で生きて欲しい、なんてことを私は思ってないよ」

「……?」

 

 だって生きて欲しいと思うのは私の願いなんだ。だからって1人で全部を背負って生きて欲しいってわけじゃない。

 

 ミサキに抱きついていた私は少しだけミサキから離れる。そしてミサキの手を優しく握り続きの言葉を送った。

 

「ミサキ1人で生きて欲しいわけじゃない…私と一緒に生きて欲しいの」

「……!」

「だって1人は寂しいもんね。私だって寂しいよ」

 

 そう、1人は寂しいんだ。

 

 だから私は姉さんの死から目を逸らした。生きてると思い込ませて、自分は1人じゃないと言い聞かせ、姉さんのために行き続けた。何故ならそれが私の活力だったからだ。

 

「それに人は1人では生きていけない。相談できる人、一緒に協力できる人、そういった人が必要なんだ。そしてそういったことに長けているのが家族だと私は思ってる」

「…………………………………………………………」

「約束する。ミサキが困った時、家族である私が側にいてミサキを励ます。寒い時は私がミサキを抱いて温めてあげる。アリウス生との戦闘で負った怪我は早く治るように塗り薬を血反吐を吐いてでも見つけ出して塗ってあげる。だから…。」

 

 自分で言うのもあれだけど…サオリ姉に救われた身として、今度は誰かを私の励ましの言葉で救ってあげたい…そう思ったからこのような行動に出たんだと思う。

 

 妹ってのは姉の背中を見て成長していくもの。サオリ姉が私に対して取った言動を末っ子として真似てみたくなったんだよ…。

 

「…………………………………………………………」

「……!」

 

 どうやら少し考えている間に発言の間が空いたようだ。それに気付いた私は優しく握っていたミサキの手を強く握り、続きの言葉を述べた。

 

「ミサキ、私と一緒に頑張って生きよう」

「!!!…………………………!」

 

 ミサキは涙目になりながら伸びた前髪の隙間から私の目を見つめて口を開こうとした。

 

「……………………は?」

 

 刹那。私の鼓膜を揺らしたのミサキの言葉でなく不快なリズムで鳴り響く金属的な音であった。

 

「……手榴弾…!?」

 

 私から見て右手側に手榴弾がいきなり投擲され、私達の足元に転がり込んでいた。先程、私の鼓膜が拾った金属音の正体はこれだったのだ。

 

「(一体誰が?なんのために?何故私達に?……いや、そんな敵なんて…!)」

 

「(───アリウス分校…!)」

 

 答えにたどり着いたクシナであったが時すでに遅し。クシナとミサキの付近に投擲された手榴弾は2人の今の状況を知りもせず無慈悲に爆ぜたのであった。




長くなりそうなのでここいらで切り上げます。
次回、空気を乱したアリウス生達の視点、ミサキの心情、戦闘、以上3つの描写を書く予定です。ここで書くとまじで長くなりそうでしたので次回へお預けです。

クシナちゃんですがなんだがアズサみたいな発言が多いですね。仲良くなれる感じかな?果てしてどうでしょうかねー(笑)

少しでも気に入りましたら評価とお気に入り登録を!そして感想をいただけると嬉しいです!

それではまた次回のお話でお会いしましょう!

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