男女あべこべ自キャラ憑依曇らせ勘違い   作:maricaみかん

28 / 36
今のパーティがきっと最高!

 ユミナも加わったことだから、軽くザワザワ森を探索していきたい。

 流石に新メンバーが加わったばかりでボスに挑もうとするほどバカじゃないからな。

 どんな動きをするか慣らしていって、まずはそこからだ。

 俺が居ればどうとでもできるとはいえ、ソル達の成長だって必要だものな。

 パーティである以上、ひとりよがりな行動をするつもりはない。

 

「ユミナさんは僧侶なんですよね。なら、回復はお手の物ですか?」

 

「そうですね~。HPでも、状態異常でも、必ず治してみせますよ~」

 

 なるほど。基本的な回復は抑えていると。それなら、最低限の役割は果たしてもらえるな。

 仮に火力役ができたとしても、回復に専念してもらったほうが良いかもしれない。

 まあ、本人のやりたいことだってあるから、無理に押し付ける訳にはいかないが。

 それでも、言動からするに回復役をこなす感じの性格だろうな。

 

 だとすると、今の俺達にとってとても必要な存在になる。

 ザワザワ森の環境、つまり状態異常の問題を考えても。

 もうひとつ、不意打ちなどによってソル達のHPが減りやすいことを考えても。

 俺のサクリファイスヒールやポートコンディションも使えるが、手が多くて困ることはない。

 

「じゃあ、頼りにしてますね。ボクも壁に専念できたら楽なので」

 

「でしたら、わたしがクリスさんを癒やすのはどうですか~?」

 

「いえ、必要ありません。ダメージを受けていたところで、問題はないので」

 

 むしろHPが減っている方が都合がいいんだよな。

 まあ、説明して分かってもらえるかは怪しいが。自分からHPを減らしたいなんて言ったらマゾか何かと思われてしまう。

 別に嫌われはしないと思うが、変な目で見られるくらいはあるだろう。

 その辺を考えると、積極的にHPを削るつもりだとは言えないよな。

 

「なら、無理にとは言いませんが~。回復してほしい時は、すぐに言ってくださいね」

 

「ありがとうございます、助かります。ソルさんとセッテさんは、すぐに回復してあげてください」

 

「分かりました~。では、行きましょう~」

 

「クリス、本当に無理はするなよ。いつでも頼ってくれていいからな」

 

「そうだね。クリスくんよりは弱いけど、私達だって力になりたいんだ」

 

「心配しなくても、へっちゃらです。ボクは強いので。本当に行きましょう」

 

 それからザワザワ森に向かい、パーティとしての動きを確認していく。

 とはいっても、俺が守るべき相手が増えたくらいのものだ。

 ユミナの役割は回復役だから、そこまで動きに影響しない。

 HPが減った時にどう動くかは変わってくるとはいえ、まだ考えることじゃないよな。

 とりあえず慎重に動くだけで十分だろう。

 

 毒沼やイバラの影響で、徐々にみんなのHPが減っていく。

 それをユミナが回復していって、俺はだいぶ考えることが減った。

 みんなのHPを考慮に入れて使うスキルを変更する必要があったからな。

 でも、いまは盾役に専念しているだけでいい。簡単なものだ。

 とはいえ、実際の戦闘でユミナがどこまで動けるかだよな。

 

「みなさん、敵が見えました。戦いにいきましょう」

 

 前回も戦った、大きくて青い蝶だ。今回も俺が攻撃に参加していくつもりだ。

 ユミナはどこまで動けるだろうな。それによって俺の動きが変わる。

 

「いきます。アピールタイム。そして、カースウェポン」

 

 俺が火力役を担うおかげで、ヘイト管理は全く考えなくて良い。そこも楽なところだ。

 最悪の場合、回復役のユミナが狙われていくからな。避けた方が良い事態だよな。

 

「アタシだって! ハイスラッシュ!」

 

「私も行くよ。ハイファイア」

 

 ソルが切りつけ、セッテが炎を飛ばす。お互いに声かけしなくても、だいたい何がしたいか分かるんだよな。

 スキルは発声が必要だから声を出しているだけで、何も言わなくても連携できると思う。

 まあ、だからといって声かけの重要性を軽んじるべきではないよな。

 特に、今は新入りのユミナがいるのだから。ちゃんと役割を理解してもらわないと。

 

 今回もすぐに敵を倒せず、鱗粉をまき散らされる。ソルとセッテ、ユミナが毒を受けていく。

 

「キュアポイズン。もういちど、キュアポイズン~」

 

「ポートコンディション」

 

 ユミナが1人ずつ癒やしていくが、ちょうど俺の手が空いていたのでユミナを回復する。

 なるほどな。全体回復を持っていなかったか。出会った時にもソロだったし、まあおかしくはない。

 とはいえ、大したものだ。ザワザワ森で回復役がソロで探索するなんてな。

 まあ、それはいい。つまり、俺にも回復を担当する瞬間があるということだ。

 1人ずつ回復していては、もっと強い敵では手が回らないからな。今のうちから慣らしておくべき。

 

 何度か同じ事を繰り返していくうちに、今度はみんなのHPが減り始めた。

 なので、またユミナと手分けしてみんなを回復していく。

 

「ヒール。もう一回、ヒール~」

 

「サクリファイスヒール」

 

 同様の手順を繰り返していき、やがて敵のHPが倒れるところまで減る。

 そして、ソルが敵にとどめを刺していく。

 

「ハイスラッシュ! これで終わりだ」

 

「やりましたね。これなら、パーティとして最低限はやっていけそうです」

 

「そうだね。でも、まだまだ先は長い。しっかりと訓練していかないとね」

 

「わたしもですね~。もっと強くならないと~」

 

「ありがとうございます、ユミナさん。あなたが加わってくれて良かった」

 

「そうだね。おかげで、私たちももっと強くなれそうだよ」

 

「だな。アタシからも、感謝させてくれ」

 

 それからも何度か敵を倒していき、今日の冒険は終わった。

 うん、良いパーティになってくれそうだ。ユミナと出会えたのは、本当にいい出来事だったな!

 占ってくれたエリカにも、しっかり感謝しておかないとな! これからの冒険は、もっと楽しくなるぞ!

 

 

――――――

 

 

 ユミナはクリスたちのパーティに加わって、クリスの負担を減らすことを考えていた。

 回復役として周りの人間を癒やしていくことで、彼の役割が減るようにと。

 だというのに、ユミナの回復の手が回らないばかりに、クリスに回復役を担わせてしまう。

 ずっと僧侶として人を癒やしてきたユミナだから、簡単に分かったことがある。

 クリスの回復は、常にクリス自身のダメージと引き換えなのだと。

 

 つまり、自分が僧侶として未熟だから、クリスを余計に傷つけてしまったということ。

 考えるだけで胸が張り裂けそうで、でも彼の前で弱音を吐く訳にはいかなくて。

 ソルやセッテにも、何よりクリスにも感謝されてはいる。

 でも、まるで言葉が胸の奥に届いてこない。自分がこのパーティに居る意味は何なのだろう。真剣に思い悩んでいた。

 

 心がぐちゃぐちゃになりそうな気分を味わいながら、ユミナは地面に強く引っ張られるかのような錯覚を起こしていた。

 

「なんでしょう。体が重い~? クリスさんの方が傷ついているのに、わたしはなんて……」

 

 情けなさと苦しさと、いくつかの思いが。ユミナの心をむしばんでいった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。