ワンピース世界のモンスターハンター 作:麦わらのジャギィ
悍ましい殺気が、男から漏れ出した。
「ーーーッ!」
「ーーーチッ!」
ゾロが刀を抜き、サンジが軽く足を上げた。
「やだぞ!!なんで殺されなきゃなんねぇんだ!」
対照的に、ルフィは呑気に言い返している。
「...海賊が、嫌いだからだ。どうしようもなく」
男は静かに答え、ハンマーを構えた。
瞬間、男が駆け出した。
とても常人には持てないであろう巨大なハンマーを、まるで紙切れのように軽々と振り回す。
「ぎゃふッ!」
そのハンマーはルフィの顔面にめり込み、軽々と吹き飛ばした。
そのまま扉をぶち破り、船室の中まで吹き飛ぶ。
「次はどいつだ」
勝利を確信した男は、一味にそう呼びかける。
その時、船室の奥から声が聞こえた。
「ゴムゴムのォ~~」
どうやら、勝利を確信するにはまだ早かったようだ。
船室の奥から、ルフィが目にもとまらぬ飛び出した。
「ロケットォォ!!!!」
「ゴフッ!!」
ルフィの頭が、男の腹に突き刺さった。
だが、男も並の強者ではない。腹部の痛みをこらえ、決して膝を着かない。
バキバキと船板を削りながら減速し、ハンマーを振り上げた。
「...溜め」
そして、未だ腹に突き刺さったままのルフィに対して、渾身の力を込めて振り下ろした。
「3」
その一撃は舟板をぶち抜き、ルフィを船底に叩きつけた。
「ギャー!!船がぁーー!!!!」
ウソップの悲鳴が悲しく響いた。
「フ―、フー、フー...」
荒い息を吐き、呼吸を整える。
確実に当たった手ごたえがあった。
船底を突き破らぬよう手加減したとはいえ、これで死なない者は、もはや人ではない。
「さぁ、次は誰だ。かかってこい。海賊共」
が、誰もかかってこない。
やけに落ち着いている一味の皆に彼は違和感を覚えた。
おかしい。何故、こんなに余裕がある。
仲間が今、殺されたんだぞ?
「ッ!」
一味を見回しながら狼狽える男に、緑髪の男が声をかけた。
「おい。よそ見してていいのか?」
「?何を...ッ!」
その時、悪寒がした。
「ゴムゴムのォ...」
遠くから声が聞こえる
「バズーカァーーーー!!」
「グボァッ!!!」
瞬間、彼が真上に吹き飛んだ。
兜の隙間から血が溢れ出る。
「...ッツ!!!」
薄れゆく意識の中、男の脳裏に父の顔がよぎった。
「そうだ。俺はーーー死んでも負けん」
意識を必死で手繰り寄せ、落下地点を見極める。
狙うは、麦わら帽子の男ーーー確か、ルフィとか言ったか。
回転をする余力はない。ーーならば
落下の勢い全てを、ハンマーに乗せる。
「いやー!ゴムでよかったー!八ッ八ッ八ッ八ッ!!!!」
「すげーぞルフィ!!」
「船の修理をーーーッ!おいルフィ!まだ終わってねェぞ!」
ゾロが上空の彼に気づき、がなり声をあげる。
「...落下版」
「あんな攻撃まともに食らったら、船がやられちまう!」
「でも、あんなの止められっこないわよ!」
「...サンジ!ゾロ!ーーー止めるぞ。」
「「ッおう!
三人が、天空の男を睨みつけた。
「...溜め」
「ゴムゴムのォ...」
「三刀流ーー鬼...」
「
三人が、一斉に飛び上がった。
「3ン゛ン゛ン゛!!!!!」
「ウィップゥゥゥ!!!!」
「斬りィィィ!!!!」
「キックコース!!!!」
二つの閃光が交わった。
鈍い金属音と共に、激しく火花が散る。
「オォォォオ゛オ゛オ゛!!!」
「「ウォオオオ゛オ゛オ!!!」」
だが、両者の拮抗は、そう長くはもたなかった。
天秤はゆっくりと、だが確実にルフィ達に傾き始める。
「ッ!...海賊なんぞにーー俺が負けるかァッ!!」
男の脳裏によぎる、過去の幸せな記憶。
名も無き海賊に奪われた、二度と戻らない日常
「所詮、お前もそこらの海賊と同類だァ!」
その時、ルフィが叫んだ。
「ッ!そこらの海賊と一緒にすんじゃねェ!
ーー俺は、海賊王になる男だ!」
「ッ!」
なんだ、こいつの目は...
「「「オオオ゛オ゛オ゛オ゛オ!!!」」」
あぁーー、糞。イイ目してやがる
拮抗が、崩れた。
「「「オオ゛オ゛オ゛ラァ!!」」」
その一撃はハンマーを弾き、男を穿った。
「ーーー勝ったぞォォオ!!」
「「ルゥフィイイ!!!」」
麦わらの一味から、歓喜の声があった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「フ―...さて、こいつをどうするか、だな。」
サンジが、鎖でグルグル巻きにされた男を指してそう言った。
「もっと鎖でグルグル巻きにだな」
「これ以上意味ねぇよ」
「じゃあ、こうテープとかでガチガチに...」
「もっと意味ねえよ!ビビりすぎだテメェ!」
「あんた達うるっさい!」
ギャアギャアと騒ぐ一味達の声に、男は目を覚ました。
「おォ~!起きたか!」
「ギャー―!復活したァ!」
「うるっせぇよ長ッ鼻ァ!」
「なんだと野蛮人!俺はお前ら化け物と違って繊細なんだよ!」
やっぱりギャアギャアとうるさい一味を尻目に、男が口を開いた。
「...俺はーー」
途端にシンと静まりかえる
皆が固唾を飲んで見守る中、男が二の句を継ごうとした
その時だった。
ザッパアァンという轟音と共に、先の海王類の数倍はあろうかというほどの巨大な化け物が現れた。
「「出たあああああぁぁぁあ!!!!」」
「こりゃやべぇぞルフィ。」
「洒落にならねぇぞ...こりゃぁ。」
「ああ、わかってる。
ーー捕まえてペットにしよう。」
「「「「何がわかったんだよ!!」」」」
結局うるさい麦わらの一味に対して、男が口を開いた。
「...モンスターが出たのか?」
「!ああ、そうだ!ウミザウルスってんだ!」
「「「「名前つけてんじゃねぇ!!!」」」」
「...モンスターが出たなら、俺の出番だ。鎖を解いてくれ。
ーーもう、お前らに手は出さない。」
男は、ルフィの目を見て告げる。
「!あぁ、わかった。」
「ッ!おいルフィ!大丈夫なのかよ、そいつ信用できるのか?」
狼狽えるウソップに、ルフィは安心させるように告げた。
「あぁ、できる。大丈夫だ。
こいつは、ワリィ奴じゃねぇから。」
こうなっては、誰も反対などできない。このカリスマ性こそが、ルフィが船長たる所以なのだから。
「...俺のハンマーはあるか?」
拘束から解放された男は、コキコキと間接を鳴らしながら問う。
「ああ、ここにあるぜーーッ!お前、こんな重いもん振り回してたのか...」
「...えへへ」
「褒めてねえよッ!」
つい照れた男に、サンジががなり声をあげた。
「ねぇ、あんた!その体で本当に大丈夫?」
心配そうに尋ねるナミに、男は落ち着いて答えた。
「あぁ、無論だ。それに、本業を疎かにするわけにはいかない。」
「?本業って...ッ!あなた、ひょっとして……モンスターハンター…!?」
ギョッとしたように尋ねるナミに対し、男は当たり前のように頷いて見せた。
「あぁ。」
「「えぇぇぇええええええ!!!!」」
一味の悲鳴がこだました。
「なんだ~?ナミ。その
全くピンと来てないルフィに、ナミがたまらず食って掛かった。
「有名人よ有名人!モンスターハンターのリュウ!
鎧を着た大男で、陸、海、空、関わらず全てのモンスターを討伐して回ってるっていう、狂人よ狂人!」
「...褒めても何も出んぞ」
「褒めてない!!!」
「「ほえぇ~」」
「あんた達、少しは興味持ちなさいよ!!」
再び騒がしくなった一味を背に、男が語る。
「ーーまぁ、肩書などどうでもいい。
俺は、あいつを狩って、糧にする。」
どこか狂気をはらんだ声色で、リュウは語る。
「おい、眉太郎。俺をあのモンスターの所まで飛ばせるか?」
「誰が眉太郎じゃボケェ!
オウオウ、蹴り殺す勢いでぶっとばしてやるよ!」
ナチュラルにサンジを怒らせてしまったリュウだが、結果オーライ。飛距離が足りなくなる心配はなさそうだ。
...まぁ、飛ぶ前に蹴りで死んでしまうかもしれないが。
「...さあ、行くぞ。準備はいいか?」
「テメェが仕切ってんじゃねえッ!!
ーーチッ!行くぞ!」
「「せーのッ!」」
「ハンターシュートォ!」
弾丸が、モンスターへと発射された。
「...素晴らしいコントロールだ。」
ちょうどモンスターの頭上で、リュウはそう呟いた。
ワニのような口に生え揃った巨大な牙、光沢があり、もはや神々しさまで感じさせられる鱗。
ーーあァ、なんて心躍る光景だろうか。
どんな素材が採れるのだろうか。どんな武器にしようか。どんな防具ができるだろうか。
ーーーあァ、まったく
「やめられない...」
兜の下に笑みを浮かべ、リュウはハンマーを振り上げた。
「狩技」
モンスター目掛けて落下し始める。ルフィには悪いが、手加減なしだ。
「インパクトクレータァー!!!!!」
ドォンという爆音とともに、海に風穴が空いた。
「...無茶しすぎだな」
その光景に満足感を覚えながら、リュウは意識を手放した。
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