笑顔(と血飛沫)の絶えない転生です   作:社畜だったきなこ餅

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そんなわけで最終話投稿です。
このまま無限に続けられそうだけど、だらだらと続けてもよくないからね……!


ボク達の闘いはこれからだ!(白目)

 

 

 なんやかんやの末に、結果だけ見れば必要以上の血が流れる事なく怪異とかの事情が人間社会に露呈する事なく終わった京都事変。

 これはもうどこからどう見てもハッピーエンドだ、望外の結末と言っても良い代物と言えよう。

 

 ただ一つ問題があるとするならば。

 酒呑童子が今回の顛末の責任を取って首領の立場を手放し、後任として九尾の力を短時間とはいえ制御出来たボクを指名した事である。

 その結果何が起きたかと言うと。

 

 

「堕姫様!ルーマニアの吸血鬼連合から書状が!」

 

「堕姫様!力を取り戻し始めた土着神達からの遣いが見えられました!」

 

「堕姫様!出張先の接待費用経費お願いします!」

 

 

 なし崩し的に妖怪のまとめ役に据え付けられたボクがクソ忙しくなったよ!

 こうなった原因の酒呑童子は嬉々として修業に励んでるし、副官として使えそうだった紅葉さんは酒呑童子についていっちゃったよ!

 

 

──いやぁ見てて面白いぐらいじゃな子狐や。

 

 

 そんなボクの状況をケタケタ笑って見てるだけの九尾様である。

 いやね、状況的にしょうがないのはわかるんですよ。

 

 まず妖怪ってのは強さこそ正義と言うシンプル精神、されども酒呑童子を真正面から叩きのめした弦哉君は人間だからその下につくのは妖怪事情的にNO。

 しかしそこに酒呑童子が指名した妖狐がおり、更にその妖狐は九尾の欠片を使っても暴走しない上に酒呑童子を叩きのめした人間と仲良さげ。

 

 政治がわかる妖怪は話が通じやすく力を持っているボクを支持し、力至上主義の妖怪も渋々だけど納得できる。そんな感じの扱いになったボクには。

 もはや決定権などなかったのだ(白目)

 

 

「誰か書状の翻訳できる人つれてきて!遣いの人はすぐに応対するよ! 後なにこの経費、雪女の芸子を侍らせた分は自腹きってね!」

 

 

 矢継ぎ早に指示を出して処理をし、動きにくい事この上ない着物に身を包んだボクは土着神の遣いの応対へ向かう。

 いつものミニスカ着物は立場的にどうかとか言われて、母様が良く着てたような着物を着る羽目になったよ……動きにくい!

 

 でもまぁ、うん。弦哉君は褒めてくれたからよしとしよう。

 彼と仲良くし気に入られるのは決して悪い事じゃないからね!

 

 

──この子狐、もしやその路線押し通すつもりか?

 

 

 ボクの内心に九尾様が突っ込んでくるが、そこは聞えなかったフリをしておく。

 

 

「そう言えばどこの土着神なの?」

 

「その……出雲の方から見えられたそうで、どの神かは堕姫様が来てから話すの一点張りでして……」

 

 

 出雲、出雲……。

 どこからどう見ても、日本神話編の大ボスことヤマタノオロチの遣いです、本当にありがとうございました。

 

 

 ……ファーーーーーーーーーーーー!?

 

 

──ああ原作とやらの、西洋妖怪との戦いの後に出てきたヤツじゃな。

 

 

 

 

 

 

 この世界が本来辿る流れは現世と幻想の境界が崩された事によって混沌が世に齎され。

 人心は暴力と恐怖、そして疑心暗鬼によって荒み……怪異は我が世の春とばかりに振舞って平和は儚く崩れ去る運命にあった。

 

 本来辿る筈だった流れ、世界線とも言うべき時空においては様々な悲劇と闘いの果てに人に仇為す怪異の根絶を一人の少年が誓い。

 そして終わりの見えない闘いの果てに、少年は仲間達を犠牲にしながらも異界の邪神を討ち果たす事でようやくかりそめの平和が訪れる。

 そんな、一握りの救いしか得られない残酷な運命に至る筈だった世界。

 

 しかし。

 

 

「助けてーー!おにーさーーん!!」

 

 

 この世界に現れた一つのイレギュラーである一匹の妖狐、堕姫の存在によってその歯車が外れ狂った。

 現世と幻想の境界は危うい事は多々あれども、そのたびに堕姫は内心で愉快な悲鳴を上げながら影に日向に騒動の後始末をつけて境界を守り続けている。

 

 

「またか……今度は何があったんだ? 堕姫」

 

「ギリシャ勢力のポセイドンがー!ボクを攫いにいきそうってルーマニアの吸血鬼さんから情報がーー!」

 

「よしわかった、ちょっとギリシャ行ってポセイドン殴ってくる」

 

「ステイ!おにーさんステイ!大学の単位どうするの!?」

 

 

 そして宵野弦哉は原作とは違い高校を卒業し、本来はなれなかった大学生となった今も憎からず思っている堕姫と交流を続けている。

 周囲からは関係の進展についてやきもきされているが、二人きりで出かける事は多々あれども恋仲に至ったりもしていないらしい。

 

 しかし今も堕姫が真顔で旅立とうとする宵野弦哉にしがみついて必死に止めているように、堕姫へ向ける重い感情は変わっていないようだ。

 これについては堕姫の中に同居している九尾も匙を投げ、堕姫にとっとと宵野弦哉を誘惑して堕としてしまえと助言をしている始末なのだが……。

 堕姫は堕姫でちょろい割に初心なのか碌に関係は進展していない、だが距離感は変わっていないのが質が悪い。

 

 きっとこの世界は今後も現世と幻想の境界は崩れる事は無く、仮に万が一崩れたとしても原作世界線と違い優しい結末に終わるであろう。

 優しい世界と言えば聞こえは良いが、生温い事この上ない世界だ。

 

 

 

 だからこそ素晴らしい。

 

 

 

 並行世界の『私』は宵野弦哉に討滅され、この世界の私は宵野弦哉を打破した。

 他の並行世界を観測すれば、どの世界でも途中に多少の違いはあれども『私』と宵野弦哉は最後には殺し合い。

 そしてどちらかの勝利によってその世界は終わりを迎えている。

 

 たまには趣向を変え、『私』達の闘いを観測している次元からの魂を呼び込み、適当な存在に放り込んでみたが。

 イレギュラーである魂、今は堕姫と呼ばれている存在はとても良い仕事をしてくれた。

 終わりなき闘争も甘美だが、新たな可能性と言うものは喜びに満ちている。

 

 

 

 今はただ、この可能性の世界を観測して楽しむ事にしよう。




『今回は最初から正気』
と言うわけで長らくお付き合いくださりありがとうございました。
最終話は半ば駆け足気味に終わらせましたが、この終わらせ方は最初から予定していたので……この先も楽しみにしてた人には本当に申し訳ない。

本作の架空原作である宵闇行状譚は、ぶっちゃけて言うとインフレ大爆発した幽遊白〇がモチーフです。
そんな作品が好きだった読者はある日ひょんなことから、宵闇の序盤で退場するメスガキツネに憑依転生、そこから原作の地獄インフレを回避するために奔走すると言うのがコンセプトでした。
しかし実はその憑依転生は原作ラスボスの掌の上であり、結果論とはいえ斜め上に物語が飛んだ事で原作ラスボス手を叩いて大笑い。
当初は最後の最後にはいつもと違う育ち方をした原作主人公と殺し合いを楽しむ予定あったけども、コレ下手に手を出さず見てる方が楽しいな!となった事で世界線ががっつり変化したというオチでした。

まだ色々と語りたくもありますが、これ以上語るのも無粋なので以上を持って本作を締めたいと思います。
長らくお付き合いくださり、本当にありがとうございました。
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