笑顔(と血飛沫)の絶えない転生です   作:社畜だったきなこ餅

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艶やかな黒く長い髪、愛らしい顔つきに狐耳尻尾、そしてでかい乳にミニスカ着物。
これだけの属性を盛り込んだ女性キャラを、情け容赦なく中ボスとして使い潰してそのご再登場させないロックな作品こと。
宵闇行状譚、みんな読もうぜ(白目)


主目標:生存、努力目標:準レギュラー

 

 『生まれ変わるとしたらどんな世界で何に生まれ変わりたい?』こう問われて、自分が愛する作品やキャラに転生すると即答できる人を僕は尊敬する。

 それは何故か? 物語として楽しめる作品と言うのは、何かしらの問題が起きてその問題を解決するというサイクルを繰り返しているからだ。 勿論例外もあるしその限りではないが……。

 まぁ何が言いたいかと言うと、物語的な出来事と言うのは紙面やアニメ等で見る事に越したことはないと言う話だ。

 

 ましてや。

 

 

「妾の可愛い堕姫や、人間なんぞに入れ込むのは結構じゃがほどほどにのう?」

 

「わかってるよ母様」

 

 

 怪奇伝承バトル作品から、スーパーインフレ超常バトル作品に華麗なシフトを遂げた作品の序盤に主人公たちに退治される妖怪組織の頭領の一人娘になるなんて、もはや罰ゲーム通り越して死刑宣告だと思う。

 そんなことを一瞬遠い目をしながら考える僕こと、某お絵かきサイトでスケベピクチャーの割合が驚異の八割という顔と体と声しか取り柄のないメスガキツネ『堕姫』にTS転生する羽目になった僕は。

 目の笑ってない笑顔を浮かべている眼前の着物を気崩した格好をしている妖狐であり、今世の母である『死姫』がゆらりと3本の尻尾を揺らしながら僕に告げる。

 

 凄い大物感出てるだろ? この人(狐)……原作こと宵闇行状譚の4巻で主人公に叩きのめされて命乞いし、見逃してもらえそうになった瞬間騙し討ちしてトドメ刺されるボスなんだぜ……。

 ちなみに僕は2巻で主人公の通う学園の生徒を遊び半分で洗脳し玩具にしたせいで、容赦なくぶちのめされた末に付き人妖怪の夜霧さんに斬られて死ぬ役回りです。 どうしようもねえ。

 

 

「まぁ話はそんくらいじゃ、全くちまちま畏れや魂を集めるなぞせずとも。妾の娘ならば人を堕落して食い漁れば尻尾など簡単に増えるじゃろうに」

 

「うぇー、やだよー。人間なんて食べてもおいしくないし」

 

 

 どうしようもない出来損ないを見る目で僕をみつつ、話は仕舞いだと手をひらひらさせて僕を部屋から追い出す母様。

 そんな彼女の様子に、堕姫らしくメスガキムーブをかましつつそそくさと部屋から逃げるように立ち去る僕である。

 

 いや、その。TS転生はもう諦めたんだけども前世的に人間をバリボリ喰うのは……いやー、キツイです。

 

 

「お嬢、お疲れ様です」

 

「ん、ご苦労! ごめんね夜霧ー、母様に君の活躍しっかり伝えれなかったよー」

 

「気にしないで下さい」

 

 

 母様の部屋から出た瞬間肩を竦め尻尾をしんなりさせた僕に、待機してくれていた夜霧さんが声をかけてくれる。

 ちなみに彼の正体は烏天狗である事は既に御存知だと思うが、彼がうちの組織に身を寄せている理由は……彼が昔々愛した人間の女の人が生まれ育ったこの土地を守りたいっていう、中々に主人公側力の高い理由です。

 なおその愛した人は妖怪である夜霧さんと通じていたという理由で同じ人間に殺されており、その事が彼を人間嫌いにした理由になってたりもする。

 

 

「そう言えばお嬢、昨晩お嬢が始末をつけた輩に嬲られた娘さんですがお嬢に感謝してましたよ」

 

「みたいだねー、信仰力がぎゅんっぎゅんっ集まってるの感じてるよ」

 

「しかし人間なんて簡単に掌を返すモノです、早く力をつけたいと言う目的にはそぐわないと思いますがね」

 

「ちりも積もればなんとやらだよ、小石でも積み上げれば山になるんだから」

 

「使い物にならない小石を積み上げてもすぐに崩れるだけだと、俺は常日頃言ってるんですがねぇ」

 

 

 困ったお嬢様だと言わんばかりに溜息を吐く夜霧さんに、まぁまぁと緩く笑いながら僕よりも頭二つ分は高い彼の腰をぺしぺしと叩く僕である。

 夜霧さんが言う事も尤もなんだけども、手っ取り早く人間を玩具にして食い物にすることはそれはもう盛大な死亡フラグなのでやるわけにゃいかんのだ!!

 

 そんな具合に軽口を叩きあいながら屋敷の中を進む僕達だが、割と屋敷の中にいる妖怪達の視線は僕達に厳しい。

 なんせ彼らの大半は人間によって住処を追われたり傷つけられた妖怪が大半なもんだから、頭領の娘ってポジションなのに人間に対して穏健にもほどがある僕は割と忌々しい存在に見えているようだ。

 

 今も彼らの陰口が僕の大きな耳に入ってくる有様だからね! 母様も特にその流れを止めてないもんだから、気が休まらないってレベルじゃない。

 と言うか状況は中々に芳しくない。

 

 

「おやおやお嬢、正義の味方ごっこも結構ですが危ない事は控えて下さいよ? なんせ貴方様は我々の子を孕んで産むための大事な母胎なんですからな」

 

 

 ばったりと鉢合わせた巨躯の鬼がこんな事のたまう有様だからね! 跡取りとして相応しくないから次代を産ませる為の母胎扱いになりかけてるよもはや!

 僕を庇うように前に立つ夜霧さんの陰に隠れつつ、鬼めがけてアッカンベーをしておく。

 そんな僕の仕草に鬼はゲラゲラと下品に笑いながら大股で歩き去っていく。

 

 

「……こりゃもうそろそろマジで待ったなしかもねー」

 

「……お嬢、今からでも遅くはありません。人喰いはしないまでも悪党以外の魂も」

 

「んや、その心配は無用だよ夜霧ー。僕にはいい考えがある!」

 

 

 惚れた女の故郷を守る為、土地を荒らす人間に弓引く形でうちの組織に入った夜霧さんが僕を案じるかのように今のやり方よりも手っ取り早いやり方で強くなれる方法を勧めてくる。

 あれ? なんか思ったより好感度高くない?

 

 まぁいいか!高いに越した事はない!

 それに予定していた強さには正直届いてないまでも、必要最低限の力は手に入れられたから生き残る目算は十分に立っているし、そろそろ原作開始の時期だ。

 

 

「と言うわけで夜霧、ちょっとお出かけしよっか」

 

「はぁ……まぁいいですがね」

 

 

 僕の笑顔に何か胡散臭いモノを感じてる様子を見せながら、しかし聞いてもまともに答えない僕のことを理解している夜霧さんは溜息一つ吐いて了承。

 そんなこんなで僕と夜霧さんの二人は人間に擬態した状態で夕陽が地平線に落ちそうな時間帯に、街へと繰り出す。

 

 

 目的地はそう、原作主人公の『宵野 弦哉』が人生で初めて怪異と遭遇し……そして異能に覚醒する場所である路地裏だ。

 




初登場時はなんかこう良い感じに見えた堕姫と夜霧の関係性が。
実はめっちゃビジネスライクだと判明して、知り合いの夢女子作家がキレ散らかしてました。

一件わがまま放題の美少女ご主人様と、やれやれ系従者だからね。しょうがないね。
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