笑顔(と血飛沫)の絶えない転生です   作:社畜だったきなこ餅

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原作だと死姫編が終わった後はインターバル的な話をやった後、京都編に入ってましたが……。
色々と前倒しにされてる本作では、どうやら雲行きが怪しい様子です。


勝てば官軍負けたら族滅

 

 

 母様の憎悪と絶望に幕を下ろして早一か月。

 頭領である母様を喪った組織は瓦解し、人間に対して敵意を持つに至らなかったけど現代社会で生きていくには弱い妖怪達を何とかまとめようとしていたある日。

 

 

「おめえさんが死姫の娘か、その若さで三尾に至るとはなかなかの逸材……我らの軍門に降れば良い目を見させてやるぞ?」

 

 

 いつの間にか姿を消していた人間への敵意が強かった元所属員妖怪の手引きで、京都の老舗過激派妖怪組織が攻めてきました。

 ものすごく強そうな鬼だ、だけどもしかすると他妖怪の空似かもしれない……こんなところに京都妖怪の長、酒呑童子が来るわけがない!

 

 

「……まだ喪も明けてないのにずいぶんな挨拶だねおじさん、名前ぐらい名乗ったらどう?」

 

 

 残ってくれた妖怪達と手伝いに来てくれた弦哉君の助力で、元の豪奢な邸宅ほどでないにしろこぢんまりとした日本家屋もどきの縁側でお茶を啜っていた所に現れた巨躯の鬼の姿に。

 僕は違うといいなー、違うっていってくれないかなぁ。などと一抹の望みをかけながらも内心を表情に出すことなく、僕を見下ろしている鬼を見上げながら問いかける。

 

 

「クハハハハ!儂の前でそんなことをほざけるとは剛毅極まりない、普段なら捻り殺してやるところだが気分が良い! 問われたならば名乗ってやろうとも!」

 

「我が名は酒呑童子! かつて京の都に恐怖を齎し、復活した今も妖共を束ねる長よ!」

 

 

 はい決定ー!死姫編終わった後の京都編のボス来襲!

 あの、僕を襲ってきた元所属員の過激派妖怪を片手でしばける程度に強くなった僕なんですけど、いきなりインフレ始まってませんか?

 いやそう言う世界だったわ宵闇、こんだけ主人公強くなったから安心とか思ってたら次編のボスや敵が普通にとんでもない強さ引っ提げて現れてたわ。

 

 参ったなぁ、弦哉君はこの時間学校だし夜霧さんは近隣の妖怪組織に使者として出してる。

 残った妖怪の人達では、とてもではないが目の前にいる酒呑童子を相手にする事なんてできないしなんなら軽く腕を振り払われただけで消滅してしまう。

 控え目にいって、詰みですね。

 

 

「なんでそんな偉い鬼の人が、組織の長が代替わりする際の騒動で壊滅状態のうちにきてんの? 京都妖怪の組織ってそんなに暇なの?」

 

「てめえ! 酒呑童子様になんて口をきいてやがる!」

 

 

 酒呑童子と言う妖怪は宵闇の原作では自分の力に怯えへりくだるような人間や妖怪には非常に残酷で酷薄だけども。

 力に裏付けされた自信を持つ相手や、力が弱くても心が強く芯の通った相手からは多少無礼な物言いをされても豪快に笑って許す妖怪だ。

 だからこそ、内心くっそびびりながらも若干挑発的な物言いで酒呑童子の目的を探っていたんだけど……。

 

 なんか酒呑童子の後ろに控えていた鬼が僕の酒呑童子への態度に文句をつけてきた。

 あの鬼、見覚えがあるような……思い出した、母様が討滅された後下剋上だと言いながら僕に襲い掛かってきた鬼だ、三尾になった僕に手も足も出なくて逃げて行ったけど酒呑童子の下に逃げ込んだんだ……アイツ。

 

 何というかあまりにも三下すぎる鬼のムーブに、思わず憐れみを感じながら返事をしようとする僕。

 しかし、僕が何か言うよりも早く酒呑童子はその鬼を鬱陶しそうに見ると鬼の頭を片手で掴み、トマトを握り潰すかのようにその頭を握り潰した。

 

 

「古巣だから案内させてくれなどと言うておったが、口ばかり達者な輩は何時の時代も無様よの」

 

 

 そのごみを始末しておけ、と引き連れていた鬼に命じながら側女と思しき雪女から受け取った手拭いで手の汚れをふき取る酒呑童子。

 こ、こええ……スナック感覚で部下粛清する酒呑童子、マジでこええ……!

 

 

「その理屈で言うと僕も口だけ達者な輩じゃないのー?」

 

「良く言うわ、死姫の魂と力を取り込んだ貴様が弱いわけないだろうが」

 

 

 ……ん? 酒呑童子何か勘違いしてる?

 確かに僕はあの時母様の想いと力を一部受け継いだ、けれど母様の魂は父様の魂と一緒に開放して彼岸へと送っている。

 全部自分の力にしてしまえば三尾どころか五尾まで成長したかとは思うけど、そうする気になれず一部の力だけ受け取った結果差し引きなんやかんやの末に三尾に落ち着いてるんだ。

 

 ……待って? そう言えば母様は三尾で、今の僕も三尾。

 更に母様は討滅され、母様がついていた地位に娘である僕がついている。

 

 コレ、もしかしなくても……外から見たら僕が下剋上をして母様の力と地位を奪い去った娘に見える……て、こと……!?

 わ、わぁ……。

 

 

「な、なるほどー……でも従属の通告にしては、随分物々しいように見えるのは気のせいかなー?」

 

「勿論だとも、貴様も妖狐ならこれが何か理解できるであろう?」

 

 

 緊張が高まる中、酒呑童子が取り出した桐箱の蓋を開け……その瞬間無意識に僕の尻尾が総毛立つほどに禍々しい妖気が辺り一帯に溢れ出す。

 恐ろしくも親和性を感じる妖気、酒呑童子が抱えていた桐箱の中にある石っぽいもの、え? なんであんなもの持ちだしてんのこの鬼?!

 

 

「な、なんでそんなものを……?」

 

「やはり気付くか、そう。 かつて日ノ本を破壊と恐怖の渦に叩き込んだ九尾の狐、その亡骸である殺生石の欠片よ」

 

 

 宵闇の京都編クライマックスで、酒呑童子は切り札として持っていた殺生石の欠片を配下の妖狐に無理やり埋め込んで疑似的な九尾の狐として戦力として出してきた事がある。

 その時は元となった妖狐が一尾の妖狐であり妖力も弱かったから、弦哉君や仲間達は苦戦しながらも倒す事が出来ていた。

 

 けれども、もしそんな代物が僕に埋め込まれたら……?

 

 

「本来ならば死姫にでもくれてやろうと思っていたのだがな、あやつがくたばった時はどうしたものかと思ったが……」

 

「ぐ、ぅぅっ!」

 

 

 酒呑童子がその巨体には見合わないほど俊敏な動きで僕の首元を掴み、軽々と持ち上げる。

 必死に抵抗し、足で酒呑童子の腕を蹴るがびくともしない。

 

 

「儂が日ノ本を統べる為に、その心身魂魄を有効活用させてもらうとしよう」

 

 

 た、助けて弦哉君……!!




完結後作者さんがSNSで話してましたが、死姫編が終わった時点で宵闇は打ち切りになるはずだったそうですが……。
全部出しきる勢いで死姫編描いたら人気が出て、そこから編集のテコ入れでインフレ展開に突入していったと言ってたのが記憶に新しいですね。




『ここから正気』
割と燃え尽き状態のぼんやり状態だった堕姫。
しかし世界はのんびりする事を許してくれない地獄絵図、このままではピーチ姫待ったなしだぞ!
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