笑顔(と血飛沫)の絶えない転生です   作:社畜だったきなこ餅

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原作だと死姫編の後地元に居づらくなった弦哉君は全国を転々と旅してましたけども。
あのパートは仲間集めで胸が熱くなりつつも、弦哉君が曇りっぱなしで辛かったよね。


京都土産でもらったら一番困るものは何だろう

 

 

 亀の親玉に攫われるキノコの国の桃プリンセスがごとく、酒呑童子によって拉致られた僕。

 まともに抵抗も出来ない戦力差に僕はただ、助けを待つしか……。

 

 

「あ、紅葉ちゃんコレもお土産に追加で!」

 

「は、はい!」

 

 

 何てことはなく、メスガキムーブでゴネにゴネ倒してかりそめの自由を確保し監視役として妖狐の女の子を引き連れて。

 人間に擬態しながら京都観光を満喫しております。

 

 ちなみに紅葉ちゃんは宵闇原作で出てきた、酒呑童子に殺生石の欠片を埋め込まれて九尾の模造品として使い潰された名無しモブ妖狐ちゃんです。

 ……宵闇、狐に対して厳しすぎない? 堕姫に死姫、はては紅葉ちゃんやそのほかモブ妖怪狐が大体酷い目にあわされてる気がする。

 

 紅葉ちゃんは原作でどんな塩梅だったかと言えば、程々に苦戦させたのち退場と言う使い潰されるにしてももうちょっとやり方あっただろと言いたく有様である。

 むしろ女の子の見た目で出てた時より、殺生石埋め込まれて半暴走状態の九尾狐状態の方がコマ数多かった筈。

 

 

「いやー、他人の財布で買いたい放題お土産を買うのは楽しいねおねーさん!」

 

「う、うぅ……ごめんなさい酒呑童子様ぁ」

 

 

 買い物袋を沢山引っ提げ、目についた茶店で一息つくボクと紅葉ちゃん。

 紅葉ちゃんの方は今にも擬態が解けてへたれた耳と尻尾が見えてしまいそうな状態だ。

 

 少しやり過ぎたかもしれん。

 

 

「……ずっと気になってたんだけどさ、おねーさんはなんであんな鬼をそんな敬愛してんの?」

 

「な! 何てこというのですか! 酒呑童子様はとても素晴らしいお方なんですよ!?」

 

「ちょ、紅葉ちゃん落ち着いて!」

 

 

 抹茶ラテを啜りながら、ふと浮かんだ疑問を口にすると紅葉ちゃんが血相を変えて大声で叫ぶものだから大慌てで他者からの認識をずらし、こちらへ注意を向けなくする術で僕達を包む。

 根深そうな問題を突っついたボクが悪いと言えばそうなんだけど、妖怪とか怪異の事情を大声で言うのはどうかと思うよぼかぁ!

 

 

「はっ……いいですか堕姫ちゃん、今この世は人間達の天下と言えるのは知ってますよね?」

 

「うん、まぁそりゃね」

 

 

 今のところ、地味に原作ブレイクをして人間社会の方でもまだ表向き怪異とかはバレてないと言える状態だからね。

 

 ちなみに原作だと本来今頃は結界ぶち抜いて現世で大暴れした母様こと死姫によって甚大な被害が発生した事で、人間社会に疑心暗鬼が広まって怪異が大手を振って活動し始めて。

 日本全体に混乱が広がり、その混乱をきっかけに弦哉君のもとに様々な人間の為に戦う戦士達が集まるってのが本来の時間軸の流れだ。

 

 そして酒呑童子とその一派は人間社会の混乱を見逃さないどころか、その混乱を最大限利用して京都一帯を制圧。

 妖怪間の情報網で知った暴走状態の死姫を討滅した人間(弦哉君)を迎え撃つ為に、強力な妖怪を集めながら日本の支配を目論むと言うのが京都編の大体のあらすじだ。

 

 

 一方ボクが今いる宵闇世界がどんな塩梅かと言うと……。

 まず母様は現世にまで被害を齎す事が無かった為、人間社会では未だ怪異や妖怪は実在を疑われたままの状態。

 人間を見縊っている酒呑童子だけど、かつて自分を討伐したのもまた人間である事から人間達に気取られる事無く水面下で動いている。

 そのおかげで本拠地にはまだ戦力が原作程集まってないという状態だから、戦力としては難易度が下がってると言える。

 

 問題があるとすれば、さっきも説明した通り人間社会の混乱が長く弦哉君と共に戦う戦士達が集まる切っ掛けなんだけど……。

 ……弦哉君が原作よりなんか加速度的に強くなってくれてるのは頼もしいけども、肩並べて戦えるのが夜霧さんだけって流石にキツイ……きつくない?

 

 

 閑話休題

 

 

「……私の親や兄弟が住んでいた山々は切り開かれ、家族は散り散り。私も人間のせいで命を落とす……そんな時に救って下さったのが酒呑童子様なのです」

 

 

 ボクが原作と原作ブレイクした今を心中で比較してた間に、紅葉さんは酒呑童子のすばらしさを語り終えていた。

 ごめん紅葉さん、殆ど聞き逃してた!

 

 

「なるほどねー」

 

「……本当にわかりましたか?」

 

「わかってるよー」

 

 

 ボクの気のない返事に紅葉さんは半眼になってボクを見ながら訝しそうに聞いてくるが、ボクはいつものメスガキツネスマイルを浮かべてはぐらかす。

 ともあれ、紅葉さんが原作で殺生石の欠片を受け入れる時抵抗してなかった謎は解けた、解けたけど……。

 

 絶対あの酒呑童子、紅葉さんの崇拝とまで言える感情どうでもいいと思ってる……!

 あの鬼は人間を見縊ってるけども、同時に全盛期だった自分を討ち取った人間が大好きとかいうクッソひねくれた思考をした鬼なのだ。

 そのカリスマ性から京都編では酒呑童子を裏切ったり、酒呑童子に使い潰されても喜んで捨て石になる妖怪が後を絶たなかったけどさぁ。

 

 アイツ……殺生石のかけらを埋め込まれて作られた疑似九尾を撃破されて全ての策略を潰された時、部下達が全員決死の覚悟で弦哉君達を足止めしてでも酒呑童子を逃がそうとしたシーンで……。

 自ら捨て駒になろうとした部下たちを金棒で薙ぎ払って、高笑いしながら弦哉君達と対峙する真似やらかしてるからな!

 人気割とあったけど上司どころか仲間にもいてほしくないクソ厄介鬼だよアイツ!!

 

 

「堕姫ちゃんだって、人間にお父様やお母様を殺されているのですから……人間に肩入れする理由なんてないでしょう?」

 

「んーー……」

 

 

 酒呑童子のカリスマに目を焼かれ、人間憎しの感情からボクに良かれと思って言ってるのであろう言葉を聞きながらボクは抹茶ラテが入ったコップを置く。

 言わんとする事はわからんでもない、けども。

 

 

「父様はともかく、母様を殺したのは弦哉君じゃなくてボクだよ紅葉さん」

 

 

 そこの線引きだけは間違えちゃいけないし、忘れちゃいけないから訂正するのだ。

 それにさ。

 

 

「人間も妖怪もそんなに変わらないよー? クソみたいな人間沢山いるけど、そのせいで見限ったら勿体ない人間もいるしねー」

 

 

 主に弦哉君とかな! 彼はマジで凄いぞ。

 人間を貪り食おうとした妖怪や怪異は容赦なくしばくけど、妖怪とかを玩具にしようとした人間も平等に殴り飛ばす。

 その上、普通なら人間を見限ってもおかしくない状況でも折れず立ち上がり続けるからな!  彼本当に人間だろうか。

 

 

「……そうですか」

 

「ボクはおねーさんの想いは否定しないけど、ボクはボクで考えがあるのさ!」

 

 

 パチン、と指を鳴らして認識ずらしの術を解いた瞬間にタイミングよく届いたパンケーキを受け取り……フォークを突き刺してかぶりつく。

 いやぁ……酒呑童子がマネーロンダリングして作ったであろうお金で食べる茶店のパンケーキは美味しいね!




原作の京都編って……
・弦哉君
・夜霧さん
・御陵さん
・平賀君
の最終編までほとんど継投し続けた仲間達が初めて集合したストーリーだったけど。
本作だと地元京都の陰陽師の末裔である御陵さんはともかく、妖怪科学戦士こと平賀君は参戦しようがないからキツそう(小並感)


『ここから正気』
架空原作の宵闇行状譚は、本来死姫編で打ち切りエンドだったの奇跡的なアンケートV字回復。
そこからサムライトルー〇ーや聖闘士☆矢みたいな路線をつまみつつ、概念インフレバトル物へと舵を切った感じです。
ちなみに後々まで主人公勢として戦う他3人は、ここで完全にキャラの方向性が固まったノリです。
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