笑顔(と血飛沫)の絶えない転生です   作:社畜だったきなこ餅

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九尾様、堕姫ちゃんの心にINする模様。
しかし記憶や思考を読み取ってコミュしてくる鬼師匠とか、地獄すぎる……地獄すぎない?


酒呑童子、テメエだけは必ずぶちのめすby弦哉

 

 

 唐突だけども宵闇行状譚と言う作品において、死姫編の最後の闘いによって怪異と幻想が人間社会に露見した影響はとても大きい。

 どのぐらい大きいかと言うと、その後の闘いや事件の大体のトリガーになってると言っても過言でないぐらいだ。

 

 今ボクが巻き込まれている京都編が原作ではもっと規模が大きい騒動なのは言うまでもなく。

 京都編が終われば次は日本の怪異勢力が半壊したのを狙い、海外の怪異が流入して騒動を起こし始める。

 

 そしてそれらが暴れ回った結果、日本各地で眠りについていた神達が目覚め縄張りを守る為に暴れ始める。

 コレ、守ってくれるなら放っておいても良いんじゃないかと思えるけども、目覚める神達の大半の感覚は生贄当たり前の神代感覚だ。

 当然守る代償に生贄を要求し始めて騒動の切っ掛けになる(そして弦哉君に拳で鎮圧される)

 

 更に日本神話編と言うべき長編を終えたら今度はギリシャ系やらメソポタミア系やらアステカ系やらとの戦いが始まり……。

 度重なる戦いで現実と幻想の境界はもはや無いも同然、となった状態で最後の闘いが始まるというのがざっくりした宵闇のストーリーラインだ。

 

 

 つまり何が言いたいかと言うとだね。

 

 

「野郎共、時は来た……さぁ、百鬼夜行を始めようじゃあないか!」

 

「魑魅魍魎の存在を忘れて久しい人間共に、我らの恐ろしさを刻み付け。怯える者達の血肉で満たされようぞ!」

 

 

 地獄のインフレバトル路線を回避する為には、怪異の存在が表社会に露見する事を避けるのは必要不可欠と言う事なのさ!

 なおソレを為す為には、結界を今まさに破壊して表社会に妖怪達と共に雪崩れ込もうとしている酒呑童子を阻止する必要がある模様。

 

 ハードルたかぁい……たかくなぁい?

 

 

──妾が夜な夜な鍛えてやったんじゃ、何辛気臭い事考えておる。

 

 

 いや九尾様、原作より数少ないとはいえ酒呑童子筆頭に有力な妖怪沢山です。

 ちょっと荷が重すぎますっていやまじで。

 

 

──戯けた事を、多少なりとも制御できるようになった妾の力を使えれば酒呑の小僧以外の若造共など羽虫同然であろうに。

 

 

 九尾モード結局一分間も持たないじゃないですかー!

 しかもちょっとでもオーバーするとデカ九尾になって暴走待ったなしですよ!?

 

 

──ほほう、妾の命令が聞けぬと? あやつらが表で暴れてはまっちゃらてもぱんけえきも食べられなくなってしまうのぉ。

──そうなる前に、いっそ妾が子狐の身体を乗っ取ってやるとするかの?

 

 

 前門の酒呑童子に後門の九尾の狐だったでござる(白目)

 やるよ!やりますよぉ!!

 

 

──うむ、童は素直が一番じゃて。

 

 

「さぁて堕姫、九尾の欠片の力を解放し……存分に暴れてくるがいい!」

 

 

 心の中で九尾様と言い合ってる内に酒呑童子の演説が終わったのか、酒呑童子は勝利を確信したかのような笑みを浮かべてこちらに命令を出す。

 今ボクの目ハイライト家出中だからなぁ、九尾の欠片の力で心壊れてるとか思われてるんだろうなぁ……。

 まさか夜な夜な夢の中でデス組手してたとは思うまいて。

 

 しかし望まれたならしょうがない、そうだしょうがない。

 と言うかそもそも目の前でにやけてるこの鬼が全部悪いんじゃないか、そうだそうに違いない。

 

 

──良いぞ良いぞ、さぁ始めようぞ。

 

 

 ボクの心の中でケタケタ笑う九尾様の声を聞きながら、ボクは九尾の欠片の力を全力で解放。

 そうする事でボクを中心に膨大な妖力が渦巻いて解放され、三尾だったボクの尻尾は九尾へと変化する。

 

 そして。

 

 

「くたばりやがれこのやろぉぉぉぉぉ!!」

 

「まさか小娘貴様、九尾の力を?!」

 

 

 弦哉君のほれぼれするかのような鉄拳捌きからは程遠い、全力で飛び上がりながら放った妖力とパワーだけを乗せた九尾ソバットを……酒呑童子の顔面に叩き込む。

 ボクが理性を失って巨大な九尾へと変貌するかと思っていた酒呑童子は、まさかの隙を突かれる形でボクの飛び蹴りを顔面に叩き込まれて吹き飛ぶ……が。

 

 

──こりゃいかんのぅ、体術も仕込んでやるべきだったわ。

 

 

 あちゃー、と言わんばかりの九尾様のつぶやきの言う通り。

 ボクの技術もへったくれもないただの暴力でしかない飛び蹴りでは、酒呑童子の頭を蹴り砕くことは叶わなかった。

 

 

「やるじゃないかぁ小娘……おっとっと」

 

「くのっ!このぉっ!」

 

 

 いびつに凹んだ自身の顔に手を当て好戦的な笑みを浮かべていた酒呑童子に、ひたすらがむしゃらに連撃を叩き込んでいく。

 最初はそれなりに当てれていた攻撃も、段々と避けられ受け止められるようになっていく。

 

 ボクの体術が拙い事もあるが、それ以上に酒呑童子の戦闘力と適応力が高すぎた。

 

 

──いかん、下がれ子狐!

 

 

 そして迫るタイムリミットに焦るボクは、九尾様の制止の叫びを受けながらも酒呑童子へ向けてパンチを放ち。

 そのパンチを容易く受け止められた上に、乱暴に体を振り回され平衡感覚を奪われた状態で地面へと叩きつけられた。

 

 

「かはっ!?」

 

「やれやれ、なんでぇ。最初は随分やると思ったが期待外れにも程があらぁ」

 

 

 地面にたたきつけられた瞬間、ボクの九尾変化はタイムリミットを迎えたことで解除されてしまい……。

 急いで立ち上がろうとするが体に力が入らず、その状態でボクは酒呑童子に頭を踏みつけられる。

 

 

「ふぎゅっ」

 

「何解除してるんだ小娘、さっさと九尾の力を解放して暴れてこい」

 

 

 ボクの頭を踏み潰さない程度に手加減しつつ、しかし耐えがたい痛みを与えるという絶妙な力加減でボクの頭を踏む足に力を込めてくる酒呑童子。

 このまま耐え続けるには限度があり、しかし九尾の力を解放して暴走したら酒呑童子の思う壺。

 理性を喪ったら最後だ、ボクは酒呑童子の意のままに操る暴力装置にされてしまう。

 

 

──女児の頭を踏みつけるとは、相変わらず躾のなってない小僧じゃ。

 

 

 あ、あの九尾様!な、なんとかなりませんかね?! あいだだだだだだ!!

 

 

──戯け、この状況になっては子狐一人の力じゃ無理じゃて。

──それに、子狐の妖力を察知して例の人間が助けに来たようじゃぞ? 運が良いのう子狐は。

 

 

 へ?

 

 

「何してんだテメェぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「ぐはぁぁぁぁっ?!」

 

 

 今まで聞いた事がない程に激怒した弦哉君と思しき少年の叫びと共に轟音が響き。

 酒呑童子が苦悶の叫びをあげると同時にボクの頭にかかっていた圧力が解放され、助け起こされる。

 

 

「大丈夫だったか堕姫!?」

 

「え、う、うん……ありがとう、おにーさん」

 

 

 ボクを助け起こし正面から瞳を覗き込んでくる弦哉君の真剣な顔に、ボクは顔が熱くなる錯覚を感じながらなんとか無事だと答える。

 改めて周囲の状況を見ると、夜霧さんと見たことない眼鏡の人……原作だと京都編で弦哉君の仲間になった陰陽師の人こと、御陵さんの二人が酒呑童子が集めた有力な妖怪を相手に無双してる。

 

 

──おお、原作とやらで見た通りの顔じゃのうあの眼鏡。

 

 

 ボクの脳裏に呑気な九尾様のつぶやきが聞こえる、ほんまお前……。

 

 

──ん? なんぞ不満かの?

 

 

 いえめっそうもございません。

 そんな具合に周囲の状況把握に努めながら、九尾様と心の中で語り合っていると。

 

 

「グハハハハハ! 現代にもなかなかの猛者がいるとはな!」

 

「うるせえ、テメエだけは怒りを込めてぶちのめす!」

 

 

 弦哉君の一撃で吹っ飛ばされたらしい酒呑童子が哄笑しながら、原作でも愛用していた金棒を構え。

 原作ほど酒呑童子と因縁が無い筈なのに、原作よりも酒呑童子に対してブチギレてる弦哉君は拳を構えて矢のように突進していく。

 

 なんであんなに弦哉君怒ってんの?

 

 

──子狐、本当にわかっておらぬのか?

 

 

 え?どういう事九尾様、九尾様なんかわかったの?

 

 

──にぶいのう。

   




なんで弦哉君、あんなにも怒ってるんだろうね(すっとぼけ)




『ここから正気』
いつもTS主人公は先に恋を自覚して推して押して押しまくってるムーブが社畜創作だと多いので。
今回は趣向を変えてみました。
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