仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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画像元のぽん酢さんのツイートはこちら↓
https://twitter.com/Ponzu_SHT/status/1677883299405103109?s=20

「あの亀有のスター、下町の人情お巡りさん、両津勘吉様がデザイアグランプリにこの度、初参加する事となりました。両津様は無事に勝ち抜く事が出来るのでしょうか?」
「いやツムリちゃん、ワシ実は初じゃないけどね……」


珍戦編
珍戦K~I :何?ワシが仮面ライダー?!


「おめでとうございます。今日から貴方は仮面ライダーです」

「何? ワシがか?!」

 

 <デザイアグランプリ> 

 通称:デザグラ。参加者はデザイアドライバーという異質な機械仕掛けのバックルがついたベルトを装着し、一緒に与えられたIDコアという参加者各人毎に異なった動物の意匠を記されているコイン大のアイテムをドライバーにセットする事で仮面ライダーという超人に変身。招待されたゲームに仮面ライダーの姿で参加し、ジャマトという亜人たちから街の平和を守るための生き残りゲームである。

 

 両津勘吉。警視庁新葛飾署地域課の巡査長。日頃は「亀有公園前派出所」という、我々が交番と称している所で勤務し、付近の安全と平和を守っている。守っている……と思いたい。

 外見の特徴は先ずその太い眉毛だろう。目玉よりも大きそうな太さをしている眉毛は途切れなく眉間も繋がっている。まるでカモメの様だとある人は言った。そして今時珍しい角刈り頭。現代日本でその髪型を好んでしている人は、例え最もポピュラーだった世代でも今はかなり少ないと思われる。だいたい警察官でそんな髪型していたら違和感が凄い。体型は中肉中背。正しく彼の為に用意された言葉だろう。身長は160cm程度で、数字だけなら一般に比べて小柄のように思われるが、彼の体型を見る者は直ぐにそんなイメージが払拭される。筋肉質で、袖を常にまくり露わになっている腕周りはかなり太く、格闘経験の上達者ならその体幹の整い方に一目を置く。年齢は30歳半ば。趣味はあまりに多岐に渡り、ギャンブル全般・ゲーム全般・プラモデル・精密模型・PC全般(プログラミングや筐体作成も)・自動車やバイクを主としたモータースポーツ・実戦を前提としたミリタリーなど……ミクロからマクロまであらゆる分野に及んでいる。以前は飲酒・喫煙を嗜んでいたが、ある時期から禁煙。酒も以前のようには大量に飲まなくなった。

 

「あんまり飲んでいると檸檬がみっともないってうるせぇんだよなー」

 

 とは本人の言葉。

 

 そんな彼は今、デザグラの参加者が集う「サロン」と呼ばれる空間に足を運んでいた。このサロンと呼ばれる場所はかなり広く、ちょっとした高級ホテルのラウンジのような雰囲気をしている。どうやらデザグラ関係者ならいつでも来る事ができる場所らしく、自身の主とした職場である亀有公園前派出所から北へ歩いて少し大きめの通りに出たら東に折れて少し進むと現れる中川4丁目交差点の近くにある肉類メニューで有名なレストラン。その裏手側にあるマンションエントランス近くにある物置の中に構えられた専用の入り口から来る事が出来た。

 ここには今回の参加者たちが多数集まり、今か今かとデザグラの開始を待ちわびている。参加者は実に幅広く老若男女様々だ。

 

「いやー、しかしワシが仮面ライダーになるなんて流石に作者も思ってなかったろーなー」

 

 両津はメタな事を呑気に呟く。

 

「しかし1回戦でこんなに集まるのか。どう見たって戦いには向いてない奴も沢山いるぞ。もしかしてワシ、間違えて変なセミナーとかに来ちゃったんじゃないよなぁ?」

 

 集まった参加者の中には年配の主婦や老人、明らかに運動には向いていない体型の若者まで居る。デザグラの人選について疑いを持つ両津だった。そんな事を考えているとサロンに綺麗な女性の声が響いた。

 

「みなさん、こんにちはー!私はナビゲーターのツムリです。ようこそ、デザイアグランプリへ! 今、私たちの世界はジャマトの脅威に曝されています。何処から来るのか、何が目的なのかわからない。ジャマトから平和を守るため誕生したのがこのデザイアグランプリなのです」

 

 いつのまにかサロンの中央のステージに白黒を基調とした裾の長い特徴的な衣装に身を包んだ綺麗な女性が現れた。どういう原理かはわからないが、彼女の後ろには空間投影されたモニターが用意され、参加者全員の名前が表示されている。

 

「皆さん、デザイアカードのご記入はお済みですか?」

 

 ツムリが参加者への確認を促した。もちろん両津も取り出し、自身が筆で書いたその太い肉筆をまじまじと見つめる。

 

「本当に願いが叶うならありがたい事だぜ! そのためには何としても勝ち残らなくちゃなぁ」

 

 両津だけじゃない。参加者それぞれ手に持ったデザイアカードへ己が記した願いを見て同じ気持ちを抱いていた。そこにいきなりエレキギターが鳴り響く。

 

「デザイアー!」

 

 赤いフライングVを持っていた派手めな男がそのままギター演奏をしながら歌い出した。

 

「ツムリ、君に一目ぼれだベイベ! 結婚しようよ~♪」

 

 ツムリの前にまで詰め寄った男は彼女の右手をガシっと掴む。

 

「ツムちゃ~~ん!」

「はぁ?!」

 

 すっかりツムリは呆気に取られている。だがそこに別の男が割って入ってきた。ツムリの手を掴んでいたギター男の手を払う。

 

「俺の姉さんに触るな」

「はぁ?! あ、お前はスターの浮世英寿! 人の恋路の邪魔を……ねぇツムちゃん?」

 

 そのやかましいやり取りを見て皆が呆れている中、両津だけは一人冷静だった。

 

「アレが晴家ウィン……アイツのワガママがきっかけでワシはこんな妙な事になったんだよなぁ。しかしなんと言うか……チャーリー小林と白鳥麗次を足して2で割ったような性格のヤツだなぁ~」

 

  ♦

 

 遡ること数日前。

 パトロールをサボっていた両津は地元の模型店で再販入荷されたプラモデルの山を見て歓喜の涙を零していた。

 

「うぉおおおお! ファンの足元を見てナメた転売ヤーが高額転売で扱っている箱が汚れた粗悪品プラモじゃない! 定価以下の新品美品のプラモデルがこんなにあるーー!! 戦は終わったんだ! 我々の勝利だー!!」

 

 昨今の転売問題で入手困難だった数々のプラモデル。武器キットさえ定価の二倍で取引されている事も多々あった。だが事情も変り、ある程度のプラモデルなら以前のような入手も出来るようになったため下町の模型店にもこのようにプラモデルの箱が山のように積まれているのである。

 

「いやぁ素晴らしい! こりゃ今夜は祭だな! MSのディテール上げでもするかなー。それとも美少女プラモの肌色塗装を極めちゃうかぁ?」

 

 大量の箱を掴みレジへ向かう両津。だがそこに一人の女性が現れた。突然現れた女性は黄色いボックスを開きデザイアドライバーとIDコアを見せる。そして、

 

「おめでとうございます。厳正なる審査の結果、貴方は選ばれました。今日から貴方は仮面ライダーです」

「何?ワシがか?!」

 

 いきなり言われた言葉に驚く両津。だが、

 

「って、驚くと思ったか? 全く子供騙しも良い所だぜ。仮面ライダーって……どんな怪しいマルチだよ?」

「え? あ、あの?」

「だいたいだなぁ、おねぇちゃんもそんな怪しい勧誘するならもっと別の場所でやれよ。ここ下町のプラモ屋だぜ? ワシみたいな庶民の貧乏人を騙してカネを稼ぐより、アキバとかでアニメやゲームの絵画とか売りつけた方がまだマシなんじゃねぇか?」

「違います! 私そういうのじゃありません!!」

 

 怪しい商売だと思い込んだ両津は目の前の美女に淡々と接する。

 

「お願いします! こちらのIDコアにちょっとだけ、ちょっとだけで良いので触ってください!!」

「何を勝手な事言ってるんだ!! どーせ触ったらカネ取るんだろ? 祭の屋台のオヤジとかがやるやり口そのままじゃねぇか」

「もう! そんなのじゃありません!!」

 

 意外に強気な美女は両津の袖まくりをして露わになっている剛毛で毛むくじゃらな腕をむんずと掴みIDコアに引き寄せた。両津もこれには驚く。

 

「いや、止せ! ワシはプラモ以外にカネを使いたくないんだ!!」

「さっさと触ってください! 話が進みません!!」

「止せ! やめろー!! なにするだー?!」

 

 両津の指先が緑色で亀を模した意匠が施されたIDコアに触れる。触れた指先に電流のような痺れが起きると、両津は忘れていた記憶を濁流が一気に流れてくるような勢いで思い出してきた。

 

「……ようやく思い出しましたか?」

「えーと……あんたは確かツムリとか言ったな。そしてこれはデザイアドライバーで、今触ったのはIDコアだっけか。え? ええーー?!」

「はぁ……他の方もそうですけど、毎回こんなことやるの疲れるんですよ。両津様が一番タチが悪いです」

 

 心底疲れたツムリを横目に、両津はこれまでの事を想い返した。

 

 少し前、両津はジャマトの群れに襲われた。

 彼の又従姉妹である擬宝珠纏(ぎぼし まとい)と檸檬(れもん)の姉妹。そして檸檬のボーイフレンドである電極+(でんきょく ぷらす)と4人で浅草寺へ買い物に出かけた時である。擬宝珠家の家長、両津にとって頭が上がらない親戚の擬宝珠夏春都(ぎぼし げぱると)のお使いだ。人が賑わう浅草寺に突然現れたジャマトは逃げ遅れた檸檬と+に襲い掛かろうとした。だが両津の奮闘で何とか窮地を脱する事が出来たのである。

 だが不思議な事に翌日以降その事は忘れかけていた。纏や檸檬に聞いてみるも夢でも見てたのではないかと返される始末。違和感を覚えたまま数日後、超神田寿司の勤務後にツムリが現れた。彼女に誘われサロンにて怪しい覆面をつけた男と出会う。ゲームマスターと名乗ったその男は両津にデザグラへの参加を要請した。ただしイレギュラーであるためあくまで運営側のアルバイトスタッフとして。そのためデザグラ正規参加者の権利であるデザイアカードへの願いの記入は行えない。パンダ型のIDコアに触れた事で浅草寺のジャマト襲撃の記憶が蘇る。記憶を取り戻した両津にゲームマスターは更に告げる。

 

「一般人でも貴方のようにジャマトと戦える方がごくたまにいらっしゃいます。そういう方は次回デザグラの参加者候補として扱われるのですが、今回少し事情が異なりまして」

「ふむ。それでアルバイトスタッフか。知ってるだろうが公務員は副業が難しいんだけどなァ」

 

 警察官と寿司職人の二足を履いている事を棚に上げて両津は告げた。

 ※調べたら以前と違って公務員の副業は一応許されます

 

「我々のアルバイトスタッフの晴家ウィンというものが急に参加できなくなりまして。それで急遽で両津さんに来て頂きました。もちろん謝礼はご用意しています」

 

 運営所属のアルバイトスタッフの勝手な都合という話だけでは了承できなかった両津だが、ゲームマスターが用意している3千万円という謝礼金に二つ返事で承諾した。彼は実施中のデザグラに運営側ライダー「パンクジャック」として参戦する事となる。

 顔出し・声出しNGのため他のデザグラ参加者と意思疎通を行う事が困難だったが、何とか任期を終える事が出来た。だが……

 

「え? 3千万円?! なんでワシの口座にこんな大金が?!!」

 

 デザグラ参加者は退場すると参加時の記憶を失う。だが依頼料はしっかりと両津に渡されていた。動揺している彼の周りに派出所勤務の同僚が心配して集まってきた。

 

「覚えの無いお金ならしばらくそのままにしておくべきですね。役所の手違いで他の人に振り込まれる予定だった補助金が入るという事も珍しくありません。後で余計なトラブルにならないためにも気を付けてください。良いですか先輩?」

 

 同僚で後輩の中川の言葉に、首を縦に振るしかない両津だった。だが浮かれた両津は中川の忠告も空しくプラモ屋に足を運んだのだが。

 

  ♦

 

 こうして両津は新たなデザグラに正式参加者として招かれたというわけである。そして晴家ウィンに絡むもう一人の青年に目線をずらす。

 

 「あれが浮世英寿。毎回優勝しているという……現時点でこの世界を造った”デザ神”ってやつか」




 初めましての方は初めまして。お久しぶりの方は”待たせたな!”
 趣味で小説を書いている「唐 十三郎」(から じゅうざぶろう)と申します。宜しくお願いします。

 ご覧になって頂いているのは2022~2023の令和ライダーに両津勘吉という昭和から今も現役のジャンプヒーローを参加させるという、ルールブレイク甚だしい荒唐無稽な二次創作小説です。
 きっかけはツイッターにてぽん酢さん(@Ponzu_SHT)が描かれたイラストをお見掛けしまして(https://twitter.com/Ponzu_SHT/status/1677883299405103109)、眠っていた創作意欲がグングン沸いてきて、今作を執筆するに至ったわけです。
ただ、ぽん酢さんのイラストの勢いには届かないのが悔しいところ。精進します。
 元々筆者は他のサイトでオリジナル小説を展開していましたが、そちらへの意欲が低下してこの9か月くらいはプラモデルを造っていました。そろそろ何か書こうかと思っていた所、まさか前述のイラストで意欲が出たというのは本当にありがたい限りで、ぽん酢さんには頭が上がりません。

 既にお読み頂いた方はお気付きかもしれませんが、拙作での両さんはギーツ5話「邂逅IV:デュオ神経衰弱」から晴家ウィンの代わりにパンクジャックとして参戦していた後に10話「謀略I:新世界のビート」から正式参戦したという設定です。今作を書くに当たり導入を考えた所、両さんに優位性を持たせるにあたって「とりまデザグラは何となく知っている」体にしておこうと思いこのような構成にしてみました。
 また小ネタとしてはツムリとの邂逅です。ツムリお決まりの挨拶「今日からあなたは仮面ライダーです」に対して両さんだと素直に受け取ってくれなさそうでしょ?w
 
 今日から連日4日間、こちらの小説を夕方17:30にアップさせて頂きますのでどうか宜しくお願いします。

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