仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

101 / 161
「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ! 新たなゲームが始まるまでに纏さんが過ごした2週間をお送りしております」
「? もしかしてこれ、ドキュメンタリー番組みたいにされているの?!」
「もしかしてではなくてそうですよ」
「はぁあああああああ? アタシ連絡受けて無いんだけど!」

 無許可でデザグラにドキュメンタリー番組が流されていた纏。今までの事を思い出して恥ずかしくなる。

「ちょ! ちょぉおおおお!! 責任者誰よぉ?」
「チラミですね……」
「あんのグラサンオネェかぁ!! アイツは今どこにいるの?」
「え? ええ、今は自室に居ると思いますが」
「いよぉっし! 首洗って待っていろ~! とっちめてやるぅううううう!!」

 そのままチラミの自室に突っ走る纏。ツムリはタブレットを見てほくそ笑む。

「でも今一番の人気番組になっているんですけどね。纏さんの魅力はオーディエンスたちにもちゃんと通じるみたいですよ?」

 タブレットの視聴回数比較表をなぞって嬉しみを覚えるツムリであった。



麗羅IV:そして彼女がやってくる

 ジャマーボール終了後、デザイア神殿にて行われたデザスター選挙。ナッジスパロウこと五十鈴大智、そしてタートルズこと両津勘吉。この2名の脱落はデザイアグランプリ視聴者たちの間でもかなりの話題となった。

 

   ★

 

「先輩が脱落? 嘘でしょう?!」

「どうやら本当みたいだネ……オーディエンスたちが騒いでいるようだヨ!!」

 

 江崎教授からその報せを受けた中川は予定をキャンセルしてチラミの所に向かった。

 

「どういうことですか? 先輩が脱落だなんておかしいでしょう!!」

「投票で決まっちゃったんだから仕方無いでしょー? それともアンタ、デザグラのルールに文句あるの? え?」

「クッ……それは……」

「わかったらとっとと出て行きなさいな。アタシだって忙しいんだから」

 

 そしてその数時間後に来た連絡が新たなライダーの補充の依頼である。急ぎチラミに連絡をするも相変わらずのノラリクラリとした態度を取られた中川はやりきれなくなってきた。

 

「今から急にライダーを寄越せだなんて無茶な?!」

「無茶もへったくれも無ーいの! オーディエンスの意見を上が汲み取って決めた事なんだから」

「し……しかし。こんな急だなんて!」

「用意出来なかったら、当然違約金が発生する事になるわよねぇ。果たしてアンタのトコ、用意出来るのかしら~?」

 

 契約上、運営からの要求通りにライダー要員が用意できない場合は6兆円の違約金を支払う事になっている。だが流石にそこまでの大金を奪われるといくら中川財閥でも資金不足でショートする可能性が高い。そこで両津勘吉の再復帰を提案するも、ここで恐ろしい事実に気付く。

 

「先輩が見つからない……? どういう事ですか?」

「言ったままよ。何故か両津勘吉は見つからないのよ。不思議よね~」

「不思議よねって……貴方たちの管理でしょう? 脱落の場合はライダー参加者を日常に戻すってルールじゃ無かったんですか?!」

「そうねぇ。さっすが両津勘吉よね~、こんな所まで例外作っちゃうんだからさぁ」

「何を他人事の様に……」

「いいから! さっさと次のライダーを用意しなさい!!」

 

 チラミの態度に愛想がついた中川は八方手を尽くすも両津を見つけることが出来なかった。

 

「見つからないってどういうことですか?!」

「悪いね、中川クン。我々も手を尽くしたが本当に見つけられないんだヨ」

「こりゃあ驚きだ……地球上は当然で月までの間でも見つからねぇってのは……火星まで行ったか、両さん?」

「嘘でしょう?!」

 

 江崎教授とジョニーの言葉に愕然とする中川。更に電極社長も酷な事を告げる。

 

「少なくともマントルに至るまで、この地球上に両津くんの姿は無い。ミラーワールドも探してみたが全く見つからなかった」

「そんな……」

 

 ここで勘兵衛が立ち上がり意を決心する。

 

「仕方ねえ……そろそろワシが出るか」

「無茶言うんじゃないヨ、勘兵衛サン!」

「じーさん、マジで勘弁してくれ。今度こそ死ぬぞ」

「少なくとも我々の研究があと2段階は進むまで待ってください!」

「ちくしょう……勘吉ぃ、すまねぇ!!」

 

 無力に拳を床に叩きつける勘兵衛。そしてその横で中川の精神が限界に来ていた。

 

「どこ行ったんだよ、あの角刈りぃ――――――?!」

 

   ★

 

「ちょっと待って、今何て?」

「両ちゃんが消えたのよ。この地球上からパッタリと」

「いやいやいや……だってそれって……」

 

 この言葉には流石の纏も動揺した。それを受け入れたら両津勘吉と言う人物に”死”が訪れたという事であるからだ。

 

「嘘……嘘って言ってよ、だって……だってそれってもう!」

「あ、あ――――! そうかそうか。ゴメンね纏ちゃん。別に死んだ訳じゃないの?」

 

 瞳に涙を浮かべ始めた纏の様子を見て肝心な事を思い出す麗子。確かにここまでの言い方だと両津が死んだと認識しても仕方ないだろう。但しそれはあくまで一般の上での話。両津にそんな常識なんて当てはまる訳がない。

 

「天国にも地獄にも行ってないんだって」

「……はい?」

 

 突拍子も無い事を言う麗子に、思いっきりハトが豆鉄砲喰らうような顔になる纏。

 

「まあそれなら安心ですわ」

「マリアちゃん?!」

「どうりでそこまで胸騒ぎがしないはずですね」

「早矢?!」

 

 纏の心配なんてそっちのけで、あっけらかんとした態度を取るマリアと早矢。これには纏もすっかり驚く。

 

「もしかして纏さま、本気で心配されていたんですの?」

「纏さん、安心してください。両津さんは死んでいませんから」

「いやいやいや……さっきから天国だの地獄だのって……ちゃんと説明してよっ!!」

 

 この4人の中で纏は一番後にやってきたので両津が一度死んで復活している事は知らなかった。更に地獄でも天国でも大騒動を起こしているため、閻魔大王と神の両方から忌み嫌われている。結果として天国と地獄のどちらからも永久追放となっていて、向こう500年は死なないよう命の保証をされている。まぁ体の良い厄介払いである。更に早矢は霊力を持っている為に近しい者の魂の揺らぎを離れた場所からでもしっかりと感じる事が出来る。

 

「アタシが知らない間にそんな事が……」

「ただ、両ちゃんが見つからないと中川財閥に大損害が出るのは避けられないわ。だから秋本貿易、アタシが代役を受ける事にしたのよ。今の圭ちゃんは全く使い物にならないしね」

 

 頭を抱えている纏を見ながら笑って説明する麗子。実際にここに来る前に中川の様子を見てきたらしいが、髪は乱れ髭もロクに剃らず、かなり病的にやつれていたらしい。

 

 ―― 角刈りぃ……ど~こ行っちゃったんだよお~…… ――

 

「それで貴方たち3人のうちの1人に、両ちゃんの代わりに仮面ライダーとしてデザグラへ参加してもらおうと思っているの」

「両さまの代わりに……」

「両津さんの……」

「ちょっと待って! さっきから言っているそのデザグラって一体何なのさ?」

「そうねぇ……説明もするけど、先に皆にはコレに触ってもらおうかしら」

 

 麗子が胸の谷間からIDコアを取り出した。ピンク色の兎を模したライダークレストが施されている。3人がそれに触れると体中に電流が走り、失われた記憶が蘇ってくる。

 

「あれは……ロックハ〇ト城では無かったんですの?」

「そうだ……勘吉も景和くんも、仮面ライダーだったんだ」

「なるほど。最近出没していた異形。あれらが関わっていましたか」

 

 マリアと纏は過去にジャマーエリアでライダーたちと邂逅していたが、実は早矢も何度かジャマーエリア内に取り込まれる事があった。早矢は霊能力を駆使して極難を避ける事ができたものの、その代わりライダーバトルを直接見る事が無かったので両津が参加していたのは今知ったばかりだが。

 

「理想の世界を叶えるための闇のゲーム”デザイアグランプリ”そこに参加するものが仮面ライダーね。さて、後はこの後改めて説明するわ。ついてきて」

 

 麗子に連れられ館内を進む3人。そこは研究施設になっていて、見慣れない機械で計測など行なわれていた。そこに見知った顔が1人。大人たちに混ざって何やら相談をしていた。

 

「プラスくん!」

「ああ、来ましたね。皆さまお久しぶりです」

 

 白衣を着た電極プラスが居た。

 

「プラスくん?! 何で君が?」

「まぁまぁ……電極社長の御子息様まで……」

「両津さんや檸檬ちゃんのお話では、とても優秀なお子様だと……」

 

 麗子から改めてプラスについて紹介が行われる。

 

「改めまして、電極プラスくんよ。スーパー電子工機社長の電極スパークさんの御子息様。そして今回の”プロジェクトラヴィ”の責任者になってもらったわ」

「「「はぁ?!」」」

「こんな小さな子供に……ですか?」

 

 3人は呆気に取られる。そしてマリアの質問に麗子が窘めるように返した。

 

「確かにまだ小学生だけど、ナメちゃダメよ。彼は既にライダーシステムの概要を把握していて、もっと凄い研究をしているんだから♪」

「そんな……ただ、檸檬さんの不安を少しでも晴らしたいと思っただけですよ……」

 

 顔を赤らめてソッポを向くプラス。その姿は小学生らしく惚れた女の子のために頑張る子供の姿そのままだった。改めてプラスは咳払いをして皆に説明をする。

 

「オホン! では今後ですが数日間、こちらにて皆さまの身体能力の強化と適正値を測らせて頂きます」

「適正?」

「僕が新規考案したレイズバックルとの相性ですね。どうも人を選ぶみたいで……」

「そうなの?」

 

 最後の言葉を言うタイミングで再び顔を赤らめたプラス。そこへ麗子が横から茶々を入れる。

 

「本当は檸檬ちゃんのために考えたシステムなんだもんね~♪」

「や、やめてくださいよ麗子さん!」

「檸檬の?!」

「ええ……実は」

 

 纏たちとは違い、デザグラ運営の記憶消去のかかりが浅い檸檬にはデザグラの記憶が断片的に残っていた。そこでプラスに相談をしていたのだ。

 

 ―― のぉプラス……どうやったらレモンもデザグラとやらに参加できるのかのぉ? ――

 

 ―― 出来ればレモンもカンキチや景和、そしてあの道長とやらの為、力になってやりたいのじゃ…… ――




 筆者です。「麗羅IV」をお送りしました。

 中川くんは壊れましたが、入れ替わる様に電極プラスくんが動きます。纏もマリアも、そして直接ライダーたちの戦いを見ては居ませんが早矢もジャマーエリアで体験した時の記憶を呼び覚ましました。

 帰って来ない両さんの心配をしてとうとう泣きだしそうになる纏と、それとは全く温度差がある麗子・マリア・早矢に関しては自画自賛ですが良く書けたなぁと思います。有難い事にどんなにシリアスに陥りそうでもギャグ改変可能なのがこち亀の良い所です。

 では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。

この作品をお読みになっている貴方は

  • 男性
  • 女性
  • どちらとも言えない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。