仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「しかし景和くんには驚いたよね。いきなり冴先輩のバックルを奪うんだもん」
「いや、俺もあれは気が動転していて。冴さんゴメンね……」
「いいけどさ……でも他の子にあんな真似しちゃダメだよ? 変な誤解を生むかもしれないし」
「はい……気を付けます」
昨今少し身体が触れただけでも痴漢だ何だと騒がれる風潮がある。本当に人との接し方も難しくなった。
「警察官のアタシでも結構変な相談受けるからね。それまで付き合っていた2人が”もうだめ限界別れたい”とか路上で騒ぎ出したりさ」
「あー……繁華街とかで良く見かけそう」
「だけじゃないよ。110番通報とかも結構あるからね」
※この作品はフィクションである。
「後はネットの誹謗中傷かなぁ。殺害予告は規模の大小問わずに相談受けるねぇ。やれイベントを中断せざるを得ないとか、やれ出歩けなくなったとか」
「面倒な人が多いねぇ」
※何度も言うがフィクションである。
「纏ちゃん、両さんとかどうだったの? あの性格だと敵も多かったんじゃない?」
「勘吉の場合は即で相手の居場所を突き止めてリア凸していたなぁ。だいたいアイツを相手にするのが間違っているから」
「あー……なんか想像付くわ、それ」
どれだけ腹が立っても両津勘吉だけは敵に回すものじゃない。
ギーツは1階への吹き抜け穴まで弾き飛ばされたが、寸前で手を開口際に引っ掛けたので落下せずに済んだ。だが直ぐにバッファが追撃をしようと近づき、右脚を大きく上げてギーツの脳天に踵落しをしようとしている。
「……ヘッ! たぁああああああ!!」
「! ぐぁああああああああああああ?!」
だがそこはギーツも抜け目が無い。右手側に設置されていた注意確認用の鏡にてバッファの動きを把握。バッファが脚を上げたタイミングで渾身のマグナム40Xを左手で撃ち込んだ。
そしてその2人の激戦はVIPルームのジーンも視聴しながら感激している。
「因縁の2人がやりあうなんて感慨深いねぇ~……ハハハ。 ?!」
突然VIPルームの扉が開く。コンパニオンはまだ呼んでいない。来客の予定も無しだ。この不躾に突然やってきた訪問者にジーンはそれ相応の対応をする……要は警戒したのである。即座に護身で持っている変わった形状の銃を構えた。招いていない人物は腰に下げたポーチからゼリービーンズを取り出して、舌先でチロチロと舐めて食べだした。ベロバである。
「勝手に入ってこられちゃ困るな。ここは健全にライダーを応援するオーディエンスルームだ。ジャマトのスポンサーが来て良い場所じゃない……」
「ハハハハ! お生憎様ぁ~♪ フフフ……アタシにも~ライダーの推しが出来たから」
ジーンは銃を構えて威嚇するも、ベロバからの意外な返事に目を丸くして驚いた。
「君が?! いったい誰を? 特に推せるライダーが居ないからって、箱推しでジャマト側に居る君がライダーの推しが出来た?!」
ベロバはモニターの向こうで戦っているバッファに右手の人差し指を指を向ける。そして、
「キャ――――!! マジヤバいマジヤバい! ウチの推しチョー不幸で可愛いんですけどー?! あー……推しのライダーが出来るってこういう事だったんだー… オーディエンスたちの気持ち、今ならわかる気がするわー。 見て見てー! アイツったらもう身体のジャマト化がはじまっちゃって、それでも必死に戦ってるんだよ? ヤバくない?」
「へ……へー……」
感情が抑えられないベロバは饒舌となって道長・バッファへの惜しみない歪んだ愛情を吐露していく。そして若干引き気味になっているジーンにベロバはあるものを手渡した。
「? これは?」
「推しうちわ! この時代で推し活するコたちが作ってるって聞いたからマネしてみたの♪」
ベロバが渡した推しうちわには『バッファしか勝たん!』と紫色の文字でデカデカと書いてある。良く見るとネオンカラーだ。
「だからホラ、アンタも応援して! バーッファ! バーッファ!」
「いや僕の推しはギーツ……」
「うっさい! とっととやれ! バーッファ! バーッファ!」
「嘘だろ……?」
推しうちわを持ってクルクルと踊りながら応援するベロバを見て呆然とするジーンであった。
「姉ちゃん!!」
「もー! 何なのよ、このパイナップル~!!」
急ぎ沙羅の元へ戻った景和。既にパイナップル型爆弾は人間の身長よりも大きく膨れ上がっていて、ドクンドクンと脈打ってもいた。
―― 日没まであと0時間00分32秒 ――
その状態に頭が真っ白になった景和。パイナップルから伸びたコードで縛られ身動きが取れずに切羽詰まった沙羅は、泣きそうになるも堪えて景和に懇願する。
「助けて! 今にも爆発しそう!!」
「! 焦るな俺……冷静に。冷静に……」
室内には沙羅がパイナップルの皮を剥こうと様々な道具を使ってて散乱している。景和はその道具の中で建築作業員とかが使う少し大きめのニッパーを手に取り決心をした。
「答えは……赤だ!」
―― 日没まであと0時間00分26秒 ――
景和の手は震えている。間違えたら取り戻しの出来ない事態となるためだ。仮面ライダーになれる景和自身、そして祢音・冴・纏は何とか助かるかもしれない。だがだとすると姉の沙羅は? 爆発の規模次第ではどんなに景和がタイクーンとなって防ごうとも、深刻な怪我或いは致命傷を負わせるかもしれない。様々な思いが景和の心を揺さぶっていた。
―― 日没まであと0時間00分12秒 ――
タイムリミットまであと数秒と迫っていた。眉間に深いシワを寄せた景和は震える手をもう片方の手で押さえて一気に力を込める。
「ぬぅああああああああああああ!!」
「ひぃいいいいいいいいいいいい!!」
姉の沙羅も同調するように悲鳴を上げる。
―― 日没まであと0時間00分02秒 ――
そして赤いコードは切断された。
パイナップル型爆弾は一気に萎んで最初から存在しなかったかのように跡形も無く消えた。もちろん沙羅を縛っていた蔓が巻き付いたコードもだ。景和は安堵してその場に座り込む。
「やった……」
「助かった……」
「景和くん、良く頑張ったね……!」
「あ……ありがとう纏ちゃん。それに皆も……」
皆もすっかり腰が抜けてその場に座り込んでいた。
「ハハハハ……と言うか姉ちゃん! 普通開けないでしょ、こんなのさ!」
「だってお腹が空いていたんだもん……」
「と言うかパイナップル嫌いじゃん?!」
「嫌いじゃないもん」
「嘘つけ~」
「ホントだもん」
沙羅は無事に助かった。だがギーツとバッファはまだ戦い続けている。
「ぬん!」
「てぇやぁあああああ!!」
「せぃ!」
「はっ!!」
「……ちっ!」
「……くっ!」
「「でゃああああああああああああああ!!」」
激闘に次ぐ激闘。今やギーツとバッファの実力は拮抗していた。だが一瞬バッファが動きを止めた事に気付いたギーツ。この隙を逃さずマグナムバックルのレバーアクションを行おうとするも、バッファの異変に気が付いたギーツはレバーアクションを行わずに呆然とした。
「ぬ……うぅうううう! がぁあああああああ!!」
全身に赤や緑の電流の様なエネルギー波がビカビカと光はじめ、身体を押さえだすバッファ。どうやら激痛もしているらしい。苦悶の声を上げてバッファは変身解除を行った。全身に起きている痛みはまだ続いているらしく、道長はその場で蹲り苦しみ続けている。
「グッ……ウァアアアアア! くぅあああああああああ!」
これにはギーツも予想外だったらしく変身解除を行い道長に近付く。
「おい……大丈夫か?」
「くぅううう! うぁあああああああ!!」
「そんな物騒なバックルを使い続けて……人間捨てる気か?!」
英寿の言葉もどこまで耳に入っているのかわからないが、道長はようやくある程度回復してきたらしく立ち上がって英寿を睨みつけた。
「ギーツ……お前を倒すのは……時間の問題だ……」
そしてそのままフラフラと歩いて立ち去ろうとする道長。だが英寿はその手を握って引き留めようとする。
「待てって。一度デザイア神殿に戻ろう……」
「! ……何言ってんだよ、お前?」
「戻るのがイヤならせめて病院行けって。いい加減死ぬぞお前」
「死ぬもんか……畜生! でも、お前からそんな言葉が聞けるなんて思わなかったぜ。ありがとうな……」
「! いや、別に……」
道長からそう言われた瞬間英寿自身も驚いた。日頃の自分ならここで見過ごす、或いはトドメを刺していた可能性もあったからである。
そして道長はおぼつかない足取りで消えていった。
筆者です。「麗羅XVII」をお送りしました。
ベロバがジーンに振った無茶振り、そして英寿と道長の別れはオリジナルですね。かなり筆者の妄想が反映された出来となっていますが如何でしたか?
この麗羅編も次回で一旦〆ようと思います。理由としてはこの後のTV本編21話「乖離V:ゲイザーの鉄槌!」に該当する話も恐らく長くなるからです。流石に40話程度も引っ張っていくのは鬱陶しいなぁと思いますので。その分明日の更新分は本編3分程度に対して3000文字は書かなきゃなりましたがw でもまだ書ける事沢山ありますから、その辺は問題無しです。
では短くなりましたが本日はここまで。
明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。
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