仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「いやぁ、まさか姉ちゃんが狙われるなんて思いもしませんでした。今後は参加者の家族も狙われる可能性があるのかぁ……どんどんジャマーエリアとか関係無くなってきてるような気が……」
「景和様、その辺はトップシークレットですよ」
「あ、はい……すいませんでした」
仮面ライダーギーツの不思議の1つである。そもそもジャマーエリアの必要性はと。
「都合の良い時だけ使ったり使わなかったりするよね、アレ」
「ラヴィ、その辺はご都合主義って事で見逃してやれ。東映さんも大変なんだ」
「いやいや、そこで設定蔑ろにしちゃダメだろ」
英寿のフォローにツッコミを入れる纏。
「でもそのおかげで命拾いしてる時もあるからね。その辺は纏も大目に見てあげなさい」
「冴先輩まで……わかりました~……」
ソフトボールというルールがあって成り立つスポーツを真剣にやってきたからこそ、こういうナァナァの態度は気に入らない纏。ただ冴が見過ごしているのは意外だった様で若干不満気でもあったが。
「そう考えると両さんって凄いわよね。ルールがあっても平気でぶっちぎるし」
「そうなんだよね。勘吉はだいたいルール無視して失格になるまでがセットなんだもの」
「でもそのお陰で俺たち何度も助けられたし」
「今は何処に居るんだろ?」
「両さんの事だ。きっと元気でやっているだろ」
某伝説的映画作品のタコ社長の様な事を言う英寿。別に印刷会社を経営している訳では無い。
「いい加減そろそろ帰って来いよ、勘吉……」
纏がそう呟くと、とある場所でクシャミをする人物が居た。
「ヘックショ! 何だよ風邪かぁ?」
「ジャマ!」
「ジャマ、ジャマ!」
何体ものジャマトが心配そうに伺ってくる。
「両さん、大丈夫?」
「別にどうって事ねぇよ。さて次はっと……」
~Yes, Ryotsu Kankichi will definitely come back.~
(そう、両津勘吉は必ず帰ってくる。)
ジャマーガーデンにて、偵察から戻ってきたジャマトからの報告を受けて物思いに耽るアルキメデル。
「やれやれ、ベロバ様のワガママにも呆れてしまうものだ。そうか、もうそんな時期か」
眼鏡を取り、少し汚れたレンズをふき取る。その目つきは細く、外見から考えられる年齢よりもずっと若く精悍な雰囲気をしていた。
「私も随分長く生きてしまったようだな。お陰で物忘れも増えた。フッ……何が全人類の記憶と知識だ。それをどれだけ得たとしても肝心の私が覚えていなければ意味が無いだなんて。若い頃は想像もしていなかったが……」
眼鏡をかけ直してジャマトから受け取った資料に目を通す。最近頻繁に増えた野生動物の被害箇所と、現在それが立てこもっているらしき場所の確認をする。既に打ち捨てられたショッピングモールを根城にしているらしい。そのやり方に懐かしさを感じたのか、アルキメデルの顔には嬉しみの表情が浮かぶ。
「相変わらずゲリラ戦が得意そうだなぁ……。仕方ない、道長くんが戻るまで待つとするか。それにそろそろアイツもやってくるからな。ハァ……こっちはあまり嬉しくないものだが……」
先ほどとは少し違って、複雑な表情を浮かべる。忌々しいものと対峙するかのような。だが決してそれを憎みきれないという事実も含まれている。
「しかしやっとか。もうじき……もうじき逢えますね。両津勘吉……いや、両さん」
その瞳には涙が溜まっていて、みるみる零れて眼鏡に垂れていた。
場所は夜のベイエリア。陽が落ちて少し冷たい風が吹いてきた中で、高級そうなスーツを着込んだ男がウロウロと何かを探している。
「南南東……南南東……なーんなーんと~……な~んな~んと~♪」
デザイアグランプリのゲームプロデューサーをやっているニラムが方位磁石を片手に南南東の方角を探していた。南南東の言い方がどんどんおかしくなり”らんらんるー♪”と言っている様にも聞こえてくる。ようやく南南東の方角が見つかったニラムは大き目の太巻き寿司を用意した。恵方巻である。南南東の方角を見るとスカイツリーが見えた。結果としてスカイツリーを拝みながら恵方巻を食べ始めたニラム。モシャモシャと食べ始めていたら、女性秘書のサマスが声をかけてきた。
「ニラム様……節分はまだ先ですし、南南東は2023年の吉方です。来年2024年の吉方は東北東。色々間違っているのでは?」
テレビ本編「乖離IV: ジャマトからの宅配便!」が放送されたのは確かに節分前だったが(※2023/01/29)、こちらはWeb小説。更新日は2023年11月5日だし、そもそも読んでいる読者次第で日時なんて頻繁に変わる。
「いいんだよ! あくまで雰囲気だから!!」
「……それに恵方巻は食べきるまでは無言にならなければなりません。雰囲気を大事にされるなら、その辺りも大事に守るべきでは?」
「……~~~~!!」
サマスに諭され無言で怒りを露わにするニラム。ようやく食べきったので、改めて声をかけてきたサマスに問いただした。
「モゴモゴ……それで何の用かな?」
「ジャマトのスポンサーがバッファの復活を支援しているとの情報が」
ニラムはサマスが用意した資料を受け取り確認する。
「そいつは面倒だなぁ……」
「デザイアグランプリの進行を妨げるようであれば、対応するようにゲームマスターへ伝えますか?」
「……スポンサー絡みになると、事は複雑だ。その時は私が」
「プロデューサーが直々に?」
「興味があるんだよ……この世界のリアルに!」
嬉しそうにスカイツリーを見つめるニラム。だがその喜びをかき消すようにサマスは追加の報告をする。
「……それがそんなに喜んでもいられません」
「? ……どういう事かね?」
「そのベロバ様がタートルズとナッジスパロウの復活も支援している様です?」
「……なんて?」
ハトが豆鉄砲を喰らったような顔で呆気に取られた表情をするニラム。サマスは追加の資料を見せる。
「どうも以前から計画していた様ですね。運営ライダーも追跡しましたが足取りが途絶えたようです」
「やられた! あんのロリババアが……我々に本気で盾突こうってのか?!」
余裕が全く無くなったニラムは、恐らくベロバが聞いたら物凄く憤慨しそうな事を言った。
「ナッジスパロウも危険だが……タートルズ、両津勘吉は最も危険だ!! 全く……チラミが要らん事をしなければこんな事には……」
頭をワシャワシャとかき乱し、焦りが顕著に浮かぶニラム。
「いかがいたしましょうか?」
「運営ライダーを。ジャマーガーデンへ偵察に送るんだ!」
「畏まりました。ではワンワンオーとワンワンオーツーに」
「ああ……宜しく頼む」
サマスがその場を離れるとニラムはグッタリと疲れてその場に座り込んだ。
「なんてこった……これこそが、リアル……なのか?!」
スカイツリーの灯りがそんなニラムをあざ笑うかのように煌煌と照り続けた。
デザイア神殿にて。サロンでの纏の寝床についてライダーたちが相談していた。
「ゑ?! 良いの、纏ちゃん!」
「纏……別に今夜くらいはアタシの所で寝て良いんだよ?」
「本当に良いのかラヴィ? お前の意思は尊重するが、女性なんだからもう少し考えた方が……」
「そうだよ! いくら何でも……」
各人が纏を心配してそれぞれの意見を出す。特に景和はかなり真剣に心配していた。
「別に気にする事無いだろー? 勘吉が使ってた寝床使うくらいでさぁ?」
そう、纏は両津が用意して景和と兼用で使っていた二段ベッドの上段を使うと言い出したのだ。
「眠れたらどこだって構わないし、余らせておくより良いだろ?」
「そうかもしれないけどさぁ……」
「こういう時の纏は女の子だって事忘れちゃうよね~……」
祢音と冴は纏の発言にすっかり呆れていた。とは言えそんな部分があるからこそ纏らしいとも言えるのだが。
結局、皆を押し切る形で纏は両津の寝床を使う事になった。景和が気遣って纏に声をかける。
「じゃあ気が変ったらツムリさんと相談してね」
「大丈夫だって。別に景和くんが何かしてくる訳じゃないだろ?」
「出来る訳無いよ! と言うか考えてもいなかった……」
「ハハハハ。それでこそ景和くんらしいよ。それじゃあおやすみ~」
「うん。……おやすみ」
サロン天井の主電源が落ちて皆がそれぞれの寝床に用意している灯りを使ってプライベートタイムに入る。ルームウェア姿の纏はそのまま布団に入った。
「勘吉の使っていた寝床かぁ……うん、臭くは無いな! けど……」
既に消えてから2週間以上になると言うのに、その足取りが掴めない居候の存在を思い返す纏。布団に残っていた両津の残り香でほんの少しだけ寂しさを揺さぶってしまった彼女はスマホの画面に両津の映っている写真画像を映す。
「早く帰って来いよ、バーカ……」
そうして呟くと寝息をたてた。
深夜のサロンにて。皆が寝静まった頃、冴は1人思いつめた表情で起きていた。持っているカードを真剣な表情で見つめている。そのカードにはこう書かれていた。
―― デザスターミッション ――
―― 他のライダーにジャマト爆弾を命中させろ ――
DGPルール「デザスターは、秘密の指令を実行しなければならない」
筆者です。「麗羅F」をお送りしました。
これにて「麗羅編」は終了。明日の更新分から新たなタイトルとなります。
先ずはこの「麗羅」とはどういう読み方をするからかですが。これは「うらら」と読みます。別に「麗」の1文字でもそう読めますが、敢えて「羅刹」の羅の字も付けました。では意味合いですが、先ずは当然ながら纏ちゃん。麗しき羅刹の様な彼女ですね。そして麗子さん。こちらはもう名前にも入っているくらいです。また、マリアちゃんや早矢さん、ジョディーやバクニュー大佐やクララちゃんのこち亀ガールズもです。更にこの話は女性ライダーがクローズアップされる回でもありましたので当然、祢音ちゃんと冴さんも入ります。
調べたらインド神話の”ラクシャーサ”ってのがそれに該当しますが、この神様は既に”羅刹”と言う意味合いを持ち、その中に麗しいと言う言葉の意味も含まれているそうです。更に言うなら纏ちゃんの戦闘時の口癖「うらぁ! うららぁあああ!!」ってのは今回のタイトルにちなんで設定したものですが、可愛いので今後も続けます。ちなみにキン肉マンの登場超人ジェロニモもこの口癖だったわけですが、そこから連想した訳じゃ無いですよ?w
さて前書きの通り、次回から両さんの復活です。長らくお待たせしました。18日の間不在の主人公です。果たして明日からまたUAが伸びるのでしょうか? そしてご感想も増えるのでしょうか?w やっぱり両さん不在の間はその辺りも顕著に表れて居まして、どっと減りましたよね。でも筆者自身が描いたストーリーを進める以上、両さんの存在を消さないと纏ちゃんの参戦も描き辛かったので断腸の思いで決めました。お付き合い頂いた皆さま、申し訳無かったです。今後は盛り上がっていくと思いますので引き続きお付き合いお願い致します。
ちなみに前書きの一番最後の英文はMCU作品のエンディング後に良くやるアレですw
では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。
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