仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「頑張るも何もねぇ……そろそろ勘吉が戻ってくるらしいし」
「おや纏様……それにしては浮かない顔ですね」
少し神妙な顔つきになっている纏。それもその筈で、両津の事に関しての報せがあまり良くは無いからだ。
「早矢から連絡があったんだけどさ、どうも勘吉がまた騒動を起こすらしいんだってさ。だからくれぐれも気を付けるようにって」
「それはまた……いかにも両津様らしいと言うか」
「しかもそれをさ、早矢にしては珍しく笑いながら電話してきて言ってるんだぞ! まるでバラエティ番組を見ているみたいに……」
「はぁ……そんなに面白い状況になるのでしょうか?」
「かなぁ……どちらにせよ、こっちも用心に越した事は無いってね」
「わかりました。でも纏様、凄く嬉しそうですね」
ツムリに図星を突かれて顔を真っ赤にする纏。
「や、やめてよツムリちゃん……そりゃあ嬉しいけどさ。でも先ずは! 散々心配かけた事を詫びさせないと!!」
「そうですね。一体どうしていたのか真相を追求しましょうか。でもその後は戻ってきたお祝いもしましょうね」
「……うん!」
この纏の喜びは後に見事打ち砕かれる事となるのだが、それはまだ先の話である。
双乱RK~I:そして彼が還ってくる
デザイアグランプリ、DGPのロゴが画面に現れた直後にザアザアとノイズが現れて見知らぬ光景が映る。赤字でタイトルが書かれていた。
―― DGP network acess is hacked ――
どうやらデザグラの配信に対してハッキング、乗っ取りを行って放送をしているらしい。ジャマーガーデンを歩いていく男の背中が映っている。吾妻道長だ。
画面の右上にはDGPのロゴを思いきり筆書きで✖と書きなぐられたものが表示され、画面の右下にはバラエティ番組よろしく見出しが出ている。
―― 退場したはずのあなたがなぜ乱入を?! ――
「俺はただ仮面ライダーを全員ぶっ潰したいだけだ。エントリーしているかどうかなんて関係ない」
追ってくるカメラに振り向いて睨みを利かす道長。
右下の見出しが更に変わる。
―― オーディエンスの注目も集めているようです! ――
「オーディエンスだかなんだか知らないが、そんな奴らは眼中に無い。お前らが応援しているライダーたちは俺が全員ぶっ潰してやるから覚悟しておけ!」
また振り向いて恫喝する道長。だがその直後に放送は中断されカラーパターンが出てきて”しばらくお待ちください”とスーパーが表示される。
「ハハハ! さいっこう♪ デザイアグランプリに喧嘩売るなんて、どうかしてるわアンタ!」
「……本当にこんな事で理想の世界が叶えられるんだろうな?」
タブレットで配信を見ていたベロバが爆笑している。
カメラが止まると道長はすっかりグッタリとしていた。どうやらカメラ前のアピールで気を張っていたらしい。
「うん! いいねぇ道長くん!! いかにも悪役然としていて素敵だったよ~♪」
「あ、はい……あんな感じで良かったんスか?」
カメラを持っているアルキメデルが褒めちぎる。道長の恫喝はどうやらアルキメデルのディレクションのようだ。
「ククク……なかなか素晴らしいカメラアピールだったね、バッファ」
「うっせ! と言うかお前も出てこいよ……何で俺だけなんだよ、も~~……」
五十鈴大智が腹を押さえて近付いて来た。撮影の様子を遠巻きに見ていたらしい。
そしてアルキメデルの横で作業している人物がもう一人。
「おう場長。レフ版は何処に片付ければ良いんだ?」
「ああ、それなら後で私が持っていこう。ありがとうね」
「別に構わねぇよ。しかしミッチー、お前も役者だなぁ。モニターの向こうのオーディエンスたちへの威嚇なんてバッチリじゃねぇか!」
「う……うん。ありがとう両さん」
「ほほー……あれだけ獰猛な猛牛が、両さん相手だとすっかり大人しくなるものだ」
「あ”? おいナッジスパロウ、お前さっきからうるせぇぞ。そんなにケンカを売りたいならいつでも買ってやるが?」
「丁度良い。そろそろウォームアップが必要かと思っていたんだ。牛さん相手に肩慣らしでもするか」
睨み合う道長と大智。それを見て呆れるベロバ。
「アンタら本当に仲が良いわね~……」
「「どこが?!」」
道長と大智はハモって否定する。
一見和やかに見える状況だが、一日前はとてもこんな状況では無かった。その元凶は今現在いそいそと作業をしている両津勘吉である。
「おーし、お前ら来~い。こっちの機材から片付けろー!」
「ジャマ!」
「ジャジャジャ!」
今やすっかりジャマーガーデンに馴染んでいるが、これも昨日とはうって変わっての光景だ。
そう。昨日のジャマーガーデンはまさに一触即発。緊張状態にあった。
★
爆弾配送ジャマトの騒動にかこつけてギーツに戦いを挑むも敗退するバッファこと道長。ジャマーガーデンに戻ってくると何やら騒がしい状態であった。
「ジャ!」
「クキョ、ラサツームビワスケツームラサエインヴァツラサモルクイズラサキョビ?(おい、何か武器になりそうなものはないか?)」
「ビキョヅデピピゼラロオルクオケツームスビストポーテスガラサオズロチャラサラセンラビファツキョでケヴァツチャ(海賊ジャマトの時に使ったサーベルならまだ何本か用意できそうだ)」
「?……随分騒がしいな」
急ぎアルキメデルの元に向かう道長。すれ違う中に足軽の恰好をしたジャマトやビキニアーマーを着たジャマトも何体か居た。それぞれ”成り上がりジャマト”と”くっころジャマト”と言うらしい。
「場長!」
「おー! 丁度良い所に戻ってきたね、道長くん!」
「いったいこの騒ぎは……」
「戦争だよ……クーデターだ」
「クーデター?」
「ああ。ジャマトがとある者に先導されていてね。同じジャマト同士で争うなんて辛いにも程がある!!」
ジャマトを愛するアルキメデルにとって、この状況は耐えられないだろう。そしてアルキメデルの傍らにはベロバともう一人、長身で細身の青年が居た。少し茶色に染めた髪は眉毛の辺りで切り揃えられ、後ろ毛は伸ばしているのか付け毛なのかかなり長い。襟元を開けた清潔そうなYシャツの上から、作りのしっかりした裾が長めのダッフルコートを羽織っている。四角いフレームの眼鏡をクィっと直し、不敵な笑みを道長に送った。
「君が仮面ライダーバッファ、吾妻道長か。戻ってきて早々に悪いがもう一仕事やってもらうよ」
「お前は?」
「ベロバ様にスカウトされた参謀……とでも言っておこうかな?」
その男は五十鈴大智。つい先日までデザイアグランプリに参戦していた仮面ライダーナッジスパロウだ。
ベロバが楽しそうにスキップしながら道長に近付いて来た。
「仮面ライダーに対抗するゲリラ組織を結成するの♪ ウフフ……」
だが、クスクスと笑った後で一気に肩を落として気落ちしている。
「でも先ずはアイツをどうにかしなきゃね……」
「アイツ……?」
「この騒動の元凶よ。両津勘吉……あのバカを止めないと」
「両津……勘吉……は? 嘘だろ? 両さん居るの? ここに?」
「そうよ……悪い?」
すっかり泣きそうな顔になっているベロバに追い打ちをかける様にアルキメデルもボヤいた。
「ベロバ様が余計な事をしなければ……」
「だって戦力になると思ったんだもん!!」
「もっと計画を詰めてから行うべきだったんです!!」
ベロバとアルキメデルが口喧嘩を始めた。大智はその様子を呆れながら道長に状況を説明する。
「……つまり、俺たちの仲間として呼んだ筈の両さんがジャマトたちを煽ってここで戦争していると」
「まぁそう言う事だ。しかしよりによって両さんとはね。呼ばれて早々大仕事じゃないか……」
大智もこればかりは想定外だったらしく、軽く頭を押さえた。
「だいたい、両さんが来ているなら説得すれば良いだけの話なんじゃねぇか?」
「それがね……あの人、デザグラの記憶は無いらしい。まさかとは思ったが、僕の後に脱落していたみたいだね」
「え? 両さん脱落していたの? どーりであっちでも姿が見えないと思ったら……」
「だから先ずは両さんに記憶を取り戻してもらう所から始めないと……」
そしてジャマーガーデンの敷地内、針葉樹が沢山植林されている木々に登って周囲を見渡している男たち……いや、変態たちが居た。
「海パンの旦那……着いた早々えらい騒ぎになっているぞ」
「ふむ……この様子だと煽動しているのは両津だな」
「両さんがこの騒動を?!」
木に登って偵察しているのは運営ライダーの2人。ワンワンオーとワンワンオーツーに変身する海パン刑事と晴家ウィンであった。
筆者です。「双乱RK~I」をお送りしました。
さて、唐突に和やか?な空気から始まったと思ったら、実はちゃんと騒動を起こしてました。この騒動がどうやって治まったのか、詳細についてはまた明日の更新分でご確認ください。
皆さまの両さんが戻ってまいりました。この18日間、ずっと両さん無しの縛りプレイでの執筆でしたがなかなか辛いものがありましたね。3ヶ月以上毎日、両さんを中心に話を書いてきたのだから、かなり制限がかかったものです。だけれどもギーツ勢こち亀勢共にキャラを立たせるために頑張った結果だと思って頂ければ幸いです。
では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。
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どちらとも言えない