仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「つってもなあ……」
「ああ、流石は両さんだ。僕らの考えなんて何手先でも読んでくる」
元々の実力もさることながら、両津には様々な人間が技術や知識、そして経験を与えてきた。大原部長からは剣術を。中川や麗子からは経済や社会について。ちなみに将棋は4歳児の檸檬に全く勝てない。
「いっそ何かで釣らないか? メシとか」
「害獣か……? 寧ろカネの方が釣れそうだと思うが」
「アンタたち何言ってるの? それでも男なの? 両津勘吉と言えばエロでしょ? エロ本とエロDVD! ありとあらゆるエログッズに決まってんでしょーが!!」
「ちょ、おま?」
「流石にその外見で言われてしまうのは……」
ベロバの外見でエロを連呼されると流石に動揺する道長と大智。
「いーから言われたとーりにしなさい! 効果はバッチリなんだから!!」
「本当かよ……」
「僕のポリシーであまりこういうものには近づきたくないのだが……」
そう言いつつもベロバの指示でエログッズを集める道長と大智。
「来るのかねぇ……」
「どうだろうね……」
「うわぁあああああ! せっかくエログッズが集まっていると思ったらまさかの罠かよ?!」
「「いや、来るのかよ?!」」
あくまでこの作品基準だが、両津にエログッズは鉄板。
噺家ジャマトと結託した後の両津は事を慎重に進めていた。
ジャマーガーデンの周辺地域の把握。籠城する為の建物探し。食料は夜ごとに噺家ジャマトの手引きによって倉庫から奪取。ジャマーガーデンには野生動物の襲撃と思いこませるように派手な破壊工作を偽装。そして籠城した廃墟のショッピングモールにて給水配管の建設。IDコアの肥料を与えていない無垢なジャマトの育成など。そして全ての準備が整うと後はタイミングの問題だ。それは道長、仮面ライダーバッファがデザグラに出向きジャマーガーデンが手薄になるタイミング。そしてその時は訪れた。
「と言った所だろう」
「随分手の込んだイタズラだな」
「イタズラで済めば良いけどねぇ。何せ要求が要求だ」
ここまでは大智の予測。だが殆どが的中していた。道長は大智の推察をある程度聞きながらも周囲に警戒していた。
「入口の警備していたジャマト以外に全然見かけねぇな……」
「ここまでなら僕の推察通り。だが最後のピースが埋まらないな……いったい両さんは何を狙っているんだ?」
頭を悩ませながら歩く大智。頭の中で引っかかるのは建物の外部に設置された砲台に似た大きな筒。だがそれはジャマーガーデンの方向では無く、随分と明後日の方角に伸びていた。
そして2人は3階まで吹き抜けの大広間に出た。廃墟となる以前は土日ともなると家族連れで賑わっていたのだろう。今はただ、だだっ広い空間があるだけだ。真ん中のステージはかつて沢山の催し事が行われていた様子が伺えた。どうやらこの世界が滅ぶ最後の日はアイドルのライブが行われていたらしい。ボロボロになっている即興の看板がその日の盛り上がりを思い起こさせた。
「僕らの世界も何れこうなるって現れかな?」
「さあな……」
「良く来たな、仮面ライダーたち!!」
「「! この声は?」」
2人が見上げると3階の壊れた柵に見覚えのある姿が仁王立ちになっていた。
「あ……ああ……」
「……フッ、変わらないな」
道長は喜びで語彙力を失い、大智は落ち着きつつも胸に感じる熱さに心震えていた。2人とも瞳に涙を溜めて、自身の心に突き刺さったその人物の名前を大声で呼ぶ。
「「両さん!!」」
「おう。……やっぱりお前らはワシの事を知っているんだな」
デザイアグランプリの記憶が無い両津にとって道長も大智も出会ったばかりの他人にしか思えない。だが自身を呼ぶ声が敵意あるものでは無く、親しみがある温もりを感じた事に僅かながら気恥ずかしさと申し訳無さを覚える。だが今はその気持ちに蓋をして速やかに必要な事だけ質問をする。
「ワシの、ワシらの要求にはどう応える?」
「……やっぱりそう来るよな」
「寂しいけどね……」
吹き抜けとなった空間に響く両津の大声。2人の気持ちは無視されているものと感じ、寂しさを覚えた道長と大智。仕方の無い事で、今の両津は2人それぞれと過ごした事など覚えていないのだ。改めて2人もデザイアグランプリの異常性を目の当たりにした。
「忘れられるってこんなに辛ぇのかよ……」
「ああ。そして僕らもそうしてきた。だろ?」
「……まぁな」
「もう一度聞く! ワシらの要求にはどう応える?」
改めて両津の声が響く。
両津がジャマーガーデンに出した要求、それは……
―― ジャマーガーデンを譲り渡せ ――
そう、ジャマーガーデンを占拠する事が両津の目的。道長と大智は返答する。
「……一緒に行こう」
「ああ、僕たちと一緒に行こう」
「「両さん!!」」
2人はそれぞれ手を伸ばした。吹き抜けの天井はガラス張りとなっていて光が差し込む。2人の姿を見て両津は微笑むも、正解では無い返答にそれ相応の態度を取る。
「かかれお前ら!」
「ジャ!」
「ジャジャジャ!!」
「ジャッパー!!」
3階の柵に集まってくるジャマトたち。全て両津が育てたジャマトたちだ。
「やっぱりそう来るか……」
「だねぇ。両さんが求めていたのはYesかNoなんだから」
『『 SET 』』
道長は腰にしているデザイアドライバーの左側、大智は右側にそれぞれバックルを差し込む。
そして道長は左手を前に突き出す。昨日ジャマトフォームに変身する時に感じた身体の痺れは起きない。どうやらジャマト化がかなり進んで来たようだ。
大智は左手で右腕の上腕を握り、軽く突き上げた右手の指を小指から人差し指へと滑らかに動かし握る。そして眼鏡を直しつつコメカミを小突くような動きをしてから差し込んだバックルのレバー操作を行う。
「「変身!」」
『 JYAMATO 』
『 MONSTER! 』
バッファはジャマトフォームに、ナッジスパロウはモンスターフォームとなる。ナッジスパロウは初めて見るジャマトフォームへの変身に戦慄すら覚えた。
「こんな危険なバックルを人間が扱うなんて……」
「仕方ねぇだろ。使えるモンは何でも使うさ。クソ! ……ソンビバックルさえあれば」
2人の変身を見て戦慄覚える両津。だが不思議と恐怖は無い。記憶は忘れても身体は覚えている。独特の高揚感に喜びすら覚えていた。
「へへ……凄ぇな。寺井の話によるとワシもあんな感じで変身出来たらしいが」
両津が言っている寺井。別名:丸井ヤング館の記憶を有したジャマトにはある特性があった。記憶の共有。今現在両津と行動を共にしている個体はジャマーボールに現れた1体ではない。後にアルキメデルが育成した個体である。だが特性として、あの数体が経験した事をこの個体も共有していた。故に両津がライダーとして戦っていた事も知っている。その為に退場した訳じゃ無いのにジャマーガーデンに現れた事を非情に不思議がっていた。
「クソッ、こいつら普通のジャマトじゃないのか? ……強いな!」
「わからないのか? こいつらは両さんと共に居るんだぞ。強くて当然だ!」
次々と現れるジャマトたちに苦戦する2人。両津仕込みのトリッキーな動きをするために致命傷すら与えられない。そして一番驚くのは彼らの跳躍力である。
「ジャ!」
「ジャパッパー!!」
「浮いた?!」
「なんてジャンプ力だ……まるでワイヤーアクションだ!」
ワイヤーアクションとは古き良き特撮で使われた技術で、ピアノ線で吊り上げる事により空中浮遊を演出する事が出来る。CG技術が発達した昨今ではあまり使われなくなった手法だが、独特の動きを好む者も多い。バッファとナッジスパロウの一挙手一投足を軽やかに避ける。
「両さん、そろそろ……」
「準備出来たか」
「ああ。大丈夫だよ」
「やれやれ、せっかく美味い飲み水が手に入る様にしたんだけどなぁ」
両津はろ過装置を通した水が入った水筒をグビリと煽る。
「じゃあ寺井、お前は皆を連れて準備しろ」
「うん! 両さんも気を付けてね!」
互いに右手を上げてパシンと叩く。乾いた音が吹き抜けに響く。
その音を聞いたジャマトたちが一斉に上空に舞い上がる。
「ジャ!!」
「ジャジャ~!」
「トキョエファツ! ロビルロピトファ~(隊長! 任せましたよ~)」
「おう! お前らもしっかりな!!」
入れ替わる様に両津が飛び降りてきた。両脚でズドンと大きな音を立てて2人の前に眉間にシワを寄せ不敵な笑みを浮かべている。
「行くぜライダーたち……ワシの名前は知っているんだろ? せっかくだ、名乗りな」
「! あ、吾妻道長……仮面ライダーバッファ!!」
「五十鈴大智。仮面ライダーナッジスパロウだ……」
両津は2人が名乗った名前を反芻するように口にする。
「道長と大智か……かかってこいよ、道長ぁ! 大智ぃ!」
「「ああ!!」」
筆者です。「双乱IV」をお送りしました。
とうとう書きました、ワイヤーアクションw 少し前にシンケンジャー熱が再燃してTTFCでゴーオンVSシンケンを見直したのがキッカケでした。どこかで書いてやろうと思ったので嬉しかったです。
さて、両さんの待つ廃墟のショッピングモールにやってきた道長と大智ですが果たして無事に済むのか……是非とも次回をお待ちください。
では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。
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