仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「前回は英寿様ことギーツと両津様ことタートルズが金色と黒色のフィーバーバックルでパワーアップされ、強力なジャマトたちを倒しました。迷宮脱出ゲームはまだ続きます。皆さん無事に脱出できるのでしょうか?」
「暑っちぃなぁ……なんでこんな暑いのにデザグラなんてやってんのかな、ワシら」
「両津様。作中特に季節は言及してませんよ」
「そーなの?」
「明らかに服装でロケ時期の季節は丸バレしてますけどね」
「ロケ時期て。なぁ、海とかプールとか行こうぜ」
「残念ながら海ロケもプールロケも……水着回そのものがありませんでした」
「でしたって……」
「ああ、良く考えたら海ロケはありましたね。失礼しました」
「それ、第6話の海岸での景和の練習とバックルフラッグだろ? ワシも居たじゃん!」
「後は第1話の冒頭ですね」

 昨今の厳しい状況で制作されている皆さまには頭が上がりません。これからも良い作品作りのために頑張ってください。



変攻VIII:愛僧渦巻く迷宮の脱出ゲーム

 温室内で鼻歌交じりに楽しそうに作業をしている男が居た。

 フチ無しの丸みのある眼鏡をかけ、体型はいかにも中肉中背。両津よりも少し背は高いだろうか? 服装は作業用の白シャツ。一般的にババシャツとかジジシャツとか言われている類のものだ。虫刺され防止のための袖を付けている。下はこれまた紺色の作業ズボン。恐らく素材は綿だろう。ゴム長靴を履いて両手には白軍手をしている。短く切り揃えられた頭には麦わら帽子を被っている。典型的な農夫スタイルのその男は温室から別の温室に移動していた。

 ここは某県の”こ〇も動物自然公園”に良く似た場所ではあるが全く無関係だ。……無関係だと思いたい。

 別の温室に移動してきた丁度その時、付近に設置してある据え置き型電話が鳴り始めた。デザインだけならかなり古い時代の電話だ。男は眉間にシワを寄せて苛立ちながら電話の受話器を取った。

 

「なんだよこの忙しい時に……あーはいはい、もしもし?」

「私だ。ようやく出てくれたか」

「すいませんねぇ。こちとら忙しくって。それで何の御用で?」

「自業自得だ。そちらがもっと強いジャマトを送ってくれたらその忙しさも無かっただろうに」

 

 この言葉にカチンと来た男は嫌味たっぷりに返事をする。

 

「いやー、何処かの誰かが? アタシが手塩に育てたジャマトたちを? もっともーっと上手く使ってくれたらこんなことにはならなかったんじゃないかなぁ!」

「言うじゃないか……3流ジャマトしか育てられない君が。そんな事はどうでもいい。急ぎジャマト追加だ。あと500……せめて400送ってくれ」

 

 その指示に驚く男。最近は無茶振りも今まで以上にタチの悪いものになってきていた。

 

「400?! 無理だよそんな! 今回送ったジャマトはどしたの?」

「残念ながら現在半数まで数を減らした」

「アンタどんな使い方したらそうなるの?! 今回は執事とメイドで送ったでしょ? アレ育てるのどれだけ手間かわかってるの?」

「仕方無いだろう! 予想以上に今回の参加者がしぶといんだ」

「アンタが五月蠅く言うから心を鬼にして変身能力まで教育したんだよ! あーもーアッタマ来た。無理! でーきーなーいー!!」

 

 男はとうとうキレた。電話先の男がため息を吐いている。

 

「頼むよ。頑張ってくれたらその分良質な肥料を送る事ができるんだからさ」

「……わかった。でも300な! それ以上だと品質が下がる」

「いいだろう。それで何とかしよう」

「じゃあ早速取り掛かる。ところで前に送ったコは元気にやってるのか?」

「……元気は元気だが、何であんなのにした?」

「拘りだよ。知性のあるジャマトを送れと言ったのはアンタじゃないか」

「別にああいうのを欲しかったわけじゃないんだがなぁ……」

 

 電話先の男が2度目のため息を吐いている。その態度に作業服の男がまたキレた。

 

「拘りだって言っているだろ?! なかなかああ育てるのは難しいんだぞ! どれだけ私が労力をかけたかわかって言っているのか?」

「ああもう……認める。認めるよ。だがあまり趣味に走らず、こちらの指示通りのジャマトに育ててくれ」

「うるさい! いい加減腹が立ってきた。もう切るぞ。とにかく300な!」

 

 そう言って作業服の男は叩きつけるように受話器を置いた。

 

「相変わらずセンスが無いヤツだ! さて仕方ない、急ぎ執事とメイドのジャマトを仕立てるか。えーと肥料肥料……お、これとこれだったな」

 

 どうやら肥料を探しているらしい。手に取ったそれはヒビの入ったIDコアの様だが……。

 

「全く……時間さえあればもっと優秀な、ライダーくらい簡単に仕留めるジャマトくらい育てられるのになぁ……」

 

 ブツブツ言いながら作業服の男は予定を変更して更に別の温室へと向かった。先ほど手にした2つのIDコアを幹の太い樹木の根本に埋めた。

 

「さーて、しっかり育つんだよ。可愛い私のジャマトよ……クククク」

 

 その樹木の枝と言う枝には、まるで果実の様に幼体ジャマトが無数に実っていた。既に意識を持っているのかそれらはケタケタと笑っているらしく、その不気味な声が温室中に響いていく。だがその時、男の身体に強烈な寒気がしてきた。

 

「……! 何だ今の悪寒は? 何かせっかく私の手塩に育てたジャマトが予想もつかないとんでもない事になりそうな気がするな……」

 

 珍しく弱気になる作業服の男だった。

 

   ☆

 

 西の館・メインホール。ツムリは手元のタブを構えながらいつもの営業スマイルで何か話をし始めた。

 

「デザイアグランプリ第2回戦。迷宮脱出ゲーム! 暗号によって閉ざされた出口から脱出せよ! ジャマトの首輪で苦しめられた人々を救出できる仮面ライダーはこの中の誰だ? そして脱落するライダーは果たして……?」

「……ねぇツムちゃん、そのセリフと一緒に俺たちを映すのってフラグ? それともツムちゃんの願望?」

 

 ウィンは恐る恐るツムリに伺った。ツムリは振り返るも全く表情を崩さず、再びタブレットに向き直し同じセリフを繰り返した。

 

「そして脱落するライダーは果たして……?」

「2回言った? 何でそこを強調するの? ねぇ?」

 

 二人のやり取りを見て呆れかけている道長はため息交じりに口を開いた。

 

「もういいか?」

「あ、ああ……続きな」

「で? 手がかりがあるって言ったな」

「……この迷宮を出る手がかりならわかっている」

 

 ウィンは座っていた椅子から立ち上がり、道長に手を差し出した。

 

「ギーツを出し抜いて、俺たちと脱出するか?」

「助かったぁ!」

 

 バス運転手の尾形が喜んでその手を掴もうとするも、道長が尾形を掴んで軽く後ろへ撥ね退け、更にウィンの手もパシッと叩いて払いのけた。

 

「おい……お前らの手ほどきは受けない。俺は俺のやり方でギーツに勝つ」

 

 無言になる一堂。そして更にウィンは別の話題を道長に振った。

 

「ところでさ、お前。マリアちゃんってどう思う?」

 

 その言葉に道長がビクンと身体を震わせた。

 

「どうって……いや、別に」

 

 憧れのキックボクサーが今やスタイルの抜群の美人だ。デザグラに抱えたものとはまた別の複雑な感情が道長の中で渦巻いていた。道長が返した言葉もいつもより歯切れが悪く、くぐもって聞こえた。

 

「いやー、驚いちゃったよなぁ。まさかあの麻里竜二があんなに美人になってたなんてよ。しかも前と同じくらい、いや下手すると前以上に強いかもしれねぇし」

「……そうだな。あの人は本当に強い」

 

 斜め下を見ながら返事をする道長。そこに尾形も会話に加わる。

 

「僕も麻里選手は知っていましたけど、あんなに美人になってたなんて驚きですよー。人って変われば変わるんですねぇ」

「変われば変わる……か」

 

 尾形の言葉に反応するようにボソリと呟く道長。デザグラで友人を失った以後、彼の生き方は別物になっていた。

 

 ――全てのライダーをぶっ潰す――

 

 デザグラで失った無二の親友”今井透”の弔いと、その時胸に抱いた憎悪を晴らすための彼の願いだ。彼を知る者たちが皆「あいつは人が変った」と言うのを道長自身も聞いてきた。そんな自分自身とマリアの今を重ねてしまうのは、引退して何処かに行ってしまった自分の憧れが、意外な姿で現れたからであろうか。

 

「でもさー、邪魔だよなぁ。両津勘吉がよぉ」

 

 ウィンのその一言に道長の眉毛がピクリと動く。更にウィンは続ける。

 

「ギーツの事はまた別として、タートルズを潰すってのなら話はどうだ?」

「お前……まさか?」

 

 ニヤニヤと笑うウィンに尋ねる道長。道長は質問を続けた。

 

「まさかお前……竜二さん、いやマリアさんに……惚れた?」

「いやそうなんだよ~! アレ見た時は流石にショックだったけどさぁ、一周回って男とかどーとかどうでも良くなってきてさあ!!」

「いや……あの人、男だぞ?」

「でもすっげぇ美人だぜ? この先一生、あんな美人と出会える機会なんてそうそうあると思えるか?」

 

 傍で聞いていたツムリの眉が僅かにピクっと動いたが、男たちは気にせず会話を続けた。ウィンの言葉に対し頭を掻いて返事をする道長。

 

「……そうだな。確かに美人だな。でも、あの人はタートルズに惚れているんだろ?」

「あの惚れ方は尋常じゃないですよねぇ。もう完全にトリコって感じですもの」

 

 尾形も道長の言葉に乗っかる。

 

「でもさ、両津勘吉が退場か脱落になったらどうなる?」

「……おい、お前まさか?」

 

 ウィンの言っている事に気がついた道長は食ってかかる。そう、思い人の両津が居なくなる。もしくは夢を失いそれまでの人格から変わった場合、マリアは今までと同じで居られるのかと言っているのだ。

 

「マリアちゃんは傷心の身となるだろうな? 或いは今までの想いを吹っ切って竜二さんとして復帰するかもしれねぇ」

「いや……でも……そんな?」

 

 二人はマリアの今の姿が両津では無く、両津に似た岩鉄岩男と言う、キックボクサー時代のコーチからかけられた言葉で転身したという事を知らない。果たして両津の存在が最悪消えたとしても麻里竜二に戻るかは微妙である。ともすれば両津に害を成した原因を追究し、最悪の場合それを死に至らしめるまで攻め続ける可能性だってあり得る。知らぬは仏とは正しくこの事である。そんなやり取りを行っていると尾形が急に喉元の首輪を押さえて苦しみだした。

 

「う……ぐぁあああああ!!」

 

 尾形が悲鳴を上げると共に扉が開かれジャマトたちが現れた。

 

「来い!」

「は、はいっ!!」

 

 道長は尾形を連れてその場を逃げ出した。




 筆者です。変攻VIIIをお送りしました。何とか間に合ったと思います。更新当日にコレ書いてます。何とも毎回一週間ペースで7日分の文量を書き溜めていますが、お陰でプラモ作りは停滞しています。今一番の趣味がこの作品の執筆なので仕方なし。今回もどうかよろしくお願いします。

 では今回の小ネタを。

・アルキメデルについて:ギーツ本編と構成を変えて初登場です。キャラがだいぶ崩れたのは筆者のアレンジがキツいからですね。参考にしたのは昔、筆者が勤めていた会社の社長の性格を混ぜたからです。職人気質な方でして、クライアントに結構上から目線を取る事が多かった方です。その為筆者が退職した直ぐ後その会社は……お察しください。演じられた春海四方さんの演技が神がかってましたので、普通のおじさんに見えるのは上辺だけで狂気を含んでいたセリフ回しが素晴らしかったです。今後も筆者アレンジがキツいかと思いますがお付き合い頂ければ幸いです。

・ウィンと道長のマリアちゃんへの想い:これまたこの作品オリジナルの設定です。2人とも色々拗らせてしまいましたw 果たして今後、この2人の想いはどうなっていくのか? 生暖かく見守ってください。

 なんとか間に合い今回も17:30更新が叶いました。これも日頃見守って頂けている皆さまのお陰です。ご感想やご意見もいつもありがとうございます。UAも良くチェックしていまして、ちゃんと皆さま此処に来て頂いているんだなぁと数字が物語っています。先日発表になりましたガッチャードが放映されたら皆さまの興味が薄れる可能性がありますが、そこはこち亀の御威光に頼っていくしかないなと思っています。ガッチャードの二次創作が書けるかは本編の展開具合次第ですかな。期待しています。

 では明日も17:30に更新しますので、どうかよろしくお願い致します。

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