仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリをぶっ潰す! それが我らジャマーガーデンズー♪」

 最早宣言となってきたベロバの口上。だがそれをいつまでも許さない者が居た。

「いい加減にしてくださいベロバ様。向こう5話分にわたって私がやっていたポジションを奪うなんて、いくらスポンサーでも越権行為ですよ?」
「あ~ら、良い子ちゃんなナビゲーターのツムリじゃない。お元気~?」
「”お元気~?”じゃありません。そろそろそのポシジョンを返して頂かないとお姉ちゃん許しませんよ!」
「あ~ら、ギーツにだけ飽き足らずアタシにも姉ムーブ? つってもさ、アタシに姉プレイなんて300年早いんだよ! わかってんの?」

 自分より年下から姉ムーブされるのは流石にイヤなのか、自身のリアル年齢がバレるのも垣間見ず、大上段となるベロバ。だがこれは大きな誤算だった。


「あの……非常に言いづらい事なんですがベロバ様?」
「……何よ?」
「私、前のナビゲーターミツメから引き継いでから顕現しておりまして……その実年齢がですね」
「! そういえばそうだったわねぇ。でも確かミツメから引き継いだのって……あ!」
「ようやくお気付きになりましたか?」
「アンタも苦労してきたのね……そっかぁアタシよかずっとずっと……」
「ええ。ずっとずっと……」
「……お姉ちゃんって呼んであげよっか?」
「それはイヤです」
「何でよ?!」

 自身が姉ムーブする割りに周りから姉扱いされたくは無いらしい。それがツムリである。
※この作品限定で。


双乱VII:そして彼が還ってくる

 アルキメデルの説明を聞き流しながらパンフレットを見ていくと様々なジャマトが写っている。医師・ナース・コック・大工・配送員・学生などなど。問題はそこに必ずコスプレをしたアルキメデルが一緒に写っていた。つまらなそうにパンフレットをめくるベロバがボソリと呟いた。

 

「絶対アイツの趣味で作ったわよね、コレ」

「「「だよなぁ……」」」

 

 医師ジャマトとナースジャマトの写真には病人役で出ているし、コックジャマトの写真ではタキシードを着た客役で出ている。学生ジャマトの写真は数枚あって、まるで卒業アルバムの様相をしている。先生役はまだ似合っているから許せても、お下げ髪のカツラを被りセーラー服姿で写っているのは流石に無理があるため両津と大智は急ぎパンフレットを閉じた。果たしてこの先に何が出てくるかもわからず不気味な物を感じたからだ。

 

「さて、私が着目したいのはこのジャマトの育成についてだが、IDコアを用いずにあれだけ動けるジャマトを育成出来た両津くんの手腕だ」

「お、おう……」

「私でもこうはいかない。これは両津君の長きに渡る経験によるものだろう。流石40年も主人公をしてきただけはある」

「まあなぁ」

「……両さん、アンタ何歳なんだ?」

 

 道長の一言で皆が黙る。1分ほど続いた沈黙を破ったのは問われた両津だった。

 

「やめろお前! 原作者だってその辺は濁しているんだから!!」

「わ、悪い。そんなに面倒な話だとは思ってなくて……」

「全く……これだから学が無い無粋な奴は」

「うるせぇなぁ!」

 

 道長と大智が睨み合いをしているのを無視してアルキメデルは更に続ける。

 

「両津君の功績は実に多岐に渡る。代表選手としては選ばれなくても各スポーツ競技で優秀な成績を出してきているし、警察機構の様々な要職にも就いた経験がある。そして一番はあのスカイツリー! 我々が狙う2020年代の日本においてその象徴と言うべきあのランドマークタワーを造り上げた実績は素晴らしいものだよ!!」

「そこまで褒められると悪い気はしねぇな!」

「え……ちょっと待ってくれ。スカイツリー……両津勘吉……え? 両さんってあの”両津隊長”なの?」

「おう。まぁそう呼ばれていたな」

「!」

 

 両津のその返事に道長は突然立ち上がり両津の目の前で正座して土下座をする。

 

「師匠と呼ばせてください!」

「どうしたいきなり?!」

「道長くん、一体どうしたのかね?」

「うっそ……ミッチーがこんなに深~く頭を下げているなんて、珍しい事もあるわねぇ~♪」

「ほ~……これはまた面白いものが観られたものだね」

 

 皆がそれぞれの反応で驚く。そして両津は困惑していた。

 

「よ、止せミッチー! と言うか師匠とかガラでも無いから、いつも通りに”両さん”って呼んでくれよ」

「でも……」

「大体何で急に両さんを師匠と呼びたくなったんだい?」

 

 大智の問いに即で答える道長。

 

「両さんはなぁ……俺たち建築に関わる人間にとっては神なんだよ!」

「は? ワシが?」

 

 両津がスカイツリーに携わったのは知り合いの代役で参加したのがきっかけだったが、以後スカイツリーに関わった建築関係の人間から両津隊長として慕われる事になる。それは道長の雇い主で事実上仕事での師である”親方”と呼ばれている人間もその1人であった。

 

「親方とメシを食うと時折話題に出ていたんだ。俺たち建築の職人にとって伝説のカリスマが居るって……まさかそれが両さんだったなんて。知らなかったとは言え数々の無礼、本当にスイマセンっしたぁああ!!」

「だから止せって! ワシはそこまで偉い存在じゃねぇよ!!」

 

 再び深々と土下座する道長。いくら両津が止めても頭は下げたきりだ。

 

「ふーむ……道長くんにここまでさせるとは流石両津くんだ。これは今後が期待出来るねぇ」

 

 アルキメデルもアゴを摩りながらそのやり取りを見て笑顔になっていた。

 

 翌朝。ベロバとアルキメデル、道長と大智、そして新しい服に着替えた両津が温室に集う。

 

「うぉっす!」

「おはよう両さん!」

「おはよう両さん」

「グンモーニン、両ちゃん♪」

「おはよう両津くん。良く眠れたかな?」

「おう。部屋と着替えを用意してくれてありがとうな」

 

 アルキメデルの問いかけに笑顔で応える両津。用意された作業服はまるで以前から用意されていたかの様に丈も揃っていた。まるでアルキメデルとペアルックの様に。

 

「朝食を食べたら早速一仕事だ」

「ほう。何をするんだ?」

「プロモーション映像だよ。デザグラ配信をジャックしてこちらからアピールするんだ」

 

 そして皆で道長のプロモーション映像を配信するに至ったのである。

 

 プロモーション映像を見てニヤニヤしていたベロバが呟いた。

 

「さーて……これで創世の女神を奪いに行けるわね~♪」

 

 機材の片付けをしていた両津の耳に届いたその一言は随分後まで覚えていたという。

 

「創世の……女神? おいベロバ、何のことを言っているんだ?」

 

 傍に居た道長も質問した。

 

「あらミッチー、聞いていたの? フフ……デザイアグランプリが持っているものよ。それさえ奪えば、この世界はアタシたちの意のまま♪ アタシたちで世界を変えましょ~」

「へ~……そいつは悪くないね」

「ナッジスパロウ……」

 

 少し離れた場所に居た大智も微笑みながら近付いて来た。

 

「改めて”ジャマーガーデンズ”、結成よ!」

「ジャマーガーデンズ……」

 

 道長はその言葉を反芻するように呟いた。

 

「これでよーやく貴方もアタシたちの仲間ね。これから宜しく~両ちゃん♪」

「お、おう。宜しく頼むぜ。そーいえばIDコアとバックルあんがとな! でもどうやって手に入れたんだ?」

「こー見えて、アタシもデザグラにコネがあるのよね。アイツらも一枚岩じゃないってコトよ♪」

「へぇ……」

「僕のIDコアとバックルもベロバ様が用意してくれたんだよ、両さん」

「大智のもかよ」

 

 ここで両津は違和感を覚えた。”デザグラを潰す”と声高らかに謳うこの女が何故にここまでデザグラに通じているのかを。そして”両ちゃん”呼びされた時の悪寒もだ。若い女性が馴れ馴れしく呼ぶそれでは無く、自分より年長のものが孫子を愛でる時の愛情に近い物を感じた。それも恐ろしく歪んだものを。

 

「じゃあこれでワシも晴れて堂々とデザグラの連中を叩きに行けるってな……待ってろよ! 先ずはあのネバネバなグラサンオネェから血祭だぁ!!」

「両津くんはダメだよ」

「「「え? 何で?!」」」

 

 ここでアルキメデルから無情な一言が飛んで来た。両津、そして道長と大智は驚く。

 

「君ねぇ……ここにどれだけの被害を出したと思っているの?」

「あ、はい……その節は申し訳ありませんでした」

 

 資材の奪取。そのための偽装工作。突撃時の損害。等々。どれだけのリソースで埋め合わせできるかわかったもんじゃない。

 

「だから両津くんは暫くココで私の手伝いや施設の修理だ。こればかりはベロバ様の頼みでも許しませんからね」

「……しっかたないわねぇ。じゃあ両ちゃん。しばらくアルキメデルの言う事を大人しく聞いててね~♪」

「マジかぁ……」

「両さん……残念だ」

「僕もだよ、両さん……」

 

 行動を共に出来ないと知って涙目になる道長と大智。今にも泣きそうな2人を慰めようと両津は1つ思いついた。

 

「泣くなって。そうだ! 出かける前に何か弁当作ってやるからよ」

「「弁当? マジで?!」」

 

 その提案が刺さったのか物凄く笑顔になる道長と大智。2人とも思わずガッツポーズを取っている。




 筆者です。「双乱VII」をお送りしました。
 
 今回でジャマーガーデンの争乱編が終わると言いましたね。すいません、嘘になりました。とは言え、次回更新分はスライドする形でテレビ本編準拠の話になっていきます。

 ちなみに説明会でアルキメデルさんがスーツ姿になったのは演じられた春海四方さんが多彩な役柄をされていたからですね。寧ろ着こなし方は演じる役によって様々ですが、スーツ姿の方が多いんじゃないかなってくらいに。また説明会そのものに関しては筆者が以前に胡散臭い営業会社で受けた時の経験からですね。何人もの人間が説明会の度に使用していた角が丸くなってきたパンフレットを手に取ってかなりイヤな思いをしたものです。あんな経験、もう二度としたくないですね。その時の思い出を誇張して書きましたw 実際は本文ほどカオスなパンフレットは出てきませんでしたよ。
 
 さて、この両さんのジャマーガーデンドタバタ劇ですが、これまた3ヶ月ほど前に書いた草案から随分変わっています。草案の時点では迷い込んだ両さんの主食はジャマトになる予定でした。でもいくら悪食だからと言ってそれは後々ヤバそうだなと思って没にしています。クマ狩りとはまた事情が違うんです。そして説明会のシーンにはベロバ様と大智くんも居ませんでした。デザグラ退場からしれっとジャマーガーデンに現れた両さんがジャマトで飢えを凌いでからジャマーガーデンに入所。そしてミッチーとほぼ同じタイミングでベロバ様に出会うと。……自らで没にしておいて何ですが、そうしなくて良かったなと思いますw

 では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。

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