仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ――!! はぁ……久しぶりに言えましたね」

 前書きの一言目を久しぶりに勤めているツムリ。やはりルーティーンを奪われると調子が出なかったらしい。

「あーあ……せっかくアタシも言いなれてきたのにな~」
「ダメですよ、ベロバ様。こればかりは譲れません」
「いーもーん。どーせこの後イヤでも奪っちゃうんだから」
「え……それは一体?」
「まだナイショ。でもツムリおねーちゃんにはコッソリ教えちゃおうかな~?」
「お姉ちゃんじゃありませんよ。でも気になりますね……もし宜しければ」
「ん~……どうしよっかなぁ? あ、そうだ!」

 イタズラっぽい仕草で考えるベロバ。何か閃いたらしい。

「じゃあお姉ちゃんと服の取り換えっこしよう! そしたら教えてあげる♪」
「え……え――?!」

 30分後。

「こ、これは……恥ずかしいですね」
「いーじゃん! 似合っているよ♪ わー、こんなにヒラヒラなんだぁ~♪」

 互いの衣装を交換した2人。メイクも普段それぞれがやっている雰囲気に合わせている。お陰でかなり印象が違う。

「ほらほら~♪ ちゃんとセリフもそれっぽく言わなくちゃ。”おめでとうございます! 今日から貴方が仮面ライダーです♪”あー面白~い!」
「え? えーと……”デザイアグランプリをぶっ潰すのよ!”うー……これはかなり恥ずかしい……ベロバ様、そろそろそのぉ……」
「え? あー……やっぱやーめた!」
「ちょ! ベロバ様、何処に行くんですか?!」
「ちょっと皆に見せてくるね~」
「ま、待ちなさ――い!!」

 そしてツムリはベロバが帰ってくるまで丸1日、ベロバの衣装を着て過ごす事になる。その間、英寿や祢音、チラミに見られて恥ずかしい思いをしたそうだ。


双乱VIII:そして彼が還ってくる

「えー? 2人だけぇ? アタシにも作ってよ、両ちゃん♪」

「あ? まぁ2人分作ろうが3人分作ろうが手間はそんなに変わらねぇから良いけどよ」

「いぇ~い♪ ありがとー両ちゃん♪ ゼリービーンズあげるね~」

「あ、あんがと……」

 

 どことなくそのノリが大阪のおばちゃんが良くやる”飴ちゃんあげるわ”に似たものを感じた両津。益々ベロバの生態が読めなくなってきた。

 

「さて、無駄話はここまでだ。道長くんと五十鈴大智は出かける準備。ベロバ様は私と打ち合わせだ。両津くんはコックジャマトを寄越すから厨房の使い方を覚えてくれたまえ。それと……」

「あん? どした?」

「弁当は私の分も頼むよ」

「アンタもかよ! まぁ良いけどな」

 

 ぶつくさ言い始めた両津。そしてアルキメデルは誰にも聞こえない声量で独り言を呟いた。

 

「あの2人には悪いが、少しだけ両さんとの時間を過ごさせてもらうよ……ああ、一体どれ位ぶりだろうね……ほんの少しだけでも、私と両さんの時間を多く作らなくては……」

 

 胸に灯る熱を感じているアルキメデルの奸計によって両津はジャマーガーデンにカンヅメとなった。

 

 そしてその様子を見守る2人が居た。ワンワンオーとワンワンオーツー。汚野たけしと晴家ウィンである。

 

「やーれやれ。昨日の騒動がウソみてぇだなぁ、ダンナ」

「全くだ。読唇を行ったが暫く両津はジャマーガーデンから出てこないみたいだな。仕方ない我々も戻るぞ」

「ヘイヘイ……でも良いのか? このままだと両さん、アイツらと一緒になるぞ」

「我々の障害になるなら考えなければならないな。まぁ暫くは様子見だ。ニラムに報告せねば」

「あいよっと! でも両さんが無事で何よりだぜ」

「全くだ。相変わらずタフな奴だよ、アイツは」

 

 そうして運営ライダーの2人もジャマーガーデンから姿を消した。

 

 そして少し経った頃、自分の家に急ぎ戻る冴の姿があった。

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 曲がり角で壮年の夫婦とぶつかりそうになる冴。いつもの冷静さは微塵も無い。

 

「冴先輩……」

「冴さん足早~……」

「そりゃそうだよ。現役アスリートだもの。……でも今の先輩、焦り過ぎている」

「仕方ないよ……纏ちゃん、アタシたちも急ごう!」

「そうだね!」

 

 ―― 沖縄家庭料理居酒屋泡ぐら ――

 

 冴の実家で両親が営んでいる店だ。店の主人である冴の父は入院中で、母親と下の弟と妹が居た。家族三人は見事にジャマトが送ってきたフルーツ爆弾の起爆コードによって縛られていた。

 

「あら、冴。おかえり~」

「お姉ちゃん、おかえり~」

「おかえり~!」

「……元気そうだね、皆」

 

 冴の心配を他所に何とも呑気な家族たち。自分たちが命の危機にあっているなんて微塵も思っていないらしい。

 

「も~……知らない人からの贈り物なんて受け取っちゃダメじゃない!」

「だって冴、メロンだよメロン!」

「メロン食べたかったもん!」

「食べたかった!」

「そんなもの、言ってくれたら何時でも買ってきたわよ! だいたい運んで来たヤツ見て怪しいとか思わなかったの?」

 

 運んで来たのは間違い無く、あの配送ジャマトだろう。いくら作業服に身を包んでも、あの顔だけは誤魔化しようが無い。せめて少しは隠していたら警戒されずに済む様なものの、あんな不気味な宅配員の持って来た物を素直に受け取るのは景和の姉・沙羅か冴の家族くらいであろう。

 

「だって冴、人は外見で判断しちゃいけないって父さんいつも言っているだろ?」

「人じゃ無くてジャマトだけどね……」

「それに最近は外国の人も増えてきたんだ。色んな外見をした人だって居るだろ? そりゃあ何言っているのか全然わからなかったけどさ。態度もキビキビとして良く働きそうだったし、あんな真面目そうな人を無下にしたら客商売なんてやっていけないよ?」

 

 入院中の父も含めて、マジメな人柄の家族の性格が思いきり裏目に出た。また昨今の移民政策で巷には外国人の姿も多く見かけるようになった。岸田政権のやり方がこの一連のジャマト騒動に一役買っている可能性もある。

 

「あ~……もういいから! トイレとか平気? ゴハンは後で持ってくるから。とりあえずスマホ置いておくから通話繋ぎっぱなしにしておくね! あー……今のうちにギガ使い放題のプランにしておかなきゃ」

 

 テキパキと今出来る事を急ぎ行う冴。丁度その頃、纏と祢音も店に辿り着いた。

 

「冴先輩、大丈夫! ご家族はウチに任せておいて。急ぎバァちゃんに連絡するから」

「良いの? でも万が一の事があったら……」

「大丈夫! ウチは勘吉のバカのお陰でいつだってこんなトラブルばかりだもの。皆、肝が据わっているんだから!!」

「纏……」

「ウチも、ベンとジョンに連絡して鞍馬財閥のコネで探してみる!」

「祢音ちゃんも……2人ともありがとう……」

 

 大粒の涙を流して泣き始めた冴。2人は駆け寄って冴の涙を拭う。

 

「泣くのはまだ早いよ、冴先輩。急いでジャマトを見つけよう!」

「そうだよ! 急がなきゃ!!」

「うん……うん! 急ごう!!」

 

 冴と祢音が出て行ってから暫くして夏春都と檸檬、そして板長の三吉がやってきた。

 

「あらやだ、擬宝珠の大女将! こんな格好でロクにお構いも出来なくてすいませんねぇ」

「夏春都ばっちゃんだ!」

「檸檬ちゃんも来た!」

「ふん縛られているのに相変わらず呑気だねぇ、アンタは」

「バァちゃん、言い過ぎだよ」

「女将、澪、潤。久しぶりじゃの!」

 

 檸檬が明るく接する。どう考えても異常事態だが変に気遣うと返って冴の家族たちが心配すると思って檸檬なりに気丈に振舞ったのである。

 

「せめてカンキチが居ればのう……」

「檸檬。それは言いっこ無しだよ」

「纏……。そうじゃの、レモンとした事が少し気弱になっていた。許せ」

「ううん。本当にあのバカ、何処行っちゃったんだろうね」

 

 夏春都たちに後を任せて、遅れる事にはなったが纏も店を出て配送ジャマトを探す事にした。だが程なくグ~っと腹の音が鳴る。纏は1人、公園のベンチで手持ちのオニギリを食べ始めた。今朝、皆に渡した纏お手製の弁当だ。

 

「うーん、イマイチだったかな? こんなの勘吉に食べさせたらまたアダコダ五月蠅く言ってきただろうなぁ」

 

 そう言うと珍しくため息を吐く纏。いつも鬱陶しいくらいに口喧嘩をしていて、纏が月に一度体調を崩すと真っ先に口うるさくも気遣ってくれた両津。

 

 ―― 無理すんじゃねぇ。流石にこればっかりは男と勝手が違うだろ ――

 

「らしくないなぁ、アタシも……」

 

 ナーバスになる纏の後ろでは2人の男が口喧嘩らしきやり取りをしつつも昼飯を食べていた。どうやら手作り弁当らしい。

 

「あんなに若い男がどちらも手製弁当とは珍しいね」

 

 ―― 全く……これから一仕事あると言うのに気が早いね、君は ――

 

 ―― うるせぇ! ちゃんと食べておかないと作ってくれたのに勿体無いじゃねぇか! お前だってしっかり食べ始めているクセに ――

 

 ―― 僕だって楽しみにしていたからね。 ちゃんと僕の好きな物を作ってくれたんだから感謝しないと ――

 

「仲良し? ……とは違うのかな?」

 

 大きな声で怒鳴る青年と、落ち着きつつも悪態をつく青年の2人組がそれぞれ弁当を広げてランチタイムを取っている。その2人の弁当を覗き見た纏は目を丸くして驚いた。纏は急ぎ2人組に声をかけた。

 

「ちょっとアンタたち!」

「あん?」

「どうしたのかな、お嬢さん?」

「その弁当……誰が作ったの?」

「「!!」」

 

 2人組とは吾妻道長と五十鈴大智であった。




 筆者です。「双乱VIII」をお送りしました。
 ようやくテレビ本編準拠の話を進めるかと思いきや、かなりアレンジを入れてます。如何な物でしょうか?

 冴さんのご家族が呑気になりました。これは景和の姉・沙羅さんを見ていて思いついたものです。慌てる冴さんに対して物凄く呑気な態度を取っていたらどれだけ面白いかと言うものと、久しぶりに夏春都婆さんと檸檬ちゃんを書きたかったってのがありますね。こう言う時に纏ちゃんの存在が有難いものです。
 そして両さんの弁当を食べる道長・大智コンビに気付く纏ちゃん。これは先日更新分のご感想から思いついたものです。2人と纏ちゃんの絡みを書いてみたくなりました。これによってどういう展開となるかは明日の更新分で是非お楽しみください。

 では本日はこれまで。明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。

※追伸
 更新設定を間違えて前日深夜にアップされていました。驚いた方申し訳ありません。気を付けます。

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