仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「待って待ってツムリちゃん、色々おかしい。だいたいアタシは摘まみ食いしただけでちゃんと食べてない」
纏がツムリの説明にツッコミを入れる。
「だいたいあの道長ってのにボッコボコにされてさ、滅茶苦茶カッコ悪かったよ。筆者そんなにアタシの事が嫌いか? あ?」
「纏様、虚空に威嚇しても筆者様が困惑するだけですよ?」
次元の壁を越えて筆者に威嚇する纏。結構マジだ。ごめんなさい。
「だいたいね、あの道長って何? 触手生やしとかさ、人間辞めた系? 勘吉が持っているエロマンガとかエロゲかっつーの!」
「纏様、この作品は全年齢なのでその……言葉を……」
蔵の掃除をするたびに両津のコレクションが増えてきているのが悩みの種の纏。PCも設置されているためにパッケージで気になる作品があるとこっそりとチェックしているらしい。だいたいは作品の内容に触れると後悔するのがセットとなっているのだが。それでも時折は胸に刺さる作品に出会うようだ。
「あーあ。この作品もせめて”CLANNAD”くらいに感動できる要素があればなぁ~」
「あら、お好きなんですね」
「あれマジで神作品な! エロゲームが土台なんて思わなかったよ! ”うたわれるもの”も良かったなぁ~。”偽りの仮面”からの”二人の白王”!! 主人公ハクの声優さんが亡くなっちゃって、アニメの続編無理じゃね? と思っていたら作中で亡くなった友人役の声優さんが引き継いだなんてエモさが爆発してガン泣きしたもん。時代劇じみているから檸檬も見ているよ」
「両津様の影響か擬宝珠家の皆さま鍛えられていますね……」
実際両津が来る前も檸檬は女児向けアニメのファンだったし、夏春都は重度の時代劇オタクだった。PCを触るようになってそれまでCSの時代劇チャンネルが映像視聴の主だったが、最近は時代劇に強いサブスクも多く加入している。そのせいか時代劇主体のアニメも幅広く見ているらしい。
「よし! 次は鎧武を見よう!!」
「……纏様、鎧武を見る時はくれぐれも気を付けてください」
「え……そうなの? 出てくるライダーたち、鎧武者みたいでカッコいいかなーって思ってたんだけど?」
「いいですか? 裏切り・怠惰・敗北。この言葉がピッタリハマるんです」
「え……子供向け番組でそれってアリなの?」
筆者は様々な要素で気に入っているが鎧武もまたかなり偏った作品だと思う。
冴と祢音はとあるビルの地下駐車場にやってきていた。祢音のSPであるベンとジョンからの情報だ。着いた早々、配送ジャマトたちが数体居る事が確認できた。急ぎ変身した2人は配送ジャマトに突撃する。
「えい! やぁ!」
「ジャアアアアア?!」
ビートアックスを振るい、次々とジャマトたちを倒すナーゴ。ロポはトラックの積み荷を確認する。
「メロン! メロンがここにあれば……」
だが急ぐあまり周りが見えなくなっているロポの背後から得体の知れない触手が近付いているなんで気付きもしなかった。そしてナーゴがそれに気付いて大声を上げる。
「え……? 冴さん! 逃げて!!」
「え? クッ……?! 何よこれ――? うぁああああああああ!!」
ナーゴからの注意も間に合わず触手に縛られたロポはズルズルと引きずられる。触手は道長がジャマトバックルから生やしたものだ。ジャマト化が進んでいるせいで、変身しなくてもドライバーとバックル越しに触手を出す事は出来る様になっている。だがそれは更に道長の身体へ苦痛を与えていた。その痛みに耐えながらの変身を行う道長は苦悶の叫びを上げる。
「うっ! ……ううっ! ……ぬぅうああああああああああああ!!」
『 JYAMATO 』
「道長?!」
そしてそのまま道長はジャマトフォームへ姿を変える。ナーゴはここで初めて生きていた道長の存在に目の当たりにして、その名を呼んだ。
「俺のゾンビバックルを寄越せ!!」
「何するの?!」
「寄越せぇ!!」
拳と蹴りを連続で繰り出し執拗にロポを攻めるバッファ。事情がわからないロポはただ困惑している。
「ぬん! だぁああああ!」
「ち、ちょっと?!」
「道長! 止めて!!」
「ぐぁあああああ! 煩い!!」
ナーゴが止めに入るもバッファは止められない。止めに来たナーゴも殴り飛ばす。
その様子を少し離れた場所で見ている者が2人居た。ベロバと大智である。
「バッファを活かすにはどうすれば良い? 正解は……彼と相性の良いゾンビバックル」
「フフフ……ふぁふがふぁんぼう♪ ふぉのひぃりね~(流石参謀♪ 物知りね~)」
「喋るか食べるかどちらかにしれくれないか? 全く行儀が悪いな……」
ベロバは両津が持たせた弁当を食べながら様子を見ていた。ベロバのは道長と大智に渡された物とはまた更に異なっていて、ハムチーズのサンドイッチとフルーツ入りのサンドイッチ。おかずにはゆで卵とタコさんウィンナーが入っていた。タコさんウィンナーの足は良く見かける4本や8本では無く、何度も何度も切れ目を入れて触手の様に無数の足がある。そう、まるで今のバッファのように……。
「ふぁってふぉんなにおいふぃいんふぁもん。ひょうひゃんふゅれふぇひへへいふぁいふぁっふぁふぁ~♪(だってこんなに美味しいんだもん。両ちゃん連れてきて正解だったわ~♪)」
「やれやれ……だが僕にも知らない事がある。僕のと言い、両さんのと言い、IDコアやバックルをどうやって手に入れたのか」
「フフフ……はぁ! 美味しかったぁ!! ゴホン。ちょっとしたコネよ、コネ。裏ルートなんていくらでもあるんだから」
ベロバと大智が話し込んでいる間にバッファはロポからゾンビバックルを奪う。アーマーが消えてエントリーフォームとなったロポはバッファに飛びかかりバックルを奪おうとするも返り討ちに合う。
「返して! 返して!!」
「ぬぁあああ! うるせぇえええええ!!」
「がぁああああああ!!」
倒れたロポを片手で軽々と掴み何度も地面に叩きつけるバッファ。
「返して……家族を、守りたいの……」
「! ……がぁああああああああ!!」
悲痛な声で懇願するロポ。その言葉に先ほど叩きのめした纏の姿が重なる。
―― 家族だよ……大切な ――
―― じゃあ伝えて。早く帰ってこいって…… ――
ほんの僅かに迷いが生まれるも、それを振り払うかのようにロポを蹴り飛ばす。
「仮面ライダーは……! 全員ぶっ潰す!!」
『 JYA-JYA-JYA STRIKE!! 』
思いきり足でストンピングすると大量の触手が生えてロポに飛びかかる。よろめきながら立ち上がろうとするロポに襲い掛かる触手の群れ。
「冴さん!」
「祢音ちゃん?!」
だがそれを横から飛んできたナーゴがロポを押し出して防いだ。だがその代わり、ナーゴ自身に触手が襲い掛かる。次々と飛んでくる触手の体当たりを何度も喰らったナーゴは強制変身解除となり、ボロボロの祢音の姿に戻る。
「ハァ……ハァ……」
「……目的は果たせた。じゃあな……次に邪魔したら容赦はしない」
変身を解いた道長は冷ややかな、だが少しだけ寂しそうな顔でその場を去った。
「祢音ちゃん……祢音ちゃん! 大丈夫? しっかり!!」
「冴さん……」
変身を解いた冴が祢音に近付いて抱きかかえる。そして祢音は意識を失った。
―― 日没まであと3時間54分04秒 ――
爆弾ジャマトはまたしても爆破予告時刻を夕方までと告げている。
デザイア神殿のサロン戻った冴と祢音。そして同じ頃に戻った景和と纏。
冴は祢音を、景和は纏を、それぞれ手当していた。
冴は手当しながら祢音に問いかけた。
「どうしてこんな無茶を……?」
「だって……冴さんが居なくなったら、誰が冴さんの家族を助けるの?」
「! ……」
祢音の微笑みに泣きそうになる冴。涙を堪えながら祢音の言葉を聞き続ける。
「幸せな家族……ずっと守っていくんでしょ?」
「うん……」
「だから戦っていたんでしょ?」
「うん……!」
冴は涙が既に溢れて頬を伝わっていた。
「冴さんに……お姉ちゃんにもしもの事があったら、弟も妹も……悲しむよ?」
「ね、祢音ちゃん……ごめん……ごめんね……あり、ありがとう……」
既に泣いていた冴は感情の濁流に心が飲み込まれそうになっても祢音への感謝の言葉を告げる。そこへ纏と景和、そして英寿がやってくる。
「冴先輩……」
「冴さん……」
「悪いな。邪魔をするぞ」
纏も冴と同じくらい心が疲れている。心無し目の周りが赤い。どうやら景和が手当をしている最中に道長と戦った事を告げたらしい。そして……
「バッファにバックルを奪われたそうだな。アイツの所に両さんも居るらしい」
「……何それ?」
「両さんが?!」
「直接姿を見た訳じゃないらしいが、バッファともう一人一緒に居た奴が両さんの作った弁当を食べていたんだとさ」
その言葉に纏の表情が暗くなる。冴は纏を抱きしめた。
「纏! 我慢しなくて良いの!! アンタも辛いもんね……」
「冴先輩……アタシは……アタシは……」
2人の姿を見て皆の顔に陰りが出来る。いつになく神妙な顔つきとなった英寿が呟いた。
「アイツを野放しにしておくと厄介だな……両さんの居場所も吐かせなきゃならないし」
そして祢音に顔を向けて声をかける。
「ナーゴ、君に紹介して欲しい人が居る」
そして英寿は祢音に頼み、とある男の元に向かう。デザイア神殿の別箇所……普段ライダー達が歩いている場所とは明らかに雰囲気が違う場所にその男が居た。
普段よりも少しラフな服を着た英寿。アルファベットをデザインした模様が入った白シャツの上からレザー素材のロングコートを気だるそうに着込む。重々しい造りのドアを開けると蝶ネクタイにスーツ姿の男が居た。デザグラのプロデューサーであるニラムである。
「デザグラのプロデューサー様に逢えて光栄だよ」
「いいのか? ゲームの方は放置して」
「心配しなくてもクリアーして見せるさ。それよりアンタに話が……」
「まぁ座れ。先ずは……料理を楽しむのがマナーだろう」
円卓を挟み対面に座り合う2人。宅の真ん中にはガラス製の回転テーブルが置かれ、更にその上には様々な中華料理が乗っていた。良く見ると室内の置物や掛け軸なども中華っぽいデザインが多い。恐らくニラムの最近のマイブームであろう。或いは中華資本のスポンサーも参入したかもしれない。テーブルに乗った料理の中にオヒツに入った炊き込みご飯がある。ニラムはそれを取り分けてテーブルを回して英寿に送った。そして英寿に問う。
「要件はバッファか」
「ああ。まさかと思うがアイツの妨害もショーの……え?」
たが、英寿がそれを手にしようとしたタイミングで、ニラムはテーブルをまたズリっと回して英寿が手を伸ばしても届かない位置までズラした。もちろんわざとである。
「……食わせないつもりか?」
「いやいやすまない。ついイタズラしたくなってね」
回転の位置をズラして英寿の手にようやく炊き込みご飯が盛られた飯茶碗を手に取った。
「……アイツの妨害もショーの一部ってワケじゃ……もしかしてショーなのか?」
「どうかなぁ? いやいや! 冗談冗談!! 実はジャマトを支援している悪趣味なスポンサーが居てね。我々も手を焼いているんだが、そいつがバッファを支援しているようだ」
「フ……物騒な連中だな。アンタら運営も、次元を旅する観光客とやらも」
「! どうしてそれを?」
英寿がデザグラの核心に触れた事をニラムは大いに驚く。英寿は言葉を続ける。
「お前らこの時代の人間じゃないんだろ?」
回転テーブルがグルグルと回る。だが尋常じゃないスピードで回る。回転テーブルに乗ったガラス製の水差しや器に盛られたスープ類も遠心力で波打ち出してきた。
「じゃないと世界を……世界を……せ、世界……おい、いい加減止めろ! さっきから胡麻大福を取ろうとしているのに全然取れないだろ!」
「! ああ失敬……」
英寿の言葉で冷静さに欠け始めてきたニラム。その言葉でようやく我に返りテーブルの回転を止める。目的の胡麻大福をムシャムシャ頬張って英寿は続きを喋り始めた。
「……じゃないと、世界を作り変えるなんて神の所業が出来る訳がない」
「そういう君こそ、デザイアグランプリ初参戦の頃から不敗神話を築き上げてきた!」
ニヤニヤと笑いながらニラムは喋りつづける。
「その戦闘力……とてもこの時代の人間とは思えない」
「フッ……そうでもないさ。俺以外にも居るだろ? とんでもないヤツが」
「ああ……聞くところによると彼は天国からも地獄からも嫌われているらしい」
「みたいだな。そしてそいつも今、バッファと共に居るらしい」
「ほう!」
さも驚いたような顔をするニラム。だがこれは嘘だ。既にワンワンオーこと汚野たけし。海パンライダーから報告は受けている。
「両津勘吉もそのジャマトのスポンサーの仕業か?」
「どうだろうねぇ……あの人は実に気まぐれだから。まぁ良いでしょう! 暴れ牛の件と迷子の亀さんはこちらで預かろう」
立ち上がり部屋を出ようとするニラム。残りの料理を食べながら英寿は呟く。
「話がわかるなぁ……前のゲームマスターと違って」
「君のハイライトにはいちプロデューサーとして、期待しているよ」
そう言って英寿の肩をポンポンと叩きガッツポーズを取って部屋を出たニラム。その仕草に苦笑をしつつ、ニラムが部屋を出た瞬間に眉間にシワを寄せた。そして英寿はボソリと呟いた。
「良く言うぜ……」
筆者です。「双乱X」をお送りしました。
久々の4500文字ですよ。本当は3000文字くらいにしようかなと思ってたんですが(ニラムの所に行く辺り)それだと今回の本文ラストの「良く言うぜ……」が次回更新分の真ん中くらいになってしまうので。大判振舞いです。こうして筆者の執筆ストックがガリガリ減っていきます。年末年始は調整したいなぁ……
今回更新分もメシのシーンが多かったですね。ニラムと英寿の食事シーンは本編準拠ですが、ベロバ様の弁当はオリジナル要素です。テレビ本編ではゼリービーンズを食べていました。
ニラムと英寿の食事シーン。こちらもオリジナル要素を差し込んでいますが、実はテレビ本編でカットされたシーンも差し込んでいます。TTFCで見れる「ギーツエクストラ 緊急特番 蔵出し!デザグラスペシャル」からの引用です。思い出して急遽書き足しましたw
では今回はここまで。明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。
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