仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリー! いよいよメロン爆弾ジャマトに止めを刺した纏様と英寿様。冴様の家族の所に向かいます。そして両津様は何とニラムを倒しました。果たしてどうなってしまうのでしょうか?」
「……何やってるんだ勘吉?」
「モーションキャプチャーだよ。なんとかこのジャマトの触手を活かせないかと考えてな」
「また妙な事を……」

 纏が呆れるのも無理は無い。両津はジャマトフォームになってモーションキャプチャーを取り付けて触手の滑らかな動きをデータとして取り込んでいた。

「アビスソングシンドロームちゃんみたいなVtuberが現れるくらいだ。これからは触手の時代だな! だからワシのVのガワにでも取り込もうかと思ってよ!」
「そう言えば勘吉もVtuberだったね……」

 白鳥PPMレンピッカ。それが両津が行っているバーチャルアイドルの名前。詳しくは単行本201巻を読んで欲しい。かくして両津のアイデアで白鳥PPMレンピッカの背後にはアビスソングシンドロームよろしくキャラの背後に、空いている余白に、恐らくVtuber史上初の艶めかしい触手がウジュルウジュルと動く事となった。

「何故だ……何故売れない……スパチャが途絶えた! 時代は触手じゃないのか?!」
「しぇんぱーい! 流石にアソコまでリアルな触手だと確実にキモいっすよぉ……僕だって代わりにやっていたら具合が悪くなりますもん」

 久々の本田登場。時折両津に代わってVtuberの代役をやっていた。声はボイスセンサーで一旦取り込んだものを改めて別の音声に変えているので代役はいくらでも代えが利く。ちなみに今までは残念、雑、左近寺、ボルボ、はたまた爆竜大佐や麻里晩まで代役をした事がある。

「最近のフォロワーもどんどん得体が知れなくなって、”クトゥルー研究会”とか”邪神伝ネクロマンサー”とか怪しいのが増えたし」
「そういや案件候補に荒俣宏や佐野史郎との対談ってのが来ていたな……」
「歌ってみた動画を見ていたら、”ふんぐるうふんぐるう”って聞こえたって報告も来てますよぉ……」

 急にPCが固まったとか、謎のゾンビがモニターから出てきたという報告も上がっていた。

「良し決めた!! この触手のデータはTRILLIONSTAGEに売りつけよう!!」
「買ってくれるかなぁ……」

 ところが意外にも、触手データは本当にTRILLIONSTAGEが買い上げ、アビスソングシンドロームの新たなLive2Dスキンに取り込まれた。今まで以上に触手の動きが滑らかになり、新たなファンを獲得出来たとアビス嬢当人も囚人Pも大いに喜んだという。

「アビスちゃんの新しいスキンが人気でとうとうチャンネル登録者数が100万人到達したらしいっすよ」
「何でワシとの差がこんなにあるんだ?!」

 これこそアビスソングシンドロームと言う奇跡である。
 


双乱XV:そして彼が還ってくる

 英寿と纏たちより先に冴の実家に戻った3人だがそこで見たものは……

 

「おお、冴か。無事なようじゃの」

「なんだい、随分かかったねぇ」

「ねぇちゃんだ!」

「お姉ちゃん!!」

「冴、お帰り!」

 

 檸檬と夏春都もメロン爆弾のコードに巻き取られていた。

 

「なんでこんな事に……」

「すいません……あっしが外に出た間に……」

「三吉さんは悪くないよ! でもまさか大女将と檸檬ちゃんまでなんて」

「まぁそう慌てるでない。纏はどうしたのじゃ?」

 

 冴はここまでの経緯を話した。

 

「そうか、纏ならきっと大丈夫じゃろう」

「早く来てくれると良いんだけどねぇ。アタシゃ腰に来始めたよ」

「夏春都さん、大丈夫? 腰なら俺が揉もうか?」

「フン! 若造に心配される程ヤワじゃないよ。それに乙女の腰を気安く触るんじゃないっての!」

「いやいや夏春都さん、乙女って……」

 

 気遣った景和を恫喝する夏春都。だがここで檸檬からフォローが入る。

 

「許せ景和、本心じゃないぞ。それに迂闊に近付くとレモンたちのようにお主もこの妙な蔦に縛られるからの」

「! そうか。ゴメンね夏春都さん、気を使わせちゃって……」

「……まぁそういう事だよ。アンタたちまで危険な目に逢う事は無いだろ」

「大女将、御免なさい……」

 

 涙目になる冴。皆が沈黙し静まる。だが夏春都は落ち込む冴に声をかけた。

 

「顔を上げな冴。今から言う事を良く聞くんだ」

「大女将……どうしたの?」

「アンタのお母さんとも話をしたんだけどね」

「母さんと?」

 

 冴の母、真紀は微笑みながら頷いていた。

 

「アンタたち、いざって時はさっさとお逃げ」

「「「!」」」

 

 夏春都の言葉を聞いてライダーたちは驚く。震えた声で冴は返した。

 

「な……何言ってるのよ。それじゃ皆助からないのに」

「覚悟を決めたってことさね。だからってアンタたちが死ぬ事は無いだろ?」

「そんな!」

「夏春都さん、何言っているの?!」

「黙りな若造ども!!」

 

 景和と祢音も夏春都に反発する。だが夏春都はピシャリと怒鳴って返した。

 

「いやだ……」

「冴さん……」

「お父さんまで倒れて、これで皆まで失ったら……アタシは生きていけない!!」

「冴さん……!」

「冴。大女将の言う通りにしなさい」

「母さん……」

 

 涙をポロポロ流して悲痛な声を上げる冴。祢音が駆け寄り背中を摩る。そこへ冴の母、真紀が声をかけた。

 

「ここで終わったらそれはアタシたちの運命なんだよ」

「でも……でも!」

「アンタたちまで無駄に命を散らす道理は無い。それよりもアタシたちみたいな不幸が起きないように戦っておくれ」

「そんな……」

「……」

「……」

 

 その言葉は景和と祢音にも重く圧し掛かった。

 

「ねぇちゃん、俺の友達にもよろしく伝えてね」

「アタシの友達にもだよ!」

 

 弟の潤と妹の澪も明るく声をかけた。だがその目は泣き腫らして真っ赤になっていた。この2人にもどうやら夏春都と檸檬が諭したのだろう。

 

「アタシは……アタシはどうしてこんなに弱いの……? どうして家族を救う力が無いの?」

「違うよ冴さん」

「祢音ちゃん……?」

 

 傍らに居た祢音が冴を真っすぐ見つめる。

 

「夏春都さん、ゴメン。俺たちその言葉には従えない」

「何だって?」

 

 景和が夏春都に真っ直ぐな態度で返した。

 

「だってそれは、今必死で戦っている英寿と纏ちゃんを信じなかったって事だからね」

「……言うじゃないか、若造!」

「バァちゃん、景和はこう言うとテコでも動かんぞ」

「檸檬……」

 

 檸檬も景和の気持ちに同調した。アイコンタクトで景和の目を見つめて笑顔になる檸檬。景和も無言だが笑顔で返した。

 

「祢音ちゃんも景和も強いね……」

「それも違うよ冴さん。アタシたちに力をくれたのは皆のお陰だもの」

「え?」

「英寿と景和と纏ちゃんと……そして両さん」

「そうか……そうだったね」

 

 そして冴は笑顔で立ち上がった。

 

「頑張って……待っているからね、纏」

 

 その頃の英寿と纏は砕石場のある埼玉県大里郡寄居町西ノ入を出発し、ブーストライカーで関越自動車道を猛スピードで突っ走っていた。変身したままで。

 道交法?

 ナ ニ ソ レ オ イ シ イ ノ ?

 

「なんで警察が来ないんだよ……」

「大丈夫。警察はライダーと友達だ」

「全然説得力が無い!!」

 

 大昔ならともかく、今の道交法はかなりライダー作品の撮影には厄介な存在だ。公道で撮影もロクに出来ない。

 

「ところでな、さっきから後ろから面白いものが走ってきているぜ」

「あ? 何さ? え? えええええええええええええ?!!」

 

 纏ことラヴィが後ろを振り返ると物凄い速さで走ってくる存在が居た。自動車でもバイクでも無い。生身で走っているのだ。

 両津勘吉、仮面ライダータートルズである。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! 待てよ英寿ぅううううううううううう!!」

「ようやく帰ってきたか――!両さ――ん!」

「おーう! ちょっとヤボ用でなぁあああああああ!!」

 

 変身したままの姿とは言え、良く走りながら喋る事が出来るものだとこの時の英寿と纏は呆れていたらしい。

 ちなみに速さと言えばブーストフォームでライダーたちの平均時速を計算するとおよそ時速40km。ギーツとラヴィが乗っているブーストライカーの最高時速が時速333km。今ブーストライカーが関越自動車道を時速何kmで走っているのかはご想像にお任せする。とにかくすんごいスピードだ。だが今のタートルズはそのブーストライカーに迫る速度で走っている。いくらジャマトバックルとビッグウィンドファンバックルのバフがあると言っても限界がある。つまり恐ろしい事にこの速度は両津勘吉の実力である可能性が高い。

 尚流石に走りながらだと風を切る音で互いの声が聞こえないために、双方ほぼ怒鳴りながら喋っている。

 

「お――い! いい加減疲れてきたから――お前の後ろに乗せろよ――!!」

「悪いな――! このバイクは2人乗りなんだ――!!」

「言うと思ったぜ――!! と言うか誰だ後ろの――!!」

 

 当然と言えば当然だが、両津がラヴィを見るのはこれが初である。見慣れないライダーの存在をギーツこと英寿に質問した。

 

「おい、呼んでるぞ」

「……わかってるよ! ちょっと黙ってて」

「何だよ今更。知らない顔でも無いだろ?」

「だからだよ! アタシにだって心の準備が……」

「……わかった。黙っておいてやる」

「ありがと……」

 

 流石にプロテクター越しではいくら密着していても纏の心臓の音までは伝わらない。だが今の纏の心臓は張り裂けそうになるくらい脈を打っていた。

 

「新顔だ――! アンタが脱落したから急遽運営が増員したんだ――!!」

「そ――か――! 相変わらずグッチャグチャだなぁ――!! 新顔さん、宜しくな――!!」

「……ども」

 

 両津の挨拶にそっけなく手を上げて応える纏。実はヘルメットの補助機能を使えば各ライダーのパーソナルデータがわかるのだが、高速道路を走っている両津にとてもそんな余裕は無かった。

 だがその時、後部からサイレンを鳴らして近付く車両が来た。パトカーである。パトカーからスピーカー越しに警告が行われた。

 

『そこのバイクの横を駆け足で走っている男、止まりなさい!!』

「ワシかよ――?! どう考えても法定速度ぶっちぎっている英寿の方じゃないのか――?」

「高速は――人や――自転車は――走行禁止だ――。それでも――警察官か――――?」

「うるせ――!」

 

 パトカーのスピードが上がってきた。面倒ごとに巻き込まれまいと英寿はブーストライカーのスピードを上げた。

 

「俺たちは急ぐから――! また後でな――!」

「ま、待て――!」

『待つのは貴様だ!! このコスプレマラソン野郎!!』

「コスプレじゃ、ねぇええええええええええええええ!!」

 

 そしてその後、両津は高速道路上で職質を受けた。




 筆者です。「双乱XV」をお送りしました。

 前書きは前回以上のお遊びです。せっかくタイムリーなので勝手にアビスソングシンドロームさんをお名前だけ登場させました。二次創作も書いてみたいんですけどね。そうなると改めてTRILLIONSTAGEさんの全Vtuberと背景バックボーンも調べないといけないので……実現は難しいかな?

 さて本文。本編準拠かと思いきや今回もほぼオリ回です。両さんに足で関越自動車道を走って欲しかったんですよw
 双乱編は恐らくもう2話くらいかな? そうなるとまた次のサブタイも考えないと。

 さて、前書きで書きたくなるくらいにアビスソングシンドロームさんの存在が大きくなってきました。人類滅亡部の3人ともそれぞれ可愛いのでヴィヴ シルヴィさんと猫滅刃(にゃほろば)とばりさんも是非チェックしてみてください。詳しくは公式HPでどうぞ。
https://trillionstage.jp/#/presentation#about

 では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。

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