仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「なんかよ……大智の名前がSNSでトレンド入りしてるな」
両津がスマホを見て呟いた。確かに今年の”ネット流行語大賞”に”五十鈴大智”とフルネームでノミネートされていた。
「いやっはっはっは! 僕の活躍があってこそだね! 何分テレビ本編では八面六臂の大活躍だったからね~」
「ライダーからの悪役へ転じる奴は過去に沢山居たけどよ、更に怪人化からの光上がりしたのはオマエくらいだろうなぁ……」
「かつては鎧武に駆紋 戒斗(くもん かいと)とか居たけどね。でも彼は一貫して自分の信念を貫いたある意味凄い人さ。恥ずかしいけど悩みながら歩んだのは僕くらいかな……僕の事を呟いてくれた皆、ありがとう」
「さりげにファンサしてんじゃねぇよ」
両津が苦笑いしながらツッコミを入れた。
「しかしギーツは今年勢いが凄いよな。このまま12月の映画だろ? もしかしたらシークレットで大智の強化フォームとかもあるんじゃないか?」
「ある……のかな?」
「Vシネクストだっけ? 来年春の。あれにクイーンジャマトってのが来るのならお前が出ない訳が無いだろ?」
「それはそうだけどさ……」
確認するまでもなく大智役の後藤大くんの名前はちゃんとクレジットされている。余談だが、何故かベロバ役の並木綾香ちゃんの名前もある。
「期待しているぜ東映さん! どうか大智の新フォームを!!」
「ま、まあ……頼まれたらやらなくは無いよ」
照れながらも本音は作って欲しいと願う大智であった。
ギーツとラヴィはようやく冴の実家である「沖縄家庭料理居酒屋泡ぐら」に辿り着いた。
「無事か?」
「皆、平気?!」
今か今かと待ちわびた冴たちはギーツとラヴィの姿を見ると半狂乱の様に懇願した。
「纏! ありがとう!! 早く家族を、家族を救って!!」
「わかってるって! うわーバァちゃんと檸檬まで巻き込まれたかぁ……」
「遅かったね纏」
「待ってたぞ、纏!」
周りの慌てぶりに比べ芯が強いというか肝が座っているというか、夏春都と檸檬は笑顔で出迎える。
ラヴィは顔部分だけマスクパーツを解除するフェイスオープン機能を使う。
「あらまぁ! 凄い恰好していると思ったら纏ちゃんなのね!」
「纏ねぇちゃんすっげぇ!」
「纏お姉ちゃんって正義のヒーロー?」
冴の家族たちが笑顔になる。プロジェクトラヴィの立役者である秋本麗子の提案で電極プラスに依頼したものだ。
―― 顔が見えるだけでも安心するものよ ――
正体を隠すという意味ではライダーシステムの意義は大きいかもしれない。いくら強大な力を手に入れても正体が知られると不都合な事も大きいからだ。だがそれ以上に人と人の繋がりを麗子は信じた。それはタートルズのハーフヘルメットというデザインを提案した中川にも言える事であったが。
―― どんなに辛くても先輩の顔を見ていたら明るくなれるんですよ ――
纏の笑顔は今、この場に居る皆の気持ちを和ませた。これはやはり両津家の血筋なのかもしれない。
「待ってて、確か青と黄色のコードだったね」
「待てラヴィ! メロン爆弾の様子がおかしい……」
「え?」
纏が青色のコードを切ったその時、メロン爆弾が一際大きく膨らんだ。
「嘘?! まだ夕暮れまで時間があるのに!!」
「皆、気を付けろ……こいつはヤバいぞ!!」
「仕方ないよね……」
「うん! 冴さんの家族を守るためだもの!!」
景和と祢音はそれぞれニンジャバックルとビートバックルを手にした。
そして纏はフィーバーバックルを冴に渡す。
「使って冴先輩。皆で家族を守ろう!!」
「ありがとう……うん! 必ず守るんだ!!」
冴もフィーバーバックルをドライバーに差し込んだ。
『『 SET 』』
『 SET FEVER! 』
景和は突き出した拳を素早く武道の演舞のような動きを、祢音は頭の上に乗せて猫のようなポーズを取った。
そして冴は腕のストレッチを組む様に力強く動かす。
「へ~ん……」
「「「変身(っしん)!!」」」
『 NINJA! 』
『 BEAT! 』
『 JACK POT HIT GOLDEN FEVER 』
ロポの差し込んだフィーバーバックルが止まったドラムは「???」そして選ばれたのはブーストバックルだ。赤いプロテクターを纏ったロポは悠然と立つ。
「ねぇちゃんも変身した!」
「お姉ちゃん、カッコいい!!」
「冴……アンタ、そんな事が出来る様になったんだね」
冴の家族たちが感動している。
「うむ! 景和、必ず檸檬たちを守るのじゃぞ!」
「英寿さん……どうか、どうか!」
檸檬は景和に、夏春都は英寿に願いをかける。
「任せて! って言いたい所だけど、あのメロンはなぁ……」
「油断するな、さっきから形が変わってきている」
ギーツの注意の声に皆が気付く。徐々にだがメロンには太い四肢が形成され、更に頭部らしきものがグネグネと出来上がっていた。そして気が付くと四肢と胴体、そして顔らしき部分に毛が生えてきていた。
「……メロン熊?」
「でもあれって間違いなく……」
「メロン熊って確か体型はデフォルメされてたよね?」
「ツキノワグマそのものって感じだな……」
「あの腕とか……ぬいぐるみとかって感じじゃないよね」
メロン熊とは北海道夕張市が世に出したゆるキャラで、デフォルメされた熊の頭がメロンを被ったような形をしている。だが既存のメロン熊でも顔つきは元々のエゾグマを模したものになっていて、かなり狂暴そうな顔つきをしている。いよいよ形がハッキリ造られたメロン熊はライダーたちにその凶悪な爪を振るう。
「無闇に攻撃するなよ。中身は爆弾だ!」
「もう1本のコードを切らないと!」
「くっ……! 暴れるなよ!!」
同じ緑色だからか、ニンジャフォームとなっているタイクーンに迫るメロン熊。その間にラヴィが黄色いコードを切った。
「切ったよ!」
「やったね!」
「これでもう安心か……何?!」
「何でコイツ動いているの?!!」
青色と黄色のコードは既に切られている。だがメロン熊は止まらず動いている。伸びた蔦も冴の家族と夏春都、そして檸檬を縛り付けたままだ。
「んっく……蔦が絞まってきてる!」
「なんて厄介なんだい!」
「痛い! 食い込んで来た!!」
太いワイヤーの様な強度をしているメロン熊から伸びた蔦。それらが皆をグイグイ締め付けている。
「離せ! 離しなさい!!」
「だめよ冴さん! 無理すると冴さんの手まで怪我をする!!」
「くっそぉ! どうすれば良いんだ?!」
纏が苦し紛れに叫んだその時、店の外から雄叫びのような声が聞こえてきた。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「! あの声は?」
「そうだ……きっとそうだ!」
「帰って……帰ってきたよ!」
「ふん……意外に早かったな」
「遅いくらいだよ。やっと来たか、あのバカったら……」
店の前で回転灯を鳴らした原動機付自転車・モペッドのドリフト音が響く。モペッドから降りたその男が店の入り口に飛び込んできた。
「待たせたな、お前ら!!」
「カンキチじゃ!」
「ああ、ようやく帰ってきたね」
「「「「お帰り! 両さん!!」」」」
だが感動の再会にはまだ早い。彼らの目の前には狂暴なメロン熊が居るからだ。
「な、なんでメロン熊が居るんだ?!」
「驚くのは後だ。アイツは巨大な爆弾でもあるんだ!」
「うわー、ずっと昔にスイカ爆弾食った時の事を思い出したわ……」
呑気に呟いたタートルズに熊の手の一撃が飛んでくる。サッと避けるタートルズ。
「危ねぇ! 凶暴さは本物の熊と同じだな、こりゃ」
「タイクーンの後は両さんか。どうやら緑色のものに攻撃する習性があるみたいだな」
「緑色? それならコイツでどうだ!!」
タートルズはジャマトバックルのスイッチを押して無数の蔦を出す。
『 JYA!JYA!JYA!STRIKE!! 』
「こいつを喰らえぇえええええええええええ!!」
身体から何本もの蔦を触手の様に伸ばしてメロン熊を拘束するタートルズ。メロン熊はすっかり翻弄されていた。そして皆を縛り付けた蔦も自然と緩む。
「蔦が解けた!」
「皆、店から出て! 早く!!」
ロポとナーゴの誘導で店の外に皆が逃げる。
「それでどうするんだ両さん?」
「決まってんだろ? こーするんだよぉおおおおおおおおおおおおお!!」
タートルズはメロン熊の周りをグルグルと回って蔦をどんどん巻き付ける。その速さに速度が自慢のタイクーンこと景和も目を丸くして驚く。
「凄い速さで回ってる……」
「まるで発禁になった絵本の主人公だな」
ギーツはかつて発禁になった黒人少年が主人公の絵本の内容を思い出した。虎に追いかけられた少年がグルグルと逃げていたら、不思議な事に追いかけた虎がバターになっていたというやつだ。
あっという間にメロン熊には無数の蔦が巻き付いて巨大な玉となっていた。タートルズが皆に叫ぶ。
「いよーっし! 店の外に出すぞぉ!!」
そして外に持ち出されたメロン熊の球体。近所の人間も何事と集まってきている。外はとっくに陽が落ちて夜空となっていた。
「皆、一気にコイツを打ち上げて爆発させるぞ!」
「「「「「……は?」」」」」
皆がマスクの下で口をあんぐりと開けて驚く。
「打ち上げ花火ってこと?」
「いや爆弾でしょ、コレ?」
「大丈夫?」
「ハイライトってとこか」
「いよっし! 一丁打ち上げるかぁ!!」
ラヴィこと纏は声高らかに叫んだ。江戸っ子スイッチが見事に入ったのである。そしてタートルズこと両津は纏が変身しているとも知らずに背中をバシバシと叩く。
「お、アンタもわかってるねぇ! 一丁派手にぶちかまそうぜ!!」
「うるさい! 気安く叩くな!!」
「お、おう……」
その姿を見てタイクーンとナーゴが耳打ちする。
「両さん、絶対気が付いて無いよね?」
「うん……ニブいにも程があるよ」
「お前ら、ボサっとしてないで準備しろ。俺たちも派手に行くぞ!」
「英寿も乗り気じゃん……」
ロポは家族の無事を確認していた。そして一緒に縛られていた夏春都と檸檬に頭を下げている。
「大女将! 檸檬ちゃん! 本当にゴメンなさい!!」
「気にしてんじゃないよ。アンタは頑張ったんだ」
「そうじゃぞ! 冴もなかなかカッコ良いではないか!」
「大女将……檸檬ちゃん……」
「ほら、纏が呼んでるよ。家族に良い所見せてやりな!」
「はい!」
ライダーたちが集いメロン熊の球体を持ち上げた。タートルズが号令をかけて一気に上空に放り投げる。
「いよっしゃ~! 皆、準備しろ――!!」
「「「「「おう!!」」」」」
『 BOOST TIME 』
『 ROUND 1……2 』
『 ROCK FIRE 』
『 BOOST TIME 』
『 HURRICANE CHARGE 』
『 TYPHOON CHARGE 』
それぞれのライダーが特大級のエネルギーを溜める。
そしてタートルズの掛け声で一気に放つ。
「ぶっ飛ばせぇえええええええええええ!!」
「「「「「いっけぇえええええええええ!!」」」」」
『 BOOST GRAND STRIKE! 』
『 TACTICAL SLASH! 』
『 TACTICAL FIRE! 』
『 BOOST GRAND STRIKE! 』
『 HURRICANE STRIKE! 』
『 TYPHOON STRIKE! 』
ギーツとロポ、そしてナーゴが巨大な炎の塊を。タイクーン、そしてラヴィとタートルズが台風の様な強風を。ライダーたちの必殺技が一つに纏まり特大級の奔流となって上空のメロン熊の球体にぶつかる。タートルズが巻いたジャマトの蔦がクッションとなって更に上空に打ち上げられる。そしてその蔦が全てはじけ飛ぶとメロン熊は本来の用途、爆弾として起爆した。
「た――まや――!っと。熊が素手で倒せるかっての。無茶振り言うくらいならワシらライダー連れてこーい!!」
「誰に言っているんだよ……でも本当に花火だなぁ」
「こう言っちゃなんだけど、綺麗に爆発したねぇ」
「メロンみたい。緑色のキラキラだ~♪」
「こりゃ皆驚いたろうねぇ……」
「ヤボは言うなって。綺麗なもんじゃないか」
そして皆が上空を見上げて余韻に浸っている間、変身を解いた両津は皆に背を向けて歩き出した。
「じゃあ戻るか……」
だが両津の背中から呼び止める声が聞こえた。
「何処行くんだよ、勘吉!」
「あん? そういやアンタ、どことなく誰かに声が」
「……まだ気付かないのかよ、このバカ!!」
ラヴィは変身を解いた。
「え……? 纏ぃいいいいいいい?!」
両津は今初めて、仮面ライダーラヴィの正体が纏だと知った。
筆者です。「双乱XVI」をお送りしました。
昨日書かなかった分、今回更新分は4400文字と少し多めです。書ききったら呆然としてしまいまして、更新作業の事を忘れていたのはここだけにしてください。
メロン熊爆弾と言う、これまた非常にバカなモンスターを創造しました。ジャマトじゃないんですけどね。でもモンスターです。何故か。テレビ本編よりもヤバいのを考えたら自然と出てきました。自立行動する爆弾のアイデアはジョジョ4部の吉良吉影からですね。シアーハートアタック。
とうとうデザグラのライダーたちの前に両さんが帰ってきました。でも立ち去ろうとします。次回更新分はこの辺のひと悶着からです。
前書きの「五十鈴大智トレンド入り」については演じられた後藤大くんも反応されていました。おめでとうございます。
(https://twitter.com/dai_vivigalaxy/status/1727275405961466111)
昨晩の夜、昨日更新分の前書きに在ります通り、エアブラシのハンドピースの分解掃除をしていたらノズルパーツの紛失、そして破損と繋がりまして、半年くらい使っていたハンドピースが壊れました。仕方ないのでアマゾンで手ごろなのを購入。これまで先端0.3mmのもののみでしたが、今後の事を考えて0.2mmのもついでに購入。デカい出費でした。そして模型活動はやはり執筆前にやるもんじゃねぇなと反省しました。深夜にやるとテンションおかしくなるので出来れば控えたいんですけどね。
昨日、色々あって半年ほど疎遠だった友人と話す機会がありました。意外にもこの作品もチェックされている事を知って驚きました。楽しんで頂けているようで何よりです。プレバン製品のDXゾンビバックル所有者なので、そのうち本文のゾンビバックルの描写についてツッコミを入れてくる事かと思います。
では今日はここまで。明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。
この作品をお読みになっている貴方は
-
男性
-
女性
-
どちらとも言えない