仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ!! いよいよ最終戦……と思いきやジャマトが現れません! いったいどうなっているのでしょうか?」
「ライダーたちと戦わずに済むならそれに越した事はねぇな。ワシもようやく模活に勤しむ事が出来るぜ~」

 そう言うと両津は積みプラの中から何箱か持ってきて神速のスピードで仮組みをした。

「凄いスピードですね……」
「そうか? このくらいの速さでやらんとこの後の作業が山積みだからなぁ」
「ちなみにこの後の作業はどうなりますでしょうか?」
「仮組みをバラして保管ケースに仕分け。その後に合わせ目消しだな。更に構造上合わせ目消しをすると組む事が出来ないパーツの改修作業だろ? んで塗装の前の下地塗り、サフを噴くわけだ。その後に塗装。乾燥したら組上げで入らない箇所のスミ入れと、組上げが終わってから更にスミ入れ。そしてつや消しを噴いて仕上げだな。その後は撮影ブースで撮影もしておきてぇな……」
「は、はぁ……」

 専門用語が多く困惑するツムリ。だがその作業が恐ろしく膨大だと言う事は理解出来た。

「最近のプラモは接着剤使わなくても組み上がるから仮組みも楽になったよなぁ。組んで直ぐスミ入れしてつや消し噴くだけでも結構良い仕上がりになるから時代も変わったなぁって思うぜ。でもワシはとことん手を入れたいからなぁ」
「かのレオナルド・ダ・ヴィンチも言ってましたね”神は細部に宿る”と……」
「へ~……ああ、でも言っていたかも知れないなぁ。某アプリゲームで坂本真綾さんが演じているキャラが言っていた気がする」
「やってましたねぇ。あちらはアレンジされてモナ・リザみたいなお綺麗な御姿ですけど」
「よし、一体目の仮組みは終わったな。じゃあ2体目と」
「2体目?! 同時進行をするんですか?」
「塗装とかで空いている時間が出来るからな。今日は仮組み3体は行くぜ」
「え、えーと……頑張ってくださいね」

 両津のプラモ好きは40年以上培われた最早プロである。


漂禁II:誰の為に。そして何の為に。

 ジャマーガーデンの一室。アルキメデルが温室以外の時間を過ごす部屋。私室と言うより書斎。研究室と言っても良いくらいだ。延べ10畳ほどの室内の壁面には本棚が隙間無く置かれ、その全てが何かしらの書籍やファイルで埋まっている。大智は先にこの部屋に入り、部屋の主を待っていた。だが違和感がある。ありとあらゆる書籍をチェックしている大智が知らない本のタイトルが多い。知らない著者も多かった。書籍は植物学と医療関係の本が大半なのだが、果たしてこんな医師や学者が居たものかと頭を捻る。

 

「だいぶ古い本のようだが、いったい何時頃の……」

 

 一冊手に取って奥付を確認する。するとその違和感が解けた。奥付に書かれていた発行日の日付。それは――

 

 ―― 2389年11月26日 ――

 

「どういう事だ……?」

「おやおや、気付いてしまったかな?」

「――!」

 

 背後にはいつの間にかアルキメデルが立っていた。お盆にお茶とお茶菓子が乗っている。

 

「まぁ座れ。立ち話もなんだ」

 

 室内の真ん中に据えられた応接ソファに腰をかけて2人はお茶を飲んだ。そしてアルキメデルは数枚のレポート用紙が綴じられたファイルを大智に手渡す。

 

「これは?」

「道長くんと両さんのジャマトバックル使用による体質を調べたものを纏めてある。まぁ見てごらん」

「……――! どういう事だ?!」

「いやぁ、私も改めて見て驚いたよ」

 

 レポートに書かれている事に驚く大智。道長のジャマト化が確実に進行しているのに対し、両津には兆候すら表れていない。

 

「一つ聞きたい。ジャマトバックルは誰が使用してもジャマト化の兆候は出るのか?」

「ああ。だが大抵は即ジャマト化する筈だがね。道長くんみたいに人の形を保ちながら転じていくのもまたレアケースだ」

 

 果たしてそれまでに何人の人間が犠牲になってきたのだろうか。もしかしたら大智が屠ってきたジャマトの中にそんな人間だった者が居たのかも知れない。

 

「じゃあ両さんは? 両さんは何故?!」

「これだよ」

 

 アルキメデルはもう一冊のファイルと、こち亀単行本70巻が手渡された。

 

「リョーツGPX……」

「いやぁ苦労したよ。今時だと紙の単行本はなかなか新品で売ってないからねぇ。B〇〇K〇FF数点巡っても見つからなかったから仕方なしAMAZ〇Nで買っちゃったんだけどさぁ。でもその数日後に少し離れたB〇〇K〇FFで見つけちゃうんだもん。数十円損したよ」

「いや、それ本題から離れてアンタの愚痴だし。そうか……これがあったから両さんはジャマト化を防いでいるのか」

 

 改めて両津の規格外っぷりに驚く大智。そしてアルキメデルでは無いが、あのAMAZ〇Nで中古本を買う時は送料とか気にした方が良い。本当に。手渡されたファイル2冊と単行本70巻”秘薬リョーツGPXの巻”をじっくり読む大智。延べ15分程で全てを読み終えて口を開く。

 

「流石両さん。大原部長に対抗して100鉢もの蘭を育てたのか!」

「違うだろ!! そりゃあ私もその話は好きだが、本題はこっちだこっち!!」

「おっと失礼。つい楽しくなって」

「全く……これだからこち亀ファンは困る」

 

 勢い余って70巻を読破した大智は思わぬ脱線をしてしまった。そして本題に戻る。

 

「でも何故僕にこんな話を」

「そろそろだと思ってな。もうあまり時間が無い」

「時間……?」

「お前、ここを好きに使って良いぞ」

「! ここをか?」

 

 周りの書籍を見渡し自身の知らない知識の山を見て目を輝かせる大智。だがそれでも疑問は尽きない。その中で最たる物を質問した。

 

「何故、僕なんだ?」

「全ての知識を欲するという希望がジャマトにあるからだ」

「ジャマトに……?」

「ああ。此処の本を読み進めていけばそれが自ずとわかる」

 

 眼鏡をクイッと上げてニヤリと笑うアルキメデル。その所作は日頃大智が行っているものと酷似していた。そして大智は改めてレポートの手書き箇所を目にして気付いた。独特のクセ字には見覚えがある。

 

「! ――……いや、どうして……そんな?」

「さて、私はそろそろ両さんに頼まなければならない。後は好きにしろ」

「……」

 

 呆然としている大智には構わずアルキメデルは自室から出て行った。

 両津は寺井ジャマトと共に温室のジャマトの苗に水やりを行っている。

 

「おう、そっちの水やりは終わったか?」

「ああ、大丈夫だよ両さん。後は向こうの温室だね」

「しっかしこいつらは成長が早いなぁ。この間まで乳幼児くらいの大きさだったのがもう幼児くらいの大きさになっているし」

 

 予想よりもジャマトの成長速度は速い。そしてそれに伴い学習速度も速いらしく既に言葉を発する者も現れた。

 

「コ、ポズポズビビケトファ(あ、パパが来たよ)」

「ポズポズー、クレレヴエファツチャキョ(パパー、お水頂戴)」

「ポズポズー、ロスデイズラサツームビクゼラスビビセンピキョラサー(パパー、僕は何かオヤツが欲しいなー)」

「ワシはお前らの父ちゃんじゃねぇけどな。よーし待ってろー。今用意するから」

「この子たちもすっかり両さんに懐いているね」

「こうして毎日水やりに来ているからな。どいつも可愛いもんだぜ」

 

 ジャマトの実の一つ一つを撫でる両津。それは日頃、檸檬や近所の子供たちを愛でる時と同じ所作であった。

 

「こいつらもまたライダーと戦う為に送り出されるんだな……」

「うん。それが僕らが生み出されている理由だからね。でも場長はそんなものは違うって言っている」

「場長が? また意外だったな。てっきりその為に此処を運営していると思っていたが」

「そうだね。でも場長はずっとそれを嫌がっているんだ」

「そうなのか……」

 

 両津がアルキメデルと出会ったのはほんの少し前。両手で数えるくらいの日数しか心を通わせていないが、確かに寺井ジャマトの言う事には納得するものがあった。戦闘兵士を生み出していると言うよりは可愛い愛弟子、教え子を育成している様な節は幾度か見ていた。その姿に両津は幼馴染の1人を思い出して口に出す。

 

「賢坊、元気にやってるかなぁ……?」

「ああ、確か両さんの幼馴染の」

「おう、村瀬賢治だ。アイツ今、孤児院の院長もやっているんだぜ!」

「凄いねぇ! 前に両さんの言っていた事を実現したんだ!」

 

 村瀬賢治。両津の幼馴染で現在は不動産会社の社長と孤児院の院長をしている。元々は大人しい少年だったが道を踏み外し極道の世界へ。その後服役して不動産会社を設立。稼いだ資金を募金に充てたり、自らが運営している孤児院の資金に充てたりしている。自分の会社が管理している不動産物件で家賃を滞納している者や、極道時代の知り合いが身を洗う為に孤児院のスタッフとして勤務させたりして衣食住に困らない様にしていたりもする。子供たちに何か粗相でもしようものなら村瀬が直接注意に来るから当然ながらスタッフも否が応でも真面目に働かざるを得ない。近隣の評判も高く、非常に良いサイクルが出来ていた。

 

「ワシも時折積みプラやゲームを寄付したりして立ち寄っているんだけどよ、アイツってば強面だろ? 院のガキ共から”組長先生!”とか呼ばれてるのな! それで賢坊が顔真っ赤にしているのが楽しくてなぁ♪」

「ハハハハ、それじゃあ何処かのマンガだよ!」

 

 両津は村瀬が院の子供たちに向ける笑顔とアルキメデルがジャマトたちに向ける笑顔が重なって見えた。

 

「場長も色々抱えてきているのかもしれねぇな」

「呼んだかい?」

「うお! ビックリしたぁ!!」

 

 背後にはいつの間にかアルキメデルが居た。急に背後に居た事に大いに驚く両津であった。

 

「そんなに驚かなくてもいーじゃないか……」

「いや、流石にビビるだろ。ところでどうした? 水やりならそろそろ終わるぜ」

「流石両さん。仕事が早いねぇ。じゃあそれを終えたら私の所に来てくれ。頼みたい事があってね」

「わかった。何だ、頼みたい事って?」

「……大掃除だよ」




 筆者です。「漂禁II」をお送りしました。

 アルキメデルと大智くんの2人だけの時間がやってきました。だいぶ前から書かなければならないシーンだとは思っていましたが、ようやくそのタイミングがやってきました。ジャマトグランプリ編でも良かったのかも知れませんが、ジャマーガーデンが無事な間でと考えたら今なのかなと。さて、まだ言及はしていませんが徐々に真相に向かっていますね。ちなみにブクオフとアマに関しては筆者の実体験ですw

 村瀬賢治とアルキメデルの類似性について。これもようやく書けましたね。正しくは村瀬賢治を書きたかったのですが、上手い具合にアルキメデルと似ている部分が見出せたので何とかカタチに出来ましたね。村瀬賢治はいつか本文に出したかったんですよ~。本編キャラではなく、あくまで両さんの回想エピでだけですが、いつか本文キャラとしても出したいですねぇ。ちなみに両さんの回想エピですが、本来は上げるつもり無かったんですよ。でもついぞ頭に浮かんだので書き足しました。楽しんで頂ければ何よりです。両さんは筆者以上に積みプラ抱えて居そうですからね。ちなみに筆者はこの1年で70箱抱えていますw 新作が出る度に部屋の整理をしていますね……

 では今日はここまで。明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。

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