仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ! いよいよ4回戦が始まります。全くジャマトが来ないこの状況で果たしてゲームは行なわれるのでしょうか?」
「いやいや、平和なのは良い事だ。じゃあ次は美少女フィギュアのディテール上げでもやるかぁ!」
「またですか……」
「おう。これが結構良い小遣い稼ぎになってよ。欲しいけど塗装が難しいってヤツの請負で塗装していくんだ」
「はぁ」

 昨日に引き続き再び両津の趣味講座が始まった。ここでいきなり両津は白衣に着替え、頭にハゲ頭のカツラを被り、教鞭を取る。

「えーでは、土助平人形塗っ手野郎兵衛(どすけべフィギュアぬってやろうべえ)です」
「誰ですか?!」
「そもそも美少女フィギュアにも様々ありまして、ゲーセンでプライズで扱われているものや、模型店で一般販売されているもの。またガレージキットと呼ばれる有志の造形師が自らの資金で通販や即売会を利用して販売するなど様々ありまして――」
「何なのでしょうか、この講義……」

 ツムリが呆れるのも無理は無い。マンガ原作でも突然始まる豆知識講座。ありとあらゆる雑学を、両津扮する怪しい風体の教授がレクチャーしていく。またこれが実際の雑学を網羅していくのだからタチが悪い。別名:ここだけノンフィクションとまで言われている始末だ。

「さてプライズや一般販売は塗装されているものが多いが、ガレージキットは無塗装の物が多い。何故だかわかりますか、ツムリくん?」
「えーと……制作側の予算の都合でしょうか?」
「うむ! その通りだ。あくまで個人、或いは個人運営に近い会社型式でやっているからね。塗装まで手もカネも回らないのが実態だ」
「はぁ……」
「故に非常にハードルが高いキットとも言える。別に関節が動く訳では無く、あくまでフォギュア。人形だからね」
「そうなんですね……」
「エアブラシもピンからキリまであるが、耐久度や使い勝手を考えたらどうしても高額になるし、そもそも色塗りは難しいからな」
「その辺は慣れにもよりますからねぇ」
「そう。だがガレージキットはなかなかクォリティが高い作品が多い。特に男心をガッツリ掴むくらいのが!」
「それは……どういったものか伺った方が良いんですか……?」

 だいぶ嫌気が差してきたツムリ。それでも敢えて聞く姿勢を取るのはプロ根性。おい聞いてるか? 岸田?

「良くぞ聞いてくれた! 先ず乳が良い! 巨乳・美乳・爆乳! 更に尻も良い! 巨尻・小尻・爆尻! 男の夢だけ存在すると言っても過言では無い!」
「ああ……聞くんじゃ無かった……」

 聞いた事を後悔するツムリ。

「ではガレージキットの塗装に悩む男たちはいつでも私を頼りたまえ。1体10万円からで極上のフィギュア塗装を仕上げてみせよう」
「高過ぎぃいいいいいいいいいいい!!」

 両津の塗装は神。


漂禁III:誰の為に。そして何の為に。

 両津はアルキメデルに誘われ、以前に見た横長の地球に乗った翼を広げた鳥の意匠が乗った鉄板の前に来ていた。

 

「いつかこうなるんじゃないかなーとは思っていたけどよぉ……」

「まぁ先ほど見せたアレで、なんでこの扉にドアノブが無いかもわかったろう?」

「そうだな……」

 

 ここに来るほんの少し前、アルキメデルと両津は別の場所に居た。ジャマーガーデンの中でもかなり離れた場所にある倉庫。そこで両津は驚くものを見てしまった。

 

   ★

 

「な、なんだこりゃぁあああああああああ?!!」

 

 両津が驚くのも無理は無い。その倉庫には何体もの人間が折り重なるように遺棄されていた。……かのように見えた。怯え震える両津に構わずアルキミデルはそのうちの1体に近付き顔を覆う覆面をはぎ取る。

 

「まあこの姿だと驚くのも無理は無いかな?」

「え……? ロボット?」

「アンドロイド……ヒューマノイド……ヒューマギアとか」

「最後のはゼロワンに出ていたロボじゃねぇか」

「セクサロイドとか言っておく?」

「意味合い的にかなりダメなんじゃねぇかな?」

「ガイノイドとか」

「どう見てもこいつら野郎の体型ばかりじゃねぇか。それも違うよな」

 

 人間型ロボットの呼び方云々で談義する2人。両津は今しがた感じた恐怖はとっくに吹き飛んでいた。

 

「しかしこいつらのマスクって見覚えがあるような……あ!」

「やはり見覚えがあるようだね」

「そりゃそうだろ……仮面ライダー見てきたヤツで知らん方がおかしいって……」

 

 そのアンドロイドの群れは全身が黒タイツに全面には白抜きで骨の模様が入っていて、腰には大きく鳥が翼を広げた意匠のバックルが据えられていた。マスクにも額部分に鳥のマークが据えられている。

 

「ショッカー戦闘員かぁ……」

「不定期にあの扉から何体か現れてね、苗のジャマトに危害を加えようとするから破壊して此処に仕舞い込んでいたがそろそろ面倒になってきてね」

「そりゃこんな数が来ていたらなぁ」

「数回偵察にジャマトを送ってみたがどれも失敗に終わった。戻って来ないんだ」

「マジかよ……」

「そこで両さん。ちょっと行ってきてくれないか?」

「気軽にお使いに行かせるみたいに言うんじゃねぇよ!」

 

 言うんじゃないか? 言うんじゃないか? と思っていたら本当に言ってきたアルキメデル。両津はゲンナリした表情で項垂れた。

 

「見返りはあるんだろうな?」

「デザイアマネーで500万でどうかな?」

「いよっしゃ! やったるかぁ!!」

 

 金額を聞いて表情が一気に明るくなった両津。アルキメデルも両津のツボを良く心得ているようだ。

 

 急ぎ準備をする両津。やはりジャマーガーデン、いざ頼めば何でも揃えられる。まるでド〇キホーテだ。アッと言う間にサファリジャケットとサファリハット、ハットに仕掛けるLEDライトに水筒、食料等の荷物を入れる大型のリュックまで揃えた。まるで藤岡弘、探検隊だ。

 

   ★

 

「では両さん、任せたよ」

「おう。食料が尽きる頃合いで一度戻るからな。つっても取っ手も無いドアをどう開ければ良いんだ?」

「ああ、失敬。今開くから」

 

 そう言うとアルキメデルは腹巻からリモコンを取り出した。

 

「こんな簡単に開くのかよ……」

「色々と試したんだけどねぇ。流石に扉を封じたら爆弾で開けてきたから流石にマズいと思ってね」

「グダグダなんだかしっかりしているんだか良くわからんな……」

 

 そして両津は扉の奥へ進んでいった。

 

 デザイア神殿のチラミの自室。ジャマーガーデンへジャマトの襲撃を要請しても断られるこの状況にチラミは焦っていた。

 

「もはや仕方ない……こうなったら」

 

 そして場所はいきなり切り替わる。ツムリがピョインっと現われた。ライダーたちはその挙動に困惑する。どこかの大学だろうか? かなり開けた場所にやってきている。

 

「これより、第4回戦を始めます!」

「え? ジャマトが現れたんですか?」

 

 突然始まったデザイアグランプリ。開始を告げるツムリに景和が質問をする。

 

「いえ、現れないので……」

「ちょい待ち! ジャマトが居ないのにどうやって進めるの?」

 

 纏も続けて質問した。ツムリも若干呆れ気味になっている。

 

「今回はゲームマスターが自ら、敵役として参加します!」

 

 ツムリが手を伸ばした先には階段があり、更にそれを登り切った場所にチラミが立っていた。

 

「手加減は……無しで行くわよ」

 

 良く見ると腰にはヴィジョンドライバーが巻かれていた。つまり、運営ライダーとして参加。それも敵役としてだ。チラミは右手の親指をドライバーに乗せた。指紋認証を行ったドライバーが稼働した。

 

『 GLARE2, LOG IN 』

 

 ドライバーから音声が鳴るとチラミは上半身を大きく後ろに逸らして奇声を上げた。

 

「ビャ――オッ!! 変、身っ!」

 

『 INSTALL I HAVE FULL CONTROL OVER, 』

「え、ゲームマスターと戦うの?!」

「あんのグラサンオネェ! とうとうアタシたちの敵になるってか?!」

 

 景和は動揺し、纏は右拳をパンと左手で受けて闘志をむき出しにしつつあった。

 

『 ……GLARE2 』

「……勝負!」

 

 変身したチラミ、グレア2は右手をすっと前に出した。そしてゴ――ンと寺の和鐘が鳴り響く。恐らく浅草寺辺りの鐘の音をサンプリングしてきたSEだろう。

 そしてグレア2はライダーたちを背にして逃げ出した。

 

「「「「……は?」」」」

「いーち、にー、さーん……」

 

 英寿も含めて口をポカンと開けている。状況に追い着けていないのだ。彼らに構わずツムリは数を数えている。

 

「しー、ごー、ろーく……」

「何……? ナニコレ?!」

「えーと……ダメだ全く理解できない!」

「まさかね……まさかでしょ?!」

「フ……ハ、ハイライトなのか?」

「なーな、はーち、きゅー、じゅう!」

 

 逃げていくグレア2が居た階段から、振り返って後ろのツムリに目線を動かしたライダーたち。口は開けたままだ。

 

「それでは第4回戦。鬼ごっこゲーム、スタートです♪ 逃げたゲームマスターを捕まえてください。ゲームは前後半1時間ずつ」

 

 その時突如襲ってくる者たちが居た。

 

『 ARMED HAMMER 』

『 MONSTER! 』

「たぁっ!」

「せいっ!」

 

 突如現れたライダーたちが振るう攻撃に怯まず生身のままで次々避けるライダーたち。

 

「お前ら?!」

「まさかあの時の……?」

「変態ライダー?!」

「まさかこの格好って……」

 

 襲ってきたのはジャマーボール戦で頼もしい援軍となってくれたワンワンオーとワンワンオーツー。2人とも既にレイズバックルを差し込んでいて、ワンワンオーはハンマーバックル、ワンワンオーツーはモンスターバックルを使っている。ツムリは説明を続けた。

 

「妨害するライダーも居ますので、ご注意を」

「という訳だとよ、お前ら!」

「久しいな、擬宝珠巡査!!」

「海パン刑事もライダーだってのかよ……」

 

 纏はワンワンオーが振るうハンマーを次々避けていく。景和は後ろに下がってツムリに質問した。

 

「なんでこんな事しなくちゃいけないんですか?!」

「オーディエンスの支持率にも影響しますので、皆さん……頑張ってください♪」

「……ツムリさん、それ説明になっていないよ」

 

 明るく、そして斜め45度上の回答をしたツムリ。聞いた俺がバカだったなと言わんばかりの表情で景和は項垂れた。

 

「やるしかないようだな……」

『 SET 』

「変身」

『 MAGNUM 』

 

 変身ポーズも取らずノーアクションで手短に変身を行う英寿。続けて祢音もビートバックルを急ぎ差し込む。

 

「変身!」

『 SET BEAT! READY……FIGHT! 』

 

 まるでドライバーまで空気を読んだのか音声も駆け足で鳴る。

 纏もアイアンファンバックルを手にしてワンワンオーの攻撃を次々避ける。

 

「しつこいなぁ! 変身!!」

『 SET IRON FAN READY……FIGHT! 』

「擬宝珠巡査のお手並み拝見と行こうか」

「負けないからね!」

 

 そして皆に出遅れながらも景和も変身を行う。ワンワンオーツーの攻撃を避けながらニンジャバックルを差し込んだ。

 

『 SET NINJA READY……FIG 』

「え? ”カチ”?」

 

 急に脚元でカチっと音がした。そして非常ベルが辺りに鳴り始める。タイクーンの足元には何かのスイッチらしき物が仕掛けられていた。タイクーンはそれが何なのか予想も出来なかったが、怖くなってそこから足を動かせずに居た。

 

「御愁傷様。まぁ怪我が無いと良いな」

「え……カチって……? ちょっと!」

 

 ワンワンオーツーは爽やかに声をかけてその場から離れた。恐る恐るタイクーンはスイッチから足を離すと足元から爆発が起きた。爆発で倒れたタイクーンにツムリが声をかけた。

 

「なお、あちこちにワナが仕掛けられているので、ご注意ください」

「……それを先に言ってよ。あ……カチって」

 

 起き上がりつつ文句を言うタイクーン。だが起き上がった拍子に別のスイッチを手で押してしまう。そして大爆発が起きた。

 

「だぁああああああああああああああああ?!」

「きゃぁあああああああああああああああ!!」

 

 近くに居たツムリもろともタイクーンは爆風で吹き飛ばされる。

 こうして鬼ごっこゲームは始まった。




 筆者です。「漂禁III」をお送りしました。

 両さんが禁断の扉の先に向かいました。果たしてその先に居るのは何なのか……
 そしてデザグラは強行手段の鬼ごっこゲームがスタートしました。運営ライダーに海パン刑事とウィンですよ。波乱の幕開けです。どちらもご期待ください。

 さて筆者の趣味の模活ですが、Xの小説垢の方にも上げてみましたので宜しければご覧ください。
https://twitter.com/karazyu13zo/status/1728839961351500104
 まるで単行本の裏面にプラモやバイクの写真をお披露目していた秋本先生の様な事をしていますが、まぁこちらの皆さんのご感想も聞いてみたかったので。実際こちら、同じプラモを好むモデラーさんたちにはとんでもない神モデラーがゴロゴロ居まして、筆者が果たしてその域に到達するのは何時になるやら……今後は色々工夫する次第です。もっと色塗りも研究しなくちゃな。

 では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。

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