仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「いよいよワシもライダーキックを使う時が来たな! やっぱり仮面ライダーって言ったらこれだよなぁ」
「前回両津様がご披露されたライダーキックのリスペクト元、スカイライダーのスカイキックは500キロの威力。ダンプカーを破壊できるほどと言われていますが、果たして両津様はどのくらいの威力なのでしょうか?」
「おう、流石先輩ライダーだ。……ワシのはどうかな?」
「いずれ機会があれば測定される事をオススメします」
「ほう。そんなのもあるのか。いっちょ試してみたいな」
「では現在スタッフが多忙ですので外注にお願いする事となります」
「外注……なんかイヤな予感が」
「では後日ご連絡致しますので江崎コロ助教授の所へお伺い下さい」
「ダメだ! アイツに任せると本当に全身改造されちまう! チェンジだチェンジ!」
「畏まりました。では別の外注先であるスーパー電子工機社へお伺いください」
「何でそんな奴らしか居ないんだよ! 電極スパークに任せたら両腕どころか全身電気コイルに改造されるだろうが!!」
こち亀に出てくる科学者って仮面ライダーよりもタチ悪いマッドな人多いですよねぇ。
「さてと、残りはアイツだけか……マリア! 良っく見てろよ――!!」
「は……はい! でも両さま、一体何を……?」
ジャマトたちが殆ど消し飛んだので首輪の締まりもかなり治まったマリア。両津が言った言葉に疑問を投げかける。
「今のワシならいける気がしてな……行くぞぉおおおおおおおお!!」
両手のハリセンの風圧で真横一直線に突進したタートルズ。だがジャマトライダーは両腕を構えてその突進に耐えようとしていた。だが、
「下が……ガラ空きだぜ!」
「ラサツーム?!」
ハリセンを巧みに操りジャマトの目前で急ブレーキをかけたタートルズはそのまま下腹部目掛けて強烈な一撃を叩きこみ打ち上げる。
「デデイズココココココ!!」
「さーて、そろそろいいかな……? ぃよっと!」
天高く打ち上げられ自由落下を始めたジャマトライダー。体制を整え直す事も叶わず頭から落ちていく。そこへ高速で飛び上がるタートルズが来た。
「これが……マリアスペシャルだぁあああああああ!!」
タートルズの強烈な膝蹴りがジャマトライダーの頭部目掛けて繰り出された。そしてそのまま爆散する。ハリセンを使ってスーッと降りてきたタートルズ。
「よし、決まったな!」
「両さま……もしかしてその技は?」
見守っていたマリアは身体を震わせながら両津に尋ねた。両津は照れくさそうに答える。
「おう……お前が現役だった頃から得意技だった飛び膝蹴り、ワシなりにアレンジしてみた。勝手に名前を使って悪かったな」
「そんな……マリアスペシャルだなんて……嬉しい!!」
思いっきり飛びついてタートルズを抱きしめるマリア。
「ちょ、ちょ、ちょ、マリア! 苦しいって! 何もそんなに嬉しがる事かよ」
「感動ですわ! 現役の頃の竜二スペシャルじゃなくて、今のアタシの名前を付けて頂いた上に今のアタシよりも華麗な技にして頂けたのが何より嬉しいんですもの!!」
マリアは感激で瞳に涙を潤ませた。今にも零れ落ちそうだ。
「へへへ……英寿の野郎にお前の技を次々やられたのが悔しくてよ。せめてこれくらいはカッコつけたかったんだ」
マリアの涙を指先でそっと拭って両津は言葉を続けた。
「お前みたいに綺麗な飛び膝蹴りはワシにはなかなか難しかったけど、上手くいって良かったぜ。一番にお前へ見せてやれたのもな」
「この感動、一生忘れませんわ! だって両さまとアタシの愛の結晶が生まれたんですもの!!」
「愛の結晶ってお前……」
マリアは感動が極まって両津の声が聞こえなくなっていた。勢い余ってタートルズの至る所に次々キスをする。だが両津は抵抗するよりも少し気がかりな事があり黙ってしまった。
「デザグラの事は一般人は憶えていない。運営がどうにかして不思議な力で記憶を消すからな。今日の事はきっとマリアも忘れてしまうのか……なんだか気の毒だな」
そう考えた両津はマリアの顔を見つめゆっくりと口を開いた。
「両さま?」
「なぁマリア……どれだけ記憶を失う事があっても、今この時の気持ちだけはちゃんと覚えていてくれ」
「どうしたんですの? こんな素敵な事、忘れる訳がありませんわ!」
マリアのその真っ直ぐな態度に両津は胸が痛くなる。デザグラに参加すると言う事は関わった人の気持ちも失うという事なのだから。
「ヒーローは孤独……か」
「どうしましたの、両さま? 何だか寂しそうですわ」
「いや、何でもねぇ……それじゃ扉を開くぞ! ワシらが一番乗りだ!!」
「はい!! 一緒に脱出ですわ♪」
両津とマリアは共に手を取り大扉の音声認識装置に向かう。
少し経った頃、道長たちが城内から大扉の前にようやく辿り着いた。だがそこで見たものは…………
「――うんらいまつふうらいまつくうねるところにすむところやぶりゃ! ……マリア頼む」
「……はい! じゅげむじゅげむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいみゃ! ……両さま申し訳ありませ――ん!!」
「えーい泣くな! じゅげむじゅげむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつくうねるところにすむところやぶらこうじのやびゅ! ……ちっくしょう!!」
ひたすら謎の呪文を唱えているように見えた二人だった。呆れ顔の道長はボソリと呟いた。
「……何だありゃ?」
「早口言葉の練習?」
景和もポカンとしている。そこへ正しい答えを言ったものが居た。一徹である。
「両さんは扉を開けようと寿限無を言ってるんですよ。噛み続けているようですが」
「はぁ?!」
珍しく素っ頓狂な声を上げた道長。まさかの答えに呆れ返っていた。これには祢音も驚く。
「寿限無ってあの落語の寿限無?!」
「そうです。あの落語の。どうやらあの扉を開ける合言葉は本当に寿限無みたいですね」
「何だってそんなのが合言葉なんだよ……退け! 俺がやる」
道長は急ぎスパイダーフォンの画面に寿限無の文字を出して、数回練習をする。
「よし! じゅげむじゅげみゅ!」
全員が無言になった。そして両津が小声で呟いた。それにマリアと祢音も応える。
「偉そうに言って速攻で噛んだぞ……」
「噛みましたわね……」
「噛んだねぇ……カッコわるーい……」
それを見て顔を真っ赤にして怒鳴る道長。
「う……うるせぇな! じゃあ誰か他で言える奴が居るのかよ?!」
道長の言葉に誰もが俯く。両津もずっと噛み続けていたので返す言葉が見つからない。だがそこで手を上げる者が居た。
「私がやりましょう」
「え……おじいちゃん、出来るの?」
「ええ。久しぶりですけどね。少し見せて頂けますか?」
「え? ああ……頼むわ」
景和の問いに笑顔で応える一徹。道長はスパイダーフォンを一徹に渡した。軽く目を通してブツブツと読み上げた一徹は目を見開き音声認識装置の前に立つ。
「――すぅ……じゅげむじゅげむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつくうねるところにすむところやぶらこうじのやぶこうじぱいぽぱいぽぱいぽのしゅーりんがんしゅーりんがんのぐーりんだいぐーりんだいのぽんぽこぴーのぽんぽこなーのちょうきゅうめいのちょうすけー!!」
ノンブレスで狂的な人名を読み上げた一徹。皆が目を見張る。
「いよっしゃあ! これならイケるんじゃねぇか?!」
だが……
『ブブ――!!』
残念なブザーが返ってきただけだった。
「はぁ?! 何でだよ! じぃさんちゃんと言えてたじゃねぇか!!」
「壊れている……とか?」
「! おじいちゃん、大丈夫?!」
「ああ……ちょっと頑張り過ぎて眩暈が……」
「ちょっと景和、お水用意して!! もー、何だってのよ?」
大ブーイングが出そうな一行の所に遅れて着いた者たちが居た。
「ジャマトの言葉で無いとダメだ」
英寿たちである。
「変身するジャマトたちは”ジュラピラ”と言っていた。もしジャマトの言葉で変身を意味していたら……」
そう言って英寿は塔の中で見つけた資料を広げた。
「ここにあるのはジャマト語の音読表だ」
「これがジャマト語の読み方……」
英寿から渡された音読表を開いて、その全面を眺める祢音。城内で、そして目前にある文字タイルと文字の構造は同じ。そしてそれぞれの文字に音読文と平仮名での意味が書かれている。どうやら五十音あるが所々が抜けていた。
そして城内からはまた新たに大量のジャマトたちが迫ってきていた。
「ここは俺たちが食い止める。その間に――!」
『 SET!NINJA! 』
景和が真っ先に変身してジャマトたちの群れに飛び込んだ。
「こりゃワシらも食い止めなきゃな……マリア、任せたぜ!」
「畏まりましたわ!」
『 SET!BIG WIND FAN!』
「俺たちも行くか……」
「ああ、あの数はマズい!」
『 SET!ZOMBIE~!』
『 SET!MONSTER!』
英寿は資料を良樹に手渡す。
「良樹……任せたぞ!」
「うん!」
良樹の元気な返事に笑顔で応えた英寿。急ぎ変身し、ジャマトたちを食い止める皆に参加する。
『 SET!MAGNUM!』
英寿を見送った良樹は資料を開き、祢音と共にジャマト文字の解読を行う。
「同じカタチの文字を探そう!」
「うん!」
一徹や梢も手伝う。何せ136文字だ。分担しないと時間がかかる。良樹と祢音が解読してそれを一徹と梢がそれぞれメモを取る。音読表は所々書いてない部分もあるため資料の中に抜けている文字があるか確認していく。
「数が多いな、こんちくしょう!」
「だいたい、何でこんなに居るんだよ? あの城の中でもパンッパンに居たわけでもねぇだろ、こいつら!」
バッファとパンクジャックが苛立ち紛れに怒鳴る。考えてみたら妙な話ではあった。ここまで無数のジャマトたちを倒してきたが全く数が減った気がしない。むしろ増えている可能性だってある。だとしてもどこからなのか……?
「勝手口からやってきましたとかか? 三河屋かよ!」
「そんな御用聞き、御免だけどね!」
タートルズとタイクーンも乗っかって軽口を叩く。
「お前ら、口は良いから手を動かせ。ここ突破されたら俺たちはお終いだぞ」
ギーツは黙々とマグナムで撃ち続けていたが疲労が溜まってきたのか皆に憎まれ口混じりの激を飛ばす。本当にここが正念場なのだ。
その頃、良樹と祢音は寿限無ジャマト語の音読版をようやく完成したのだが……
「出来た……けど」
「! ……なっが!」
出来上がったものはこうなる。
『ピピ△タダボピピ△タダボテテテツルクアエインケテウビキョピピゼラエインアキョケケファルクアキョケケファツロスツラオズキョロス△ツオズキョロスデツアーブガオテンツームアボオテンゼラワスオズテツピピルクゼラワステツピピポズキョロズポズキョロズポズキョロズルクピ△ーエインラビビラピ△ーエインラビビラルクデデーエインラチャキョデデーエインラチャキョルクロズラロズテ△ールクロズラロズテラサールクエファツケ△ツリキョルクエファツアダ』
「大変だけど、とにかくやろうよ!」
「うん!」
筆者です。変攻XIIIをお送りしました。
8月初の更新です。これ書いてるのはまだ7月末、劇場版の公開前日なんですけどね。皆さまそろそろ見終えましたかな? 感想でネタバレはご勘弁ください。筆者も控えます。
いよいよ変攻も13回目ですよ。我ながら良く書けるもんだ。前もってお知らせしますと変攻は15回になりました。残り2回、どうかよろしくお願いします。
では今回の小ネタを。
・マリアスペシャル:今後も都度増えていきますが、今回の話での両さんライダーキックを考えまして、先の話でハリセン使ったスカイキックを、この話で飛びヒザ蹴りをご披露しております。膝蹴りがキメ手のライダーってのも珍しいかなと。”マリアスペシャル”も”竜二スペシャル”も今作オリジナルです。記憶が正しければ麻里竜二の必殺技は”真空飛び膝蹴り”。往年の実在の選手「沢村忠(さわむら ただし)※敬称略」のインスパイアかと思われます。ここまでお読み頂いて予想はついたかと思われますが、今回のお話ではマリアちゃんはまだ変身しません(考えてはいる)。そのため、せめてマリアちゃんの爪痕を話に刻もうと考えたらこうなりました。プロット時にはまだ考えて無くて、本文執筆時にふと降りてきたものです。きっとマリアちゃんが書いてほしくて筆者の心を動かしたのでしょう。
・それぞれの寿限無:まぁ噛みますよね。寿限無自体が早口言葉のお手本みたいなものなのでそれが扉を開ける合言葉なんてどんな苦行だよと。先ずはミッチーにオチになって頂きました。これも劇場版PVで杢代くんの変顔を見てしまったのと、7/22くらいにYoutubeにUPされた直前スペシャルイベントの動画での杢代くんが素敵だったからです。今後もTV本編より崩しぎみに書きますが呆れずにお付き合い頂ければ幸いです。そして一徹じいさんが見事なファインプレー。TV本編では景和の決意を促すキャラとして扱われましたが、せっかくなのでこちらでは博識で舌も滑らかって演出にしました。劇場版が楽しみです。
・ジャマト語:今回の執筆に当たり、ネットで配布されているジャマト語ジェネレーター「ジャマトランスレーション」を使用させて頂きました。但し翻訳できない部分は△としました。こればかりは勝手な言葉加えるのも気が引けたので。
さて、大筋としては明日の更新分で終了です。では何故もう1話あるかと言うと後日談的なものを書いてみたらそこそこの文量になったんですね。そちらも皆さまにお見せしたいと思いました。
では明日も17:30の更新もよろしくお願いします。
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