仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「両津勘吉様はデザグラのサロンにて参加者の皆さまを観察しながら、参戦する経緯を思い返しています。両津様の眼に浮世英寿様は果たしてどう映っているのでしょうか?」
「連戦している浮世英寿が目下の障害だぜ……アイツを何とかせにゃ。賄賂渡せば八百長できるかな?」


珍戦II:何?ワシが仮面ライダー?!

「あれが浮世英寿。毎回優勝しているという……現時点でこの世界を造った”デザ神”ってやつか」

 

 眉目秀麗の顔立ちをした青年、浮世英寿の顔をマジマジと見つめた。常に余裕の笑みを浮かべて所作に無駄が無い。体幹も整っている。相手を舐めた態度は鼻につくが、それも自信の現れだろう。

 

「目下、ワシの最大の障害はあの浮世英寿だなぁ。ヤツを何とかせにゃ優勝がパーだ。そして……」

 

 更に目線をずらした両津は参加者の中で唯一一目を置いている男、吾妻道長を見つめた。浮世英寿とは異なった雰囲気だが彼も色男と呼ばれるに相応しい顔立ちをしていた。程よく整った体躯は建設現場作業で鍛えられたものだろう。ウェーブかかった茶髪を無造作に散らしている。先ほどの晴家ウィンの寄行の後、楽し気な老人に絡まれてウンザリとした表情をしている。

 

「目つきこそギラついているけど、あーゆー若者はワシ嫌いじゃないのよね。まぁ生意気そうだがな」

 

 とは言え参加者である以上は両津にとってライバルだ。手心を加えてやるつもりは毛頭無い。

 

 と考えていたら異変が起きた。周りの景色が突然変わったのである。良く見ると自身が着ている服も変っている。ここに来た時に着ていたポロシャツとジーンズ姿ではなく、DGPのロゴがプリントされた緑色のTシャツ。そして襟元のカバーと大き目のフードが目立つ黒と紺のハーフデザインのジャケットを羽織り、同じ色合いのサルエルパンツも履いている。だが他の参加者と見比べ明らかに違う装いをしている部分があった。

 足である。

 

「なんでワシだけ他の参加者みたいにブーツじゃないんだ? まぁこっちの方がワシらしくていいけどな」

 

 両津の足は来た時と同様、素足に木製サンダルを履いていた。もはや知る人ぞ知る彼のトレードマークである。ちなみに警察官として制服を着ている時も足は常にこれである。規定違反だが。

 今居る場所はどこかの工場か倉庫の横にある駐車場だ。ただし駐車している自動車は一台も無く、見通しが良い。いや良すぎる。周囲に住居らしきものは全く無く、似たような倉庫だか工場のような建物があるだけ。高さ1メートル程度の金網フェンスで仕切られているが、見渡す限り駐車場が広がる寂しい場所だ。ドラム缶だけポツンと置かれ、黒字に白のロゴ印刷のされたみすぼらしい旗が荒縄でくくられていた。

 そこにツムリの声が聞こえてきた。

 

「運命の第1回戦は、海賊ゲーム! 町中の旗を、チームに分かれて守ってください。その旗はジャマトの落とし物で彼らが取り戻すと狂暴化します。くれぐれも奪われないように」

 

 両津は目前で風に靡く旗を見て呟いた。

 

「最初は防衛戦かぁ。守りながら戦うってのはワシに向いてないんだけどなぁ」

 

 基本的に両津勘吉の戦い方は先制型である。フライングも多く、試合では反則と取られる事も多々あった。デザイアグランプリの概要こそ先のアルバイトで把握はしたが、詳細までは掴み切れていない。初手から全力を出すわけにもいかないが、不得意分野での戦いとなると本気を出すしかない。そう考えている両津に声をかけるものが二人居た。今回のチームメイトだ。

 

「りりりりり両津さんですね。よよよよ宜しくお願いします」

「ブヒ! 頑張って旗を守るブヒ!」

「おう、どうか宜しくな!」

 

 吃音が激しい痩身の男はキリヤ ショウゴ。年齢は20歳くらい。デザイアカードに書いた叶えたい夢は「推しと結婚したい」。

 贅肉が多い体型によって呼吸音が常に無駄に多い男はムトウ タケハル。年齢は30歳前後。デザイアカードに書いた叶えたい夢は「世界中の美食を極めたい」。

 

「ここここれで俺は推しと添い遂げる事が、ででででで出来るんだ! はははは早くモニターから出してあげるよ、まままままマイエンジェーール!!」

「早く世界中の美味しいものを食べたいブヒ~!」

 

 彼らを見て一抹の不安を覚える両津。

 

「結婚と食欲かよ。まぁ頼り無いが、いざとなったら盾にでもすりゃ良いか」

 

 両津はこういう部分が非常にドライだ。必ず全てを見抜けるとは言い切れないが、初見でその人間の力量を測る事が出来る。人生経験が常人並みでは無いからこそだ。キリヤはどう見ても筋力が足りないし、ムトウは無駄に付けた肉の重みで動きが悪い。

 

「さて、こんな開けた場所で障害物も無いと完全にワシたちとジャマトの真っ向勝負になるわけだが。駐車場なんだからせめて車くらいあればなぁ……」

 

 そこへツムリの声がまた聞こえてくる。

 

「アイテムを各自プレゼントします」

 

 その言葉が聞こえると足元にピンク色のボックスが現れた。デザイアドライバーの左右のスロットに装着することで自身のスーツの形状が変り武装も追加される「レイズバックル」というアイテムだ。両津たちは早速ボックスを開け、自身に与えられたバックルの確認をした。

 

「ししししシールドバックル?」

「ウォーターバックルって言うのかブヒ?」

 

 キリヤとムトウが手に取ったバックルを見た両津は何かを閃いたらしく二人に指示をした。

 

「おい、お前らのバックルを交換しろ。その方が戦いを有利にできる!」

「ほほほ本当に?」

「その方が良いんだブヒ?」

「ああ、ワシの言葉を信じろ! さーてワシのは何かな~? え? 何だコレ?」

 

 一人困惑する両津に構うことなくゲームが開始される。

 

「海賊ジャマトが出現するのは2回。第2ウェーブまで旗を守り切れたチームは勝ち抜けです」

 

 気持ち感情に欠けたような気がするツムリの声が喋り終えたのと同時に目の前の地面から10体の海賊の衣装を纏ったジャマトたちが現れた。それぞれの手にはサーベルが握られ敵意を剥き出しにしている。

 

「さーて気を抜くなよー うっかり退場なんてワシはゴメンだからなー」

 

 両津がそういうと各人IDコアを取り出しバックルの中央にセットをし、それぞれが持つバックルを腰のデザイアドライバーの右側スロットに装着した。

 

『SET』

 

 デザイアドライバーから音声が鳴る。各人それぞれの目前にバックル毎設定されている文字が空間投影される。そしてキリヤとムトウは変身ポーズを取り始めた。キリヤはおぼつかない動きで両腕を目前で交差させ一気に広げる。ムトウはそれぞれの腕を所謂ガッツポーズの状態にした。そんな彼らを見て両津はため息が出た。

 

「わかってないなぁ今時の若者たちは……変身ポーズと言ったら! これが一番だろうが!!」

 

 両津はキレの良い動きで右腕を左肩斜めに伸ばし左腕は拳を握り腰で構える。伸ばした右腕をゆっくり回し右肩の斜め先へ。そしてその右腕を目標にするように左拳を手刀にし一気に伸ばす。その際右腕は先ほどの左腕のように拳を握り脇に構える。両津が少年時代に何度も取った同世代なら誰でも覚えている変身ポーズだ。そして構えた右手はバックルについている風車を指で弾く。風車は勢い良く回転をしていく。彼の目前には、

 

『 Big Wind Fan 』の文字が浮かんでいた。

 

「「「変身!!」」」

『 ARMED SHIELD 』

『 ARMED WATER 』

『 BIG WIND FAN 』

『『『 READY……FIGHT!!』』』

 

 三人の掛け声と共にデザイアドライバーから眩い光が放出されエントリーフォームという共通規格の黒い全身スーツが装着される。更に、各人にそれぞれでIDコアに記された異なる動物の意匠と同一の形状のヘルメット、そして装着したバックルによって身体のプロテクターが装着され、武器がその手に握られる。

 

 キリヤに登録されているライダー名は「仮面ライダーギリギリス」。鮮やかな緑色でキリギリスの意匠をあしらった目つきの鋭い複眼バイザーのヘルメットが装着された。右肩と右胸を守る水色のプロテクターが装着され、ライフル型のウォーターガンを右手に持つ。

 ムトウに登録されているライダー名は「仮面ライダーブートン」。薄いピンクを基調としたイノシシ型のヘルメットを被っている。ギリギリスと同じく右肩右胸には水色のプロテクターが装着され、右手には肘まで守れる大きさの盾を持っていた。

 そして両津勘吉は……

 

「やっぱりライダーと言ったら緑色の体色に丸い複眼だよなぁ! しかしこの口元はやっぱりどうにかならんかったのかね? なーツムリちゃーん! やっぱりワシのデザインもう少し変更できないかなー?」

 

 両津のボヤきに対しツムリの声が返る。

 

「両津様は一度ゲームマスターにご相談されていて触覚デバイスを追加されていたので変更はできません」

「そこを何とかさー……」

「ダメです。もうジャマトが来てますよ」

「おっと、やべぇ!」

 

 目前に迫ってきた海賊ジャマトの振るうサーベルを手元の長物で受け止める両津。

 登録名「仮面ライダータートルズ」。

 深緑色の複眼ヘルメットを被り、その意匠は純粋に爬虫類の亀というよりは往年の初代仮面ライダーに近い。眉間に立つ2本の触手デバイスはデザグラ開始前、運営に交渉して追加変更されたものである。更にこのライダー、外見的特徴としてヘルメットが著しく他のライダーたちと異なる。ヘルメットは口元の保護具が無いストリートジェットタイプに近い。今のタートルズは鼻と口が無防備にも曝されている。

 

「ライ〇ーマンかよ?!」

 

 最初にタートルズへ変身して鏡に映った姿を見た両津の第一印象がこれである。

 

「他のライダーよりもパチモン感が強いんだよなぁ、これ」

 

 剥き出しになった不精ヒゲがまばらに伸びたアゴを撫でながら両津はボヤく。そんな彼の背後から別のジャマトが襲い掛かってきた。

 

「ジャジャジャマ!!」

「遅い!!」

 

 まるで背後に目でもついてるように後ろを見ることなくジャマトが振り下ろしたサーベルを右手の長物で受け止める。そして後ろを振り返りその刹那に自らの長物を上段から振り下ろす。致命傷となったジャマトはチリとなる。

 

「しかしコイツは丈夫だなぁ。デザグラのアイテムだから心配は無かったけど、こんな冗談みたいなモノまで武器に出来るとは……」

 

 先ほどから両津が振るっている長物はハリセン。深緑色のビッグウィンドファンバックルを装着する事で現れた武器である。デザグラの何でもあり感はパンクジャックとして行動していた時に把握していたので右手にハリセンが現れても特に驚きもしなかったが、威力の凄まじさには目を見張るものがあった。プロテクターは前面が胸からアバラにかけて厚い緑色のものが。背面には亀の甲羅に似た大型の物を装着している。首からは背中に垂れるギーツが付けているものと似ているマフラーらしきものもある。ただしこちらは真紅のものだが。

 これにてギリギリス・ブートン、そしてタートルズのチームは戦闘における近接・遠距離・防御の要素を手に入れた。ギリギリスのウォーターガンで狙撃。近づいてくるジャマトはタートルズが攻撃。それでもすり抜けて旗に近づくものはブートンが押し返す。タートルズの戦力は説明不要だろう。中身が両津勘吉なのだから。そして見立て通りキリヤことギリギリスはウォーターガンデバイスの扱いが上手かった。FPSなどのシューティング系のゲームで慣れているのかもしれない。ムトウことブートンもシールドデバイスとの相性が良い。元々巨漢のため、シールドで構えている限り押し負ける事は少ない。これである程度の長期戦は見込めるだろう。

 

「しっかしさぁ、あのジャマトっての見てるとなーんか枝豆が食べたくなるんだよなぁ」

「あ! それなんかわかるブヒ! あれ食べたらどんな味がするブヒかねぇ?」

「たたたたた食べるの?! ふふふふふ二人とも余裕だなぁ……」

 

 防戦しながらも余計な事を考えるタートルズ。応じているブートンも悪食さが垣間見える事を言っている。ギリギリスは内心チームメイト二人の考え方に頼もしくも不安を覚えた。

 

「でぇえええええええええい!!」

「ジャジャジャジャマー!!」

 

 タートルズが10体目のジャマトを倒した所で1Wave目の終了となった。

 




 どうも筆者です。昨日に続きギーツvsこち亀:珍戦IIをアップさせて頂きました。

 このお話はギーツ10話「謀略I新世界のビート」をベースとして書いていますので、今回の両さんは海賊ゲームで戦っています。では以下箇条書きで小ネタについて説明します。

・仮面ライダータートルズ:両さんがデザイアドライバーで変身するライダーです。亀を模したヘルメットですが、往年の1号ライダーファンの両さんが運営にワガママ言って眉間の触覚生やしました。鼻と口を出しているのは作中でも言ってますがパチモン感を出したかったのと、アイコンとして一発で両さんだとわかる様にしたかったからです。他のライダーたちと明らかに違うのもポイントですね。
・ビッグウィンドファンバックル:今作オリジナルのデバイスで、まんま1号ライダーの変身ベルトバックルの風車が付いてます。こいつを指で弾いて回すんですね。別に変身機構はデザイアドライバーのIDコア部分が主となっていますから、風車は何となく気分です。武器のハリセンはギャグ要素を持った強力な武器として選びました。筆者が別サイトで展開している小説に出てくる巨大ロボの必殺武器でもあります。
・キリヤとムトウ:今作オリジナルライダーたちです。ほぼモブなので名前の漢字設定は省きました。裏設定もありますがリクエストがあればお答えします。

 では明日アップします続きをお楽しみに。

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