仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「デザイアグランプリ第3回戦を前に唐突のこち亀サイドの物語。前回はあの堅物の大原部長がデザグラという存在を知るお話でした。さて大原部長、いきなりの連絡でしたがいかがでしたか?」
「いやぁ流石にワシも我が耳を疑いましたよ。まさか両津がそんな重要な任務に着いているなんて」
「嫌だなぁ部長。ワシくらいになればそれくらい朝飯前ですよ~」

 ツムリと大原部長の間に唐突に現れた両津。当然ながらいつものお説教が始まるわけで。

「だったらいっそ激戦区にでも行って戦争を止めてこい! なんならそのまま戦死して英雄にでもなったらどうだ?」
「無茶言わんでくださいよ! 戦争ってあの戦争でしょ? 国際問題も絡んで物凄く面倒そうじゃないですか!」
「お前1人の犠牲で止まるなら御の字だ。死して礎を築いてこい!」
「そんなのやだよー! ツムリちゃん、巻いて巻いて! とっとと本編に入ろうぜ! でないとワシの命が危ない!!」
「待て両津! こんな綺麗なお嬢さんと過ごせるなんて滅多に無いんだ。ワシの憩いの時間を奪うんじゃない!」

 大原部長、こち亀本編で時折スケベ心出してましたよね。


認者II:衝動が駆け巡る

「部長ー。報告書、出来上がりましたよー」

「あ、ああ……済まなかったな、両津」

「……どうしたんですか部長? 署長、そんなに厳しいコト言っていたんすか?」

 

 両津の野暮ったい声掛けに、出来る限り優しく応える大原部長。だが当の両津には何も伝わっていない。

 憎らしいがその分弟の様に面倒を見てきた大事な部下が、現在進行形で過酷な任務に就いていると考えると大原部長の胸は強烈に辛く締め付けられた。その気持ちに抗うも抑えられない衝動が大原部長を動かしてしまい、両津の両肩をガッと掴んだ。

 

「り、両津!!」

「うわっ! な……なんですか部長?」

「い、いや。何でもない……身体の具合はどうだ? どこか痛む所は無いか?」

「えー? 急に何言ってるんすか? 至って健康ですよ。あー……強いて言うなら走り回ってばかりだったから少し眠いかなって。へへへ」

 

 何分日中はデザグラで迷宮内を走り回ってばかりいたのだ。強靭な身体を持っている両津でも多少の疲労感は出てくるだろう。だからと言って特に深刻な問題では無いと感じた両津は屈託の無い笑顔で答えた。だが、そんな気持ちは大原部長に全く伝わっていなかった。

 

「な、何だと?! わ、わかった……今日の仮眠時間はお前を最優先にしよう。何なら少し早いが今からでも構わないぞ」

「え? いやいや、いいですよー。いつも通り最後で。まぁその分うっかり交代まで寝ちゃうかもしれないですけどねー」

「バッカも……いや、それでも構わないぞ」

「「「え?!」」」

 

 大原部長の意外な発言に両津・麗子・纏が声をハモらせて大いに驚く。

 

「部長、何か悪いモンでも食ったんですか?」

「どうしたの部長さん? そんなに胃痛が酷くなったの?」

「麗子さん、こりゃ仮眠は部長さんからじゃないかなー?」

 

 それぞれが大原部長を気遣う。両津は完全に平常運転だが。

 

「いや、別に大丈夫だ。それと今夜の夜食はワシが奢ろう。皆、好きなものを頼んで良いぞ」

「「「はぁ?!」」」

 

 大原部長が更に意外な事を言って皆が大口を開けて驚く。そして3人は顔を合わせて小声で話す。

 

「おい……部長、いよいよおかしいぞ」

「勘吉が迷惑ばかりかけてきたからだろ?」

「そーねー……日中も胃を摩っていたからねぇ」

 

 小声とは言えあまりに露骨な態度を取っている皆に流石に慌てた大原部長。

 

「待て! ワシは大丈夫だ! 変な心配はしないでくれ!!」

「何言っているんですか……おかしい人ほどそう言うんですよ」

「何だと――?! ……いかんいかん。そうだな、普段からワシがお前に言っている事だ。済まない。だがワシは大丈夫だ。安心して好きなものを頼んでくれ」

「本当にいいんですか~? じゃあワシ、うな重が食べたいなー♪」

「ああいいぞ。麗子くんも纏くんも好きなのを言いなさい」

 

 某少年探偵アニメに出てくるガキ大将キャラの口調で言ってみる両津。声質もどことなく似ているから結構シャレにならない。普段ならこんな事を言おうものなら激怒する大原部長だが、今日は物腰柔らかく爽やかに返した。だがその態度も3人を震え上がらせた。

 

「ヤバいぞ! 今すぐ救急車を呼べ!!」

「わかった! 奥さんにも連絡するね!!」

「部長さん、もうここはいいから今すぐ休んでください!!」

「バッカも――ん!! ワシは至って普通だ――――!!」

 

 結局皆に促されて一旦は休憩室に通された大原部長。だがこんな空気でも仲間の優しさを感じる事が出来て安堵感を覚える。

 

「いったいいつまでこんな穏やかさを感じられるのかな……。両津、死ぬんじゃないぞ……」

 

 瞳に涙を滲ませて麗子が用意してくれたお茶を啜る大原部長。そんな彼の胸中が全く伝わらずに両津たち3人は業務を淡々とこなしていた。

 

「しかしどーっすかなー、うな重」

「いや流石にダメだろ勘吉」

「そーよー。無闇につけ上がると後で痛い目見るのは両ちゃんなんだから。懲りない人ねぇ……」

「じゃあさ、こういうのはどうかな?」

「何だ、纏?」

 

 人差し指を立てて提案する纏。そしてそれから数時間後の夜10時過ぎに大原部長も予想外の人物が派出所に現れた。

 

「まいどー! 超神田寿司でーす!!」

「はぁ?! 寿司なんて頼んでないぞ!」

 

 突然やってきた寿司の出前。しかも持って来たのは纏の実家である超神田寿司だ。大原部長は大いに驚いたのだが……、

 

「ありがとう三吉。随分早かったねぇ」

「そりゃあお嬢さんからの注文ですから。職人一同気合い入れていい所を選んで握ってきました!」

「よーす三吉。しかしまさか板長がわざわざ出張ってくるなんてなぁ。お前、明日も出勤だろ?」

「余計なお世話だイチロー。ちょっとしたサプライズって奴だよ」

 

 三吉。超神田寿司の板長をやっている壮年の男性だ。彫りの深い整った顔立ちをしていて声も良い。その井出達に来店客からの評判の声も高い。年齢は両津と同じくらい。イチローと言うのは一時期、超神田寿司で両津に付けられた誤解から生じた愛称だ。両津勘吉と言う名前を知ってもらった今でも時折呼ばれる事がある。

 

「お嬢さん、それとイチロー。明日勤務明けに大女将から大事な話があるので、なるべく寄り道せずに帰って頂けますかね?」

「婆ちゃんが?」

「ワシにもか?」

「ええ。何でもかなり大口の予約が入ったので是非お二人にと」

 

 大女将とは纏の祖母で超神田寿司の長老である擬宝珠 夏春都(ぎぼし げぱると)の事だ。100歳越えの偉丈夫。両津にとっては父方の祖父の妹で大叔母にあたる。神技級のソロバン技術を使って店の帳簿管理を行うかとおもいきや、PCにて店舗のHP作成や予約管理、ネットで海外からの食材調達など行うというアナログとデジタルのハイブリッドを極めている老婆である。

 

「大口の」

「予約ねぇ……」

「それで何でアタシと勘吉?」

「さぁ……? すいません。あっしもそこまではまだ聞いていなくって」

 

 夏春都から直々指名がかかると言う事はかなりの大物による大口予約で間違いない。

 

「そこまで言うなら電話かメールで知らせりゃ良いのによ。夏春都め、まーた変な事企んでるんじゃねぇだろな?」

「婆ちゃんも時々お茶目なとこあるからなぁ」

「それだけ元気って事ですよ。じゃあ寿司桶は勤務後に持って帰って頂けますか?」

「わかった! 夜道は危ないから気をつけてね」

「ありがとうございます。ではあっしはこれで」

 

 三吉が立ち去ろうとしたその時、声をかける者が居た。大原部長である。

 

「おいおい三吉さん、お代を忘れているよ。幾らになるかな?」

「いえ、大原部長。お代は結構です」

「そーそ。今日はアタシたちからのお礼です」

「つってもワシの金だけどな」

 

 纏が提案したのはこれである。せっかくなので店から出前を取ろうと。勿論代金が発生する話だが、日ごろ散々迷惑かけている両津が出すと決まったのである。

 

「そりゃ悪いよ! せめてワシの分だけでも」

「部長さん。せっかくなので頂きましょうよ。両ちゃんが奢ってくれるなんてあと100年経ってもあり得ないかもしれないんだから」

「なんだとー? じゃあ麗子、お前の分は要らないんだな?!」

「ざーんねん。そうしたら纏ちゃんとシェアするもん」

「そうそう。そしてアタシは勘吉からシェアする」

「結局ワシの所から持っていくんじゃねぇか!」

「ははは……君たちと来たら」

 

 意地になろうとしていた自身の気持ちを3人が解いてくれた。三吉も安心して帰路につく。全員休憩所で寿司を食べる事にした。

 

「すまんな。何から何まで。両津、この礼は必ず返すぞ」

「ヒヒヒ! そりゃあ楽しみだ。いつか奢ってくださいよ、うな重!!」

「勘吉! まーたそうやって軽口を言うんだからなぁ、全く……」

「いつもの事よ。だいたい両ちゃんからその元気取ったら両ちゃんじゃ無くなっちゃうもの」

「いや全くだ。お前は何年経っても変らないからなぁ」

「部長だって人の事言えるんですかぁ? 最近、署のシステムがどんどんIT化してるのに覚えきれなくてワシらに丸投げしてる時も増えたじゃないですか」

「……すまん。それは頑張って覚える」

「いいんですよ部長さん。実はアタシも結構苦手で……」

「で、纏もワシに丸投げすると」

「いーだろー? だいたい勘吉がおかしいんだよ。勘吉くらいの年齢だとITオンチとか機械オンチとかも多いだろ?」

「ワシ、新しもの好きだかんね。そーゆーのは積極的に覚えるの」

「そーねー。確かに両ちゃんはいつも情報早いものね。お陰で毎月給料が尽きているけど」

「……言うな麗子。全部この不景気で物価高なのが悪いんだ。政治が悪いんだ」

「自分の散財を政治のせいばかりにするんじゃない! 少しはガマンしたらどうだ?」

「まーた始まった。そうやって説教している隙に部長の好きなエンガワ全部食べちゃいますよー?」

「あー、待ってくれ待ってくれ。すまんかった! うん、お前は情報通だ! 素晴らしい!! 頼むよー、こんな美味いエンガワなんて滅多に食えないんだから!!」

 

 談笑しながらの楽しい会食を過ごした。この時の大原部長は朗らかな空気と共に、果たしてあと何回こうして両津と楽しい食事を過ごせるのかと真剣に考えたという。

 

 食事を終えて数時間後。深夜0時を過ぎた辺りで派出所待機とミニパトでの深夜パトロールの2班に分かれる。両津と麗子は派出所。纏と大原部長はパトロールだ。

 

「じゃあな纏。部長に迷惑かけんじゃねぇぞ」

「アンタだって麗子さんに迷惑かけんなよ。じゃあ行ってくる!」

「おう! 気ぃつけてな~」

 

 憎まれ口を叩く両津に見送られ、纏と大原部長は深夜のパトロールに出かけた。




 筆者です。「認者II」をお送りしました。
 ギーツキャラ不在のままで2日目更新です。最初は4000字程度で済ませて直ぐにギーツキャラを出す予定だったんですよ。本当に!w 予定より多くなったのは先ず間違いなくこの人、大原部長ですね。では今回は大原部長の事でこの後書きを埋めていきましょう。
 熱心なこち亀読者ならご存じかと思われますが、先ず登場最多の名キャラであること。中川と並び、こち亀を語るなら外せないキャラの1人ではないかなと。PIXIV大百科で知ったのですが、やはりこの人も派出所メンバーなのか結構物騒な面をお持ちで……部長オチで様々な兵器で武装して現れたり、戦車に乗って現れたりと危険な片鱗が見れる他、本編中でも銃を撃ったり両さんに無茶言ったり。
 両さんへの土産の酒瓶が重いからと途中のガケに捨てる「ワシの笑顔で十分だ」は有名なセリフです。
 そんな大原部長の両さんへのクソ重感情を拗らせたのが今回の話ですね。しかもまだ次があるからシャレにならないw
 その辺りはまた明日の更新分で書いていくとしましょう。

 では今回の小ネタは一つだけです。

・ラサール石井さんの声と高木渉さんの声って結構似てるよね・・・それがあっての本文のうな重ですw

 明日も17:30更新です。よろしくお願いします。

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